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ふと気づいたら一週間のご無沙汰となってしまいました。いわゆる朝から晩までという仕事のパタンになっています。内容をまとめてから書くという作業はなかなか出来ないでおります。と言いますか、別のブログも運営してきたせいもあって手が回らない状態です。申し訳ありません。休みを使ってまた書かせていただきます。リンク先サイト様をご参照くださるか、もし、ここの過去の記事がお役に立てることがありましたら、今しばらくの間、そちらをご利用下さいませ。 -管理人 XENO ゼノ-
2005/07/26

夏休み前は忙しい時期です。また更新できずに気がついたら三日経ってしまいました。わざわざおいで下さった皆さんには申し訳ありませんでした。今日は楽天ブログ内に新しいテーマを投稿しました。「教育と競争についてどう考えるか」です。 以前に、「何のために学ぶのか」というテーマで記事を書きましたが、自分の中では双子のテーマであると考えています。「何のために学ぶのか」については既に大まかな枠作りは終えたと自分の中では決着がついているのですが、こちらは山登りに例えれば5合目といったくらいでしょうか。さて、今日は取っ掛かりのお話です。 かつて塾で中学受験クラスを担当する打ち合わせの席上、上司から「子どもをかわいそうだと思うな。」と言われたことがあります。もちろん、合格に向けての学習指導をするわけですし、それでお給料を頂いているので仕事として当然のことなのかもしれません。 しかし、中学受験のあと、第一志望校に合格したバーンアウト(燃え尽き)が原因だったと思うのですが、学業に興味をなくし不登校に陥っていたお子さんの家庭教師をさせていただく経験が学生時代に既に2件ありました。 そんなこともあって心の中にわだかまりがずっとありました。学校には定員というものがある以上、志望者が多ければ当然不合格者が出ます。試験に落ちるというのは誰にとっても快いものではありませんね。勝ち抜いて合格したはずの子どもが入学後、学業に興味を失うことがあるのだとしたら何のための受験勉強なのでしょうか。 受験クラスを受け持っていると、たまたまその教科が苦手な子が新たに入ってきたとき、子どもたちの中にこんなことも知らないのっていう雰囲気が生まれることが少なからずあります。実際、地域教室で学んでいて本部のクラスには行きたくないという子が本部は怖いからという感想を持っていることがありました。雰囲気で済めばいい方で、できないことをはやし立てる子もいたりします。へたをするとわからない子に教えるのはライバルを増やすだけだから損だ、あるいはできる子に対して、あいつは塾をやめてくれればいい、そうしたら自分の順位があがるとまで口走る子が出てきたりします。切磋琢磨とは言いますが、その辺は子どもは残酷です。 逆に、自分のできなさ加減を隠さざるを得ないということになって、答えが間違っていても丸をつけていたり、消しゴムで消しては正解を家で考えついていたかのようなノートに仕立て上げてしまう子が出てきます。こちらも気をつけていないと、普段は答えが書けているように見えても実は全然力がついていなかったりする子が出てくるので要注意です。講師は子どもの力を伸ばすことに腐心するのですが、テストの結果をフィードバックしているうちに、テストで評価されることにネガティブな価値観を教え込んでしまっていることが往々にしてあります。受験勉強を通じて子どもの学ぶ意欲をつぶすつもりはないはずなのに、受験情報やテスト結果をわたすうちに、知らず知らず、そうした隠れたネガティブな価値観を子どもに伝えてしまっていることがあります。 これは、自由競争が最善の結果を生むといった経済学の理論がそのまま教育に当てはめられるものではないということを表しているだろうと思うのです。経済学上、自由競争によって市場全体は健全化することがあるのかもしれませんが、個々の子どもの人生や学ぶことの価値づけを考えると、教育に競争原理をと単純には割り切れないのです。もし、その敗者がわが子だったら、家族だったらと考えるとあまり人事だとはいえない気がします。ペーパーテストの得点を競うことによって個人の能力が伸びるように見えて、実は個人が他者と関わって課題を解決するという能力の芽を潰すという側面があることは見逃してはいけないだろうと思うのです。 たぶん、人づくりということでもそうだろうと思います。集団は優秀な個人の力を欲する余り、競争を導入することがありますが、管理手段としての競争主義は、結局、集団が一部の個人の能力に依存し、能力のない人だとのレッテルを固定化してしまう一方、能力があるとされた人がいなくなったときに集団にはノウハウが何も残らないということになってしまうと思います。集団内での競争が厳しくなればなるほど、自分のノウハウなど人に公開しませんもの。一般企業のみならず、学習塾の講師育成もそうなのかも知れません。 話がずれてしまいました。私がかつて中学受験で1年間受け持った子で、ずっと塾内1位を通していたのですが、授業中、講師攻撃の激しい子がいました。少しでも板書の書き損じや言い間違いをしようものなら罵詈雑言、またほかの子の珍解答も許せなかったのでしょう、随分不寛容な発言をする指導の難しい子でした。 おかげで勉強になりましたが、ある時、個人面談をする機会があって何でずっと1位を通せているのかほかの子の参考にしたいからと話をする機会がありました。とつとつと話してくれたことには、どんなテストでも90点以上でなければ父親に殴られるというのです。お父さんは大きな病院の経営者で、お兄さんも中学受験をし、医師を目指していました。小学校6年生でその双肩に重い課題が課せられているということがわかって言葉が出ませんでした。そして、その子の不寛容な態度のわけが分かって私の側の対応にも少し含みが生まれたのでしょうか、彼自身もホントに厳しいことは言わなくなっていったように思います。彼自身が青年期になってもう一度、医者としての適性やアイデンティティの立て直しの課題をうまく乗り越えられるように願わずにいられませんでした。 子どもたちは、合格して入学後もさらに進学を考えたら、1学年300名なら1位から300位迄、順位をつけられるわけで、競争にはキリがありません。 そこで子どもたちには言うのです。「入学後にあなたの隣に座るのはあなたと同じくらい賢い子です。ほんのちょっとした努力の違いがまた順位の違いを生みます。それでずっと勝ち抜いていけなどとは言うつもりはありません。人と比べて自分を測ることばかりに関心を向けるのではなくて、自分自身が教科書や本に書かれている知識や真理と向き合う態度でいなければ、今やっていることは何ら役にたちません。もし、できる子だと認められたくて勉強しているのであれば、もしかしたら入学後は思ったように順位を取ることができなくてそうは見てもらえないかもしれない。お父さんお母さんを喜ばせたくて勉強しているのであれば、入学後はそれはできなくなるかも知れない。まず自分の目標とする自己最高の結果が出せること、自分に課せられている課題に正面から向き合うこと、そのために仲間と協力しあうことも大切であること。自分で学んだことをほかの人に役立ててもらうという感覚は大事です。結局、頭はいいけど使えない大人ってそういう学び方をしてきてしまったからではないのだろうか。大人になってから周りの人を説得したり、周りの人から学んだり、あるいは後輩を指導したりなんてできなくなってしまうのではないだろうか。」なんて説教クサいことを話したりすることがあります。 私立の名門K大学の大学生協では赤本が売られているとかつて聞いたことがあります。たぶん今でもそうなのではないでしょうか。たとえ最高峰とされる東大に入ったとしてもさらにその中で学科分属の振り分けがあり、官僚を目指す人はさらに所属官庁の内定の取り合い…。結局どこまで行っても勝者は一握り。いや、本当は勝ち続ける勝者などは存在しないのかもしれません。 私の周りにいた人たちは、いろんな選択をする人がいました。大学には行かずに大卒以上の英語力を身につけ翻訳の仕事をしている人。決して一流官庁と言われてはいなかった当時の環境庁(現環境省)に入りたいと東大に進み、見事、夢を実現した人がいるかと思えば、通産省キャリアと地方公務員の両方に合格して、あえて地方公務員を選択した友人もいます。そのまま会社に残っていれば重役クラスまでいけそうなくらい優秀なのに会社を辞めてしまった人。直近では、講師で学生さんですが、情報科学の修士号まで取れそうなのに、医学部受験を決意し合格した人、逆に医学部に在籍しながら塾の仕事の面白さに取りつかれ医師と塾講師との進路選択を真剣に悩んでいる人もいます。 そういう世間一般の価値観とは相容れない、リアルな選択が人生にはあるのだということは年をとってから分かるようになりました。 どうしてこんなことを書く気になったかというと、「ドラゴン桜」をビデオに撮って見たせいでしょうか。あまりに短絡的に東大を目指せというのが好かない感じがしました。東大に入りさえすれば何でも道は開けるなんて人生そんな単純なものではないでしょう??? 英語なら東京外国語大の英米の方が難しいでしょ。外大以外にも日本には一流とされる専門大学や伝統のある地域の大学、日本にはそこしかない特色のある大学がいくらもあります。そういう大学ではなくて、なぜ東大なのかわからないのです。単にその方が分かりやすいから。ただそれだけではないのかと訝(いぶか)しく思うのです。「立身・苦学・出世」といった古くからの学歴信仰のテーマがそのまま残っている感じがします。ホントに学問をしたいなら浪人などしないで地域の大学でしっかり学んでから東大大学院へでも入る方がずっと簡単です。そういう手もあるでしょう。東大大学院って外部出身者が結構いることは案外知られていないのでしょうか。 自分にとっての東大、いや、東大という言葉すら使いたくない気になりますが、自分にとっての最高の目標というものがあるでしょう。プロ野球選手になることの方が東大に行くよりずっと難しかったりするのですから。それに第2回の放送で紙幣を破るシーンがありましたが、大の弁護士なら貨幣損傷は罪になるって知っているはずだからあんなことはしないと思ったりして見ていました。(最後は余分ですね。) メーテルリンクに出てくる幸せの「青い鳥」の正体は「鳩」だったと言います。求め続けたものが結局身近にいる「鳩」だったという例えから、学ぶ上で競争をするにも、もっと身近な所から、もう少し地に足をつけて「学び」を考えた方がよいだろうと疑念を述べておくことにします。 今日から、競争と教育を書き始めてみました。これは前回の「何のために学ぶのか」を書いたときほど私の中で明確な形を持っていません。思いついたまま少し書き残しておこうと考えたのです。論点が整理されていない分、今まで以上に思い込みの強いことを書いてしまうかもしれません。これまたどうなりますことやら。3日分まとめたので長くなってしまいました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。あまり興奮せずに筆を進めれれたら幸いです。【ランキングに参加しています。ご協力いただける方はぜひクリックお願いします。】→ と
2005/07/19

今日は花火大会があったり、地元の高校生の行燈(あんどん)行列が出たりと街中賑やかでした。行燈の下で高校生たちが何人かで担いでいるのですが、写真ではわかりにくいかも知れません。青森のねぶた祭りに比べたらかなり小さめです。しかし、優に車一台以上の大きさがあります。久々に若いっていいなあと昔を思い出しました。行燈行列は今年で30周年。この高校は、NTTドコモ現相談役大星公二氏の出身校であったと記憶します。(画像にポインタを合わせればわかります)さて、解答発表です。【昨日の問題の解答】次の同音異義語の漢字を書き分けてください。1 シュウシュウ ア 切手をシュウシュウする。イ 事態ををシュウシュウする。〔解答〕ア 収集 集めてまとめることイ 収拾 乱れた状態を収める、落ち着かせる2 セイサンア 過去をセイサンする。イ 運賃をセイサンする。ウ 今度の勝負にはセイサンがない。エ 農作物をセイサンする。〔解答〕ア 清算 整理する、始末をつけるイ 精算 ちゃんと細かく計算するウ 成算 成功する見通しエ 生産 ものごとを作り出すこと3 タイセイア 政治タイセイの変革。イ 出動タイセイを整える。ウ 平均台の上でタイセイを立て直す。エ 天下のタイセイを見極める。〔解答〕ア 体制 国家・社会・組織のしくみイ 態勢 あることに対する一時的な身構えや態度。ウ 体勢 体の姿勢エ 大勢 だいたいの様子、世の中の成り行き4 ツイキュウア 幸福をツイキュウする。イ 責任をツイキュウする。ウ 真理をツイキュウする。〔解答〕ア 追求 広く一般に「追い求める」という意味。イ 追及 追いつめるという意味。(責任・犯人などに対して)ウ 追究 奥深くまで明らかにする(真理・学問などに対して)5 トクチョウア トクチョウのある顔。イ 新製品のトクチョウを売り込む。〔解答〕ア 特徴 目立つ点(良いところにも悪いところにも使う)イ 特長 長所のみをさす。6 ホショウア 生活をホショウする。イ 身元をホショウする。ウ 損害をホショウする。〔解答〕ア 保障 財産・権利などを守るという意味。イ 保証 その人・その物についてたしかだとうけあう。ウ 補償 損害をつぐなう・埋め合わせる。7 イジョウア コンサートに千人イジョウ集まる。イ 今年はイジョウな暑さだ。ウ 点検の結果、イジョウなし。エ 権限をイジョウする。〔解答〕ア 以上 それより上イ 異常 普通とは違う(形容動詞として用いる)ウ 異状 普通とは違った状態(名詞としてのみ使う)エ 委譲 まかせてゆずること8 コウイア ある女性にコウイを寄せる。イ 友人のコウイに感謝する。ウ カンニングは不正コウイです。エ コウイ室で着替える。〔解答〕ア 好意 親近感・愛情(自分の他人に対する気持ち)イ 厚意 親切・思いやり(他人の自分に対する気持ち)ウ 行為 おこないエ 更衣 着物を着替えること9 イドウア 交通のイドウ手段。イ 人事イドウで左遷される。ウ 誤りがないか下書きとイドウを確かめる。〔解答〕ア 移動 位置が動く。イ 異動 地位・勤務・住所の変更に対して使う。ウ 異同 異なっている点・違っている点という意味。10 セイチョウア 子どものセイチョウが楽しみだ。イ 植物のセイチョウには水が必要だ。ウ ごセイチョウありがとうございました。〔解答〕ア 成長 厳密に区別できないが、主に動物に対して使う。イ 生長 主に植物に対して使う。ウ 清聴 演説・講演などの最後に聴衆に対して使う。単に「静聴」とすると「謝意」は含まれないことになります。【ランキングに参加しています。ご協力いただける方はぜひクリックお願いします。】→ と
2005/07/15
友人からの情報です。日本子ども虐待防止学会 北海道大会のお知らせ9月2日(金)札幌市 共済ホール(N4W1 共済ホール6F) 映画「誰も知らない」上映会と是枝監督をお招きして17:00 会場 17:30~開始予定 20:51 終了予定映画上映会事前申し込み 興正子ども支援センター 上映会申し込み締め切り 7月22日 上映会費1000円 養護施設併設で相談窓口もHP上にありますので、ご迷惑のかからないようFAX番号かEメールをお調べになって連絡されることを強くお勧めします。上映会申し込み問合せ先 → 興正子ども支援センター第11回学術集会 北海道大会9月3日(土) 札幌市 北海道厚生年金会館9月4日(日) 江別市 札幌学院大学学会申し込み締め切り 7月22日 ネット上から申し込みができます。学会申し込み問合せ先 → 日本子ども虐待防止学会北海道大会事務局
2005/07/14

同音異義語は今日で最後の出題とします。やはり高校受験向き。力のある小学生も取り組んで見てください。受験生がおやりになるなら、前回と同じようにパソコンでの変換は禁じ手です。実際に書いてみてお考え下さい。【今日の問題】次の同音異義語の漢字を書き分けてください。1 シュウシュウ ア 切手をシュウシュウする。イ 事態ををシュウシュウする。2 セイサンア 過去をセイサンする。イ 運賃をセイサンする。ウ 今度の勝負にはセイサンがない。エ 農作物をセイサンする。3 タイセイア 政治タイセイの変革。イ 出動タイセイを整える。ウ 平均台の上でタイセイを立て直す。エ 天下のタイセイを見極める。4 ツイキュウア 幸福をツイキュウする。イ 責任をツイキュウする。ウ 真理をツイキュウする。5 トクチョウア トクチョウのある顔。イ 新製品のトクチョウを売り込む。6 ホショウア 生活をホショウする。イ 身元をホショウする。ウ 損害をホショウする。7 イジョウア コンサートに千人イジョウ集まる。イ 今年はイジョウな暑さだ。ウ 点検の結果、イジョウなし。エ 権限をイジョウする。8 コウイア ある女性にコウイを寄せる。イ 友人のコウイに感謝する。ウ カンニングは不正コウイです。エ コウイ室で着替える。9 イドウア 交通のイドウ手段。イ 人事イドウで左遷される。ウ 誤りがないか下書きとイドウを確かめる。10 セイチョウア 子どものセイチョウが楽しみだ。イ 植物のセイチョウには水が必要だ。ウ ごセイチョウありがとうございました。今日も出題のみです。明日解答発表いたします。【ランキングに参加しています。ご協力いただける方はぜひクリックお願いします。】→ と
2005/07/14

楽天ブログの日記にも文章修飾タグが簡単に入れられるようになりました。ちょっとうれしい。いままで直接入力や、メモ帳に修飾タグを打っておいてコピペで対応していました。フォントも文字の大きさ・色も簡単につけられるようです。ラクになりました。それでは、同音異義語4回目です。【昨日の問題の解答】次の同音異義語の漢字を書き分けてください。1 ソウゾウア 自分の未来をソウゾウする。イ 新しい文化をソウゾウする。〔解答〕ア 想像 「想い描く」というときはこちらを使います。イ 創造 「新しいものを作り出す」という意味です。2 サイゴ ア 残ったサイゴの願いをかなえる。イ 母のサイゴを看取る(みとる)。〔解答〕ア 最後 一番あと・終わりイ 最期 人生の終わり *「末期の水」(マツゴのみず)という言葉もあります。死に際に口に含ませる水・死に水のことです。3 イシア 強いイシの持ち主。イ 個人のイシを確認する。ウ 父のイシを引き継ぐ。〔解答〕ア 意志 意欲の意味が強いとき。イ 意思 考え・気持ちの意。意思表示と使います。ウ 遺志 死んだ人の生前の志(こころざし)。4 シュウカンア 三シュウカンの滞在。イ シュウカン誌を買う。ウ 悪いシュウカンがつく。〔解答〕ア 週間 期間の意味。イ 週刊 毎週発刊(刊行)。ウ 習慣 毎日繰り返ししている行動のこと。5 シンチョウア 洋服をシンチョウする。イ シンチョウに行動する。ウ 意味シンチョウな言葉。エ シンチョウと体重〔解答〕ア 新調 新しく作るという意味。イ 慎重 用心深いということ。ウ 深長 意味が深くて含みがあるさま。エ 身長 背丈。 アに使われている「調」にもいろいろな意味があります。「調べる」は読める子が多いですが、「調える」とするとなかなか読めません。「ととのえる」と読みます。「調える」はきちんとする、用意する、そろえるという意味で用います。例えば「調味料」は「味を調べる」のではなくて「味を調える」ものです。昔々、都立高の漢字の読みに出て、えらい正解率が低かったそうです。6 ケントウア 試合でのケントウを称(たた)える。イ 大まかなケントウをつける。ウ 内容をよくケントウする。エ ボクシングのことをケントウという。 * エはお遊びです。受験範囲外の漢字です。〔解答〕ア 健闘 力いっぱい立派に戦うことイ 見当 おおまかな目安・予想ウ 検討 ものごとのよしあしを良く考えるエ 拳闘 エ 「拳闘」の「拳(こぶし)」は「挙」と書き間違いをする子がいます。もちろん入試にはここまで出ませんが。ちょっと大きくしてみましょう。拳 と 挙部首はどちらも「手」です。7 キカン ア 長いキカンの入院。イ 戦場から無事キカンする。ウ 国会は立法キカンである。エ 消化キカンの病気。オ キカンに痰(たん)が詰まって咳(せき)が出る。〔解答〕ア 期間 ある一定の時期の間イ 帰還 帰ってくること・戻ってくることウ 機関 組織・団体エ 器官 一定の形と働きを持つ生物体の一部分。「器管」は×オ 気管 のどから肺までの円柱状の管8 コウエンア 有名人のコウエン会。イ 劇団のコウエン。ウ 青年のコウエンな理想。エ 文部科学省コウエンの映画。オ 犬とコウエンを散歩する。〔解答〕ア 講演 大勢の人の前で話をすることイ 公演 観客の前で演じることウ 高遠 高くぬきんでてすぐれているという意味。エ 後援 背後から援助することオ 公園 憩い(いこい)の場として作った庭園や遊園地9 キカイア キカイ体操。イ 工場のキカイで製造する。ウ めったに会うキカイがない。〔解答〕ア 器械 (小さくて)動力のないもの・道具イ 機械 (大規模で)動力があり可動的なもの・動くものウ 機会 何かをするのによいとき・チャンス よく見かける書き分けです。10 ドウシア 子どもドウシ仲良くなる。イ 同じ夢を持つドウシを募る。ウ 英語のドウシの変化を覚える。〔解答〕ア 同士 同じ仲間・種類イ 同志 同じ志(こころざし)をもつ者という意味ウ 動詞 動作・動きを表わす言葉。文法でもやりました。今日も解説だけとさせていただきます。同音異義語の最期の出題は明日。【ランキングに参加しています。ご協力いただける方はぜひクリックお願いします。】→ と
2005/07/13

昨日は解説を書いていて、次の問題まで作成する時間がありませんでした。辞書とにらめっこしながら書くというのは結構時間がかかるものですね。今日はまた出題のみです。受験生がおやりになるなら、前回と同じようにパソコンでの変換は禁じ手です。実際に書いてみてお考え下さい。【今日の問題】次の同音異義語の漢字を書き分けてください。1 ソウゾウア 自分の未来をソウゾウする。イ 新しい文化をソウゾする。2 サイゴ ア 残ったサイゴの願いをかなえる。イ 母のサイゴを看取る(みとる)。3 イシア 強いイシの持ち主。イ 個人のイシを確認する。ウ 父のイシを引き継ぐ。4 シュウカンア 三シュウカンの滞在。イ シュウカン誌を買う。ウ 悪いシュウカンがつく。5 シンチョウア 洋服をシンチョウする。イ シンチョウに行動する。ウ 意味シンチョウな言葉。エ シンチョウと体重6 ケントウア 試合でのケントウを称(たた)える。イ 大まかなケントウをつける。ウ 内容をよくケントウする。エ ボクシングのことをケントウという。 * エはお遊びです。受験範囲外の漢字です。7 キカン ア 長いキカンの入院。イ 戦場から無事キカンする。ウ 国会は立法キカンである。エ 消化キカンの病気。オ キカンに痰(たん)が詰まって咳(せき)が出る。8 コウエンア 有名人のコウエン会。イ 劇団のコウエン。ウ 青年のコウエンな理想。エ 文部科学省コウエンの映画。オ 犬とコウエンを散歩する。9 キカイア キカイ体操。イ 工場のキカイで製造する。ウ めったに会うキカイがない。10 ドウシア 子どもドウシ仲良くなる。イ 同じ夢を持つドウシを募る。ウ 英語のドウシの変化を覚える。【ランキングに参加しています。ご協力いただける方はぜひクリックお願いします。】→ と【後記】最近このブログのタイトルは「目安箱」でいいのかとふと疑問に感じています。改名した方がいいかなあ。ご意見があればぜひ頂戴したいと思います。
2005/07/12

