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2008年04月20日
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カテゴリ: オペラ
 東京文化会館  15:00~
 4階左翼

 タチヤーナ:イリーナ・マタエワ
 オリガ:エレーナ・カッシアン
 レンスキー:マリウス・ブレンチウ
 オネーギン:ダリボール・イェニス
 グレーミン公:シュテファン・コツァン
 トリケ:ヘルムート・ヴィルトハーバー
 東京のオペラの森管弦楽団/合唱団

 演出:ファルク・リヒター

 その3幕はないだろう小澤さんよ、という...........やっぱり、詰めが甘いんだよなぁ。
 小澤征爾と東京のオペラの森管の弱みが出てしまった、といったところでしょうか。

 音色としては、決して悪くはなかったと思います。よく「寄せ集め」と言われますが、寄せ集めなりに音色はそれなりに結果を出すのがこのイベントでのオケの特徴。よく揃っていたとは言えないけれど、オーケストラの音としてはそれほど悪くはなかった。ただ、全体に、音が大振りで、繊細さが今一つ。どうも誤解されているのでは、と思うのだけど、このオペラ、正確には「歌劇」ではなく、「抒情的情景」とされていた筈。チャイコフスキーだし、ついつい豪華にやりたくなってしまうのだろうけど、本来このオペラはより繊細に演奏される方がいいのでは、と思います。
 それをオーケストラに求める点に落とし込むと、よりタイトな響きを求める、というところに行くと思います。「合わせる」というのとは違う。ただ、どのように響かせるか、きちんと計算してやって欲しいのです。無闇に音を出してはいけないと思うのだけど、今日は、「よく鳴っていた」という演奏。ヴァイオリンは未確認だけれど、ヴィオラ9、チェロ6、コントラバス4という割には大きい音が出ていて、その分の余力を違う方に.....と思わなくもなかった。
 なので、表現力にはやはり限界があって、例えば2幕冒頭の「ワルツ」は、よく練れたオケがやると、もっと田舎臭さを漂わせて演奏するのだけど、そこまでは出来ていなかった。
 それが更に悪い方に出たのが、3幕。まず、冒頭のポロネーズ。これは、2幕のワルツと呼応していて、田舎での誕生祝いという、なんとも野暮ったいパーティーで展開されるのが、西欧趣味であるワルツであり、トリケのフランス語の歌なのに対し、都会である首都ザンクト・ペテルスブルクでの舞踏会で奏されるのが、「ロシア」の音楽であるポロネーズ(ポーランドはロシアのもの!)。そのワルツの野暮ったさに対し、金属的とも言える洗練を見せるポロネーズ、という対比が、この演奏では生きて来なかった。何より、ポロネーズの後半が崩れてしまった。
 そのオケの乱れが3幕前半に見られてしまって、やはり詰めが甘いと言わざるを得なかったですね。

 元々小澤征爾は敏腕・辣腕という指揮者ではないと思います。オーケストラを使って音楽を積み上げることは長けていると思うけれど、細かい点で詰めが甘い部分がある。ウィーンなんかでは、詰めが甘い分はオケが適当に補ってくれるのだと思います。ボストン響は、長期でやっているからそれなりに鍛えて来ただろうけれど、今回のような形では、詰めの甘さが出てしまい、オケの地力でカバー出来ない点が出てしまった、ということがどうしてもあるのではないかと思います。
 結果、3幕は、聞こえるべきところが聞こえて来なかったり、テンポが崩れてしまったり、大詰めも綺麗に決め切れなかった。こういうところをきちんと詰め切らなきゃダメですよね。

 ただ、例えば昨日のアイーダでの都響に比べれば、音色の良さなどではレベルが違うという所でして。演奏するのが精一杯で、ぼろを出さないように死にものぐるいで合わせてる、というのと比べちゃいけないかな、と。


 グレーミン公役のコツァンが、まぁ頭半分抜き出ていた、というくらいかな(それは抜き出てるとは言わないか.......)。レンスキーのアリアは、良かったけれど、その良さが「ああ、いいねぇ」の先に行くほどのものではなかったかな。それが残念。

 ただまぁ、オネーギンは好きなオペラだし、聞けば楽しいし、という意味で、金返せとまでは思わなかったな。ちと高い(C席 23K円)とは思うけど。冷静に考えれば、このレベルに対してはちと高過ぎ、かな。

 演出。
 舞台をほぼ現代に置き換えた演出。ただ、ストーリーそのものには非常に忠実で、つまらない深読みはしていない、いわゆる「現代演出」。それをどう捉えるかはそれぞれでしょうが、正直私はこういうタイプの演出には評価は甘いのだと思うので、なんとも。
 第1幕で、10組ほどのカップルを後ろで抱き合わさせておいて、幕切れ、オネーギンがタチヤーナを暖かく=残酷に切る場面で離れさせるという演出、或いは、第2幕の決闘の場でのレンスキーとオネーギンの動きなど、結構踏み込んだ心理描写をさせていて、これは評価の分かれる所でしょう。わかりやすいと言えばわかりやすいけれど、見ようによってはくどいだけだし。

 ほぼ全幕を通じて雪を舞台奥で降らせているのだけれど、これは第1幕に関しては逸脱ですね。その程度はまぁいいとしても、この雪の演出、評価が難しい。つまり、くどくどしいとも言えるのです。特に、この種の雪、うっかりすると日本では歌謡ショーで演歌歌手が歌う舞台作りに見えて来て、というどうしようもない効果もあるし。
 練りが甘いのか、練って磨いて磨き過ぎちゃった、という感じかなぁ。

 酷評も可能な舞台だったと思います。個人的には全体として悪い気はしないけれど、酷な言い方をすれば、別に観なくても後悔はしなかったかな、という感じでしょうか。去年のタンホイザーの方が、いろんな意味で良かったんではないかなぁ。問題も多かったけれど、少なくとも、観た者として、覚えているし、という意味で、去年の方が上になるのかも。

 小澤はウィーンを退くし、その内、このイベント自体の存在意義が問われる局面になると思います。その時、どうするのかなぁ。ちょっと考えてしまいました。







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最終更新日  2008年04月21日 00時02分32秒
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