Bylane

2006/06/10
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基地の材料は、木材を中心として、ダンボールやペットボトルなど、家にあるもんや目に入ったもんを手当たり次第に森に持ち込んだ。ちなみに僕が持ち込んだのは木材とロープとダンボールで、木材とロープは家にあったのをガメてきて、ダンボールは駅に住み着く方々のマイホームとやらを少々拝借してきた。
A君は木材に大量のペットボトル、使い古しの小さい本棚を持ってきた。ペットボトルは何十本もあり、コイツはいったい1日に何本ジュース飲んでんだと友人の頭を疑ったことを覚えている。B君はひたすらに長いロープだけだった。ロープも尋常じゃないぐらい長く、これで首吊り自殺用のロープを作ったら100人分ぐらい作れるんじゃないかと、子供らしからぬことを考えるほどビックリした。C君が1番物を持ってきていて、さまざまな形の木材や、針金や布、A君と何かがシンクロしたのか大量な漫画本も持って来ていた。C君が材料部門では1番役に立ったかもしれない。A、B君が偏りすぎだっただけだが。やっぱり量より種類だよな。
D君はプラスチックのコップや皿、折りたたみ式机や画鋲などを持ってきていた。D君はなぜか食事セット一式を持ってきていて、お前はここで晩飯を食うのかとツッコミを入れようとしたが、
君が持ってきたものにビックリするあまり、そんなことは一瞬でどうでもよくなってしまった。
君はなぜか、缶詰を以上に持ってきていて、しかも肉類、魚類、野菜類などきっちり同じくらい持ってきて、栄養のバランスに無駄に気を使っていた。
まだいい。非常食セットなら、D君が持ってきた食事セットとコラボできるから。しかし、次に君が「どう? これ」といいながら自信に満ち満ちた笑顔で鞄から出したものには正直驚いたね。

黒塗りの外見。地面に置いた音で分かる重量感。

「なにこれ?」と僕は訪ねる。それは小学生が持つのはあまりにも不自然で、僕は本物は映画でしか見たことがなかったからだ。君はにっこりと満面の笑みを浮かべ、「えあがんだよ」と言った。
そう、君はエアガンを持ってきた。

「あんたがいまもっているのは、せみおーとまちっくしき。まず、かーとりっじにたまをつめて、たまをそうてん、あとはひきがねをひくだけではっしゃできるわ」
はっきりいって、意味が分からなかった。小学校低学年の僕はエアガンの知識なんか全然もってなかったし、なくてよかったと思うぜ。正直持ってるだけで怖かったからな。
A君もB君もC、D君も、呆然と恐怖がブレンドした表情で突っ立っていた。そりゃそうだよなぁ。銃なんかテレビでしか見たことないし、エアガンつっても小学生にとっては十分恐怖の対象になる。君がエアガンをがちゃがちゃいじり、銃口をこっちに向けてきた時には僕を含めた5人ともビクッとした。君は僕たちの上を狙って撃ったけど、発砲音とBB弾が葉っぱを貫いて飛んでいく音でめちゃくちゃビビった。B君はもう涙目だった。
「これでてきがおそってきてもだいじょうぶね!」
笑顔でそう断言する君。はっきりいってこんなガキの作ったミニ自然の家を襲おうとする馬鹿はいないぜ。いたとしても君のエアガンの餌食になるだけだったのだが、僕の知ってる限り基地を攻めてきた馬鹿はいなかった。あたりまえか。
材料集めが一段落した僕らは、いよいよ本番。基地作りに入った。





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Last updated  2006/06/10 10:07:01 PM
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