昨日は同音異義語(同じ音読みで意味が違う語)を出題しました。禁じ手のパソコン変換ですでに確認された方もいらっしゃるかもしれませんね。解説を加えておきます。【昨日の問題の解答】次の同音異義語の漢字を書き分けてください。1 タイショウア 誤りがないか原典とタイショウする。イ 中学生をタイショウとした本ウ 左右タイショウの図形〔答え〕ア 対照 照らし合わせ・比較・正反対の意味で用います。イ 対象 相手・目標・目的ウ 対称 左右のつりあい 「タイショウ」の書き分けは就職試験等でももっともよく使われる同音異義語です。その人の国語力を測るのに適しているということなのでしょう。もちろん、中学卒業段階で書き分けができるようになって欲しい漢字です。あと、「大将・大勝・大賞・隊商」などを混ぜて難しくすることもあります。2 カイトウ ア 要望にカイトウする。イ 問題のカイトウウ カイトウしたマグロ(鮪)。〔答え〕ア 回答 質問や照会に対してただ返事をする場合はこちらを使います。イ 解答 問題・疑問を解き明かすという意味ではこちらを使います。ウ 解凍 これは凍ったものを溶かすという意味ですね。3 コウギア 大学のコウギイ 対応にコウギする。ウ コウギに解釈する。〔答え〕ア 講義 大人でもうっかり「ごんべん」をつけて「議」としてしまいます。イ 抗議 反対意見・要求を申し立てることウ 広義 これは「広い意味」ということです。対義語は「狭義(きょうぎ)」 ウで使われる「義」の意味を確認しておきましょう。同義語、対義語などと使われますが、「義」とは「意味」という意味の漢字です。あれ?わかります?[義=意味」です。「字義=字の意味」と使ったりします。正義の「義」は「正しい道、正しいおこない」をいう意味です。漢字には思いもつかない使い方がありますね。 平成教育委員会だったかな?中学受験国語の過去問からの出題で、「告白・自白・白状・独白(ひとりごと・モノローグ)」から「白」という字に「言う」という意味があることに気づかせる問題がありました。「白」の意味を私が知ったのは大学受験のとき、漢文の入試問題をやっていたときでした。漢字って中学受験も大学入試も変わんないんでしょうかね。うーむ。4 カイホウア 窓をカイホウする。イ 奴隷カイホウウ 病気がカイホウに向かう。エ 病気の父をカイホウする。〔答え〕ア 開放 開け放つの意味です。イ 解放 自由にするというときはこの字を用います。ウ 快方 病気が良くなる方向という意味です。エ 介抱 世話をするという意味ではこの字を使います。 これらは同音異義語として習わないと普段の生活だけでは身につかないのではないでしょうか。 5 カテイア 結果よりもカテイを重んじる。イ 中学のカテイを修了する。ウ もしもの時をカテイする。〔答え〕ア 過程 途中・経過・段階の意味です。イ 課程 ある期間の学業・カリキュラムという意味で用います。ウ 仮定 問題文にもあるとおり、「もしも」の意味です。6 カンショウア 芸術作品のカンショウイ 熱帯魚をカンショウする。ウ 余計なことにカンショウする。エ 秋にはカンショウ的な気分になる。〔答え〕ア 鑑賞 芸術作品に対してのみ「鑑」を使います。イ 観賞 美しいものを眺めて楽しむだけなら「観」です。ウ 干渉 余計な口出しのことです。エ 感傷 悲しがったり寂しがったりして心がき傷つきやすいことです。 特に「鑑賞」と「観賞」の違いをもう一度、取り上げます。「鑑賞」の「鑑」は「鑑定」などと使い、「良いものを見定める」という意味です。訓読みは「鑑みる(かんがみる)」です。一方、観賞の「観」は「観察」に使われるように「観る(みる)」ことが中心の意味のとき使います。7 シンニュウ ア 会場内シンニュウ禁止イ 住居不法シンニュウウ 今年度シンニュウ生エ 雨水が屋内にシンニュウする。〔答え〕ア 進入 進み入るという意味です。イ 侵入 他人の領域に不法に押し入るとき「にんべん」の「侵」です。ウ 新入 新しく入るの意味。これは考えれば易しい。エ 浸入 液体・水などがしみ入るというとき使います。だから「さんずい」 特に「侵入」の「侵」は「侵す(おかす)」という訓読みがあります。ここで「犯す・侵す・冒す」の同訓異字も取り上げておくことにしましょう。 「犯す」は「法や道徳を破る」という意味で「罪を犯す」などと使います。「侵す」は「不法に、あるいは無断で入り込む」という意味で「領土を侵す」などと使い、「冒す(おかす)」は「やみくもに、あるいは無理にしようとする」という意味で「危険を冒す」と使います。 また、「浸入」の「浸」は「浸る(浸る)・浸す(ひたす)」という訓読みを持ち、「水がしみこむ、水につかる」などの意味で使います。「浸水・浸透」などの熟語があります。8 コウセイア コウセイな裁判。イ 文章をコウセイする。ウ 番組コウセイを考える。エ コウセイ年金 コウセイ労働省(前と同じです)オ コウセイに名を残す。カ 犯罪者をコウセイさせる。〔答え〕ア 公正 公平で正しいこと。イ 校正 「校」には比べるという意味があります。原本と比べ合わせて 誤字や脱字、不備な点を正しく直すということです。ウ 構成 「組み立て」という意味です。エ 厚生 生活を豊かで健康にすること。オ 後世 のちの世の中。カ 更生 立ち直ることという意味です。9 ジテンア 国語ジテンイ 百科ジテンウ 主に字を集めた漢字ジテン〔答え〕ア 辞典 「辞」は言葉という意味で、言葉を調べるのが「辞典」イ 事典 「事典」は事がらを調べるものです。ウ 字典 「字」そのものの解説は「字典」です。10 カンシンア 好きなことにカンシンを示す。イ 模範となるカンシンな生徒ウ 社長のカンシンを買う。エ カンシンに堪えない重大事故〔答え〕ア 関心 興味があるというときはこの字です。イ 感心 へえ、すごいと感動できるときはこの字。ウ 歓心 うれしく思う気持ちのことです。 「歓心を買う」とは気に入られようとご機嫌を取るということです。エ 寒心 非常に心配すること。 「寒心に堪えない」とは心配で仕方がないということです。 5月の列車脱線事故がまさにそうでした。 書いているうちに次の出題問題を精選する時間がなくなってしまいました。続きはまた明日ということにさせてください。【ランキングに参加しています。ご協力いただける方はぜひクリックお願いします。】→ と
2005/07/11

昨日の「すんごい学習ゲームのサイト」の記事は反響が大きくこのブログの1日の最高ヒット数を記録しました。ありがとうございました。ただ、もうご存知であった方には申し訳なかったです。アンケート機能がここにはないので調べようがありませんけれども、有益なサイトを発見したらまたご紹介します。 「学習ゲームの広場」で相当数の漢字をこなせるので、今さら学習記事を書くのも気が引けますが、いずれブログに書いたことをまとめてHPにするという大望に向かってこれまでと変わりなくポツポツ牛の歩みで行こうと思います。 さて、今日は同音異義語(同じ音読みで意味が違う語)を出題します。やり始めると、これも実際には相当数ありますので、受験対策となるような代表的なものを取り上げることにします。高校受験向きですが、中学受験でもよく出るものが入っています。もし、受験生の方がおやりになるならパソコンで変換するのは禁じ手です。実際に手で書いてみて後でパソコンで変換して確かめてください。正解は明日発表です。【今日の問題】次の同音異義語の漢字を書き分けてください。1 タイショウア 誤りがないか原典とタイショウする。イ 中学生をタイショウとした本ウ 左右タイショウの図形2 カイトウ ア 要望にカイトウする。イ 問題のカイトウウ カイトウしたマグロ(鮪)。3 コウギア 大学のコウギイ 対応にコウギする。ウ コウギに解釈する。4 カイホウア 窓をカイホウする。イ 奴隷カイホウウ 病気がカイホウに向かう。エ 病気の父をカイホウする。5 カテイア 結果よりもカテイを重んじる。イ 中学のカテイを修了する。ウ もしもの時をカテイする。6 カンショウア 芸術作品のカンショウイ 熱帯魚をカンショウする。ウ 余計なことにカンショウする。エ 秋にはカンショウ的な気分になる。7 シンニュウ ア 会場内シンニュウ禁止イ 住居不法シンニュウウ 今年度シンニュウ生エ 雨水が屋内にシンニュウする。8 コウセイア コウセイな裁判。イ 文章をコウセイする。ウ 番組コウセイを考える。エ コウセイ年金 コウセイ労働省(前と同じです)オ コウセイに名を残す。カ 犯罪者をコウセイさせる。9 ジテンア 国語ジテンイ 百科ジテンウ 主に字を集めた漢字ジテン10 カンシンア 好きなことにカンシンを示す。イ 模範となるカンシンな生徒ウ 社長のカンシンを買う。エ カンシンに堪えない重大事故【ランキングに参加しています。ご協力いただける方はぜひクリックお願いします。】→ と
2005/07/10

今日はすんごい学習ゲームサイト見つけました!! 同音異義語のネタ探しにネットサーフィンしていたら、以前このブログでも紹介した『yahooきっず』の中に学習ゲームを扱うサイトを見つけました。リンクフリーでしかも無料。これだけの学習ゲームソフトが置いてあるサイトは、私もネットデビューしてから2ヶ月経ちますが初めてです。既にご存知の方も多いのかもしれませんけれど、このブログの推薦☆参照サイトリンク集に速攻入れておきます。その学習ゲームサイトは → フナハシ学習塾さんの『学習ゲームの広場』です。 ページ中央より少し下、ゲームへの入り口「学習ゲーム」より入ることができます。無料で、かつ、その種類の豊富さに驚きます。使う時は少し説明を読んでからでないと、どうやって動かしたらよいか迷いますが、すぐ遊べます。 国語の漢字・ことば・ローマ字・百人一首はもちろん、算数・数学・理科・社会・英語まであります。 自分の趣味で、おもしろいなあと思ったのは『難読漢字博士』と『回転15ゲームDE四字熟語』。これを子ども向けというにはもったいない。 全部やろうと思ったら数ヶ月はかかるのではないでしょうか。ということで、同音異義語の資料を作って記事を書こうという気も失せて、今日は記事をお休みにさせていただきます。 休日を使って親子でおやりになっても楽しいのではないでしょうか。普段の学習での使用にも充分耐えられるものであると感じました。 役に立つ情報だったと思っていただける方はクリックお願いします。 → と
2005/07/09

類義語3回目です。早速、昨日の問題の解答を発表します。【昨日の問題の解答】1 対等 =( 互角/匹敵 ) 2 知己「ちき」=( 親友/友人/知人 )3 著名 =( 有名 ) 4 同意 = ( 賛成 )5 発達 =( 進歩 ) 6 不意 = ( 突然 )7 無事 =( 安全 ) 8 重宝「ちょうほう」=( 便利 )9 方法 = ( 手段 ) 10 没頭 = ( 専心 )11 容易 = ( 簡単 ) 12 用意 = ( 準備 )13 落胆 = ( 失望 ) 14 了解 = ( 納得 )15 冷静 = ( 沈着 ) 16 異郷 = ( 外国/他国 ) 以上、どうだったでしょうか。やはり12問以上正解の方はかなり語彙力があると思います。普段の生活ではなかなか使わない言葉が入っていますから、すぐには思いつかないものがあったのではないでしょうか。解説が必要だと思われるものをいくつか取り上げておきます。 1 対等 = 互角 力量に優劣の差がないさま。同じ程度であること。「匹敵」を思いついた方はそれも可です。「互角」は牛の左右二本の角(つの)の長さ・太さに差がないことからできた言葉とされています。 2 知己「ちき」 = 親友/友人/知人 「知己」という言葉は今はもう日常生活でほとんど使いませんね。「知己を得る」と使います。もともと「己(おのれ)を知る」人、つまり、自分のことを知っている人という意味です。3 著名 = 有名 「著」は「著しい(いちじるしい)」と読んで「目立つ」という意味です。「名前が目立つ」ところから「有名」が類義語となります。ところが、「著」にはもう一つ、読み方があって「著す(あらわす)」とも読みます。これは本を書いて世に出すと言う意味で「著者(ちょしゃ)」という言葉があります。ほかに「作者」(詩や小説などの文学作品に対して)「筆者」(論説・説明文や随筆などに対して)という言葉があります。「著者」は最も広い意味で書物を書いた人を指す言葉として使います。5 発達 = 進歩 辞書的にはこれで正解となっていますが、「発展」、「成長」あたりも正解にしたいのですが、どうでしょうか。明確にそう書いてある辞書を持ち合わせていません。英語のdevelopment にこうした発展/発達の意味もあることを思い出しました。6 不意 = 突然 「不意に」とすれば「急に」と同じ意味です。これに関して、誤解されている言葉に「徐に(おもむろに)」という言葉があるのですが、「急に」という意味だと思っている子どもは多いです。「徐(おもむろ)に立ち上がる」などと使いますが、「徐」という字は、列車の「徐行運転」とか、「徐行」という交通標識に使われます。ですから、「徐に」は「ゆっくり静かに、そっと静かに」と言う意味なのです。徐行運転が急な運転と考えては事故になりかねません。8 重宝「ちょうほう」= 便利 「これがあると、重宝するね。」などと「役に立つ」という意味で使うのは、もう年配の方でしょうね。まず「ちょうほう」と子どもたちは読めません。「じゅうほう」と読んでしまいます。一応、重宝には「貴重な宝」という意味もあります。9 方法 = 手段 この類義語は最重要です。よく入試問題でも見かけることがあります。「やり方/手だて」という意味です。10 没頭 = 専心 「専心」を思いつかなかった人は多いのではないでしょうか。「没頭 = 専心」として辞書には載っているのですが、「熱中」や「夢中」でも良いような気がします。素人考えですみません。「創造⇔破壊」ではいけないのかと疑問を持ったときと同じように辞書に文句を言いたくなります。 13 落胆 = 失望 「落胆」という言葉自体を知らない子は多いです。「失望」以外にも「消沈(しょうちん)」でも可。「がっかりした」と言ってあげた方がピンときます。 気持ちを表す言葉(心情語)のうち、こうした書き言葉でしか出会わないものがいくつかあります。 歓喜(かんき)・悲哀(ひあい)・安堵(あんど・安心)・憤然(怒っているさま)などや焦燥感(しょうそうかん・あせり)、躊躇(ちゅうちょ・ためらうこと)、嫉妬(しっと・やきもち)、驚嘆(きょうたん・おどろき)、嘆息(たんそく・ため息)など、気持ちを押さえて読まなければいけない文学的文章(物語や小説)の読解には必須です。 こうした心情語や感情語は、読解に必要なものなのですが、受験参考書で心情語のまとめとしてちゃんと書かれているものは少ないです。そういう本がいずれたくさん出てくるでしょう。ほかに入試に取り挙げられるもので心情語というと、みなさんはどんなものを思いつきますか。ぜひ、コメントよろしくお願いします。集めてみたいと思っています。15 冷静 = 沈着 この二つで「冷静沈着」四字熟語になります。「感情的にならずに落ち着いているさま」。 16 異郷 = 外国/他国 「異郷」の対義語は「故郷」です。「異郷」は「他郷」とも言うようです。 以上、解説でした。次は同音異義語でしょうか。どうするか少し考えます。ランキングに参加しています。ご協力いただける方はクリックお願いします。→ と【後記】表示すると、解答の列がいつも乱れるので、今日は平打ちしたものがそのまま表示される<pre>~</pre>というタグを使ってみました。
2005/07/08

【昨日の問題の解答】以下の熟語の類義語をそれぞれ考えてください。1意外 = ( 案外 ) 2永遠 = ( 永久 ) 3願望 = ( 希望 ) 4機転 = ( 機知 ) 5欠乏 = ( 不足 ) 6傑作 = ( 名作 ) 7貢献 = ( 寄与 ) 8遺憾「いかん」= ( 残念 )9自然 = ( 天然 ) 10危篤「きとく」= ( 重態 ) 11将来 = ( 未来 ) 12消息「しょうそく」 = ( 音信 ) 13厚意 = ( 親切 ) 14節約 = ( 倹約 )15短所 = ( 欠点 ) 16長所 = ( 美点 ) 如何だったでしょうか。12問以上正解の人はかなり語彙力があると思います。 解説が必要と思われるものを取り上げてみます。4 機転 = 機知 「機転が利く」「機知に富む」と使います。とっさの時の智恵・頭の回転の速さという意味です。7 貢献 = 寄与 力を尽くして役に立つこと 8 遺憾「いかん」= 残念 「遺憾」の類義語は「残念」とすれば大まかな意味はわかりますが、「遺憾に思います。」という言葉は、本来、相手を非難するときにも、自分の行為をわびるときにも使う言葉なので、他人事のように聞こえてしまいます。テレビで謝罪会見などを見ると判で押したように使われていますが、どうも印象のよくない言葉です。10 危篤「きとく」= 重態 病気が重く生命が危ういこと。身内の人が危篤ですなどと言われたら、気が動転し病院に向かう途中、気を失ったり別の事故を起こしたりする危険があるので、少し軽い症状でまず伝えるのが配慮だということを大人になってから知りました。12 消息「しょうそく」 = 音信 連絡・便り・手紙のこと 消息不明、音信不通と使うのをよく聞きます。15 短所 = 欠点 16 長所 = 美点 「短所」の類義語を「欠点」だと思いついても、「長所」の方はわからなかったという人も多いのではないでしょうか。「欠点⇔美点」で対義語の関係でもあります。あと、「悪徳⇔美徳」という言い方もします。では、あらたに16問出題です。【今日の問題】1 対等 =( ) 2 知己「ちき」 = ( ) 3 著名 =( ) 4 同意 = ( )5 発達 =( ) 6 不意 = ( )7 無事 =( ) 8 重宝「ちょうほう」= ( )9 方法 = ( ) 10 没頭 = ( )11 容易 = ( ) 12 用意 = ( ) 13 落胆 = ( ) 14 了解 = ( )15 冷静 = ( ) 16 異郷 = ( ) やっぱり中学3年生でも難しいものが含まれています。解答は明日です。ランキングに参加しています。ご協力いただける方はクリックお願いします。→ と
2005/07/07

前回まで対義語でした。ネットで調べていると、あと出題したいのが少しばかりあるのですが、お話のネタ切れの時にとっておいて、今日から3回ほど使って類義語をやります。類義語は全く同じ意味の言葉ではありません。よく似た意味の言葉と考えるべきです。使うときはやはり微妙にニュアンスが違ったりします。記述問題などで答えを表現したり、言い換えたりするときに言葉が出てこないと致命傷になります。言葉を増やすという意味でも類義語に取り組むことは有益です。 今回も公立高校受験レベルですが、中学受験を考えている人にも取り組んで見て欲しいものを集めてみました。はっきり言って普通の小学生では難しいものがいくつもあります。中には中学3年でも言えないものがあります。【今日の問題】以下の熟語の類義語をそれぞれ考えてください。1意外 = ( ) 2永遠 = ( ) 3願望 = ( ) 4機転 = ( ) 5欠乏 = ( ) 6傑作 = ( ) 7貢献 = ( ) 8遺憾 = ( ) *「いかん」と読む。9自然 = ( ) 10危篤 = ( ) *「きとく」と読む。11将来 = ( ) 12消息 = ( ) *「しょうそく」と読む。13厚意 = ( ) 14節約 = ( ) 15短所 = ( ) 16長所 = ( ) 以上16問。今日はまた出題のみです。どうだったでしょうか。解答は明日。ランキングに参加しています。ご協力いただける方はクリックお願いします。→ と
2005/07/06

今日は対義語の解説最終回です。今回のシリーズに楽天内で記事に〔注目〕マークをつけていただいたのに最終回はつじつまあわせです。ん? 内容じゃなくてメインテナンスのときにメモ帳にバックアップを取っていて、お知らせに注意と書いたことが評価されたのかも。残った10問に追加の2つを加えて解説をさせていただきます。11 拡大 ⇔ 縮小 「大きく拡(ひろ)げること」と「小さく縮めること」で対義語です。「縮少」と間違える解答が後を絶ちません。「大」⇔「小」と考えるようにして下さい。12 理想 ⇔ 現実 結婚の理想と現実なんてタイトルがありましたっけ。どういうわけか中学生にやらせても正解率のいい対義語です。それだけ切実な使われ方をして、日常生活でもよく聞くのかも知れません。理想は「こうであって欲しい、こうありたいという最善の状態」ということですが、「実際=現実」は理想に遠く及ばないという意味の対義語です。「どんな高邁な(こうまいな)理想も実現したとたん、腐臭(ふしゅう)を発する」と教えてくれたのは大学時代の恩師でしたが、結婚にも当てはまるのでしょうか。はて?13 個人 ⇔ 社会 私(わたくし)と公(おおやけ)と考えても同じ意味です。これはよく論説文でとりあげられるテーマでもあります。こういう対立関係が人間が生きていくときには必ずあるという普遍的なテーマです。「個人⇔会社」と考えたくなるのは私だけでしょうか?14 許可 ⇔ 禁止 これはそのまま。15 自由 ⇔ 束縛(そくばく) 束縛は「行動に制限を加えて思いのままにできなくすること」です。若い人たちも「恋人に束縛される」なんてよく使います。16 保守 ⇔ 革新 保守は「これまでのあり方や伝統を尊重する態度や立場」で、「革新」は「これまでの古いやり方や習慣を改めて新しくしようとする態度や立場」のことです。政治の話題になるときによく使います。17 単純 ⇔ 複雑 単純は「こみいっていないさま」複雑は「こみいって面倒なさま」という意味です。受験国語では最もよく出る対義語の一つです。「複雑」の「複」のころもへんがしっかり書けるかどうかがポイント。「簡単⇔複雑」としても正解です。18 形式 ⇔ 内容 どういうわけか中学受験の問題の方でよく見かけます。中学生になるととたんに正解率が落ちる不思議な対義語。「形式にこだわるのはよくない、内容が大事だ。」などと使い、「型」と「中身」という意味で対義語になっています。19 生産 ⇔ 消費 「ものを生み出す」のが生産、「ものを使い果たすこと、使ってなくすこと」が消費です。この対義語は生態系を扱う説明文でも「生産者⇔消費者」などとよく見かける重要対義語です。20 破壊 ⇔ 建設 これは5の問題でも指摘しました。辞書的には「破壊⇔建設」とします。やったことがないと試験会場でうっかり「破壊⇔創造」としてしまう子がいます。もちろん文章中では「破壊⇔創造」をテーマとして書いてある文章はあり得ます。 一応調べてから始めた対義語でしたが、どうしても最後につけ加えておきたいのが2つあります。21 偶然 ⇔ 必然 偶然は「たまたまそうなること」必然は「必ずそうなること」です。中学生の定期テストでよく見かけます。「偶然⇔当然」という誤答が多いので注意します。当然は「あたりまえ」という意味ですから、必然とは意味がずれてしまいます。22 普遍 ⇔ 特殊 普遍は「広くゆきわたること、あらゆる場合に当てはまること、あるものごと全てに共通して存在すること」特殊は「普通と違って特別であるさま」という意味です。「一般⇔特殊(特別)」とすることもあります。意味や概念がとらえにくい言葉ですが、普遍は「いつでもどこでもあてはまる」という意味で、「愛と憎しみは小説の普遍的なテーマだ。」なんて使います。特殊は「個別的でまれである」という意味で「小鳥が猫に恋をするなんて特殊だ。」と使います。あまり例文がよくありませんね。ちなみに、「殊」は「殊に(ことに)」と読む訓読みがあって、「特殊」と言う熟語は「特に=殊に」で、意味が似通った漢字の組み合わせの熟語です。 最後に2つ対義語を追加しました。もう一度、最初の問題に戻って見直してみてください。繰り返しになりますが、対義語の知識が文章を読み抜くときの手がかりになるのだということをお忘れなく。今日はここまで。ランキングに参加しています。ご協力いただける方はクリックお願いします。→ と
2005/07/05

