学びの泉 ~五目スパゲティ定食~

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Mr. Hot Cake @ Re:賛同します(02/24) アトリエトトロさん ありがとうござい…
2006.10.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類

「心の…12章第15号」 から本文転載

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回は、初めて高校生が登場します。

『基本的に欠けているものがあった場合』、ラクして力をつけることはで
きません。その基本的なものを身につけるには、まず苦しまなければ!

例のトップ高、N高校2年生のO君は、私に1つのテーマで小論文を7回
も書き直しさせられました。そして、ようやく文を書くとはどういうこと
か、文を読む、特に『行間を読む』とはどういうことかがわかりました。


ようになった例を通して「小論文を書く意味」を問い、また「添削者の役
割・意味」を探りたいと思います。


 第5章■■N高校2年生後半。理系頭のO君が突然文転告白
      現国いつも10点前後、どうするんだ?!    ■■


   ◇◇1つのテーマで小論文書き直し7回。O君の場合◇◇
       “「文を読む」という意味がわかったぞ!”  
           -その1-


==プロフィール==

中学から在塾していたO君。理数系は圧倒的に強く、文系は苦手、特に国
語が弱かった。弱いといっても、N高校合格程度の力はあります。

しかし、私がみんなの前で「O語!」「O語を解読できるのは先生(私)だ

か、述語だけとか、とにかく返答はすべて単語1つだけで返ってきて、
つながりのある話し方ができないのです。国語の記述問題になるともう
大変、すべて1行か2行を埋めるのが精一杯ですから…

その一言がポイントはついているので、まちがってはいないのです。歴史
上の人物の話し方で言えば「織田信長語」でしょうか。それを解読できた



N高校に入学後。さすがに高校国語は中学とちがって甘くはありません。
まわりはみんなそれなりの国語力がある連中ばかり。それに高度な感受性
を必要とする文芸作品の内容読み取り問題などで、解答欄は「選べ」では
なく「(数行にわたって)書きなさい」に変わります。もう完全にお手上げ。
内容がわからないので短く書くことすらもできず、白紙欄がほとんどとい
う状態になってしまいました。とれる点数は10点前後、ひどいときは1桁
の点です。数学など理系の科目の点はそこそこいいのです。

中学時代からあるスポーツで鳴らしたスポーツ少年、高校時代もそのス
ポーツで県大会上位の常連です。練習に明け暮れ、学校の勉強のほかに本
を読むなんてことは当然できず、国語力を上げるなんて無理な話。理系に
進む予定です。



==「え~! 文転するの?!」==

2年の秋、O君が突然言いました。「先生、オレ文転したいんだけど、無
理かな~?」。『文転』とは、志望を理系から文系にかえることです。

「え~! 文転するの?!」、私は思わず頭の中がクラクラ(『国語が入試
科目にない文系の大学なんて無いぜ!』)。

「なぜ?」と問うと、
「先生、オレずっと先のこと考えたんだけど、理系の大学出てもつきたい
仕事が無いんです」「親戚のおじさんが会社を経営してるんだけど、おじ
さんとこの前話していて、経済学をやってみたくなったんです」「単なる
理系バカで終わるのヤダし、オレ自分を変えたいんです」


(『それはいいけど、でも今のO君じゃイバラの道だぜ…。理系ならかな
り有望なのに』)

「それで、どこの経済学部を目指すの?」

「I大学です」

(『エ~、国立の超一流じゃないか!』)「おいおい、一浪は覚悟してるの
かい? 現役じゃかなり無理があるけど…」

「はい。でも今のままじゃ国語が手が出ません。国語をなんとかしたいん
です」

「よし、わかった!!」



==テストの分析==

私はO君の最新の現代国語のテストを持ってこさせ、彼の解答内容をくわ
しく分析しました。

第一問は文芸作品で、登場人物の各場面での心情を記述させる問題がズラ
リ。O君の答案は…(『あれ、すべて白紙』)

第二問、随筆。ある朝、場所は木立に囲まれた白いテラスがある、お気に
入りの喫茶店。テラスのテーブルにたった一人。気心知れたマスターが入
れて運んできてくれた一杯のコーヒー。テーブルの上では、今置かれた
コーヒーカップからは湯気が一筋たちのぼっている。コーヒー一杯がもた
らす朝のくつろぎに酔いながら、筆者が心情をつづった作品。

