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2005/06/15
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カテゴリ: 雑感エッセイ
 このシリーズを書いているうちに、子どもを医者にするための動機づけとして『ブラック・ジャック』を読ませましょうというブログがあって驚いてしまいました。ブラックジャックはもぐりの医師であること、そして、何より作者の手塚治虫氏が医師という仕事を選ばずに漫画家になったことをどう考えているのか絶句しました。まあ、結局は夢をどう思い描くのかは子ども自身が決めればいいのですけれど。今日は前回までの「外発的意義」の続きから。

『何のために学ぶのか(4)』

 前回までの学ぶことの「外発的意義」にもう一つつけ加えておきたいことがあります。それは、教育が消費者を育てるということです。例えば、パソコンを使えるようになると、新しいアプリケーションソフトが欲しいと思うのは道理です。パソコンを使えもしないのにソフトだけ欲しいというのはありえない話です。学んで覚えたことが新しい消費を産むわけです。歴史を学んだことがあるからこそ、旅行などで京都に出かけたときに、本能寺跡にも行ってみようかと思うわけで、織田信長って誰それ?っていうことであれば何の価値も値打ちもない。また、地理で学んだ知識があれば、地方の特産物でおいしいお土産を買ってくることもできます。もちろん、書籍や雑誌で知った新しい情報もあるでしょううが、もし教科書で習っていなかったら、知らなかったはずのことがらも、ずいぶんあるのではないでしょうか。ほかにも、ゴミの分別の方法は小学校の授業で取り入れているところが多いと聞きます。もし知らないまま大人になってしまったら、子どもたちが大人になったとき大変なゴミ問題を背負うことになってしまいます。環境に対する配慮も、人間の自己都合だけを考えていたらとんでもないことになってしまいます。

 こういうわけで、教育は学ぶ人たちに「ものごとの価値」を伝えるという重要な側面があることは見逃せません。そして、経済的に言えば、教育によって新しい消費を生んでいるのだということもできます。そう考えてくると、教育を受けることによって私たちの生活がより豊かでより安全なものになっているとは考えられないでしょうか。

 このシリーズのお話の最後として、これまで述べてきた学ぶことの「内発的な意義」と「外発的な意義」をもう一度捉えなおしておこうと思います。私は結論として、人は自分の興味・関心で学んでいけばよいと思います。放っておけば関心のないことなんて誰も学んだりしませんもの。しかし、外発的意義でこれまで述べてきたように、現代を生き抜いていくためには自分が全く興味・関心もない、苦手な分野の学びをしなければいけないこともあるようです。興味・関心による学びは狭く深く掘り下げることができますが、学校教育などを通じて大人や他人から学ぶことで、広く浅く学ぶことができるのだろうと思います。後者は知的バランスを取るための学び(矯正的な学び、強制的な学び?)といってもよいかもしれません。そこから、面白いのがあれば、そこだけまた穴を掘ってみればよろしい。国民にとって何が必要なことがらかというナショナルミニマムは慎重に検討される必要があるとは思います。そういう意味では教育に携わる者は、子どもに苦手なあるいは嫌な分野も勉強してもらう、学びを強要する人と映ることになるのかもしれません。けれども、教育を受けることによって、それに余りある子どもの、学ぶ側の可能性の伸張があるのだということは承知しておくべきことでしょう。

 こういうわけで、教える側は教える工夫をする責任と配慮が必要であるでしょうし、また、学ぶ側は自分に必要なことを、たとえ苦手であったり、関心のない領域であってもつかみとって行く努力が必要とされるわけです。15歳の頃の自分の問いに答えるつもりでここまで書き綴ってみました。中3のとき、あの学級日誌に自問自答した「学んでいくうちに分かるのでしょうね。」というのはあながち外れてはいなかったのかなあと思ったりします。しかし、こういう考えをまとめるまでにずいぶん余分な勉強をしてきてしまいました。(ふうっ。)

 「生きることは学ぶこと。学ぶことは生きること。」という言葉を最後にもう一度掲げてお話を終えることにします。


【追記】このお話から発展して、「競争と教育」についても論考しなければいけないと思っていますが、少し間をおいてすることにします。次回からは「語句編」に戻ります。


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Last updated  2005/06/16 12:53:39 PM


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