昨日、対義語20問出題したもののうち、最初の3つまで解説をしました。 1 主観 ⇔ 客観 2 具体(具象)⇔ 抽象 3 絶対 ⇔ 相対 今日はその続きからです。対義語がなぜ文章読解のかなめとなるのか確認しておきます。以前の記事「国語ができない原因を考える」というシリーズの中でも書いたことなのですが、文章の内容をつかむときには、大きく文章をとらえる枠組みを持っていることが大切だと述べたことがあります。 文章の論理(すじみち)にはいくつかのパタンがありますが、その中でも逆接・対比型の文章をとらえるためには、対義語は必要不可欠な知識です。大学受験の国語になると、「二項対立」という言い方になって再登場します。考えてみると中学受験段階から大学受験段階までずっとそういう文章のとらえ方を学ぶわけで、身につけるまでに随分時間のかかる話だなあと思ったりします。というか、国語の問題を解くことだけに専念するあまり、文章のとらえ方は後回しになっているということなのでしょうね。 それから、対義語のお話を始めるときにホントはしておかなくてはいけないことがありました。対義語には、例えば「表と裏」「奇数と偶数」など純粋に反対語として考えられるものがありますが、一方を否定しても他方にならない組み合わせもあります。むしろ単なる対(つい)〔=ペア〕として考えておくべき組み合わせになるものです。「白と黒」(紅白でもよい)「長いと短い」(中くらいの長さもありうる)「海と山」(海と陸、空と海の組み合わせもあり得る)などがそうです。前述した二項対立(対比)で文章が読み取れる場合も、こうしたとらえ方をちゃんと踏まえておいた方がよいだろうと思います。 では、解説を始めます。4 精神 ⇔ 肉体/物質 「こころ」と「からだ」、「こころ」と「もの」どちらでも対義語の関係です。「身体論」として、そのまま論説文・説明文のテーマとして扱われることが多いですね。自分の体は自分で始末をつけられるという「身体所有論」の話を始めると、「尊厳死」や「臓器売買」「自殺正当化の論理」などデリケートな問題に立ち入らざるを得ないことになります。現代に生きる大人も子どもも、ちゃんと話し合わなくてはいけない重要なテーマだと考えているのですが、機会を改めてお話しすることとし、宿題にします。自分の体は自分のものではあるけれど、人とのつながりの中で実は社会的なものであり、自分だけの都合でどうにかするのは適切ではないという立場で考えているということだけ言って止めておきます。5 創造 ⇔ 模倣(もほう) まず、「創造」と「想像」の違いから確認しておきます。「創造」は「これまでになかった新しいものを生み出す」という意味です。「想像」は「頭の中に思い浮かべる」というだけの意味です。そうすると「創造」の反対は「人の真似をする」という意味の「模倣」(もほう)というのが正解です。高校入試では取り上げられることがよくあります。「創造⇔破壊」と考えた人はいなかったでしょうか。20問目最後の問題にも取り上げたとおり、辞書的には「建設⇔破壊」で対義語とされていますので注意してください。ただ文章のテーマとしては「創造⇔破壊」という取り上げ方もある気がします。6 原因 ⇔ 結果 「原因は結果に先行する」という『因果律』は「だから、それで」などの接続語を正しく補充するときに知っていなければいけない言葉です。7 供給 ⇔ 需要(じゅよう) 中学受験問題集でこれを扱わなければなければならないときは厳しいです。もともと中3の公民で経済を習ってからだったら、イメージがつくのでしょうが。「供給」は「要求・必要に応じて補ったり与えたりすること」「需要」は「求めること・欲しがること」という意味です。消費者の「需要」に応じて商品を「供給」するなどと使います。 8 義務 ⇔ 権利 「義務」は「しなければいけないこと」「権利」は「あることをしてもよい、あるいはしなくてもよいという資格のこと」 ふつう、権利があるところに義務も必ずあるはずなのですが、大人も子どもも、そして私も忘れがちです。「権利」には人類の歴史の中で長く虐(しいた)げられた人たちが団結して勝ち取ってきた、あるいは、たくさんの人々の血が流れてきたたという経緯があります。9 慎重 ⇔ 軽率(けいそつ) 「慎重」は「注意深く・用心深く行動すること」「軽率」は「よく注意せずに行動すること」 この問題は単に対義語として受け取っておけばよいでしょうか。特に解説を思いつきませんでした。10 平和 ⇔ 戦争 単純に戦争でなければ平和だと対義語としてだけ押さえるにはもったいない気がします。平和学によると「平和」には「消極的平和」と「積極的平和」という考え方があります。「消極的平和」は単に戦争がないということですが、本当にそれだけで平和だといえるでしょうか。犯罪・貧困・飢餓・南北問題・人種差別・宗教対立・民族対立・人口問題・環境問題など、そういった人類を脅(おびや)かす問題もひっくるめて平和を考えることを「積極的平和」といいます。考えてみれば戦争になる前のそうした根本的な問題に解決の見通しをつけていかなければ、本当の平和は訪れないという人類の智恵から生まれた考え方です。 ようやく10問解説終了。重いところは抜けたので、明日残りをやって次に行きます。 ランキングに参加しています。対義語が文章の論理を見抜く手がかりになるのだという意図がわかっていただけた方はクリックお願いします。→ と
2005/07/04

昨夜はまた、楽天ブログのメインテナンスでした。おいでいただいた皆様には申し訳ありませんでした。原稿を送信したとたん、利用停止になり、原稿が消失しました。今回は2/3書いたところでメモ帳にバックアップしてあったのでそこから書き直しました。ブログの中でも楽天はメインテナンスが多いというのはよく知られた事実ですが、原稿消失は今回で3回目。ふうっ。ちゃんとお知らせに気づいてないとやられます。 さて、対義語20問一度に出してしまったので、先に一通り答えを掲げておきます。もしかすると思っていたのと違うというものがあるかもしれません。問題集などでやらせるときは、ただ覚えろで済ませてしまう指導も多いのですが、どこかでちゃんと解説してもらわないと、普通はずっとおざなりのまま大学受験を迎えることになるのかも知れません。【昨日の問題の解答】次の熟語の対義語を考えてください。20問あります。1 主観 ⇔ ( 客観 ) 2 具体 ⇔ ( 抽象 )3 絶対 ⇔ ( 相対 ) 4 精神 ⇔ ( 肉体/物質 )5 創造 ⇔ ( 模倣 ) 6 原因 ⇔ ( 結果 )7 供給 ⇔ ( 需要 ) 8 義務 ⇔ ( 権利 )9 慎重 ⇔ ( 軽率 ) 10 平和 ⇔ ( 戦争 )11 拡大 ⇔ ( 縮小 ) 12 理想 ⇔ ( 現実 )13 個人 ⇔ ( 社会 ) 14 許可 ⇔ ( 禁止 )15 自由 ⇔ ( 束縛 ) 16 保守 ⇔ ( 革新 )17 単純 ⇔ ( 複雑 ) 18 形式 ⇔ ( 内容 )19 生産 ⇔ ( 消費 ) 20 破壊 ⇔ ( 建設 )とりあえず最初の3問だけ解説しておきましょう。1 主観 ⇔ 客観 『主観』は「自分の立場」からものを見る立場のことです。『客観』は「他人の立場、多くの人が納得できる立場」でものを見るということです。 「それは主観的な意見だ。」と言われたら、独りよがりな個人的な意見だということになります。例えば、「あの人かっこいい。」と友達に話しかけても「全然よくない。」と言われたりします。「あの人かっこいい。」というときのAさんの「かっこいい」とBさんの「かっこいい」とは違っていることになりますね。それはお互いに主観でものを言っているからです。自分の物差しでしか見ていないからです。ところが、何人もの人に意見を聞いていくと「確かにかっこいい」と思う人がたくさん出てきたりします。そうすると、自分の意見は客観的であったということになるのです。変でしょう?ここから言えることは、主観と客観は本当は全く反対の関係にあるのではなくて主観の延長線上に客観があるということです。多くの人が同じ考えを持つとそれは主観ではなく客観になるのです。主観から始まって他人の考えも取り入れて、あるいは含めて考えられるようになると客観ということになります。 実は客観にはもう一つの意味があります。別の例を出しておきましょう。昔、人類は「太陽が地球の周りを回っている。」(天動説)と考えていました。ところが、ガリレオ・ガリレオという人がコペルニクスが既に唱えていた「地球の方が太陽の周りを回っている。」(地動説)という説に証拠を示して言いました。ところが、これはどちらが正しいか裁判になり、裁いた方の教会は宗教的な理由もあって納得せず、ガリレオを処刑してしまいました。皆さんはいまどちらが正しいか分かっていますね。地動説の方が正しいのです。多くの人が納得行かなかったけれども、証拠を示し、ちゃんと筋道を立てて考え、たとえ一人ぼっちになっても地動説を唱えたガリレオの方が客観的だったのです。ここから言えることは、多くの人は納得できないかもしれないけれど、ちゃんと根拠や証拠を示し、筋道を立てて考えてみる見方を客観的というのだということも覚えておいてください。 客観という言葉の2つの面を説明しましたが、国語の問題の答えを考えるとき、多くの人が納得してくれる答えとなっているか、また、ちゃんと根拠や証拠のある、筋道を立てた考え方で答えを導き出しているかが客観的な解答を書く鍵だと考えています。2 具体 ⇔ 抽象(ちゅうしょう) これは小・中学生にとっては意味を考えるのは難しい漢字です。「具」は訓読みすると「具える・具わる」(そなえる・そなわる)と読みます。「持っている・そろっている」という意味です。「体」はからだという字ですが、「正体、体裁(ていさい)、風体(ふうてい)」などと使って「姿・格好・形」の意味も表します。そうすると、具体とは「姿・形を持っている・姿・形をそなえているもの」という意味になります。 また、具体の類義語に「具象」という言葉もあります。以前、象(しょう)は訓読みで「象る」(かたどる)と読むのだというお話をしました。動物の「ゾウ」という意味ばかりではありません。「象る」は形をとるところから「形・姿」などの意味です。「像」と「象」は意味が重なる部分があるわけです。ですから、具象も「姿・形を持っている・姿・形をそなえているもの」という意味になります。 一方、抽象の抽は「抽選・抽出(ちゅうしゅつ)」などと使い「取り出す」という意味です。くじ引き抽選なんて使いますね。そうすると、抽象は、象の意味も考え合わせて「姿・形を取り出したもの、姿・形を取り除いたもの」となり、言い換えれば「姿・形のないもの」ということになります。 具体とは「姿・形を持っている・姿・形をそなえているもの」抽象は「姿・形のないもの」と押さえたうえで、お話を進めます。 具体と抽象の例を挙げておきましょう。具体は「姿・形のあるもの」ですから、目に見えるものは具体です。机・本・イス・かばん……。一方、形のない抽象は目に見えないもの、愛・勇気・友情・平和・努力など。それぞれ挙げたらキリがありませんね。具体と抽象、だいたいイメージがついたでしょうか。 さて、国語でよく問題文中にある、「具体的に述べなさい。」なんて書いてあることがありますが、どんな答え方をすればよいのでしょうか。 「あなたは何が好きですか。」と聞かれて、「フルーツです。」と答えるよりは「イチゴです。」と答えたほうがより具体的な答えだと言われます。具体的とは例を挙げるということです。ちゃんと名前を出して答えるということです。国語の問題で具体的にと聞かれたらこんなふうに、ものやことがらの名前(地名や人名などもそうです)をいうか、数字を挙げて言ったり、本当にあったできごとをいうと具体的に答えたことになります。これは「具体的に述べなさい。」と聞かれたときの答え方のコツなので覚えておきましょう。3 絶対 ⇔ 相対 この場合はペアという意味の「対(つい)」ではなくて、の「対」は「対面・対比」などと使うときの「向かい合う・比べる」という意味です。絶は「絶つ・絶える・なくなる」ですから、絶対というのは「ほかと比べることを絶つ・ほかと比べない」という意味です。一方、相対は「相(あい)対する」ですから、「お互いに比べる」ということです。 今では、子どもたち自身が、集団の中でほかの子と自分の成績を比べない「絶対評価」とほかの子と自分の成績を比べる「相対評価」なんていう言葉を知っていますから、それでイメージがつくのかもしれません。少し言い換えた意味での捉え方も挙げておきましょう。絶対は「ほかからの影響を受けない」、相対は「ほかからの影響を受ける」という意味で使うこともあります。 ところで、国語の読解問題の解答に絶対に正しい答えというのは存在しません。大まかに的を射た、相対的によりよい解答というのが存在するだけです。たとえ模範解答であっても、ほかの表現のし方をする別解が充分ありえます。答えを選択肢の中から選ぶ問題であっても、その選択肢の中から最も適切な答え、他と比べて相対的によりよい答えを選ぶということをやっているに過ぎません。国語の正解とは相対的に正しい答えであるということも言えるのです。 今日取り上げた対義語を拾ってまとめておくと、受験国語では、より客観的な考え方で、より具体的な、そして相対的によりよい答えを探すのが重視されているということができます。 こういったお話は小学生には少し早いのでしょうか。少なくとも中学生には分かってもらいたいですね。ぐちゃぐちゃしゃべっておりますが、対義語の意味をしっかり検討しておくことは国語力の伸長には必要不可欠だと考えています。4~10の解説は次回以降に回すことにします。ランキングに参加しています。言いたいことはわかると思っていただけた方はクリックお願いします。→ と【追記】以前、天動説を信じている子どもが増えているという記事がメディアを賑わせていました。ネット上で「天動説・地動説」で検索すると面白い記事がいくらも見つかります。
2005/07/04

昨日記事にしたホトトギスの鳴き声はお聴きになったでしょうか。私は「特許許可局」と聞きなすと言われてもまだすっきりしないですね。「テッペンカケタカ」よりは何となくそう聞こえますが。皆さんはどう思われましたか。 さて、語句編も、ことわざ・慣用句・四字熟語・故事成語と進んできました。今日は「対義語」を取り上げておこうと思います。これは中学受験のみならず、高校受験であっても大学受験であっても一貫して国語の問題を考えて行くうえで必要な言葉です。特にその内容について深く考えておかなければならないものがいくつか含まれています。解説には2、3回かかるかもしれません。まずは単純に対義語(反対語)を考えてみてください。ただし、小学生にはまだ少し難しいものもあります。【今日の問題】次の熟語の対義語を考えてください。20問あります。1 主観 ⇔ ( ) 2 具体 ⇔ ( )3 絶対 ⇔ ( ) 4 精神 ⇔ ( )5 創造 ⇔ ( ) 6 原因 ⇔ ( )7 供給 ⇔ ( ) 8 義務 ⇔ ( )9 慎重 ⇔ ( ) 10 平和 ⇔ ( )11 拡大 ⇔ ( ) 12 理想 ⇔ ( )13 個人 ⇔ ( ) 14 許可 ⇔ ( )15 自由 ⇔ ( ) 16 保守 ⇔ ( )17 単純 ⇔ ( ) 18 形式 ⇔ ( )19 生産 ⇔ ( ) 20 破壊 ⇔ ( )今日は出題のみです。大人の方でもひっかかるものが含まれています。8割行けたらすごいです!!解説が聞きたいと思っていただけた方はクリックしてください。→ と
2005/07/02

昨日、故事成語の解答解説を書いていて、「漱石枕流」(そうせきちんりゅう)という故事成語を思い出しました。「石に口漱ぎ(すすぎ)流れに枕する。」夏目漱石はこの故事成語から自分の名を取っています。千円札はもう野口英世に代わりつつありますが。トップページに貼ったリンク集「ことばのレシピ」に行ってみると、やはりこの「漱石枕流」が載っていました。「意地をはること・負け惜しみ」という意味です。また「流石(さすが)」という言葉のもとになった、このお話はぜひ、そこで調べてくださいね。 今日はそこから連想したとりとめもない随筆です。受験には役に立たない部分の方が多いと思います。 夏目漱石は「坊ちゃん」や「我輩は猫である」の作者であるということは広く知られていますが、前期三部作「三四郎」「それから」「門」」後期三部作「彼岸過迄」「行人(こうじん)」「こころ」といった青年を描いた作品や他の著作物も含んで、ずっと近代日本の個人主義の問題を考え続けた人でもありました。私は大学受験をするにあたって、予備校でそういうことを初めて教えてもらいました。漱石は晩年、「則天去私」(そくてんきょし)〔天に則(のっと)り私を去る〕という思想にたどり着き、個人主義の持つ問題に解決をつけようとしました。未完のままの絶筆は『明暗』という小説です。高校受験でこのくらいの文学知識はあってもいいかなと思います。私は教えるようになってから冷や汗をかきかき、文学史を調べて覚えたものです。 ところで、私生活の漱石はたびたび精神的不調に悩まされ、何度も胃潰瘍(いかいよう)を起こしています。「坊ちゃん」の舞台となった松山中学では実は1年間(明治28年28歳のとき)しか勤務していません。その後、熊本第五高等学校(旧制高校)に移り(明治29年29歳のとき)、物理学者であり随筆家としても有名になった寺田寅彦らを指導します。寺田寅彦は「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉を残した人です。この熊本にいた時期に長女筆子が生まれます。漱石一家が当時住んでいた家は今も残っていて、私が熊本を訪れたときに見てきました。その後、漱石はロンドンに留学。大した成果をあげることもなく帰国します。で、小泉八雲(ラフカディオ=ハーン)の後任として東京大学文学部英文科講師として収まります。(明治36年36歳のとき)今回調べていて明治の年号と漱石の年齢が一致していることに気づきました。 私が北海道に来て漱石について新しく知ったことは、彼が25歳から亡くなる47歳までの22年間、本籍をずっと北海道の後志(しりべし)にある岩内町に置いていたことです。兵役を逃れるためだったと考えられているそうです。今でも岩内町の郷土館には夏目漱石の戸籍謄本が展示されています。夏目漱石の本籍地が北海道岩内にあったというのはあまり知られていないのではないでしょうか。お墓の方は東京の雑司ヶ谷(ぞうしがや)墓地にあるそうです。 岩内町と言えば、有島武郎(たけお)の小説「生まれ出(い)づる悩み」のモデルとなった、漁師にして青年画家であった木田金次郎のいた町でもありましたね。彼の美術館もあります。 さらに漱石と親交のあった正岡子規は俳句・短歌の大御所ですが、漱石と同様に彼の名前にもいわれがあります。子規は肺結核を患(わずら)い、血を吐きながらの生活をしていたので「鳴いて血を吐くホトトギス」という数え歌にもある「ホトトギス」の別名、「子規」という俳号を使いました。「子規」は別名ですが、ホトトギスは「不如帰」「時鳥」などと漢字で書くこともあります。正岡子規の俳句の会に集まった人たちを「ホトトギス派」というのはここに由来しています。ちなみに、ホトトギスは夏の季語。石川啄木の「啄木」が「啄木鳥」(きつつき)だということも有名ですね。啄木鳥は秋の季語。 調べてみると、ホトトギスは鳴くときに口を開けると真っ赤で血を吐いているようだとか、ホトトギスは血を吐くまで鳴くのだと説明されているHPが結構ありました。 そういえば、日本史上も、戦国時代の三英傑の性格の違いを表わす川柳として 鳴かぬなら殺してしまえホトトギス (織田信長) 鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス (豊臣秀吉) 鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス (徳川家康)がありましたね。こちらは有名なのでご存知の方も多いはず。 で、ホトトギスって何て鳴くの?と疑問に思われた方はいませんか。ホトトギスは昔から「テッペンカケタカ」と鳴くと言われてきたのですが、最近では「トッキョキョカキョク(特許許可局)」と聞こえると説明する人が増えているようです。真偽の程はご自分で確認してみてください。参照ページ・リンクフリーサイト →『Goichi's Birds』の「森のコンサート」(写真とさえずり)で「ホトトギス」を探せば聞けます。今日は取りとめもない随筆でした。【参考】 昔の数え歌(私はこの歌を知りませんでした。) 「武夫と浪子」十一 心願かけたれど 浪子の病は治らないごうごうごうとなる汽車は 武夫と浪子の別れ汽車二度と合えない汽車の窓 鳴いて血を吐くホトトギス三月三日わらびとり 武夫は浪子の手を引いて武夫がボートに移るとき 浪子は白いハンカチを振り振り振ってねえあなた 早く帰って頂戴ね父は陸軍中将で 中将に生まれた浪子嬢鹿児島武夫と生き別れ ああなさけなや汽車の窓まあおもしろかったと感じていただける方はをクリックしてください。→ と
2005/07/01

