温故知新

2004.05.08
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いつからか、育児書や育児雑誌を手にとらなくなってきた。


一つめは、娘の役にたたなくなってきたことだ。
ボールのやり取りをする頃です、とか以前にコミュニケーションが取れなかったし。
ゴミ箱にゴミを捨ててくるぐらいのお手伝いをする頃です、とか以前に歩けなかったり。

特に役立たなかったのは食事面だ。
離乳食中期頃の食事。
『食べられる食材だけを駆使してあらゆる料理を作り、小さくて可愛い器にもった写真』が並んでいる。

私が求めているのはそうじゃない。


ちなみに、うちのスリ鉢は3台目である。1代目はすっている最中に見事にぱかっと真っ二つに割れ、2代目は電子レンジの最中、爆音と共に木っ端微塵にふきとんだ。いずれも電子レンジ可能なはずのすり鉢だった。あまり経験できないことを経験させてくれて、ありがとう、神様。


二つ目の理由はすこぶる簡単。比べなくてもいいのに、比べてしまうからだ。

夫の高校時代の友人で、今は年賀状ぐらいでしかやり取りがない人がいる。
一応、毎年、年賀状を送っていた。
彼からは正月三が日を過ぎた頃、いつも、『うちの年賀状に返信』という形で、会社のロゴ入りのただの葉書でかえってきた。

ところが、ある年から、正月にピターっと合わせてやってくるようになった。しかも、手作り中の手作り。そこには子供と妻とニターっとした自分のあらゆるカットが所狭しと並んでいた。

そのカットの中には、某有名雑誌の企画の写真も載っていた。一般家庭の子供をモデルにし、1歳半ぐらいまでのあいだ毎月、その子供の成長を追っていく、というものだ。
その写真の下に「この雑誌に毎月出ていま~す!見てね!!」と子供に言わせた形で書いてあった。
死んでも見るもんか、と思った。

しかし、ちょっと育児書なり育児雑誌を少し見た方がいいかな、と思う出来事があった。
娘が「いらない」と上手に言うのを見て、いつも心を少し痛めていた。そんなに辛い思いをさせてしまっているのか、と心配をしていた。


育児書から遠のいていた私は、テレビドラマなどで、チビっちゃいのが「…マ…マ…?」なんて言って、「あなたぁ~!聞いた?この子、ママって…ママって…ウルウル」「あぁ…聞いたよ…シミジミ」、みたいな場面しかインプットされていなかったのである。(なんのドラマだ(笑))

「育児書なんかに育児は載ってないよ」とおっしゃられる方もいらっしゃるだろうが、それももちろん、一理ある。
が、この風習、いつからこっちが常識になったんだ?

以前、二ヶ月入院していた病院のベテラン看護士が、私にこんな話をしたことがある。

最近の母親は「育児書に振りまわされてはダメよ」という風習ヘンなふうに間に受けて、読みもしない人が増えている。


先日、救急で連れられて来た子供は脱水症状も末期な状態で、危ないところだった。熱がずっとあって、食欲もなかったし嘔吐するから、といって、水分さえも与えなかったそうだ。

またある日はこんなことがあった。
夜中、救急車でやってきた7ヶ月の男の子。
子供は火がついたように泣きわめき、母親は完全にパニックになっている。
「熱は?何があったの?最近の様子は?」と何度聞いても「突然泣き出して」と繰り返すばかり。
小1時間もしてようやく落ち付いた時に分かったのは、ただの夜泣きだった、ということ。母親は恥ずかしがる素振りもなく、安心顔で帰ったという。

二人とも育児書は読まなくてもいい、と言われたから、と手にとったこともなかった、そうだ。

育児書に振りまわされた時代が確かにあったのだろう。
その時の、人を元気づける言葉が「育児書通り子供は育たないわよ」だったに違いない。

いつからかそれが一人歩きをし、「育児書はいらない」みたいな極論になってしまったのではないか。

しかし、こんな核家族が多い中、特に私のような一人目の育児の際に、育児書や育児雑誌を読むことは大切なことなのではないか、と思う。もちろん、振りまわされないように気をつけて。

今回のことだって、私が少しは「発語」についての常識を持っていたならば、もう少しうれしい気持ちで子供の「いらない」を聞けたはずだから。





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Last updated  2004.05.08 18:11:35
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