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2016.04.08
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国家に翻弄されたラオス・モン族の近代史

中国南部のミャオ族と同系と言われるモン族は、ラオスを中心にベトナム、タイと広範囲に居住していて、少数民族の中では、かなり人口も多く大きな勢力をもつ民族です。中国では約900万人弱がいるとされ、ラオスに約46万人。タイでは青モン、白モンとわかれるものの、合わせて約5万人とされています。

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モン族の始祖は、定かになっていません。いくつかの説がある中で一般的なものは、中国の歴史書に登場する「蛮」とよばれる民族が、モン/ミャオ族だというものです。宗の時代に漢族の南下に伴って、南へと移動を余儀なくされて、ラオス、ベトナム、タイへと移り住んだと言われています。中国のミャオ族は1949年に政府による意識調査に基づいて創作された民族として、政治的な統制と支配を行うための社会制度としての性格もある。また、タイではミャオは、モン族の蔑称として用いられている。また、かのタクシン元首相のニックネームがミャオであったことから、双方を絡めて侮蔑する意味合いが大きくなった。

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米軍の爆撃で破壊しつくされたラオス北部の街ムアンクン(シエンクワン県)廃墟となった寺に佇む焼けただれた仏像は何を語るか。

ベトナム戦争当時、ラオスでもそれまでの王族支配に対抗する共産主義勢力パテトラオが蜂起。ラオスは内戦に陥って行きます。ベトナム戦争と合わせてインドシナ戦争と呼ばれるのは、南ベトナムに加担していた米軍は、民間航空会社エアーアメリアを通じてラオス王国軍を支援。しかし実態は、アメリカ軍とパテトラオ軍との戦いでした。これはベトナム戦争の影で行われたケネディーの秘密戦争とも呼ばれています。

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2006年にラオス山岳部で撮影されたモン族反政府ゲリラたち


モン族は、そのほとんどがアメリカ軍に加担。当時、ホーチミンルートに手を焼いていたアメリカ軍が、そのルートのほとんどがラオス国内を通っている事から、ラオス王国軍地上部隊へ米軍兵士を派遣するのですが、その消耗を減らす目的で、モン族を利用したと言われています。

しかし、王国軍の敗北が濃厚になると一部がアメリカへ亡命し、現在も一定のコミュニティーを形成しています。また、タイ東北部に逃れたモン族は難民キャンプに収容され、2010年頃にラオスへの強制送還が決まるまで約30万にがいたと言われています。


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ラオス北部シエンクワン平原に今も残る爆撃によるクレーター。

インドシナ戦争当時、モンの人々はアメリカ軍によって武器を与えられ、兵士としての鍛錬を受けました。当時からの拠点だったラオスサイソンブン県のラオス最高峰ブービヤ山周辺には、今でも反政府活動を続けている一派が残り、時々路線バスなどが襲撃されたり、警備している軍隊と銃撃戦などが散発しています。ちなみに日本の外務省はこの地域に対して、不要不急の渡航を止めるよう警告しています。

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ラオスは、(米国は否定していますが)クラスター爆弾が世界で初めて使用された被災国でもあります。今でも不発弾が見つかり、毎年死傷者が出ています。カンボジアの地雷は有名ですが、ラオスのクラスター爆弾は、大きな外枠の中に小さなボール状爆弾が仕込まれ、投下途中で飛散するという爆弾。これはその小ささ故に一度土の中に埋もれてしまうと発見が非常に困難になります。その為、雨季に表土が流された時などに地表に表れて、それに気がつかずに触れて爆発したり、子供たちが遊び道具に使っているうちに犠牲になるということが、今でも起きています。この不発弾処理にはヨーロッパのNGOの他に、日本の自衛隊OBが処理技術の指導を行っています。

ラオスのモン族について詳しくは、竹内正右氏の著書、 「ラオスは戦場だった」 「モンの悲劇」 をお読みになってみて下さい。

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爆弾の残骸を土台に建てられた小屋でとうもろしを轢くモン族の夫婦。


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最終更新日  2016.04.09 00:38:32
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