昨日見つけた故事成語の元の意味を要領よくまとめたリンクフリーのサイト『ことばのレシピあははっ』を【常設参照サイトリンク】に追加しておきました。さて、昨日の問題の解答をしましょう。【昨日の問題の解答】 次の四字熟語の読み方を答え、意味をあとの記号から選んで下さい。意味は一度に並べると読みにくいので4問ごとにに分けて選んでもらえるようにしました。1 蛇足(だそく) イ 余計なつけたし2 矛盾(むじゅん) エ つじつまの合わないこと3 蛍雪の功(けいせつのこう) ア 苦労して学問すること4 背水の陣(はいすいのじん) ウ 決死の覚悟で戦うこと 「蛍雪の功」のお話自体は参照サイトにもありましたが、これは「蒙求」(もうぎゅう)という中国の本が出典です。著者は唐代の李澣(りかん)という人です。「蛍雪の功成る」などと使います。勉強することの大切さを説いたものなのですが、江戸時代、武士の子弟は、儒学の「論語」を勉強する前に、この「蒙求」(もうぎゅう)という本を読んでまず漢籍に触れるということが広く行なわれていました。 「蒙求」は「少年用の教科書」として広く使われていたわけです。江戸時代には「○○蒙求」などといって四字熟語のいわれを集めた本が多く編纂されました。これを、素読(すどく)といって、意味もよくわからないまま何度も繰り返し音読するのですね。「読書百遍意自ずから通ず」というやつです。今のご家庭で「蒙求」などを子どもに読ませたりすることはまずないと思うのですが、戦前までは「蒙求」は漢籍の中でももっともポピュラーなもので、まだ結構使う人がいたりしました。日本人の精神文化に大きな影響を与えていた本として知っておいてもよいと思うのです。私はほんの一部しか目にしたことはありません。 明日は夏目漱石の名前の由来でもやろうかな。 「背水の陣」も、次に出てくる「四面楚歌」も中国の司馬遷がまとめた「史記」という本が出典です。中国の古典、「三国志」や「史記」が好きな人は中学生にも結構いるのではないでしょうか。数年前まで、はやっていた少年漫画の「封神演義(ほうしんえんぎ)」から、そのままのタイトルがある中国の古典にはまったという学生講師もいました。英語を勉強することも大切なのですが、将来は日本の最大貿易国となった中国の文化や中国語自体がもっと重要視されるのではないでしょうか。いかん、無駄話が過ぎました。解答を続けます。5 四面楚歌(しめんそか) ク 周りを敵に囲まれること6 虎の威(い)を借(か)る狐 カ 権力者の影に隠れていばること7 良薬は口に苦し キ よい薬ほど苦いものだというたとえ8 朝三暮四(ちょうさんぼし) オ 結局変わりのないことに気づかないたとえ9 臨機応変(りんきおうへん) シ その場に応じて適切に対処すること10 助長(じょちょう) サ 成長を助けてかえって害をまねくこと11 完璧(かんぺき) ケ 欠点のないさま12 株を守る(守株) コ 昔からのやり方にこだわって変えないこと 完璧の「璧」は「壁(かべ)」ではなくて下の部分が「玉」と書くのだということは以前にも注意しました。「株を守る」の「株」は「かぶ」という読み方と「くいぜ」という読み方で「くいぜをまもる」という読み方もあります。同僚講師が教えてくれました。参照サイトにはちゃんと両方の読み方が載っていましたね。略して使う「守株」は「しゅしゅ」と読みます。13 画龍点睛(がりょうてんせい)ソ 最後の大切な仕上げ14 疑心暗鬼(ぎしんあんき) タ 疑り深くなること15 暗中模索(あんちゅうもさく)ス どうしたらよいか迷ってわからないさま16 温故知新(おんこちしん)セ 古いものを学んで、その中に新しいものを見つけ出す 「画竜点睛」は「がりょうてんせい」とも「がりゅうてんせい」とも読むのでした。また「睛」は「晴れ」という字ではないことも注意しました。 さあ、どうだったでしょうか。全部知っていましたか。もっとも有名なものばかりを集めたつもりです。さらに進んで、もう一歩詳しく学んでくれる人が出てくることを期待します。まあおもしろかったと感じていただける方はをクリックしてください。→ と
2005/06/30

前回は慣用句を扱いました。ことわざ・慣用句ときて、今回は故事成語を見ていきましょう。教育出版の教科書では中1の2学期末、あるいは学年末あたりで扱われることが多いのですが、中学受験用問題集でも平気で見かけることがあります。 故事成語は「昔、中国であったと伝えられる出来事からできた言葉」という意味です。 中1教科書にも出てくる有名なものと高校入試段階でも出会うものを挙げてみましょう。今回もいい参照サイトを拾いました。→ 『ことばのレシピ あははっ』の中に故事成語のコーナーがあります。 トップページへのリンクフリーサイトです。カウンター235万ヒットという、おそらく日本中からアクセスのあるサイトだと思います。このページの中に故事成語ができたときのお話が要領よくまとめられています。せっかくの機会ですから、まずこのサイト内を探索してから、以下の問題の分からないものは調べながら取り組んでみては如何(いかが)でしょうか。いくつかは既に四字熟語で扱ったものも含まれています。【今日の問題】次の四字熟語の読み方を答え、意味をあとの記号から選んで下さい。意味は一度に並べると読みにくいので4問ごとにに分けて選んでもらえるようにしました。1 蛇足2 矛盾3 蛍雪の功4 背水の陣ア 苦労して学問することイ 余計なつけたしウ 決死の覚悟で戦うことエ つじつまの合わないこと5 四面楚歌6 虎の威を借る狐7 良薬は口に苦し8 朝三暮四オ 結局変わりのないことに気づかないたとえカ 権力者の影に隠れていばることキ よい薬ほど苦いものだというたとえク 周りを敵に囲まれること9 臨機応変10 助長11 完璧12 株を守る(守株)ケ 欠点のないさまコ 昔からのやり方にこだわって変えないことサ 成長を助けてかえって害をまねくことシ その場に応じて適切に対処すること13 画龍点睛14 疑心暗鬼15 暗中模索16 温故知新ス どうしたらよいか迷っていてわからないさまセ 古いものを学んで、その中に新しいものを見つけ出すソ 最後の大切な仕上げタ 疑り深くなることぜひ、故事成語のもとのお話はどんなものだったか参照サイトにて確認してみてください。私も読んだことがないものがありますので探索してきます。では。まあおもしろかったと感じていただける方はをクリックしてください。→ と
2005/06/29

ブログ更新を気にかけながら昨日は爆睡してしまいました。すみません。早速お答えの発表です。【前回の問題の解答】次の言葉と一緒に使うと慣用句になる、体の一部を表す漢字を一文字考えてください。「は、が、を、に」などを補って考えてみるといいです。1 立てる つぶす きく 広い 売れる → 【答】顔 顔を立てる 相手の面目(めんもく)を尊重する 顔をつぶす 相手の面目をけがす 顔がきく 名前が広く知られていて無理が利(き)く 顔が広い つきあいが広く、知り合いがたくさんいる 顔が売れる 名前が広く知られている2 余る かける 盗む 奪う 配る → 【答】目 目に余る することがひどくて黙っていられない 目をかける 大切にする、かわいがる 目を盗む 人に見つからないようにこっそりやる 目を奪う すっかり見とれさせる、視線を釘付けにする 目を配る 注意してあちこちみる3 痛い 疑う 貸す 入る はさむ → 【答】耳 耳が痛い 自分の弱点を指摘され聞くのがつらい 耳を疑う 聞いたことは間違いかと思う、信じられない 耳を貸 人の話をよく聞く 耳に入る ちらりと聞く 耳に挟む ちらりと聞く4 つく あかす かける 折る 鳴らす → 【答】鼻 鼻につく 嫌なにおいが鼻を刺激する 鼻をあかす いい気になっている人を出し抜く 鼻にかける 自慢する 鼻を折る 得意になっている人の面目をつぶす 鼻を鳴らす くんくんかぐ、甘えた声を出す5 うまい 重い 軽い 出す 割る→ 【答】口 口がうまい 話すのがうまい 口が重い 無口だ、口数が少ない 口が軽い おしゃべりで秘密をうっかりもらしてしまう 口を出す あまり関係のないことにも発言する 「口に出す」という使い方もあります。 口を割る 隠していたことを白状する6 抜く 焼く かかる 早い 貸す→ 【答】手 手を抜く いいかげんにする 手を焼く もてあます、てこずる、対応に困る 手がかかる 世話が焼ける、手数がかかる 手が早い ものごとを処理するのが早い 悪い意味で、異性関係をすぐに結ぶ 手を貸す 助ける 7 立つ 決める 割る 抱える 収める→ 【答】腹 腹が立つ しゃくにさわる、怒る 腹を決める 決心する 腹を割る 隠さずに本心をいう、心の底からはなす 腹を抱える おかしくて大笑いをする 腹に収める 自分の心の中にとどめて、ほかにもらさない8 出る 速い 洗う 乱れる 棒にする → 【答】足 足が出る 赤字になる お金のことを「お足」と言います。 足が速い 走るのが速い、売れ行きがよい、腐りやすい 足を洗う よくない仕事を辞める ⇔ 手を染める 足が乱れる 集団の中で統一した行動がとれなくなる 足を棒にする ひどく疲れるほど歩き回る 問題をやらせていると子どもたちは「腹を割る」と「口を割る」の意味を取り違えることがよくあります。「本心を話す」と「白状する」のいい意味と悪いときにしか使わないときの区別がつかないようです。短文を作ってもらって状況とか正しい意味を捉えているか確認しなければいけません。何度目かになりますが、ただ覚えろでは済まされない部分があります。覚えたつもりの慣用句で短文を作ってもらうとみんなで大笑いするような例文を作る子もいて楽しいです。あまりやりすぎると塾の授業にそぐわないのかも。しかし、短文作成問題は入試にも出ます。 あと、「耳」のところで「耳にたこができる」(何度も同じことを繰り返し聞く)をとりあげていませんでしたが、この「たこ」がわからない子がいます。ホントに海にいる蛸(たこ)だと思ったりします。耳に蛸がうにょっていたらこわいでしょ!!「ペンだこ」とか「チョークだこ」といった皮膚が硬くなった部分を言うのですが、子どもたちにはピンとこない様子。 何でもかんでも教えようとするのを「教師根性」というらしいですが、プリント配ってただ言葉を覚えろと言うだけでは、配慮がない気がします。でも、教師根性がつくまでこの仕事をやり続けてしまったのだなあとため息がでました。 今日はここまで。慣用句もキリがありません。辞書を読んだり、学習漫画を読んだりして問題を解く前に言葉に触れる体験を広く持つようにしてください。受験を考えている人は夏休みまでにやっておきましょう。秋からはホントいろいろ忙しいですから。【まあまあ面白いと思われた方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/29

今日は慣用句を扱います。前回の最後にお話したとおり、例えた言い方をしているものを慣用句というのでした。まずは例題から。例題)次の言葉と一緒に使うと慣用句になる、体の一部を表す漢字を一文字考えてください。「は、が、を、に」などを補って考えてみるといいです。しく 軽い ぬぐう 火がつく 割れる答えを考えてから、画面をスクロールして下さい。ほかのブログでやっていた、一度はやってみたかった答えの隠し方。答え「尻」。最後の「尻が割れる」というのは、「隠していた悪事がばれる」という意味。「尻」って最初から割れてるやん。と文句は言わないで下さい。さて、いよいよ問題です。同じ要領で考えてみてください。【問題】次の言葉と一緒に使うと慣用句になる、体の一部を表す漢字を一文字考えてください。「は、が、を、に」などを補って考えてみるといいです。1 立てる つぶす きく 広い 売れる2 余る かける 盗む 奪う 配る3 痛い 疑う 貸す 入る はさむ4 つく あかす かける 折る 鳴らす5 うまい 重い 軽い 出す 割る6 抜く 焼く かかる 早い 貸す7 立つ 決める 割る 抱える 収める8 出る 速い 洗う 乱れる 棒にする 以上、全部思いついたでしょうか。どうしてもヒントが欲しい方は、上から順ですとだけ言っておきましょう。解答は次回です。あやふやなものは意味も調べておいてくださいね。今日もさらにあっさり。でも、準備には結構時間がかかったのですよ。 【まあまあ面白いと思われた方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/27

今日は「慣用句」を扱う予定だったのですが、前々回ご紹介できなかった、たで食う虫も好きずきの「蓼(たで)」を調べたときに訪問させていただいた『たのしい万葉集』の「きょう様」からご紹介許可のお返事をいただき、急遽(きゅうきょ)、予定を変更してご紹介をさせていただきたいと思います。万葉集と四季の草花の写真が見られるサイト→ 『たのしい万葉集』(現在yahoo.co.jpからはフィルタリングがかかり見られないそうです。) 『たのしい万葉集』は一枚ずつ丁寧に和歌と写真が用意されていて、昔から日本人が愛(め)でてきた草花を万葉の歌とともに紹介されているホームページです。付設してブログもやっておられます。 前々回問題となった 蓼食う虫も好きずきの「蓼(たで)」もホームページの「万葉の草花」の「秋の草」として紹介されています。蓼(たで)ってホントはどうなのよと思われた方は、こちらで写真を見ることができます。柳蓼や犬蓼が有名らしいのですが、蓼の種類は結構あるみたいです。ただ、俳句の季語としては「夏」ですのでご注意ください。 草花以外にも、古来、日本人が慣れ親しんできた鳥たちも写真つきで紹介されています。国語の勉強をしていく時にとても参考になるサイトだと思いますのでトップページに常設参照サイトとして登録させていただきました。ぜひ、ご覧になってみて下さい。動植物の名前を知っているということは文学を味わう上でも必要だと思います。一番よいのは実物を見ることですが。『たのしい万葉集』を見ていて、私が学生の頃に訪れたことのある東京都国分寺市武蔵国分寺境内「万葉植物園」が紹介されていて懐かしく思いました。 あと、古名として知っておいて頂きたい虫(昆虫)がおりまして、この際なので古典範囲とは言わず、触れておきます。蜻蛉(あきつ)トンボのこと トンボのことを昔は「あきつ」と言いました。 教育出版の小6国語教科書に出てきます。きりぎりす コオロギのことこおろぎ キリギリスのこと 鳴き声から「はたおり」とも呼ばれた。 「チョンギース」と鳴くと「ヤフーきっず」には載っていたが 「スイーッチョン」と鳴くと習ったのは間違いか。謎が増えた。 「きりぎりす」と「こおろぎ」は昔と今とでは名前が入れ替わった虫であるというのは有名なお話です。どうして入れ替わったのかというのはまだ定説はないそうですが、古文を勉強するときにまた出てくるかも知れません。 今日は「蓼(たで)」から発展したお話でしたが、当たり前、ただ覚えろと大人に言われたことも今になってちゃんと調べてみるとまだまだ意外に知らないこともありますよね。 今日もあっさり。というかブログのマイナーチェンジとか致しました。【追記】『たのしい万葉集』のリンク先をとたどってみたら、驚きました。なんと教科書会社の教育出版「中学国語」のインターネット学習用のHPにたどり着きました。ビックリ!!『たのしい万葉集』は教科書会社もリンクするサイトだったというわけです。教育出版の方もリンクしておきます。 さらに、きりぎりすの鳴き声も確認したい方は「ヤフーきっず」の図鑑で調べることを推薦しておきます。→ 『yahoo きっず』 いろんな動植物を調べられるだけでなく、ほかの学習ゲームなども楽しいです。【復調の兆しが見えたと思われる方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/26

ドリそふさんの残してくれた慣用句(?)はわかんないのばかりです。初めて聞いたのが結構あります。俺ってダメじゃん。辞書引いて勉強させてもらいます。 ことわざをずっとやってきましたが、次回から「慣用句」をやろうと思います。ここんとこ新しいプロジェクトに手を出し、貯めてあったネタがいったん尽きてしまいました。ことわざをどんどん微に入り細に入りやっていくという手もあったのですが、きりがない感じもします。これ以上はトップページに置いた『ことわざわーるど』など専門ホームページにお任せすることにします。 で、今日はぐだぐだ日記ということにして、なぜかというと今日はこのブログを立ち上げてから44日経ちました。不吉。ほぼ毎日何かしらネタ探しに明け暮れておりました。で、ちょっと力を抜いて書いてみます。一応、次の慣用句のお話につなげておきましょう。ことわざと慣用句って何が違うのでしょう。(旺文社国語辞典から)ことわざ 古くから人々に言い慣わされてきた、比較的短い言葉で言い表される教訓。身近な生きるための智恵を教えているものが多い。例)善はいそげ。 良薬は口に苦し。慣用句 二つ以上の単語が結びつき、全体として特定の意味をあらわす言い方とあります。例)油を売る 道草をくう 鼻が高いこちらは言葉そのままの意味ではありませんね。「油を売る」は余計なおしゃべりをして仕事を怠けること「道草をくう」は途中で余分なことに時間を使うことで、ホントに道端の草を食べているわけではありません。「鼻が高い」だったら美男・美女でいいじゃないかというのではなくて、自慢できる、誇らしいという意味です。 すると、慣用句の方がたとえになっていることが多いのに気づくでしょうか。そのことに気がついていないと意味がめちゃくちゃな伝わり方になってしまいますね。例)スキーをして骨が折れた。 算数の宿題をするのに骨が折れた。 どちらが慣用句か区別はつきますね。「骨がおれる」というのは「苦労する」という意味ですから当然、後のほう、「宿題に骨が折れた」が慣用句です。ホントに宿題をしていてポキッと骨が折れる人はまれです。 慣用句はたとえになっている言い方であるということは押さえておきましょう。だから、覚えておかないと間違って意味をとらえてしまうことにもなりかねないのです。慣用句は体の一部を使ったものが多いので次回からそれも含めて扱っていくことにします。今日はあっさり控えめに終わります。【管理人XENOゼノは少し疲れていると気づいた方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/25

【昨日のの問題の解答】 昨日の最後に辞書で意味を確認するようにお願いしたのですが、子どものうちに問題集や聞いただけで覚えただけのことわざのうち、大人になるまでその間違いに気づかないままになってしまうものもあります。辞書を引いて意味を確認すれば何でもないことなのに、私たち教える方が、プリントなどで大量に一度に与えたまま、フォローを怠(おこた)ると、子どもの方が間違えたまま覚えて大人になってしまうということがあるわけです。以前に書いた「孤独」を私が「狐独」(狐が独り)と覚えたようなことが実際に起こります。意味を確認していきましょう。1 情けは人のためならず【意味】人に親切にしておけば、めぐりめぐって必ず自分によい報いがある。だから、どんどん人に親切にしておきなさい。というのが本当の意味ですが、今では「人に親切にするのは、その人を甘やかすことになるから親切にしないほうがよい。」という意味で誤解している人が結構います。昔に比べたら冷たい社会になったともいえますが、昔の人が結局自分のために人に親切をすすめたと考えるのはどうでしょうか。結局そうやって世の中が回っていたということでしょうか。2 まごにも衣裳(いしょう)の「まご」って何?【意味】誰でもよい着物を着れば、立派に見えるものだという意味。「まご」とは「馬子」と書き「孫」という字を当てはめるのではありません。「馬子」は馬の世話係をする人で、馬の進む方向を、馬に先立って馬を引っ張って歩きます。時代劇でもよく見ていると、馬上に武士が乗り、馬を先導して歩く人が出てきます。馬子は身分の低い職業とされていたのですが、そんな人でも着物さえよい物を着れば立派に見えるというのです。ことわざではありませんが、「ぼろは着ててもこころは錦」というチータ(水前寺清子)さんのフレーズを思い出します。ああ、世代がわかっってしまいますね。見かけで人を判断するのは誤りですが、見かけで印象は変わります。うん、難しい。3 とりつく( 島 )もない 【意味】頼みにしてとりすがる所がない、相手が冷たい態度で、親しくするきっかけがないという意味 私もこのことわざの正しい使い方を高校生になるまで知りませんでした。「取りつく暇(ひま)もない」だとずっと思っていました。「し」と「ひ」の発音の取り違えというのはよく起こります。みなさんは「ひつこい」と言いますか、それとも「しつこい」ですか。方言は「ひつこい」の方です。4 二階から目薬【意味】二階にいる人が下にいる人に目薬をさすように、うまく行かなくてもどかしいこと、思うようにならいたとえ これを最初聞いたとき、腹を抱えて笑いました。こんなバカをする人はいないよ。わざわざ二回に目薬持って上がるなんてありえない。「ありえない」という意味でなくて「もどかしい」と覚えておきましょう。5 たで食う虫も好きずき の「たで」って何?【意味】辛い(からい)蓼(たで)の葉を食べる虫もいるように人の好みはさまざまであること。 蓼(たで)というのは草花の名前のことです。食べると辛味があるそうです。本州の方は長野県の蓼科(たてしな)という地名に使われている漢字でご存知かもしれません。どんな草花なのでしょうか。万葉の歌とともに写真つきの草花を紹介している、素敵なページがあったのですがアクセスできなくなってしまいました。 国語を教える者として、自分が如何に草花の名を知らないか恥じる場面がこれまでに何回もありました。それで、植物園に出かけたり、標本が展示されているときは好んで見るようにしました。昔よりは多少ましにはなっているとは思いますが、時間の許す限り日本人が愛でてきた草花をゆっくり見ておくというのもよいのではないでしょうか。ぜひ、ネット上でも調べてみてください。今日はここまで。【草花の名前が覚えたくなったと思われる方はクリックお願いします。】→ と余計な問題「大阪城を建てたのは誰?」
2005/06/24

