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2015.04.19
「花燃ゆ」で「歴史」を考えよう。
(4)
テーマ:
徒然日記(23561)
カテゴリ:
歴史
NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の視聴率が思わしくない様です。
今夜も放送がありますが、前回の放送など一見相反する思考がぶつかり合う、可なり深くて考えさせられる内容だったのですけどねぇ・・・
幕府老中の間部詮勝の暗殺計画の露呈を機に師である松陰が獄に繋がれ、松下村塾を潰された塾生達が松陰の最大の理解者を自認する小田村伊之助に直談判するシーンがありました。小田村は松陰の影響によるファナティシズム(熱狂)に魘された塾生たちの浅慮を嗜めます。
「この中の一人でも自分の頭で老中暗殺の是非を考えた者があるか?」
「己の本心から動こうとするものがあるのか?」と。
真に何かを守ろうとする者は血気に流行らず、周りを知り藩を知り発言力を増す事に尽力せよと諭します。理性的・知性的な意見であり、何となく
今年の東大の卒業式で話題になった学長のスピーチ
と重なったのですが、一方ドラマの終盤では松陰に此の様な台詞も吐かせます。
獄の松陰を見舞い「お前の死に場所はこんな場所では無い」と反省を促す小田村に対して「お前は僕を止める事しかしない」と断じます。
「時は来るが、それは今では無い。」
そういう事は全て嘘であり、立派な事を言いながら傍で見物するだけで何も事を成さぬ人間の言い訳に過ぎないと喝破します。
「声を挙げぬ者に、声が届かぬ者の気持ちは解らない」
「事を成さぬ者に、事を起こして失敗した者の気持ちは解らない」
そして自分自身も結局は事を起こせぬ役立たずだと・・・
実は小田村も松陰も双方どちらかが間違っている訳でも無い相反する意見であり、井伊直助の現実路線から複雑にうねりながら紆余曲折して明治維新に至る過程で無駄死にしたものなど居ないのですね。維新を観る事無く死んで行った志士を司馬遼太郎は花神と読んで悼んだのですが、其れには井伊直助だって水戸藩の過激浪士だって含まれるのです。
小田村は維新後まで生きますが、松陰の存在が無ければ維新が成されたか解らない。
歴史はワンシーンを切り取ると善玉と悪玉を設定しやすいですが、ある程度のスパンで考えると必然性が見えて来てそうした設定の無意味さを知る事になります。
歴史的に影の薄い松陰や久坂という存在もそうして見ると、愛おしささえ感じられるのですね。
自分の生きる現在も何れ過去となり歴史と成る事を考えると現在に悪とか不合理の役回りを演じている事象にも必然性が在り其処に真理が在る可能性さえあります。当然その逆もあるのですね。
お茶の間でTVドラマ見ながらそんな事を考えられる日本の環境は可なり民度が高いと思いますよ。
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最終更新日 2015.04.19 17:05:41
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