バカ足日記

2006.02.07
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 第一印象の魅力で付き合い始めると、そのうちに明らかになる欠点に目をつむるのは難しいことがある。殊に「現在の相手と比べ」た魅力には要注意だ。

「イマのと比べて乗り換えた」ことはないのだが、一目惚れ体質でずいぶん失敗した。カッコいいと思った男が「ウ○コもすればシ○コもする」のは構わない。そんなことより、天から二物を与えられていないカッコいい男に惚れるとそのカッコいい一物を除いた現実はとんでもない。しかも私のカッコいい基準はどうやら世間とずれているらしい。十代からの古い友人は「どこがいいんだかわかんないわよ。みーんな違うタイプだし。共通するのはあなたセレクションってだけ。脈絡が無い。」と呆れる。まあ、すったもんだあったのも無かったのも今や時効、たまに会うとやっぱりカッコ良くて一人残らずまた惚れそうになる。でもねえ。この人がカッコいいのは今この時この場面なのよねえ。学習学習。

 んなこたどうでもいいが、楽器を買い換えるときには「これに惚れる」「イマのと比べる」べきことがある。
 バイオリンは高音が命。低音の魅力を感じたいのならビオラやチェロなどを選ぶ。e線が鳴らないのは他がどんなに美味しく感じても選んではいけない。(例えりゃあたしゃg線だけがバリバリ鳴る男にうっとりしてたわけだ。)それをしっかり押さえてから、明るいでも甘いでも太いでも細いでもいいから惚れる。
でも、やっぱりイケナイ嗜好のある人はいるもので
「このバイオリン、低弦の響きが柔らかくて気に入ったんです」
これはまずい。キメ処を低弦で弾かせる曲ももちろんあるが、バイオリンの役割はソプラノ歌手と同じで技巧的にも高音を酷使する。必死でさらってもさらっても、高音の響きが足りない楽器では練習自体が困難だ。経済力とは言わないものの生活力のない男みたいなもの。一緒に暮らすどころじゃない。たまに調整で若干良くなるものもあるが、楽器屋も商売だから楽器はそれなりに鳴る状態にして出してくるし、弦を変えてどうにかしても、元々のレベルを大幅に塗り替えるほどではない。
「ちょっと高音がおとなしいけど」はすぐに「ちょっと」どころではないストレスになる。生身の男なら、何かのきっかけで成長したり心を入れ替えることもあるかもしれないが、バイオリンにそれは期待できない。


最低や、最低から2番目くらいの男と比べたらどんなのでも王子様に見える。そんなレベルは放っとくとしても、本当に乗り替える価値があるのか考えることも必要だ。200万で買った楽器になんとなく満足できなくなって店先でふと250万の楽器を弾いてみる、なんとなくこっちの方が良さそうでこれくらいならお金もなんとかなりそうで、、てな気分になったとする。おっと、小心者の私には「たいした変わりは無いじゃないの、オクサマお止めになったほうがよろしくってよ」に見える!もちろんこのくらいの値段ならばバイオリンとして立派なレベルを満たしているはずで、その上で様々な個性が並ぶ。弾いている楽器の何が不満で目新しい楽器のどこが魅力なのか、それをちゃんと自分で確かめてから乗り換えるのなら心配は無い。でも、200万で買った楽器が200万で下取りされるとは限らない。金利が安いから寝かしておいてもしょうがないようなお金がざぶざぶあって、じゃあバイオリンを2、3丁買って遊んでみようかしらなんて人ならともかく、やっと貯めたお金やらローンやらならばつまんない浮気心は損をする。どうかすると、運命の相手に巡り会うまでの遍歴で同額が消えてしまう。

 性格に不満なのか、レベルに不満なのかを考えてみる。
嫌いになってしまったならば仕方が無い。たとえ生活レベルを維持できなくなっても別れた方が幸せかもしれない。一度嫌だと思い始めればどんどん許せないことが増えてくる。そんなときに限ってちょっといい感じの男が現れたりする。でもね、そりゃ始めは新鮮かもしれないけれど、鮮度ならどれでもいずれ落ちてくる。今の亭主を振り捨てて乗り換える価値はあるのかしら?まあ、いいけどね。人生に無駄ということは無い。らしいし。
レベルに不満ならば、自分をレベルアップしないことには相応しい相手は現れない。らしい。バイオリンならばレベルアップとは技術に非ず、大いにまとまった資金だね。

 楽器遍歴を重ねつつあるお生徒さまとそんな話をした。見ている分にはおもしろい。





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最終更新日  2006.02.12 17:07:50


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