前回のことわざの答えです。ドリそふさんがコメント欄を使って上下で見られるドリルにして下さったので私は解答の必要がないのかも知れませんが、解説を加えておきます。 1その道の名人でも失敗することがある。 猿も木から落ちる 河童(かっぱ)の川流れ 弘法(こうぼう)も筆の誤り(あやまり) 猿は木登りの名人でも木から落ちることがある、河童は泳ぎの名人であっても川に流されることもある。最後の弘法は「弘法大師」(こうぼうたいし)「空海」という人のことです。お習字の名人でもありました。高野山金剛峯寺を建てたことでも有名なお坊さんですね。今でもミイラが残っているそうですよ。(ホント?)弘法大師のような習字の名人でも筆を持って間違えることがあるということです。「弘法、筆を選ばず」なんてほぼ逆の意味の「名人は道具を選ばない」ということわざもあります。2 手ごたえのないこと 暖簾(のれん)に腕押し 糠(ぬか)に釘 豆腐(とうふ)にかすがい *「かすがい」とは釘の一種 暖簾(のれん)も口では説明しにくいですね。「出入り口につるしてある布」と言っておきましょう。糠(ぬか)も分からない子が多いです。これも説明しづらい。「お米などを精米したときに出る粉」です。糠漬け(ぬかづけ)の糠床(ぬかどこ)が分かる子だったらOKですけど。お母さんやおばあちゃんが、何か茶色っぽい粘土みたいなのに野菜を漬けてお漬物にするでしょうといって分かる子の方が少ないです。「かすがい」が釘の一種(かけがね、両端の曲がった釘で柱と梁(横木)を固定したりするのに使います。)と分かれば、豆腐に打ち込んだら手ごたえのないのは当たり前。3 価値の分からない人に価値のあるものを与えても無駄だという意味。 猫(ねこ)に小判 豚(ぶた)に真珠4 つりあいがとれないもののたとえ ちょうちん(提灯)に釣鐘(つりがね) 月とすっぽん 月もすっぽん(亀の一種)も丸いには違いないがまるでつりあいの取れない全く別のものだという意味。(なぜ月とすっぽんを比べたのか私ではわかりません。)ちょうちん(提灯)と釣鐘(つりがね)を比べて別物だという方が私には納得が行きます。5 自分のことには案外気がまわらないことのたとえ 紺屋(こうや)の白袴(しろばかま) 医者(いしゃ)の不養生 紺屋(こうや)は藍(あい)という染料を使う染物屋さん。その染物屋さんが汚れてしまうような白い袴(はかま)を着て仕事をするのは、自分に不注意でしょうということ。お医者さんもそうです。ただ、今は細菌・ウイルスによる感染症があるのでお医者さんもよほど気をつけておられるとか。6 不幸な出来事に 偶然不幸な出来事が重なること 泣きっ面に蜂(はち) 弱り目にたたり目 たたり目は「祟り目」と書き、「呪われる」ということです。おお、こわっ。7 小さいときに身につけた習慣は年をとっても変わらない。 三つ子の魂(たましい)百まで 雀(すずめ)百まで踊り忘れず 動物学では臨界期、人間や高等哺乳類では敏感期と言ったりして、小さいうちに学習したことは一生忘れないということです。三つ子は双子より多い3人ということではなくて数え年で、3歳の子どもです。これも誤解している人が多いかも。8 反対の意味になるようにして下さい。 急がばまわれ 急(せ)いてはことを仕損(しそん)じる ことわざの世界って正反対の意味をもつものの組み合わせが結構あります。極端なことを嫌う常識が働いているのです。何でもほどほどがいいということです。難しい言葉で言うと、ほどほどのことを「中庸(ちゅうよう)」と言います。9 よく似た言い方ですが、意味は全く違います。 知らぬが仏(ほとけ)世の中には知らないままの方がよいこともある 言わぬが花(はな) 類語「沈黙は金、雄弁は銀」 「言わぬが花」は、べらべらしゃべるのではなくて、しゃべらないほうが奥ゆかしくて値打ちがあるということなのですが、言わないと分からないこともあります。あと「雄弁」は「能弁」とともに覚えて欲しい言葉です。言葉が巧(たく)みで話すのがじょうずだという意味です。【注】旺文社国語辞典では「言わぬが花」は「花」を使っていました。『ことわざわーるど』も「花」でしたから、こちらにしておきました。【今日の問題】今日は辞書で意味調べをしてもらいます。1 情けは人のためならず2 まごにも衣裳(いしょう)の「まご」って何?3 とりつく( )もない →( )に言葉を入れて意味を調べて見てください。4 二階から目薬5 たで食う虫も好きずき の「たで」って何?今日はここまで。【まあふつうかなと思われる方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/23

今日は語句編の続きに戻って、ことわざのお話。ちょうどネット上でリンクフリーのことわざ・慣用句・四字熟語サイトを拾って来ましたので、新たにトップページに追加しておきました。この『ことわざワールド』というサイトは9月にはキッズ(子ども)用も運用開始と書いてありましたので楽しみにしておきましょう。 とはいうものの、ネット上のことわざサイトは五十音順に辞典を引くようにして使えるものは多いのですが、学習者がことわざの知識を頭の中に整理していくには少し工夫が要ります。英単語の語彙の増殖法などにも使われていることですが、類義語や対義語(反対語)をペアにして覚えていくという方法が有効です。もちろん、これで全部のことわざが整理できるわけではないのですが。 この方法は、英語では〔minimal pair(ミニマル・ペア/最小対立対(さいしょうたいりつつい)〕などと言って単語同士の発音の比較によく用いられます。〔right/light〕〔heard/hard〕など学習者に発音の対立を提示して知識の定着を図ります。同じように、ことわざも類義語・対義語のようにペアを作って見せることで知識の定着を図る方法があります。 問題集をいきなりやっても、ことわざがバラバラに出てくるだけで知らないものが多い場合には、こうして最も基本になるものは先にやっておいてから取り組んだ方がよいと思います。市販の問題集・参考書のテキスト編集をやっておられる方には、その辺の編集の工夫はやってもらいたいと思うのですが。 前置きが長くなってしまいました。早速、問題にいって見ましょう。【今日の問題】次のことわざが完成するよう( )に適切な言葉を入れなさい。一文字とは限りません。とりあえず漢字が思いつかなくても構いません。うまく入るでしょうか。ヒントとして意味も添えておきます。意味の似ていることわざ1 その道の名人でも失敗することがある。 ( )も木から落ちる ( )の川流れ ( )も筆の誤り(あやまり)2 手ごたえのないこと ( )に腕押し ( )に釘 ( )にかすがい *「かすがい」とは釘の一種3 価値の分からない人に価値のあるものを与えても無駄だという意味。 ( )に小判 ( )に真珠4 つりあいがとれないもののたとえ ちょうちん(提灯)に( ) 月と( )5 自分のことには案外気がまわらないことのたとえ 紺屋の( )袴(ばかま) ( )の不養生6 不幸な出来事に 偶然不幸な出来事が重なること 泣きっ面に( ) 弱り目に( )目7 小さいときに身につけた習慣は年をとっても変わらない。 三つ子の( )百まで ( )百まで踊り忘れず8 反対の意味になるようにして下さい。 急がば( ) 急(せ)いては( )を仕損じる9 よく似た言い方ですが、意味は全く違います。 知らぬが( ) 世の中には知らないままの方がよいこともある 言わぬが( ) 類語「沈黙は金、雄弁は銀」今日はここまで。【後記】ネット上で「新しいことわざ」を検索すると、次のような新作のことわざが転がっています。受験には全く関係ありませんが。探してみると結構面白い。ブログのネタに使う人も多いようです。 ゴミも積もれば夢の島 ウソから出たマジ 石の上にも三年、もう5年目だけど 捨てる紙あれば拾う紙あり(リサイクル) 松崎しげるの日焼け(大して違いのないこと) 「どんぐりの背くらべのパクリ?」【ん、まあまあかなと思われる方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/22

杏壇さんが家庭教師をしながら出会った自閉症の子どもたちについて考えをまとめられているのに触発されて、今日はエッセイを書きます。私は塾で働きながら、もう一方で教育臨床心理学にずっとこだわってきました。それは不登校を中心にして、子どもの攻撃性・子どもの暴力ということに始まり、子どもの荒れ、学習障害(LD)、多動(ADHD)、高機能自閉症、アスペルガーと関心が広まっていきました。(私はまだ不勉強で、高機能自閉症とアスペルガーの臨床像の違いがよくわかっていないのですが。) そういう関心の持ち方をしていたので、塾で働いている者としては、ほかの同僚とは少し違った子どもの見方をしていたかもしれません。既に軽度発達障害は子どもの6パーセントのという数字が出るくらい広まりを見せています。これはすごい数字で、35人で約2人という数です。子ども観が変わりつつあるというか、昔だったら、いくら教えても漢字の苦手な子、計算の苦手な子、図形の特徴がつかめない子、落ち着きのない子で済んでいたかもしれませんが、それは、ちゃんと特別な教育支援を行わなければいけないのだというふうに変わってきています。形態把握ができない、あるいは苦手な子にほかの子と同じように漢字を覚えろって言ってもそれはできない相談で、それを追い詰めたらただの苦痛にしかなりません。教える方の工夫をしなくてはいけない。九九ができないだけでなく、方程式も解けなかったら大人になったときにその子は給料を誤魔化されてしまうかも知れない。何とかしてできるところまでは力をつけさせたいと考えている塾講師も多いだろうと思うのです。 学校の先生たちはそうしたお子さんにも強い関心を持たれる方がいらっしゃって研究・実践も進んでいます。ところが、塾の方はどうかというとこれがなかなか進んでいない。かつて塾の研修を受けてもそうした題のつく研修は受けたことがありません。でも、よくよく周りを見ると、個別指導や大きなクラスであっても軽度発達障害を抱えて通っていらっしゃるお子さんもいるわけで、ほとんど担当する講師の個人的努力によって関わりを持っているのが現状です。中には「あの子はいくら教えてもできるようにならない」と匙(さじ)をなげたような発言をする講師もいて、「いやいや、そうではなくて、もしかしたらそういう困難を持っているかも知れないから、もう少し長い目で見て丁寧な関わりをしよう」と担当講師間で話しあったりしたことがありました。軽度発達障害と学習塾の関係はもう一つブログを立てて、いろんな子どもと出会っている塾講師の体験を集めてみたいと思うくらいボリュームがある話題だと思います。特に個別指導、個人指導をやっていらっしゃる塾では今後そうしたニーズに合った専門性も必要とされてくるのではないでしょうか。また、ホントは大きな声にはなっていないけれども、実は指導に困っているという塾関係の方も多いのではないかと思います。 一例を挙げます。北海道には既にこうした発達障害を持つお子さんの支援を専門に考える学部をもつ星槎(せいさ)大学という大学が芦別にあります。(槎は「いかだ」という意味の字です。)ここがなんと神奈川の学習塾(ツルセミ)が母体になってこれまで発展し、全国に高校も設置するまでになっています。学習塾から始まって特別支援教育をやっているところがあるなんて、北海道に来て初めて知りました。内部のことをあまりよく知らない私は諸手を挙げてご紹介できる立場にはありませんが、ネットで検索してお調べになってみてもよろしいかと思います。 学習塾ではこれまで手のかかる子、指導の困難な子を預かるのは塾の評判を落とすと考える経営者も少なからず存在したと思うのですが、そうではなくて、ちゃんと子どものニーズとご父兄の願いに応えられる専門性も持つことが学習塾の価値を高めると思うのですが如何でしょうか。少子化とも相俟って、それは大手であろうが中小の塾であろうが関係なく求められる時代になったということです。 最後に、それぞれの立場で学習に困難を抱えている子どもたちと、具体的にこんな工夫をしているという書き込み(コメント)を期待してお話を終わりにします。【追記】先週末、6月18.19日に北海道特別支援教育学会が設立されました。【今回の記事に得るものがあったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/21

【昨日の問題の解答】昨日の問題にうっかり意味をつけるのを忘れてしまいました。ホントうっかり間違える四字熟語になってしまいました。書き取りの解答とともに意味をつけておきます。1 以心伝心 「いしんでんしん」【意味】黙っていても相手に気持ちが伝わること。旦那(だんな)さんが奥さんに「おーい、あれ取ってくれ」というだけで何が必要かわかっちゃうのと同じ。読解問題では日本人のコミュニケーションの特徴を表わす重要語句です。英語では「ノン・バーバル・コミュニケーション」と言います。2 一日千秋 「いちじつせんしゅう」【意味】一日が千年のように思われ、非常に待ち遠しいこと。「一日千秋の思い」と使います。「今度彼はいつ来るかしら」なんていう時に使います。3 喜怒哀楽 「きどあいらく」【意味】人間の喜び・怒り・哀(かな)しみ・楽しみという4つの感情を表わした言葉。人間、あまりにおとなしいと、あの人に喜怒哀楽はあるのかしらと言われます。4 和洋折衷 「わようせっちゅう」【意味】和風と洋風のものをうまく取り合わせること。坂本龍馬の肖像写真にはかま姿に靴を履いたものがありますが、あれなどはまさに和洋折衷。食べ物で言えばカツどんとか。5 呉越同舟 「ごえつどうしゅう」【意味】仲の悪いもの同士が同じ場所にいること、また、敵同士でも共通の困難に対して協力すること。これはもともとは故事成語で、昔、中国に呉の国と越の国がありました。両国は長い間戦争をしていたのですが、たまたま呉の国の人と越の国の人が同じ船に乗り合わせていたとき、台風に襲われ、敵同士であってもお互いに助け合ったという、有名な『孫子』という本に出てくるお話。6 花鳥風月 「かちょうふうげつ」【意味】自然界の美しい景色を表わした言葉。花札を連想する人がいるかも知れません。同じように、日本の自然の美しいものを表わす三文字熟語では「雪月花(せつげっか)」というのがあります。余談ですが、北海道の子どもたちは小さい頃からよく花札をします。普通トランプでしょと思ったのですが、女子も平気でやるのでちょっと驚きました。冬の間、外に行けないから室内遊びとして今も受け継がれているのでしょうね。7 千差万別 「せんさばんべつ」【意味】それぞれみんな違うところがあるという意味。ほぼ同じ意味で人に対して使う場合、「十人十色(じゅうにんといろ)」というのがよく問題に使われます。また、千( )万( )なんて( )に漢字を入れる問題には「千変万化(せんぺんばんか)」(ころころ変わること)と言う意味の四字熟語もあります。8 針小棒大 「しんしょうぼうだい」【意味】針のように小さなことを棒のように大きくして言うことから、小さなことを大げさに言うたとえです。9 古今東西 「ここんとうざい」【意味】過去から現在まで世界中で、という意味。古(いにしえ)は子どもにちゃんと昔のことだよと教えておかないとピンとこない子がいます。また、中学生でも西洋と東洋という言葉を知らない子がいます。西洋はアメリカ及びヨーロッパ諸国で、東洋は日本を含むアジア東部及び南部なのですが、あれっ?どこを基準に東と西と言っているの?世界中って言っているけど、アフリカとか入ってないじゃんて歴史観・世界観に結びつく言葉なのです。たぶん、アフリカは歴史的にずっと無視されてきた過去が反映されているのでしょう。どなたかちゃんとご存知の方はコメント下さい。10 美辞麗句 「びじれいく」【意味】美しく飾り立てた言葉でお世辞をいうこと。この四字熟語を取り上げたのは私自身の私立高校入試で問題に出て、ちゃんと書けたかドキドキしながら試験会場をあとにした記憶があるからです。ちょっといじわるをしました。「麗(うるわ)しい」という漢字を書き取りで出す学校もどうかと思いますが。 7問以上正解できたでしょうか。読めるけど書き取りになると難しいというのは子どもも大人も同じですね。これまで50個近くの四字熟語を取り上げてきました。とりあえず、このシリーズは今日でひとまず区切りとします。中学受験に限らず、高校受験であっても、四字熟語はたくさん知っておくに越したことはありませんから、市販されている学習漫画「ちびまる子ちゃんの四字熟語」(集英社)や「ドラえもんの四字熟語」(小学館)で楽しく覚えるのもよいかと思います。今日は準備不足で次の問題はありません。そのままことわざ・慣用句に行くかまた余計なおしゃべりをするかは明日考えて発表します。今日はここまで。◎四字熟語参照サイト以前、このブログもお世話になった楽天広場ブログ 漢字・雑学サイトのカリスマ に相当数の四字熟語が集められています。専門的なものもいくつか含まれますが、答えの分からないものは調べに行ってみるのもよろしいかと。まだ知らなかった四字熟語にいっぱい出会えます。【今回の記事に得るものがあったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/20

【昨日の問題の解答】昨日の四字熟語の問題の解答発表です。1 温(故)知新 「おんこちしん」【意味】イ 昔のことを調べて新しい知識や道理を知ること「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」「故(ふる)きを温(あたた)めて新しきを知る」と2通りの読み方があるようです。中学校で習ってから下の方の読み方があるとはずっと知りませんでした。2 試行錯(誤) 「しこうさくご」【意味】エ 失敗を積み重ねて解決に近づくこと漢字どおりに意味を取ると「試し(ため)に行い、間違える」ですが、とにかくやってみなきゃわかんないという四字熟語。英語で言えばトライアルアンドエラー。3 馬(耳)東風 「ばじとうふう」【意味】カ 他人の意見を気にせず聞き流すこと「東風」とは「春風」のこと。春になって草を懸命に食(は)んでいる馬の耳に春風が吹いても知らん顔といった感じ。ことわざの「馬の耳に念仏」とほぼ同じ意味。4 日進(月)歩 「にっしんげっぽ」【意味】ク とどまることなく絶えず発展すること日々(毎日)、月々(毎月)進歩するということでしょうか。5 付和(雷)同 「ふわらいどう」【意味】コ 軽々しく他人の意見に賛成することなぜ雷なのか。雷が鳴ると全てのものが同時にその響きに応じるとされたから。夕立の雷がなると、その響きに応じて(付和して)ガラス戸もビンビン震えたものです。今はサッシですからそんなことも少ないのでしょうね。6 傍(若)無人 「ぼうじゃくぶじん」【意味】ア 他人のことを考えない勝手な振る舞いをするさま「傍(かたわ)らに人無きが若(ごと)し」と読んで、そばに人がいなくなるほど勝手な振る舞いだということです。「若(ごと)し」は「如(ごと)し」と同じように使います。「ちょうど~のようだ」という意味。さて、答えを正しく入れた人も「若」を「若い」という意味そのままだと思い込んで、確かに身勝手な若者の周りからは人がいなくなると妙に納得された方はいないでしょうか。7 我(田)引水 「がでんいんすい」【意味】ウ 自分の利益や都合ばかりを強引に押し付けること自分の田んぼだけに水を引くことばかりを考えるところからきた四字熟語。8 因果応(報) 「いんがおうほう」【意味】オ 自分の行いに応じて必ず報いを受けることこれも「自業自得」と同様仏教に由来する四字熟語。カルマ(業)なんて聞いたことあります?9 大(器)晩成 「たいきばんせい」【意味】キ 偉大な人物は普通の人より遅れて大成すること大人物を器と例えた四字熟語。「あの人は器が大きい。」などという言い方もあります。10 (有)名無実 「ゆうめいむじつ」【意味】ケ 名前ばかりで中身がしっかりしていないこと名前ばかりがあって実(中身)が無いということなのですが、指導経験上からは「罪名無実」とした子がおりました。さあ、今回は如何だったでしょうか。平均的中学生だと6,7個でしょうか。8個以上だと語彙力のあるお方。ただし、解説にも書きましたが、ただ知っていただけで、漢字から意味を汲み取って覚えていなかった人も多いのではないでしょうか。私も「ただ暗記しろ」と言われた世代ですが、子どもとはちゃんと辞書を引いて確認したいものだとつねづね思います。【今日の問題】今日は全部「書き取り」でいきましょう。1 いしんでんしん2 いちじつせんしゅう3 きどあいらく4 わようせっちゅう5 ごえつどうしゅう6 かちょうふうげつ7 せんさばんべつ8 しんしょうぼうだい9 ここんとうざい10 びじれいく7問以上で合格といったところでしょうか。◎四字熟語参照サイト以前、このブログもお世話になった楽天広場ブログ 漢字・雑学サイトのカリスマ に相当数の四字熟語が集められています。専門的なものもいくつか含まれますが、答えの分からないものは調べに行ってみるのもよろしいかと。まだ知らなかった四字熟語にいっぱい出会えます。【今回の記事に得るものがあったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/19

【昨日の問題 解答発表】自( )自( )( )に漢字を一文字ずつ入れて四字熟語を完成させてください。昨日、「旺文社漢和辞典には「自画自賛」以外にあと6個あります。」と掲載しましたが、なんと!「BD初代さん」によって7個目が発見されました。自由自在「じゆうじざい」何でも自分の思い通りにできるさま。思いのまま。自給自足「じきゅうじそく」自分(自国)に必要なものは自分(自国)で生産すること。自業自得「じごうじとく」自分自身のしたことの報いを自分の身に受けること。身から出たさび。自暴自棄「じぼうじき」自分の思い通りにならずやけになること。やけくそ。最後の「棄」が難しいです。訓読みは「棄(す)てる」と読みます。書き順をトップページにある「書き順サイト」などで必ず確認してください。自問自答「じもんじとう」自分で問いを出して自分で答えを出すこと。私の口癖。「自分はこれでいいんかな。」反省の毎日。自縄自縛「じじょうじばく」(自分が作った縄(なわ)で自分を縛(しば)るということから)自分の言動で自分の身動きを取れなくさせてしまうこと。例)「甘いもの食べると太るよと娘には言ったので、夫が買ってきてくれたケーキを食べたくても食べられず、自縄自縛に陥(おちい)った。」自分自身「じぶんじしん」→旺文社漢和辞典 「自」のページに載ってない!意味はつけなくてもよいでしょう。如何(いかが)だったでしょうか。4つ以上さらっと出てきた方はかなり語彙力のある方だと思います。【今日の問題】 ほかのよく出る四字熟語を補充しておきましょう。今回は( )に一文字入れて四字熟語を完成させてください。また、後から意味を記号で選んで、読み方も答えてみてください。1 温( )知新 2 試行錯( )3 馬( )東風 4 日進( )歩5 付和( )同 6 傍( )無人7 我( )引水 8 因果応( )9 大( )晩成 10 ( )名無実【意味】ア 他人のことを考えない勝手な振る舞いをするさまイ 昔のことを調べて新しい知識や道理を知ることウ 自分の利益や都合ばかりを強引に押し付けることエ 失敗を積み重ねて解決に近づくことオ 自分の行いに応じて必ず報いを受けることカ 他人の意見を気にせず聞き流すことキ 偉大な人物は普通の人より遅れて大成することク とどまることなく絶えず発展することケ 名前ばかりで中身がしっかりしていないことコ 軽々しく他人の意見に賛成すること8つできたら平均的中学生より上の語彙力。今日はここまで。◎四字熟語参照サイト以前、このブログもお世話になった楽天広場ブログ 漢字・雑学サイトのカリスマ に相当数の四字熟語が集められています。専門的なものもいくつか含まれますが、答えの分からないものは調べに行ってみるのもよろしいかと。まだ知らなかった四字熟語にいっぱい出会えます。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/18