随筆なので当然心理描写についての記述問題が主体。「選べ」はなし。O
君の答案はここでも見事白紙…

第三問以下や、漢字でかろうじてとった点が9点。

「やはりね!」



==提案==

I大学の入試に『小論文』はありません。しかし私は提案しました。


「先生(私)にならこの筆者が言いたいことがびしびし伝わってくるが、な
 ぜ先生にわかりO君にはわからないのか」

「それは簡単なことだよ、先生は『文を書く苦しみ』を知っているし、君
 は知らない」

「そのちがいだけだ」

「だから、君も『文を書く苦しみ』を味わってみよう。それを味わえば、
 君は『文を読める』ようになるよ」

「小手先のテクニックで、君が望む大学レベルの読解力なんてつかない。
 入試科目に直接関係ないけど、小論文やってみるか?」


O君は「はい」と、きっぱり答えました。

「よし、じゃ小論文形式とし、論題はちょうどここに出てきた『コーヒー
 一杯がもたらす朝のくつろぎ』にしよう。字数は1200字とする!」

「一通目、書けたら持ってきな」



==苦しみのはじまり==

数日後、O君が持ってきました。泣きそうな顔でなかなか出しません。も
ぞもぞしているだけです。

私:「おい、どうしたい? 早く出せや」

O:「先生、オレ困った。書くことが無いんだ」

私:「書いてはみたんだろう、どうせ一通目でまともなものなんか期待し
  てないよ。だんだん仕上げていけばいいんだから…」


しぶしぶ出したO君。見ると、「朝のコーヒーは目を覚ますのに良い。」
の1行だけ。

O:「先生、オレ書けないんだ。何を書いたらいいの? 

私:「え~、書くことなんかいくらでもあるじゃないか。コーヒーに関係
  するいろいろな思い出とか…」

O:「オレ、コーヒー好きじゃないから…」

私:「じゃ、何を飲むんだい?」

O:「お茶が好きです」

私:「え~、渋いな?!」「それなら、お茶についてなら書けるかい?」

O:「コーヒーよりは…」

私:「そうか。だけどいきなりお茶について書いていったら、それは『論
  題無視』になっちゃうからな。よし、話をお茶にすりかえちゃう1つ
  のテクニックを授けよう。そうすれば、お茶をテーマに書くことがで
  きるようになるぜ」



==論題すりかえのテクニック==

論題が決まっている小論文を書く場合、まず最初に意識すべきことは「誰
が、何を書いて欲しくて(書いた人の何を見たくて)出題したのか?」を見
抜くことです。同じテーマでもこの点をはずすと、それはどんなに素晴ら
しいことを書いても『ピンボケ』です。

この「コーヒー…」のテーマでも、コーヒー会社が採用試験で出題したも
のならば、それはまさにコーヒーにこだわって書かなければなりません。
しかし、大学入試、それも経済学部のものであるならば、たまたまコー
ヒーを題材にとっただけです。「上のような状況のもと、自分が好きな飲
み物を飲んだときに感じるくつろぎの心理」をどれだけ文章で表現できる
かを見たいということでしょう。

自分にとってそれが『お茶』であるならば、そちらへ持っていってもよい
ことになります。たとえば次のようにして。




「『コーヒー一杯がもたらす朝のくつろぎ』、筆者にとって至福の飲み物
といえばコーヒーだったのだろう。コーヒー党にとってコーヒー一杯はま
さに『黄金の一杯である』と聞く。コーヒー党ではない私には、それは
『お茶』である。『お茶一杯がもたらす朝のくつろぎ』、私が感じるこの
くつろぎは、きっとテーマと共通のものであろう。」




==それでも大変!!==

2通目でO君が書いてきたのは次のようなことでした。

「(上のすり替え文から始まり)、お茶は入れ方によっておいしさが全然ち
がう。上手な人が入れてくれたお茶はおいしいし、下手な人が入れたお茶
はおいしくない。同じ値段のお茶でも入れ方が大切だ。僕もたまに自分で
入れるがなかなかおいしいお茶にならない。」

これで、400字を埋めるのが精一杯。でも一通目が1行で終わったのに
くらべれば格段の進歩じゃありませんか!

O:「先生、もう書くことがないよ」

私:「いや、まだまだあるさ。Oはおいしいお茶を求めて『お茶の入れ 
  方』まで視界が広がったじゃないか。そして自分じゃおいしいお茶を
  入れられないんだ。だから、今度はどうすればおいしいお茶になる
  か、お母さんにインタビューして、おいしい入れ方を聞いてこいよ。
  そしたら、おいしいお茶について、この続きが書けるぜ」


3通目、今度はO君、すこしニコニコして出してきました。原稿用紙2枚
ちょっとがほぼ埋まっています。

読むと、「お茶は~℃くらいのお湯でいれる。何分くらい待ち、蓋をあけ
て葉がどのくらい開いたら飲み頃だ。それから、お茶を入れる湯飲み茶碗
もいいもので飲むとまた一味違ってくる。」と文がややマニアックになっ
ています。なにより、字数が多くなったことがうれしそう。


O:「先生、いっぱい書けるようになったけど、まだ1200字にならな
  いよ。」

私:「ウン、だいぶ小論文ぽくなってきたな。ところでOにとってはお母
  さんのお茶が一番おいしいか?」

O:「ウウン、おばあちゃんのお茶の方がもっとおいしい」

私:「ほ~、まだうわてがいたか。たしかにお茶が好きというだけあって、
  お前はお茶にうるさいな。よし、今度はおばあちゃんにインタビュー
  してこい。おばあちゃんならお茶の入れ方だけじゃもったいないな。
  おばあちゃんの長い人生だ、いろんなことがあったんだろう。おばあ
  ちゃんには、お茶の思い出もきいてみな。一番おいしかったお茶の思
  い出を!」

                        つづく


  *次回は次から始まる『新たな大変』です。

==新たな大変!!==

4通目。O君は困った顔で出しました。今度は原稿用紙5枚を越えていま
した。







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Last updated  2006.10.09 16:18:52


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