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日曜日の「日経新聞」を読む楽しみが、ひとつ増えました。


女性の作家にいきなり年齢の話で恐縮ですが、彼女は兄と同い年ですから、もう40代後半のはず。それなのに、いつまでも少女らしさを失わない、ほんわかした雰囲気が大好きです。
その、年齢を感じさせない少女性をひもとく上で、昭和ひとけた生まれのお母様の存在が重要な意味を持っているのではないかと密かに思っています。具体的に作品の上で感ずることはないのですが、厳然たる母上のもとで、「私、これでいいのかな」と、いつもどこか頼りなくためらう空気を感じてしまうのです。
この昭和ひとけた生まれの存外なるパワーは、最近あちらこちらで感じます。人によっては豊かな年金老後生活、旅行だ、買い物だと自由な時間を満喫していたり、子供の結婚の為に親同士で見合いをする人もいる。孫育てに懸命の人もいる。思いの外、社会への影響力が大きい。そして、「こうあるべき」の期待が子供に対して強い。その親の期待する「あるべき」を具現しようとして、その重みに耐えかね、壊れてしまう子供たち(といっても既にいい大人なんですが)がいる。親の期待を甘えで懐柔し、いつまでも自立できぬ子供たち(といっても既にいい大人なんですが)もいる。
ある意味では、雅子さまも「あるべき」を具現しようとして、疲れ果ててしまったのではないかなって案じていたりするんです。もちろん、一面的すぎる話ではありますが。

話が逸れました。エッセイの話でした。
川上弘美さんの魅力は、意外性のある文字遣いの魅力でもあります。「センセイの鞄」「溺レる」などのタイトルでもおわかりのように、独特の文字遣いをなさいます。文中でも「おとうふ」「かんたんに」など、「おお、ここで平仮名を使うか!」と、意表をつかれてニヤリとする、そしてほんわかする、そんな楽しみも味わえます。

彼女がデビューした年は1994年、芥川賞を受賞したのが1996年だったでしょうか。

一方で、出版業界では「タイトル」と「企画力」で勝負という風潮も生まれました。中身は軽く読めるものでも構わない。
やわらかい話し言葉の口調であれば、疲れた人の心にふわんと入り込む。おまけに字数も稼げます。1/31の「挑戦漢字日記」を見てください。漢語だと、あっという間に言いたいことを尽くしてしまう。話し言葉で書いてみれば、「ですます」調の文体、同音異義語を避けるため冗長になる説明、平仮名が続くために句読点が増える。どうしても語数が多くなります。中身をふくらませることが簡単です。
好ましいことかどうかはわかりませんが、昔に比べてハードカバーの本ですら「半日で読める」ものが多くなった理由には、そんなこともあるんじゃないかと思っています。まるで、メレンゲのような中身の本たち。

加えて、パソコンで手段を得、メールで距離が縮まり、昨今はプログの出現で発表の場も得やすい。まるで仮名文字が普及し、表現の手段を得て文学が次々と生まれた平安時代の再来かとさえ思ってしまいます。
そして、やわらか平仮名時代において、多感で内省する子供たちは、すぐに大人の道具を使いこなすようになり、表現する手段を得ます。漢語にあふれた難解な社会ではありません。やわらかで、すぐ手の届く世間。巷には「幼稚力」なる言葉も生まれています。確かに歯ごたえのある文化は少なくなりました。大人の目線と子供の目線がずいぶん近くなりました。そんな中で背伸びをすれば、すぐ大人も求める文学に至ります。

少し時間を置いてから、自分のフィールドで、今回の芥川賞の低年齢化を読み解くと、こんな感じになりました。
掘り下げ足りない部分もありますが、一反訳者の日記ということで、どうぞご容赦。






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Last updated  2004年05月03日 14時45分33秒
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