『うっかり間違える四字熟語(1)』の解答発表です。うっかり間違える四字熟語(1)解答発表【問題】 次の四字熟語の中にはそれぞれ誤った漢字が含まれています。その漢字を正しく直し、意味を後から記号で選んでください。【アップロード直後にご覧になった方は問題を一部修正しましたのでご了承下さい。】1 一鳥一石 → ○一朝一夕〔意味〕イ わずかな短い時間 読みは「いっちょういっせき」誤答が多いのは「一石二鳥」と区別がつかなくなる人です。「一鳥一石」だと鳥を投げて石を取るというトンチンカンな意味になってしまいます。2 意味慎重 → ○意味深長〔意味〕エ 意味が深く味わいのあること。「いみしんちょう」書き取りは「深い長い」と書くのがポイント。3 危機一発 → ○危機一髪〔意味〕カ 非常に危ない瀬戸際(でも、何とか助かった)という意味昔、アクション映画で「危機一発」とわざと表記したタイトルが、誤用のまま広まったと言われています。髪の毛一本ほどの差で助かったという意味です。4 紅顔無知 → ○厚顔無恥〔意味〕ク あつかましく、ずうずうしいさま。「こうがんむち」面(つら)の皮が厚いとよく言いますね。恥知らずの意。5 五里夢中 → ○五里霧中〔意味〕コ 途方にくれること。「ごりむちゅう」霧の中だから「霧中」で進みべき方向も分からなくなるのです。ちなみに「五里」は昔の単位で約20キロ(一里は約4キロ)。6 言語同断 → ○言語道断〔意味〕チ 言葉では言い表せないほどひどいありさま。もってのほか。読みは「ごんごどうだん」。「げんごどうだん」ではありません。7 心気一点 → ○心機一転〔意味〕テ 気持ちを入れかえること。「しんきいってん」「機」を「気」と間違えることが多い。機会の「機」時機の「機」の意味です。8 絶対絶命 → ○絶体絶命〔意味〕ア 追い詰められて逃げようのない窮地「体」も「命」も絶えてなくなってしまうほどのピンチと考えてください。絶対「命」だけがなくなってしまうというのは意味を半分しか表わしていません。9 短刀直入 → ○単刀直入〔意味〕ウ いきなり大事な用件を切り出すさま。「たんとうちょくにゅう」「単刀」は一本の刀。それで本陣に切り込むところからいきなり大切なことを口にすること。「短刀」では戦えません。10 疑信暗鬼 → ○疑心暗鬼〔意味〕ト 何でもないことまで信じられなくなり、疑り深くなっているさま。読みは「ぎしんあんき」。疑う心があると、なんでもない暗闇に鬼がいるように見えるということ。11 用意週倒 → ○用意周到〔意味〕オ 前もって準備がよくなされていること。読みは「よういしゅうとう」周到とは「周りに配慮が到る(いたる)・いきわたる」の意で、「倒」を使って倒れてしまってはいけません。12 夢我夢中 → ○無我夢中〔意味〕キ あることに熱中するするさま。読みは「むがむちゅう」我を無くして夢の中です。13 自我自讃 → ○自画自賛〔意味〕ケ 自分のことを自分でほめたたえること。てまえみそ。「じがじさん」もともとは自分で描いた絵(画)を自分でほめたのが元の意味です。最後の「讃」は「賛」を使うことの方が多いです。意味は変わらないので俗用としては許されるようです。14 臨気応変 → ○臨機応変〔意味〕タ その場その場で適切に対処すること。「りんきおうへん」これも「機」を「気」と間違えることが多い。機会の「機」時機の「機」の意味です。15 画龍天晴 → ○画龍点睛〔意味〕ツ 最後の大切な仕上げ。読みは「がりょうてんせい」とも「がりゅうてんせい」とも読みます。「点睛」とは睛(まなこ・ひとみ)を点ける(つける)という意味です。「晴れ」と「睛」はよく見ていないと間違えてしまうかも知れません。「画竜点睛」は故事成語としてご存知の方もいるでしょう。名人が絵に描いた龍にひとみを入れると天に昇ったというお話が元です。「点ける」は読めない人が多いです。「点火」とすれば火をつけること。あと日本人なら「野点」を読めるといいですね。「野点(のだて)」です。茶道では、お茶を「点(た)てる」といいます。ちなみに、「天晴」はもともと「あっぱれ」と読んで、殿様がよくいうフレーズです。誤解のありませんように。【今日の問題】自( )自( )( )に漢字を一文字ずつ入れて四字熟語を完成させてください。例)「自画自賛」は既にやりました。旺文社漢和辞典にはあと6個あります。4個未満だと中学生レベルの語彙力です。あなたはいくつ思いつきますか。類題はかつて北海道公立高校入試問題にも出題されました。レッツチャレンジ!◎四字熟語参照サイト以前、このブログもお世話になった楽天広場ブログ 漢字・雑学サイトのカリスマ に相当数の四字熟語が集められています。専門的なものもいくつか含まれますが、興味があれば訪問なさってみてはいかがでしょうか。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/17

いよいよ、語句編を始めることにします。というか、記事を書くのが一番楽なところです。しかし、いずれも間違いやすいものばかり。どちらかというと中学生向きですが、力のある小学生もぜひチャレンジしてみて下さい。うっかり間違える四字熟語(1)【問題】 次の四字熟語の中にはそれぞれ誤った漢字が含まれています。(誤った漢字は一文字とは限りません。また読み方も変えないで下さい。)その漢字を正しく直し、意味を後から記号で選んでください。(今日は出題のみです。いつもよりフォントサイズを大きくしておきました。)1 一鳥一石 2 意味慎重3 危機一発 4 紅顔無知5 五里夢中 6 言語同断7 心気一点 8 絶対絶命9 短刀直入 10 疑信暗鬼11 用意週倒 12 夢我夢中13 自我自讃 14 臨気応変15 画龍天晴【意味】ア 追い詰められて逃げようのない窮地イ わずかな短い時間ウ いきなり大事な用件を切り出すさまエ 意味が深く味わいのあることオ 前もって準備がよくなされていることカ 非常に危ない瀬戸際(でも、何とか助かった)という意味キ あることに熱中するするさまク あつかましく、ずうずうしいさまケ 自分のことを自分でほめたたえること。てまえみそ。コ 途方にくれることタ その場その場で適切に対処することチ 言葉では言い表せないほどひどいありさま。もってのほか。ツ 最後の大切な仕上げテ 気持ちを入れかえることト なんでもないことまで信じられなくなり、うたぐり深くなっているさま。解答は次回発表です。ぜひ読み方も確認してみてください。今日はこれだけ。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/16

このシリーズを書いているうちに、子どもを医者にするための動機づけとして『ブラック・ジャック』を読ませましょうというブログがあって驚いてしまいました。ブラックジャックはもぐりの医師であること、そして、何より作者の手塚治虫氏が医師という仕事を選ばずに漫画家になったことをどう考えているのか絶句しました。まあ、結局は夢をどう思い描くのかは子ども自身が決めればいいのですけれど。今日は前回までの「外発的意義」の続きから。『何のために学ぶのか(4)』 前回までの学ぶことの「外発的意義」にもう一つつけ加えておきたいことがあります。それは、教育が消費者を育てるということです。例えば、パソコンを使えるようになると、新しいアプリケーションソフトが欲しいと思うのは道理です。パソコンを使えもしないのにソフトだけ欲しいというのはありえない話です。学んで覚えたことが新しい消費を産むわけです。歴史を学んだことがあるからこそ、旅行などで京都に出かけたときに、本能寺跡にも行ってみようかと思うわけで、織田信長って誰それ?っていうことであれば何の価値も値打ちもない。また、地理で学んだ知識があれば、地方の特産物でおいしいお土産を買ってくることもできます。もちろん、書籍や雑誌で知った新しい情報もあるでしょううが、もし教科書で習っていなかったら、知らなかったはずのことがらも、ずいぶんあるのではないでしょうか。ほかにも、ゴミの分別の方法は小学校の授業で取り入れているところが多いと聞きます。もし知らないまま大人になってしまったら、子どもたちが大人になったとき大変なゴミ問題を背負うことになってしまいます。環境に対する配慮も、人間の自己都合だけを考えていたらとんでもないことになってしまいます。 こういうわけで、教育は学ぶ人たちに「ものごとの価値」を伝えるという重要な側面があることは見逃せません。そして、経済的に言えば、教育によって新しい消費を生んでいるのだということもできます。そう考えてくると、教育を受けることによって私たちの生活がより豊かでより安全なものになっているとは考えられないでしょうか。 このシリーズのお話の最後として、これまで述べてきた学ぶことの「内発的な意義」と「外発的な意義」をもう一度捉えなおしておこうと思います。私は結論として、人は自分の興味・関心で学んでいけばよいと思います。放っておけば関心のないことなんて誰も学んだりしませんもの。しかし、外発的意義でこれまで述べてきたように、現代を生き抜いていくためには自分が全く興味・関心もない、苦手な分野の学びをしなければいけないこともあるようです。興味・関心による学びは狭く深く掘り下げることができますが、学校教育などを通じて大人や他人から学ぶことで、広く浅く学ぶことができるのだろうと思います。後者は知的バランスを取るための学び(矯正的な学び、強制的な学び?)といってもよいかもしれません。そこから、面白いのがあれば、そこだけまた穴を掘ってみればよろしい。国民にとって何が必要なことがらかというナショナルミニマムは慎重に検討される必要があるとは思います。そういう意味では教育に携わる者は、子どもに苦手なあるいは嫌な分野も勉強してもらう、学びを強要する人と映ることになるのかもしれません。けれども、教育を受けることによって、それに余りある子どもの、学ぶ側の可能性の伸張があるのだということは承知しておくべきことでしょう。 こういうわけで、教える側は教える工夫をする責任と配慮が必要であるでしょうし、また、学ぶ側は自分に必要なことを、たとえ苦手であったり、関心のない領域であってもつかみとって行く努力が必要とされるわけです。15歳の頃の自分の問いに答えるつもりでここまで書き綴ってみました。中3のとき、あの学級日誌に自問自答した「学んでいくうちに分かるのでしょうね。」というのはあながち外れてはいなかったのかなあと思ったりします。しかし、こういう考えをまとめるまでにずいぶん余分な勉強をしてきてしまいました。(ふうっ。) 「生きることは学ぶこと。学ぶことは生きること。」という言葉を最後にもう一度掲げてお話を終えることにします。【追記】このお話から発展して、「競争と教育」についても論考しなければいけないと思っていますが、少し間をおいてすることにします。次回からは「語句編」に戻ります。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/15

何のために学ぶのか」という問いに対して、今日は「外発的意義」についてお話しようと思います。楽天内でテーマに【注目】マークをつけてもらっちゃったのでがんばろうと思います。でも、寄稿しているのはまだ私だけなのですが……。 『学ぶことの意義(3)』 これまで学ぶ意義について主に子どもの立場、学ぶ立場から内発的な意義についてお話してきました。今回は大人の立場、教える立場、社会的な立場からどうして学んでもらいたいと考えているのかという「外発的な意義」について考察しようと思います。 学ぶ意義を考えるとき、義務教育を終える高校受験と義務教育の途中である中学受験とは少し意味合いが違うだろうと思います。高校受験の方がやはり子どもの自主的な選択という意味合いは大きいと思います。それでもまだ15歳ですから、いずれにせよ親の思いは色濃くにじんでいるだろうと思います。また、本人の志望校選択にあたっても、よりよい学校を目指すということが勉強する動機になっていることも多いのでしょう。「難関校を目指すのは若者の向上心の発露である。」と、かつて旺文社大学受験ラジオ講座を担当されていた勝浦捨三(注1)先生は話してくださいました。「いい学校を卒業して、いい会社に就職する」といった学歴信仰は今も健在ですし、教育は親が子どもに残せる有力な財産だと考えておられる親も多いのだと思います。しかし、バブル崩壊後、いい学歴いい会社に就職したはずの親の方が思わぬリストラにあったりして、教育を受けても経済状況に左右され、必ずしも高学歴だからよいというのではなくて、手に職をつけたほうがずっと安心できるのではないかとか考えられるようになってきていますね。高学歴高収入という単純な見方が崩壊してきている。ほかの要因とも相俟って不確実な社会になってきているというのは大人たちの共通した見方だろうと思います。勉強していい会社に入ってもリストラされたらしょうがないじゃんという穿った見方をする子もいるでしょう。不確実な時代だからこそ、やはり旧態依然とした学歴信仰にしがみつく態度も出てきてしまうのはやはり親心だと思います。受験に勝ち抜けとは言わないまでも、子どもに高い文化と教養を身につけて幸せになってもらいたいと考えて、いくつもお稽古ごとをさせていらっしゃる家庭も多い。ですから、何のために勉強しなければいけないのって問われたら、「それが親の願いだから」と答えるのが正解になる部分はかなり大きいのではないかと思います。 また、社会的な要請というのもあります。子どもに教育を受けさせるのは大人の義務ですが、ひいては子ども自身が学ぶことを期待されているのです。もちろん、子どもは学ばなければならないなんて日本国憲法のどこにもにも書いてはありません。しかし、以前にも書いたとおり、学校は学びの場であると同時に社会に向けて人材輩出の機能も併せ持っています。子どもが学習するのはよりよく生きるための権利です。自分が将来就きたい、やってみたいという仕事を理解し遂行する力は、やはり子どものうちに養っておかなくてはいけないだろうと思います。読み書きはもちろんのこと、その仕事を遂行するための専門知識、専門技術を理解し、新たな工夫を加えていく力を期待されています。それは勤め人(労働者)となろうが経営者になろうが同じことです。 でも、そうしたらなぜ余分な勉強をさせられるのだろうかという疑問も出てきますね。自分が就く仕事に必要なことだけおぼえればよいと。ところが、だれがどんな仕事につくかは本人すらもその時になってみないと分からないことはいくらもあります。もしかしたら転職が必要になることだってあるかもしれません。仕事の配属先が変わることだってあるかも知れません。誰もが学んでおいた方がよいことって何でしょう?義務教育は、国民全体に必要最小限のことは学んでもらおうという「ナショナル・ミニマム」という考え方で成り立っています。何を必要最小限と考えるかは時代や社会の状況によってその都度変わってきます。今は「ゆとり教育」が批判に遭って「発展的内容」まで教えようという動きが活発になっていますが。誰がどんな知識を必要とするかははっきりと言えないけれども、みんなでこのあたりのことは勉強しておこうやというのは確かにあります。また、学問の最先端から考えて、このくらいのことは高校生あたりでやっておいてもらわないと大学に来てもらってから困るということもあるでしょう。ですから、学校教育では5科目に限らず実技教科も含めていろいろな教科があるわけです。これは大人たちからのプレゼントだとも言えるのですが、子どもの側からすると、とてもそうは思えないでしょうね。 それから、社会が子どもたちに期待することは、大人になってから選挙権を持ったときに、国を、いや、これからは世界をどうやって動かしていったらよいか代表して議論してくれる代議士を選挙で選ばなくてはいけません。そのときに教育を受けることで、何が問題で私たちはどうすべきなのかきちんと判断できる大人がたくさんいてくれないと民主主義社会そのものが成り立たなくなってしまいます。もしかしたら平和そのものを維持できなくなるかも知れません。そういう民主主義社会を担っていける人になってもらいたいという願いを、親を飛び越えて社会が持っているということに気づいていてほしいと思います。今日は学ぶことの外発的意義についてお話しました。明日は今までのお話をまとめて最終回としたいと思います。【注1】勝浦先生は確か数学の担当だったと思われます。ご自分の生のわずかに残された時間を使ってラジオ講座に出講なさったと記憶しております。ちゃんとしたお名前も実はうろ覚えなのでご存知の方はコメント下さい。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/14

『何のために学ぶのか(1)』に引き続き、論を進めようと思います。前回は「学ぶことの意義(1)」として内発的な意義、自らの興味・関心(知的好奇心)を満たすための学びがあるだろうということを述べました。今回のお話はそこから発展して、自ら社会参加するための学びの意義というのもあるだろうということです。前日のアウトラインの順序とは多少前後することも出てくるかと思いますのでご了承下さい。「学ぶことの意義(2)」 学校は自らの学びの場であると同時に人材育成・配分の機能も併せ持っていて、それは学ぶことと分かちがたく結びついています。村上龍の『14歳のハローワーク』が売れているということですが、自分が将来どうなりたいのか、職業観と結びついた学び方をしている子は「何のために学ぶのか」という疑問は持ちにくいのかもしれません。東京の開成中の合格発表のときの子どもたちが、医者になる、弁護士になる、官僚になるとインタビューに答えているのを見ました。アイデンティティという言葉を使えば、早期アイデンティティ達成型と言われる子どもたちです。参考文献のリファーができないのですが、調査をしてみると東大生のかなりの割合がこの早期アイデンティティ達成型であったと言う話を教育心理学の授業で聞いたことがあります。確かに将来の自己イメージがなければ、ハードな勉強をずっとこなし続けることは難しいのだろうなと当時、納得していました。 しかし、普通、小学生・中学生と会っていてこんな明確な人生設計を持っている子にそうやすやすと出会うことはまずありません。医者、弁護士、官僚なんて大人が吹き込んだにちがいないと感じてしまうのです。それは与えられた自己イメージであって、せっかく御三家といわれるような難関校に合格したものの、思春期・青年期になって、もう一度自己イメージの問い直しをするにあたり、親との関係の悪化を経験してきた何人かの学生の話を聞いたこともあります。もっと素朴に漫画家になりたい、スポーツ選手になりたい、宇宙飛行士になりたいという夢を持っている方がまだ自然な感じがします。漫画家になりたい子は、美術のスケッチだけでなく、ストーリーを考えるために歴史や国語に関心を持つかもしれません。さらに科学漫画を描こうと思うなら理科にも大きな関心を寄せることでしょう。サッカーや野球の大好きな少年はスポーツをやっていればよいと考えるだけでなく、イチローや松井のように世界で活躍することを考えたら、海外進出まで考えて英語は勉強しておこうと考えるのかも知れません。もっと考えの深い子は、ボールの動きを捉えるために理科や数学で習う放物線や等加速度運動が役立ちそうだと気づくかもしれません。もちろん、それを計算によって導き出すのではないでしょうが、グラフを書いてみたり、物体の到達時間を計算してみたりしたことが、スローモーションでボールの軌道や自分のフォームのチェックを行うときに理解の助けになっていることに大人になってから気づくのかもしれません。 大人になったときには、学校で習ったこととそのままズバリに出会うのではなくて『子どもの時の体験と相似形のもの』に出会うはずです。これは知的領域だけではなく、人間関係においてもそうです。幼稚園ではすでにいじめや集団内での順位性(権力関係)を体験するでしょうし、小さな恋も経験するかもしれません。学校で習ったことなんて全く役に立たないよという論調が世の中にあるのですが、全部が全部役に立たないとは思いません。人は一歩前に進もうとしたとき、それまでに身につけたことのうち、使えるものは全て使って新たな課題とその解決に取り組むのだと思います。 「将来の夢」をある程度持っている子はいいのですが、「将来の夢」について実際に聞いてみると「特にない」とか「普通の生活がしたい」という返答がかなり多くあります。それだと受験勉強に疲れて「何のために学ぶのか」という疑問を持ったときには「何のために生きるのか」という問い返しになってしまうのだろうと思います。若者の無気力とかニートの問題が提起されるようになっていますが、「生きるめあて」を立てることで「学ぶことの意義」も生まれてくるはずだと思うのです。逆に、そんな目あてもなく、ボーっと学校生活を送っているとしても、出会った学問や体験から「生きる目あて」を見つけ出し、さらに学ぶということもあるでしょう。その元になるのはやはり「感動」とか「感激」なんだろうなと思うわけです。「すげえッ!」とか「おもしれエーッ!」というものに出会っていかないといけない。 さらにそこから、感動した体験を「消費」する方ではなくて「作り出す」方に頭が働くようになれば、子どもたちの心も変わっていくのではないかと思うのです。日本の社会はティーンエイジからヤングアダルトの文化を中心に若者を「消費者」として扱いすぎる傾向があるのだろうと思います。「消費」ばかりに目が行く文化ってなんかローマ帝国末期の「享楽的な文化の香り」がして「退廃と衰退」の様相を感じさせます。映画化もされた工業高校や高専の生徒たちが取り組む『ロボコン』(ロボットコンテスト)などはそうした普通の子たちが「作る・生み出す」取り組みの1つなのでしょう。普通の子たちが「ものを作る」「生み出す」ことに意欲的に取り組める社会になったら「なぜ勉強するの。」なんて問いは影を潜めるのかもしれません。 ここまで、子どもたちが社会参加を意識して学ぶという姿勢が「学ぶことに意義」を与えるというお話をしました。それは何かの資格を得るという勉強の仕方にも当てはまるかも知れません。しかし、もう一つ付け加えておきたいことがあります。仕事とは結びつかないことに関心を持つ学びというのもあるはずです。「文学」というと外れているし、「教養」「雑学」といってもまだ意味がおかしい気がします。ここ数日、ずっと「実学」の反対語を考えていました。福沢諭吉が『学問のすすめ』で真っ先に想定していたのはこの「実学」でした。実践・実際に役立つから「実学」というのですが、医学や法学、工学などがそうです。技術とかスキルと呼ばれるものを重視します。これに対して、直接には役に立たないことを考える学びというのもあるだろうと。実践に対して「実学」というのであれば、ものごとの原理を明らかにするのは「理学」です。今の「理学」は自然科学(理科や数学)の研究をさすのですが、実は「哲学」の旧称でもあったりします。哲学っていうとなんか人生とか、幸福とかを考えるイメージもありますけれど、およそ、ものごとの根本原理を究明するのはすべて哲学です。そうすると、「実学⇔哲学」となるのですが、どうも腑に落ちないのです。ほかに実学の反対語として、「虚学」「死学」「座学」なんていうのが見つかりました。「虚学」は虚実(実体のないものとあるもの)という熟語からでしょう。「死学」は役に立たないから死んだも同然。「座学」はもともと軍隊の実践に対して講義を通じて学ぶ教科について言われたものです。 私がイメージしているのは、事の被害者や加害者になった人たちの切実な学びというのがあるだろうということです。それは役に立つとか立たないとかというレベルではなくて、これを考えなければ生きてはいけぬという学びです。これを職業と結びつけたり、単に興味・関心が動機であると片付けてしまうにはあまりに浅薄です。民族紛争地域から「平和」を考えに来た学生や、国籍上の差別の犠牲者として生きてきた経歴を持ち祖国と日本の歴史について研究する学生、また障害のある兄弟のために福祉を学ぶ学生と話をする機会もありました。この人たちは「学ぶことの意義」が「生きざま」と結びついているのです。生きることに役立つから、これも「実学」でいいんじゃないとは軽々しくいえません。確かに「実学」的な部分も学んでいるのでしょうが、自分の出会った苦しみや悲しみ、つらさの経験から、もっと「悟り」たいといったほうが近い感覚なのです。そしたら「悟学」というべきかなんて思ったりしますが、いずれにせよ、実存的な意味合いの強い学びということができます。これは「生きることは学ぶこと、学ぶことは生きること」というフレーズにピッタリなのかも知れません。今日は書き過ぎました。次回は「学ぶことの外発的意義」からお話します。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/13

