温故知新

2004.05.15
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大阪小児保健研究会が今回、『ちょっと気になるこどもたち、が大きくなったら―長期的支援について―』というシンポジウムを開催する、ということを教えていただいたので、大阪国際交流センターへ行ってきた。

5人が発表したのだが、関心の高いものが多く、疲れは感じなかった。
題目とそれぞれの発表者、簡単な内容を主観で書きたい。

1、ダウン症候群の長期的支援 日本ダウン症ネットワーク 藤田弘子
→30年前、ダウン症児の0歳児死亡率が50%、平均寿命10歳であった。その頃、ダウン症児のための育児研究会を発足し、早期療育法「ダウン症児の赤ちゃん体操」にいきつき、長年、ダウン症児を見守っている。その経験から、ダウン症児のそれぞれの進路、30歳になった初期メンバーの現在をデータやビデオで紹介。

2、自閉症の長期的支援 大阪こころの健康センター 亀岡智美
→自閉症児の青年期までのそれぞれの問題点をあげ、それを症例(事実に基づいたフィクションの症例)に基づき解説を加える形態で発表。
青年期までの自閉症児が直面している具体的な問題に対する解決法は、自閉症児ではなくても有効であろう分かりやすいもので感心した。これについては長くなるので、別の機会に書きたいと思う。


→ADHDの子供たちが辿ってしまいがちな最悪のシナリオ、DBDマーチについて解説。DBDマーチとは、周囲の無理解や不適切な対応によって自尊心を傷つけられたADHD児が反抗挑戦性障害(大人に反抗的な子供)や行為障害(実際に反社会的行為をしてしまった子供)といった反社会的・破壊的行動を特徴とする一群へと移行していってしまうシナリオをいう。
この人の話はまとまりがなく、英語や専門用語、略語が多く分かりづらかった。
が、彼が担当した患者の母親に実施したアンケートの中で、「子供の将来に不安を感じるか」の結果には興味をそそられた。母親の不安は子供のIQの高低に比例せず、ADHD児の母親は不安を抱いている率が極端に少ない結果がでていた。

4、21世紀の特別支援教育 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 西牧謙吾
→平成13年秋に調査研究協力者会議を設置して検討を行ってきた特殊支援教育の最前線にいる氏から、現在の進行状況や特殊支援教育が目指すもの、を説明された。
詳細は文部科学省のホームページに結構分かりやすく掲載されているので割愛する。

が、『特別支援教育とは、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、その対象でなかったLD、ADHD、高機能自閉症も含めて障害のある児童生徒に対してその一人一人の教育的ニーズを把握し、当該児童生徒の持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育を通じて必要な支援を行うもの』(今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)より)と、定義づけられているが、今までの特殊教育の対象児(例えば聾学校)のための学校は子供一人当たりの税金がかかりすぎて破綻をきたしそうだ、とも、このシンポジウムの発表者が、誰だか忘れたが言っていた。
『障害種に関わることなく』おこなわれる特殊支援教育、と聞けば、前者は金かかり、後者は足りないからくっつけちゃおう、という安易な発想に聞こえもするのだが…。

また、『ひとりひとりニーズに合わせて』と言うが、現在、特殊学級の担任にスペシャリストの免許を持つ人の割合が50%だ、とも、やはりこのシンポジウムで誰かが言っていた。
そんな中、障害種をはずした枠での特殊支援教育を担当できるスペシャリストの養成が間に合うのだろうか。そもそも可能なのだろうか?

もっとゆっくり聞きたかったのだが、時間が押していたこともあり、また、おそらく氏自身の性格でもあるのだろうが早口で、消化不良は否めなかった。


→自閉症、発達障害への支援を大阪を例にして紹介。
自閉症児教育の専門療育や訓練場所は少なく発達遅滞の教室に組み入れていたり、また、療育システムも確立しておらず、独自に調べたものや、スタッフの勝手な判断で行われてしまっていることが多い、という全国の療育所に対してアンケート結果も公表した。

大阪では『松心園』は昭和45年からすでに開設したという、全国でも数少ない第一種自閉症児施設があり、TEAACHプログラムを取り入れ、平成14年にはセンターを設け力を入れているそうだ。

以上、短くだがこんなシンポジウムだった。
ただ、実は私が一番心に残ったのはこれらではない。



懐かしい風景のなかに溶け込んで彼女は楽しそうに働いていた。私は背景に移るショーケースの中のメニューや、食べ終わったものをおくベルトコンベアーなどから目が離せなかった。
彼女は三年前から働いている、ということだから、私がいたときにはいなかったのだが、でも、もしかしたら他の障害者は働いていたのかもしれない。
何か少し誇らしいような気がした。





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Last updated  2004.05.23 13:22:53
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