米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方【電子書籍】[ L・デビッド・マルケ ]
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(2021/9/6時点)
ミスをしないことに意識を向けていると、真に優れた存在になることへ意識が向かなくなる。重大なミスを犯さなかったというだけで栄光を手にし、任務を完了しさえすればよいというやり方に満足していたら、現状をよりよくする必要がなくなる。
潜水艦には、決断を下す者まで情報を上げていく構造が確立されている。
しかし、われわれの艦では、そうした構造を取り払い、決断を下す者が情報のある場所へ降りていくことにした。
「情報を権限のある者の元へ持ってこさせるな。権限のある者が情報の元へ動け」ということだ。
「権限を委譲する」と言っておきながら、権限が持つ力を奪う形で委譲するのでは、名ばかりの委譲でしかない。私が目指したのは、仕事の上でも自分個人としても、潜水艦内で働く人や働き方に組織のよさをもたらす仕組み、それも、私という個人がいなくなっても続く仕組みを確立することだった。
部下の態度を変える方法は、基本的に二つある。
一つは、自分の考え方を変えることで、彼らのふるまいが変わってくれると期待するやり方。
もう一つは、自分の態度を変えることで、彼らの考え方が変わってくれると期待するやり方だ。
加えて、上官の立場の者に、初めて見せる時点で完璧な状態に仕上げろと部下に要求することが、艦内全体に膨大な無駄と不満を招くのだということを認識させる必要があった。たとえ30秒でも、事前に言葉を交わすだけで乗員の作業時間はずいぶんと節約できる。
言われたことをするだけでいいなら、自分に必要な技術を理解しなくても構わない。しかし、物事を判断する力を高めたいなら、判断の基となる確かな技術的知識が必要になる。この自然の法則が、潜水艦を容赦なく支配しているのだ。何か行動したという状況があるだけなら、この法則が問題になることはない。しかし、行動の結果起こったことが起こってほしくないことだったとき、この自然の法則が問題になる。
この問題を解決するのは難しい。乗員にもっと権限を委ねるには、より高いレベルの技術的知識を身につけさせないといけない。
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