「何のために学ぶのか」というシリーズものを書いている最中なのですが、今日はYosakoiソーラン祭りの最終日なので、時期をはずさず今日のうちに書き綴っておこうと思います。TBSドラマ「3年B組金八先生」はこの三月に放送を終了しましたが、何作目からだったでしょうか、ずっとクラスでソーラン節を踊るようになったと思います。これは、北海道稚内にある「稚内南中学校」で荒れた学校を再生させるという実践から生まれた「南中ソーラン」がもとになっているということが広く知られています。軍司貞則の『学校再生』などの本でも紹介されました。この本を私が読んでいなっかたせいもあるかも知れないのですが、「稚内南中」が「よさこいソーラン祭り」に乗っかって子どもたちにソーラン節を指導するようになったとばかり思っていました。 そうではなくて、稚内南中の「南中ソーラン」と「Yosakoiソーラン祭り」の発展はもともと別物で、確かに南中は例年Yosakoiソーランには参加しているのですが、起源を別にしたものであると了解すべきであるということを最近知りました。金八先生の中に出てくるソーラン節の振り付けも「南中ソーラン」を元にしているなあというのは、昨日のSTVで再放送された「南中ソーラン」を見て思いました。「南中ソーラン」は全国の小中学校の活動や町おこしでも広く取り入れられていますのでご存知の方も多く、何をいまさらと思われる方もいるかも知れませんが、私には初めて知りえた事実だったのです。 ニュースの背後ではっきり伝わって来ないこともあるのですね。山口県の高校生爆竹投げ込み事件にしてもまだコメントすべき情報を持ち合わせてはいません。新聞・週刊誌では伝わっていない事実が背後にきっとあると思うのです。ショッキングな事件ではありましたが評価は慎重にしたいなあというのが、少年事件を何件か追いかけて考えた経験から得た基本的態度です。直近の例で言えば、尼崎の列車脱線事故の時、原因は車輪のセリ上がりによる脱線だと吹聴した専門家がいましたが、実はスピード超過に依る車体の傾斜だったのは記憶に新しいですね。 話を元に戻しましょう。「Yosakoiソーラン祭り」は、すでに冬の「雪祭り」の動員数と肩を並べる一大イベントになっています。(昨年度208万人。05年雪祭りは219万人。どちらも主催者発表)愛知県出身の北海道大学の学生が発案したこのお祭りも参加チームは全国規模から外国からの参加チームを加え世界規模になりつつあります。大きなチームになると150名近くになり、その一糸乱れぬ演舞を間近で見ていると、すごいなあという感動と心地よい高揚感におそわれます。中でも、北海道大学 縁(えん)というチームは演舞の最後に男子学生が「赤ふんどし」一枚の格好になります。演舞のあと道路から公園内にあがってくるとき、100名近くの赤フンに取り囲まれるのはやっぱ少し怖い。残念ながら今年はファイナルに残れなかったようですが。 また、今回「南中ソーラン」を調べるにあたり、金八先生の勤務する『区立桜中学校』のモデルとなった「足立区立第二中学校」は今年17年3月に統廃合され、4月より「足立区立千寿桜堤中学校」となったということも知りました。ですから、ドラマに出てきた校舎・校門などは見られなくなってしまうのかも知れません。(←詳細未確認)ドラマのロケ地散策ガイドのサイトまであるとは知りませんでした。 今日は思わず余計な話をしてしまいました。【追記】今年のYosakoiソーラン祭り大賞は2年連続「新琴似 天舞龍神」でした。主な情報ソース『南中ソーラン』学校HPへジャンプYosakoiソーラン祭り公式HPへジャンプ【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/12

相変わらず楽天内や人気ブログランキング、教育ブログランキングを回りながら勉強させていただいているのですが、『学ぶことの意義』を私がどのように捉えているのか、また、自分が『競争と教育』の関係をどのように捉えているのか、私塾教育に携わる者として大いに刺激されるブログにいくつか出会いました。まず、これらの課題について意見表明をさせて頂いてから、次の「語句編」を書こうと考えました。過去の記事にある『国語ができない原因を考える(1)~(6)』のときのように根詰めて書くのではなくて、少しずつ分けてお話したいのですが、どうなりますことやら。『学ぶことの意義(1)』 「何のために勉強しなければならないのか」という疑問は学校に通う子どもなら誰でも一度は持つでしょう。大人が子どもに突然聞かれたらどう答えるのでしょうか。私自身は中3の秋、高校受験を控えてクラスの雰囲気が次第に受験モードになって行くときに強くそう考えていました。クラス日誌にこの質問を書いて提出しましたが、担任を困らせてしまったのでしょう、返却されたコメント欄には何も書かれていませんでした。後日、自問自答して「学んでいくうちにわかるのでしょうね。」と日誌に書き込んだのを覚えています。 「何で勉強しなければならないの。」「りっぱな大人になるためよ」とか「勉強しなかったらバカになっちゃうよ」などと大人から言われ、子どもたちはどう感じているのでしょう。15歳の頃の自分に答えるつもりで今一度考えてみます。 まず、こうした問いが出てくるときは、勉強することのしんどさ、無意味さをぼんやりと感じているときが多いのでしょう。私の場合も、学校の朝学習で毎回のようにドリルをやったり、2学期末の進路指導面談の順番を待つ廊下で、同級の一人が志望校変更を余儀なくされ、涙を流して出てくる場面に立ち会ったりした頃であったように思います。特に2学期は地元の新聞社主催の模擬テストが毎月あり、選別されることへの緊張感や不安感が強まっていたように思います。そういう思いをにじませた問いには、まずちゃんとメンタルな部分でも大人は答えなくてはいけないと思うのですが、もしそうしたメンタルな部分でのフォロー、例えば「誰でもそう思うものなんだよ。」とか言われていたとしても、当時の自分は納得していなかっただろうと思います。ですから、今回のシリーズはあの頃の自分を納得させるための少し理屈っぽいお話です。 もともと「学ぶことの意義」というのは、子どもの立場・学ぶ側の立場から答える「内発的な意義」と、教える立場・親や大人の立場・社会的な要請から答える「外発的な意義」があるだろうと考えています。これにしたがって、次のようなアウトラインを考えてみました。1 内発的意義 子どもの立場・学ぶ立場から ・発達的視点 ・興味・関心(知的好奇心)の充足 ・社会参加・資格を得ること ・実存的意味 世界観・人生観・自己肯定感・自己実現2 外発的意義 大人・社会からの要請から ・親の願い 学歴信仰と不確実な社会 ・社会の要請 人材・労働力の育成 消費者の養成 学問・研究者養成 民主主義の担い手の養成 ・知的関心とバランスを取るための学び 以上のそれぞれに触れながらお話して見ようと思います。尻切れトンボに終わって自己不全感が残るかも知れませんが、3、4回に分けてやれるだけやってみようと思います。 人間は生まれ落ちてから、他の動物と同じように探索行動を始めます。動物ならエサを探す自己保存の欲求ということでしょう。生まれたての赤ちゃんでさえ乳を探し求める吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)というものを持っています。人間の場合は、もちろんそうした動物的な意味合いもあるでしょうが、動物の場合とは少し意味合いの違う探索行為もし始めるようになります。幼児がバッタを夢中になって追いかけたり、逆に出会った犬がかわいいと思って近づくと、吠えられて怖い思いをしてみたり。そうした探索行動に始発する知的好奇心が学ぶ動機の始まりなのだろうと思います。 特に言葉の習得については、子どもたちによく話すことなのですが、君たちが今、日本語を話せることのすごさを考えてほしい。赤ちゃんで何も話せなかった状態から、毎日毎日、何度も何度も両親が話しかけ、やっと覚えた言葉がママだったとしよう。パパを見てもママ、他の人でもママ、動くものを見てもママ。それを毎回そうじゃないよ。私がママよと百万回でも訂正してくれる。そうやってみんなは言葉を覚えたんだ。気の遠くなるような忍耐と愛情で語りかけ、みんなは言葉が話せるようになったのさ。今は「うるせえ!クソババア。」ということもあるかもしれないが、いまみんなが言葉を話せるというのは、親や周囲の大人の愛情の結果だということは忘れないでもらいたいと。 マザーテレサは「愛」の反対は「憎しみ」ではなくて「無関心」であると答えたといいます。子どもが言葉を話せるというのは、周囲の大人・親が関心を持ち続けたということです。言葉を大人から教えてもらっているときに「どうして学ぶ必要があるのか」などと考える必要もなかったはずです。大人が教えることと子どもの知的好奇心が一致していたと言えなくもないわけです。幼稚園や小学校低学年あたりぐらいで言葉や文字を覚えることが楽しくて仕方がなかったという人も少なからずいるはずです。 もう少し発達が進むと、教えてもらう教科の学問的系統にとどまらず、知的好奇心が自走します。より難しい漢字を調べたり、理科の実験が好きで好きでたまらない、昆虫は何でも捕まえてくる、など小学校中高学年あたりで覚えのある方もおられるでしょう。ところが、だんだん教えてもらう内容が高度化・抽象化し始めるとだんだん苦しくなってくる。生活経験では出会わないようなことがらはやはり理解しづらい。知的好奇心も萎えてくる。でも、なくなってしまったわけではないのです。与えられたものに対してそうなのであって、自分の好きなもの、興味・関心のあるものについては比較的早く知的好奇心を取り戻すことはできます。 与えられるもの以外に好きなことがはっきりとあるということはなんと力強いことでしょうか。「へたの横好き」という言葉もあります。まず学業成績に依らず、算数がおもしろい、国語がおもしろいという感覚は大切にしたいと思います。テストができなくたっていいじゃん、好きなら評価など突き抜けて追求する、子どもにはそんな態度でいてほしいなあと思うのです。今日は「内発的意義」の途中までお話しました。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/11

中学校教科書「教育出版」一学期期末テスト範囲に合わせて文法のお話をずっとしてきました。今回は「敬語」に引き続いて中3範囲から「連用修飾語(副詞)の働き」です。今日で一応、一学期文法のシリーズのお話を終えることになります。連用修飾語(副詞)の働きまず、連用修飾語とは何だったでしょうか。おもに用言(述語)を説明する言葉でした。例)1 公園に行く。 2 美しく咲く。 3 ゆっくり(と)歩く。 上記の例の傍線部分が連用修飾語です。あとに来る用言(述語)を詳しく説明しているのは分かりますか。連用修飾語といっても1、2、3のそれぞれは少しずつ性質が違います。1 「公園に」 → 名詞+助詞 2 「美しく」 → 形容詞の連用形 (形容動詞の連用形も連用修飾語になることがあります。)3 「ゆっくり(と)」 → 副詞 (「と」がついてもつかなくても一語の副詞です。)特に最後の「副詞」は単独で連用修飾語になることができます。副詞には活用(変化)はありませんが、連用修飾語の働きはこの副詞の働きと同じように考えられますので以下に取り上げて見ましょう。連用修飾語(副詞)の働きの種類1 状態 を表わす連用修飾語(副詞) 主に 動詞 を修飾し、「どんなふうに・どのように」という動作の様子・状態を説明するときに用いられる。例) ゆっくり(と)歩く。 ワンワン(と)ほえる。(擬声語)*注1 ごろごろ(と)転がる。(擬態語)【注1】鳴き声を表す言葉を擬声語・物音を表す言葉を擬音語と区別する本もありますが、擬声語で鳴き声も物音も表す言葉です。また、擬声語と擬態語と区別で引っかかる場合もあります。例えば「しんと静まりかえった教室」の「しんと」は擬態語です。「しんと」音がしているわけではありません。【注2】擬声語と擬態語を合わせて「オノマトペ」(もとは仏語?)ということがあります。2 程度 を表わす連用修飾語(副詞) 主に 動詞以外の言葉を修飾し、「どのくらい」という程度の意味で使われる。例) とても美しい。 もっと右だ。 かなり昔の話だ。注3】混乱するかもしれませんが、程度を表わす連用修飾語は「動詞」を説明することもできます。例えば、「もっとがんばる」など。逆に、状態を表す連用修飾語が「動詞以外」を説明することはまずない。(ここの確証がまだ私にはありません。)このあたりの面倒さを避けるために、学校のテストの例文では、状態 → 動詞 ・ 程度 → 動詞以外を修飾する例文が多く用いられています。あとは「状態」か「程度」か意味で区別するという方法があるでしょう。3 呼応(叙述・陳述)の連用修飾語(副詞)参考書にも依りますが、呼応・叙述(じょじゅつ)・陳述(ちんじゅつ)とも同じ用法です。 言い方が述語と対応して、大まかに決まっているものをいいます。例)全然楽しくない。(全否定) (「全然~ない」と使うのが正しい用法。若者言葉で「全然楽しい。」などのように「とても」ぐらいの意味で使うのは間違った使い方ですね。) たぶん・おそらく間違いないだろう。(推量) (たぶん・おそらく~だろう。) もし雨が降ったら畑仕事は休みにしよう。(仮定) (もし~なら・たら)ほかにも「なぜ~か」「たとえ~ても」「あながち(必ずしも)~ない(部分否定)」などたくさんあります。ぜひ参考書等の「副詞の項目」で確認してみて下さい。中学受験でもよく出ますし、高校受験でも短文作成でよく問われます。◎ ポイント 連用修飾語(副詞)の用法の種類と見分け方を押さえよう!【注4】最後に「~を・~に」とつく言葉は必ず連用修飾語になります。主語と勘違いする子もいますので「を・には連用修飾語」と押さえさせます。英文法との対応で言うと、英語の「目的語」は国語では普通、「連用修飾語」として訳されます。第5文型を訳すときだけはちと違うのでしょうね。 今日はここまで。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/10

ずっと文法の小難しいお話が続いていますので、閑話(かんわ)です。NHK『読み書きのツボ』という番組はご存知でしょうか。毎週火曜日10:45~11:00教育テレビで放送されています。小学校中学年(3、4年生)ぐらいを対象とした光浦靖子がメインキャストの番組なのですが、なかなかあなどりがたいところがあります。NHKのホームページで過去に放送された番組の内容を見ることができます。 特に驚いたのは、「お楽しみのツボ」の中の「読みもの」のコーナーにある『段落はいつごろできたの?」というお話。昔は文章に段落がなかったというのです。古文を指導していても段落はあったように思うのですが、原文にはなかったのではと思える内容でした。テキストで活字印刷するときに段落が設けられたのでしょうか?かつて、新聞でも段落最初の一文字を落として書くのはまれで、今のように改行して段落の最初を一文字落とすというのが主流になるのは現代になってからだとか。夏目漱石の『我輩は猫である』が、当時としては珍しい段落を使った文章であったことも始めて知りました。ほかのブログを見ていても、段落改行時に一文字落として書いているブログは珍しいですしね。また、子どもたちからの質問コーナーを読んでいると子どもたちが国語でどんなことに困っているのか答えとともに勉強になります。 さらに、番組中でショートコントをやっているパペットマペットの動画も見ることができます。20回分もあるので好きな人は暇つぶしに最適。私も実はこれが目当てだったりして。関心がある方はNHKの番組ホームページにどうぞ。 NHK『読み書きのツボ』番組ホームページTOP へジャンプ【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/09

前回までの活用のお話に今日は付け加えです。以下の4つの動詞にまつわる知識を活用と一緒に覚えておきましょう。中学校でも用言の活用とともに教わるはずです。中学受験の方もあとに出てくる『ら抜き言葉』だけは知っておかれたほうがよい話題だと思います。1 音便2 可能動詞(「ら抜き言葉」との関連で)3 自動詞・他動詞4 補助用言それでは順に見ていきましょう。 1 音便 音便(おんびん)とは、五段活用の動詞の連用形や形容詞の連用形で起こる音の変化のことを言います。動詞には3種類の音便があります。いずれも『五段活用動詞の連用形』でしか見られません。「て、で、た、だ」に続く連用形のときに音の変化が起こります。下記の例は「て」をつけて取り上げています。a)イ音便 「い」の音に変わるので「イ音便」という。 書く 書きて → 書いて 泳ぐ 泳ぎて → 泳いでb)促音便 小さい「っ」(促音:「そくおん」という)の音になる。 知る 知りて → 知って 買う 買いて → 買ってc)撥音便 「ん」(撥音:「はつおん」という)の音になる。 飛ぶ 飛びて → 飛んで 遊ぶ 遊びて → 遊んで◎ ポイント 三つの音便の区別ができるようにしよう! 2 可能動詞 「可能動詞」とは、五段活用動詞に「できる」という意味が加わって「下一段活用動詞」になったものです。もともとは五段動詞であったことがポイントです。五段 → 下一段(可能動詞化)泳ぐ → 泳げる書く → 書ける飲む → 飲める 【可能動詞と「ら抜き言葉」】 助動詞「れる・られる」を使ったものは可能動詞とは言いません。また五段活用動詞以外から作ったものも可能動詞ではありません。例)すぐ見られる 外に出られる 三十分で来られる 上記の「見られる」「出られる」「来られる」は、「れる・られる」という助動詞を使っていますから可能動詞とは言いません。さらに、もともと「見る」は「上一段」、「出る」は「下一段」、「来る」は「カ変」ですから、可能動詞とは言わないわけです。ちなみに、次のようなものはどうでしょうか。見れる出れる来れる 先に挙げた例から「ら」が消えているのは分かりますか。こういう「られる」の「ら」を取って使う使い方をと、 『ら抜き言葉』といいます。こういう使い方をする傾向が若年層を中心にあると言われています。もともと、五段活用・サ変には「れる」を、それ以外の上一段・下一段・カ変には「られる」を使うのが正しい使い方ということになっていますが、 『ら抜き言葉』として広く使われています。 少し、立ち入ったお話をします。実際には「られる」をつけるときは「尊敬」の意味で、「れる」を使う「ら抜き言葉」は「可能」の意味で使い分けされています。例えば、「走れる」は可能動詞なのですが、五段動詞の「走る」に「れる」がついたのではありません。「走る」の未然形は「走ら-ない」ですから、助動詞「れる」をつけたなら「走ら-れる」です。「走られる」だと「尊敬」の意味に感じられませんか。「走れる」は「走られる」の「ら」を取ったものと受け取られたのでしょう。こういう動詞があるために「られる」をつけるときは「尊敬」の意味で、「れる」を使うときは「可能」の意味で使うと誤解され広まったと考えられます。この話題は中学入試・高校入試を問わず、あちこちの入試問題で取り上げられていますので知らなかった人はこの機会にぜひ理解しておいて下さい。 3 自動詞と他動詞 動詞の動作・作用が主体(自分)にとどまるものを『自動詞』といい、動詞の動作・作用が他の対象(他のもの)に及ぶものを『他動詞』といいます。もう少し分かりやすくしましょう。「~が」(主語)と一緒に使うのが『自動詞』。「~を・に」(対象)と一緒に使うものが『他動詞』。例)ゴミが集まる(自動詞) ゴミを集める(他動詞) 水が流れる (自動詞) 水を流す (他動詞) 4 補助用言 動詞と形容詞のうち、本来の意味は薄れて形式的、補助的に使われるものをそれぞれ補助動詞、補助形容詞といいます。補助動詞と補助形容詞をあわせて補助用言と言います。 補助形容動詞は存在しません。一つ一つ見て行きましょう。a)補助動詞例)テレビをみる。 目・視力でみるという本来の意味。 食べてみる。 目・視力でみるという本来の意味ではない。 同じ「みる」をわざとひらがなにしてみました。どちらが補助動詞か分かりますか?後の例文が補助動詞です。まさか口に入れて食べたものを「オエッ!」と吐き出して見るという意味ではありませんね。これは「試しにやる」という意味で本来の用法とは違います。中1のころ文節の関係で「補助の関係」というのをすでに学んでいると思いますが、「て・で」の後に使う「みる・いる・くる・ある」などの言葉が補助動詞だったのです。補助動詞は普通、「~て・で」+「補助動詞」の形で使います。b)補助形容詞例)本がない。 「存在しない」という本来の意味。 楽しくない。 前の文節のただの打ち消し(否定) どちらの「ない」が補助形容詞なのか見分けがつきますか?補助動詞の場合のように目印となる「て・で」がないので厄介ですが、形容詞「ない」の本来の意味は「存在の否定」です。したがって、後の例文が補助形容詞です。他に「静かで(は)ない。本で(は)ない。」と使われたりしても、その「ない」は補助形容詞です。補助形容詞まで問われる問題はそんなに見かけることはないのですが学校の定期テストで範囲が決まっているときは出題されることが多いようです。 最後に、このブログのフリーページの欄に4回にわたってお話してきた『用言の活用の整理問題』を掲げておきますのでやってみてください。私書箱に解答を投函していただければ正解を返信いたします。今日はここまで。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/09

先日、「よゐこ」(漫才師)の浜口クンがある番組で「登校拒否」は「東京コーヒー」といっていたというのを人づてに聞いてウケてしまいました。ずっと不登校・登校拒否については関心を持ち続けていますが、はじめて聞きました。言い間違いのおもしろさなのでしょう。今日は言い間違いで形容詞・形容動詞の活用を覚えてしまおうというそんなお話です。 前回までに「動詞の活形と活用の種類」を話し終えました。残りの用言である「形容詞・形容詞」にも活用(変化)があります。まず、形容詞は「~い」で終わる言葉 「すごい・かわいい・かっこいい」 形容動詞は「~だ」で終わる言葉「いやだ・変だ・大変だ」ということを確認したうえで活用を考えて見ましょう。活用を導き出す言葉(あとに続く言葉)は動詞の場合と一部違うのですが、詳細は後回しにしてやって見ます。それぞれの活用形は後に挙げる「」内の言葉をつけて活用を導き出します。ただし、形容詞・形容動詞に命令形はありません。未然形「ウ」連用形「タ・ナイ・ナル」終止形「。」連体形「トキ」仮定形「バ」「ウ、タ・ナイ・ナル、。(マル)、トキ、バ」をつけて活用します。『語幹+(活用語尾)+アトニ続ク言葉』の順で、形容詞「美しい」・形容動詞「静かだ」を実際に並べてみます。 未然形 美し(かろ)ウ 静か(だろ)ウ連用形 美し(かっ)タ 静か(だっ)タ 美し(く)ナイ 静か(で)ナイ 美し(く)ナル 静か(に)ナル終止形 美し(い)。 静か(だ)。連体形 美し(い)トキ 静か(な)トキ仮定形 美し(けれ)バ 静か(なら)バ注1】形容詞は連用形で「ございます」に続く「う」の音が出てくる使い方があります。「美しゅう(ございます)」や「ありがたい」が「ありがとう(ございます)」など。普段は「ございます」をつけないで「ありがとう」と使っていますね。こういうのを形容詞の「ウ音便」といいます。「ございます」をつけると形容詞は「う」の音が出てくるのです。「音便」についての説明は後日にします。注2】形容動詞の仮定形には「バ」をつけずに使うことがあります。「大切なら(バ)、ちゃんと片付けなさい。」など。注3】「ない」は「動詞の未然形」につきますが、「形容詞・形容動詞では連用形」につきます。これは重要なポイントです。「美しく(ない)」を動詞と同じように未然形と答えてはいけません。連用形です。何故なのかはまた少し文法のお話が進んでから説明します。 さて、先ほどの表の活用語尾だけ書き集めてみると、形容詞は活用語尾は「かろ、かっ・く・(う)、い、い、けれ」形容動詞の活用語尾は「だろ、だっ・で・に、だ、な、なら」となります。言い間違いで覚えてしまうなら、最後に「ど」をつけて、形容詞は「かろかっく(う)いいけれ」ど。「彼かっこ(う)いいけれ」ど。なんて覚えてしまうことができます。形容動詞のほうは何年やってもいいのが思いつきません。「だろだっでにだななら」→「太郎立って二度おなら」。ダメです。下品。何かいいのがあったら投稿して下さい。◎ ここまでのポイント 形容詞・形容動詞を導き出す言葉「ウ・タ・ナイ・ナル。(マル)・トキ・バ」 形容詞の活用語尾 「かろ、かっ・く・(う)、い、い、けれ」 形容動詞の活用語尾 「だろ、だっ・で・に、だ、な、なら」これらを使って形容詞・形容動詞の活用形が見分けられればよいのです。さて、実際に例題を考えて見ます。例題)次の傍線部の言葉が形容詞・形容動詞のどちらか判定し、さらにその活用形を答えよ。1 美しくない。2 美しかった。3 美しい湖4 きれいな絵5 きれいです。6 きれいなら掃除しなくてもよい。1「く」になるのは形容詞の『連用形』。「未然形」と間違えないようにしましょう。動詞は「あとに続く言葉」で見分けるのですが、形容詞・形容動詞は活用語尾で見分けるようにした方が安全確実です。2「かっ」になるのも形容詞の『連用形』。3「い」で終わるのは形容詞の終止形?連体形?両方とも「い」で終わりますね。困った。後を見ると「湖」とあります。「湖」は体言ですね。だから、答えは体言の前につく『連体形』というわけ。形容詞では「終止形」と「連体形」の区別がよく問われます。後に体言がついているかどうかを見るのがポイント。4「な」の音が出てくるのは形容動詞の『連体形』。「きれい」は「きれいだ」という形容動詞の一部で形容詞と考えてはいけないのでした。後に体言の「絵」があると考えてもよろしい。5ちょっとびっくり。形容動詞は「だ」ばかりでなく「です」で言い切りの形となってもよいのを忘れていませんでしたか。後に「。」がつくから『終止形』です。「です」を使うときの活用表は教科書などで確認しておいてください。6「なら」という形になるのは形容動詞の『仮定形』でした。後に「バ」をつけずに使う用法もあるのでした。もう一度、上記の説明箇所を確認してください。言い間違いで形容動詞の活用を覚える方法があったらぜひご投稿下さい。今日はここまで。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/08

前回は動詞の活用形でした。今回は動詞の活用の種類。 前回の活用形で使った「あとに続く言葉」のうち、「ナイ・マス・。・トキ・バ・命令口調(ヨ)・ウ・ヨウ」を使って「書く・見る・寝る」という動詞をそれぞれ活用させて見ると次のようになります。 「書く」は「書かナイ・書きマス・書く。・書くトキ・書けバ・書け(ヨ)・書こウ」となって活用語尾は「か・き・く・け・こ」の5つの音が出てきます。このように「ア・イ・ウ・エ・オ」の五段全ての母音を使って活用する動詞を『五段活用動詞』と言います。 「見る」は「みナイ・みマス・みる。・みるトキ・みれバ・みろヨ みヨウ」となり、活用語尾だけ集めてみると「み・み・みる・みる・みれ・みろ・み」と「み」の音ばかりを必ず使います。このように「イ音」という上一段(かみいちだん)の音を使って活用する動詞を『上一段活用動詞』と言います。 「寝る」は「ねナイ・ねマス・ねる。・ねるトキ・ねれバ・ねろヨ ねヨウ」となり、活用語尾だけ集めてみると「ね・ね・ねる・ねる・ねれ・ねろ・ね」と「ね」の音ばかりを使います。このように「エ音」という下一段(しもいちだん)の音を使って活用する動詞を『下一段活用動詞』と言います。 上記の3つの活用を使う動詞は種類が多いのですが、分類上、これにどうにも当てはまらない特殊な活用の動詞があるのです。それが「来る」と「する」です。 「来る」は「こナイ・きマス・くる。・くるトキ・くれバ・こいヨ こヨウ」となり、活用語尾を集めてみると「こ・き・くる・くる・くれ・こい・こ」と母音がコロコロ入れ替わります。カ行を使った変な活用をするので『カ行変格活用』と名前がつけられました。略して『カ変』といいます。『カ行変格活用』は日本語に「来る」の一語のみです。 一方、「する」はさらにやっかいで、「しナイ・しマス・する。・するトキ・すればバ・せヨ・しろヨ しヨウ」となるのですが、ほかの動詞と違い、未然形に「さレル・せヌ」といった「さ・せ」が出てきてしまいます。これは上一段や五段とは全く違う活用のしかたです。サ行を使ってメチャメチャ変化するので『サ行変格活用』と言います。略して『サ変』ともいいます。単体の「する」だけではなく、「研究する」「勉強する」「学習する」など「する」と合体してできる「複合サ変」というのも同じ活用をします。 さて、ここまでで5つの活用の種類が出てきましたから、区別のしかたと一緒に整理してみます。記憶する順番も考慮して配列も変えてみます。◎ ポイント 動詞の活用の種類の確認事項。《特殊な変化》 まず暗記してしまおう!見分けを使ってはいけない!カ行変格活用 「来る」一語のみサ行変格活用 「する」「~する」の形のみ《数が多く見分けを必要とするもの》 活用の最初の未然形で見分けがつきます。「ない」という言葉をつけてみて「ない」の前の字の音で判断します。あとでやり方を述べます。五段活用 「ない」をつけて前の字の音を伸ばすと「ア」になる。 「書かア-ない」→「書く」は『五段活用』です。上一段活用 「ない」をつけて前の字の音を伸ばすと「イ」になる。 「見イ-ない」→「見る」は『上一段活用』です。下一段活用 「ない」をつけて前の字の音を伸ばすと「エ」になる。 「寝エ-ない」→「寝る」は『下一段活用』です。 以上のポイントを使って『ムカつく』って何段活用の動詞か考えて見ましょう。 「来る」でも「する」でもないから、見分けるために「ない」をつけてみて「ない」の前の字の音を伸ばして考えます。「ムカつかア-ない」となって「ア」の音が出てきます。だから『五段活用』というわけです。「むかつかなアーい」と女子高生みたいに「な」の音を伸ばして考えてはいけません。「ない」の前の字を伸ばして考えるのです。少し例題で練習してみましょう。例題)次の動詞の活用の種類は何か。1 話す2 起きる3 出る4 勉強する1は「話す」に「ない」をつけてみて「話さ-ない」とします。「話せ-ない」と考えてしまうと誤りです。「話せ-ない」は「話せる」の未然形であって「話す」の未然形ではありません。「話さ-ない」と作ったら、「ない」の前の字の「さ」を伸ばして読んでみます。「話さア-ない」となって「ア」の音が出てきて、上記の見分けの表で調べてみると、「ア」の音が出てくるのは「五段活用」だとわかります。2の「起きる」は「ない」をつけて「起き-ない」とし、「ない」の前の字の「き」を伸ばして読んでみると「起きイ-ない」となって「イ」の音が出てきます。そこで「上一段活用」だとわかります。3の「出る」も同じ要領です。「出る」に「ない」をつけて「出-ない」とし、「ない」の前の字の「で」を伸ばして読んでみると「でエ-ない」となって「エ」の音が出てきます。そこで「下一段活用」だとわかります。決して「出なアーい」と「な」の音を伸ばさないように注意しましょう。全部、五段活用動詞として間違えてしまいます。4は「勉強する」ですから「勉強し-ない」と考えた人は誤りです。そのままでいくと「イ」の音が出てきますから「上一段活用」と考えてしまうことでしょう。「~する」ですよ。「サ行変格活用」じゃないですか。「~する」を見たときは絶対に「ない」をつける前に「サ変」と見抜けるようになってください。「サ変」と「上一段」は最初は同じ「イ」の音で始まりますが、途中の音の変化が違うのでした。テストでは出題者はここを狙っています。「カ変」も同じです。「来オ-ない」などと作って「オ」の音になるのはと考えていたら百万年考えても答えは出ません。「来る」を見たらすぐ「カ変」と答えるのです。 【最後に注意点】「活用形」と「活用の種類」って何が違うの?なんかややこしいと感じる人も多いかと思います。「活用形」は未然形とか一つ一つの活用の形で、「活用の種類」の方は未然形から命令形までの6つの活用のしかたにつけられた名前です。 だから「活用形」は何?と聞かれたら、「○○形」と同じ漢字3文字で考えるようにし、「活用の種類」は何?と聞かれたら、同じ5文字の「上一段活用」とかで「○○○活用」と答えるのです。答え方を間違えるという人が毎年あとを絶ちませんので厳重に注意しておきます。長いほうなのか、短い方の答えを書けばいいのかちゃんと判断をつけられるようになってください。 今日はここまで。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と【管理人独り言】テーブルタグで活用表が作りたかったのに結局できませんでした。いつか書き直します。トホホ。
2005/06/07

昨日に引き続き、用言の活用のお話。昨日の予告で「遊ぶ」という動詞は実際には活用(変化)させて使うのだといいました。ほかの動詞・形容詞・形容動詞にも活用があります。今日はまず、動詞の活用形に絞ってまずお話しをします。 以前、お話した橋本進吉先生たちは日本語の動詞を調べあげ、それぞれ『後に続く言葉』によって6通りの形の使い方しかしないことを突きとめました。大変な作業であったろうと思います。そして、それぞれの活用の形に名前をつけたのです。これを『活用形』といいます。活用形には『未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形』の全部で6つがあります。 もう一度「遊ぶ」を使って、6つの活用形を整理すると次のようになります。遊ば-ない 未然形 まだしない・してないという意味を表わす形 「遊ぼ-う」も未然形。遊び-ます 連用形 下に助動詞などがつき述語(用言)となる形 「遊ん-だ」も連用形。遊ぶ-。 終止形 句点「。」がついて文の終わりとなる形遊ぶ-こと 連体形 こと・とき・ものなど体言につながる形 遊べ-ば 仮定形 「もし(仮定)の意味で「ば」に続く形遊べ-(よ) 命令形 命令する意味で使う形 漢字の部分は変わらないことに気づきましたか?この変化しない部分を『語幹』といいます。風が吹いても揺れない「木の幹」のようなものということでしょう。一方、漢字のすぐ後にくっついている部分は「ば・び・ぶ・ぶ・べ・べ」と変化しています。ここを『活用語尾』と言います。『語幹』と『活用語尾』をあわせて『活用形』と言います。さらに、その後の「ない・ます・。・こと・ば・(よ)」を『あとに続く言葉』と言います。 【注1】動詞によっては「見-ない」のように語幹であるはずの漢字と活用語尾が一つにまとまって、すぐ『後に続く言葉』がついてしまうこともあります。この場合は「語幹はない」と考えます。また、「見る」を活用する場合は、未然形に「見-よう」連用形に「見-た」があり、動詞には、ふつう未然形に「う・よう」連用形に「だ・た」のそれぞれどちらかを使い分けます。ここでは、その接続の話まではしません。 さて、『下に続く言葉』で活用形の名前をつけたのですから、『下に続く言葉』で活用形を見分けることができるようになればいいんです。未然形から順に『下に続く言葉』を「ない、(よ)う、だ(た)、ます 。 こと、ば、よ」と並べてみました。最後の命令形には命令口調であれば無理に「よ」をつける必要はありません。「内容だます。言葉(よ)」とまず覚えてしまってください。(*注2)◎ ポイント 活用形は『あとに続く言葉』で見分ける! 「内容だます。言葉(よ)」をまず覚えよう。具体的には、『あとに続く言葉』を使って、次のような問題に答えることができればいいのです。例題)傍線部分の動詞の活用形は何か。1朝顔の花が咲かない。2公園に行きます。3泳ぐことは苦手だ。1は傍線の直後に「ない」がついているので、傍線部分は「未然形」です。2は直後に「ます」がついているので連用形です。要するに、傍線の『あとに続く言葉』で見分ければいいのです。3は直後に「こと」とあるので連体形です。いやでも『あとに続く言葉』を覚えておかなければ活用形の名前を答えることはできません。とりあえず「内容だます。言葉よ」と覚えてくれれば、7、8割はこの手の問題は解けるようになります。しかし、もっと突っ込んだ問題もあります。例題の続き)次の傍線部分の動詞の活用形は何か。4お使いに行かせる。5このキノコは食べられる。6こっそり隠しておいたお金。7勉強するのは嫌いだ。 すぐにはちょっと分からないでしょう。そこで『あとに続く言葉』を拡張して覚えておくと対応できる幅が広がります。『活用形のあとに続く言葉』(拡張版) 未然形 ない、ぬ、う・よう、れる・られる、せる・させる連用形 「、」(読点)た・だ・で・て・ます 終止形 「。」(句点)~から連体形 こと・とき・もの・の 直後が体言仮定形 ば命令形 命令口調(よ) 例題の続き)の解答は、4「行かせる」は「せる」がつくので、前の一覧で調べると、未然形。5食べられるは「られる」がつくので未然形。6「隠して」は「て・で」がつくので連用形。7は「勉強するの」の「の」は「こと」という意味の体言と同じです。したがって、連体形です。「の」の部分が「時間・場所」という体言になっても同じ連体形と答えます。 特に、未然形と連用形をしっかり覚えておくと、この範囲の文法はほぼ満点を狙えます。もう一度、未然形につくのは「ない、ぬ、う・よう、れる・られる、せる・させる」。連用形は「とうてん、ただでてます」と覚えておきましょう。◎ 活用形を見分けるためのポイント1 未然・連用・終止・連帯・仮定・命令の6つの活用形をまず覚える。2 あとに続く言葉で活用形を見分ける。 「ないようだます。ことば(よ)」は最低でも覚える。3 あとに続く言葉(拡張版)まで覚えたらほぼ完璧。最後に、最高レベルのいじわるな問題です。8)早く歩きなさい。 傍線部分の活用形は何でしょうか。命令形だと思い込む子が多いのですが、「なさい」という『あとに続く言葉』は紹介していませんね。知らないものが出てきてしまった場合は、知っているものに置き換えてみます。「ない・よう・だ・ます・。・こと・ば・(よ)」のうち、「なさい」と置き換えられるのはどれでしょうか。「なさい」と置き換えて読んでいくと「歩きない・歩きよう・歩きだ・歩きます・歩き。・歩きこと・歩きば・歩きよ」→「歩きます」だけが通じる日本語です。したがって「歩きなさい」の「歩き」は連用形だったのです。こんなふうに困ったときは、覚えたもので『置き換えて考えてみる』というのが応用です。ちなみに、命令形と誤解するのは「なさる」の命令形、「なさい」に反応してしまうからです。かなりできる子でもコロコロ引っかかります。傍線が引いてあるのは連用形の歩きのほうです。今回は少し難しかったかも知れません。問題を通じて何度も確かめながら身につけてください。 今日はここまで。【*注2】この教え方は私のオリジナルではなく『国文法入試の達人』 小鹿良太 文英堂 1993/09出版 によるものです。(現在入手不可 紀伊国屋書店Bookwebにて確認済み)塾の先生が書いたとても参考になる本でした。小鹿良太さんの本はほかにも出ているようですね。最近追っかけてなかったので私も勉強させてもらいます。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/06

前回までの文節と単語のお話から少し飛んで、今日は用言の活用のお話。用言に関係するところで、今日のお話までは中学受験にも必要です。 まず、国文法を攻略していく上で、ぜひ、覚えておいてもらいたいのが、「体言」と「用言」という言葉です。 「体言」とはものやことがらの名前を表す言葉で「名詞」とも言います。机や本、鉛筆、犬、猫、花など、動植物、人や生き物の名前も含めて、ものの名前を表す言葉をみんな「体言」といいます。姿や形のないものでもよろしい。愛、勇気、平和、友情、楽しみ、悲しみなど形のないことがらを表す言葉も「体言」です。表現技法では「体言止め」なんていうのがあって、聞いたことがあるかもしれません。中学受験段階なら「名詞止め」として習っているかもしれません。とりあえずどちらでもいいですから、「体言」とは何かということをまずしっかりつかんでください。今、説明した「体言」は作文を書こうとするときは全部「主語」として使うことができます。主語は「~は・~が」と使う言葉でした。例えば 花は美しい。 主語は「花が」です。主語に使われている「花」という言葉を「体言」といいます。では、「美しい」というのはなんでしょう。普通、文末にきて「どうする・どんなだ」にあたる部分は「述語」といいました。この「述語」として使う言葉を「用言」というのです。少し荒っぽい説明ですが、とりあえず今はそう理解しておいて下さい。◎ ここまでのまとめ体言 ものやことがらの名前 主語として使うこともできる言葉 用言 「どうする・どんなだ」という述語として使う言葉準備ができました。今日は体言と用言のうち、「用言」の方を詳しく見ていきます。ここからは、頭をよく整理しながら読んで下さい。用言として使う言葉には、実は大きく分けて三種類あります。「どうする」 食べる・寝る・遊ぶ 動作を表す言葉 「どんなだ(1)」 すごい、かわいい、かっこいい 様子・状態を表す言葉「どんなだ(2)」 いやだ、きらいだ、大変だ 様子・状態を表す言葉 これらの言葉にはそれぞれ名前があります。最初から順に『動詞』『形容詞』『形容動詞』といいます。自分でどんな言葉があるか集めてみるといいかもしれません。もう一度、特徴と意味を整理します。 動詞 動作を表す言葉で、最後の音は「る」以外にも、『ウ段の音』になる言葉です。他の例も挙げておくと「読む・書く・聞く・話す」。「本がある。」の「ある」もそうです。ケンカで例を挙げるなら「なぐる・ける・たたく・つねる・かみつく」。ホント「むかつく」もそうです。 形容詞 様子・状態を表す言葉で、最後の音は必ず『~い』になります。「美しい」を例に出している本が多いのですが、他に「うれしい・楽しい・恥ずかしい」など。「白い、黒い」など色の表現もありますし、皆さんがよく使う言葉で言うと「クサい、キモい、ショボい」がそうです。 形容動詞 様子・状態を表す言葉で先にあげた形容詞とは別に、最後の音が『~だ』になります。『~です』と使う場合もあります。「静かだ、きれいだ」がよく例にあげられます。◎ ここまでのポイント 用言は三種類!!用言には三種類あることを特徴とともに覚えましょう。動詞 最後の音が『ウ段』 食べる・寝る・遊ぶ形容詞 最後の音が『~い』 すごい、かわいい、かっこいい形容動詞 最後の音が『~だ・~です』 いやだ、きらいだ、大変だ【注1】 最後の形容動詞には注意すべき点があります。「だ」で終われば何でも形容動詞になるのではなくて、「だ」を「な」に変えても不自然な日本語にならないことが条件です。 「静か(だ)」→「静か(な)」 「嫌い(だ)」→「嫌い(な)」次のようなものは形容動詞ではありません。 例)これは「本だ」。 あれは「小鳥だ」。「だ」を「な」に変えると不自然な日本語になります。流行している本で言うと『問題な日本語』という表現がそうです。中学受験、もしくは助動詞をまだ習っていない中学生の人は、こうした「だ」を「な」に変えて見分ける方法をしっかり覚えておいて下さい。◎ ポイント 「だ」と「な」を交換できるのが形容動詞。【注2】 「きれい」を形容詞と考える間違いもよく見られます。「きれい」は形容詞ではなく、「きれいだ」という「形容動詞」の一部です。 形容詞なら最後の「い」を「く」に変えることもできます。 「美し(い)」→「美し(く)」 「楽し(い)」→「楽し(く)」などと言い換えることができます。 しかし、「きれ(い)」は「きれ(く)」とすることはできません。こうした形容動詞の使い方を難しい言葉で「語幹の用法」といって、他にも「とっても静か(だ)」「もうイヤ(だ)」など「だ」をとって使うこともできるのです。もう少し解説が進めば別の説明のしかたもできますので、とりあえずこの説明で理解しておいて下さい。◎ ポイント 「きれい」は「きれいだ」という「形容動詞」の一部。 少し次回の予告をしておきましょう。 今日出てきた動詞の「遊ぶ」は「遊ばない」「遊びます」などと「遊ぶ」の「ぶ」の部分を「ば」や「び」に変えて使いますね。こういう変化があることを「活用」があるといいます。実は、用言は全てこうした音の変化をもつ「活用のある言葉」なのです。次回は用言の活用形のお話です。中学受験で出題されることはまずありません。中学2年生以上専用のお話になります。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/05
昨夜楽天広場メインテナンスで日記が書けませんでした。今夜半、文法の続きをアップロード致しますので、わざわざおいで頂いた方々申し訳ありませんでした。よろしくお願いいたします。 管理人 xenoゼノ
2005/06/05

前回に引き続き文節と単語のお話。前回は中学受験と中1用にお話しましたが、付け足しておかなくてはいけないことがあります。【単語に区切る時の注意点】 文節を見てさらに単語に区切るときは、辞書で意味を調べるつもりで言葉を区切っていくというお話をしました。その時、気をつけなければならないことがあります。例)次の文を単語に区切ったらどうなるでしょうか。ずっと本を読み続ける。よい習慣が健康を生み出す。オンライン国語塾はおもしろい。しぶしぶ国語を勉強する。普段は全く勉強しない。【注意点】単語には『複合語』というものがあって、二つの言葉が直接組み合わさって一つの言葉になることがあります。その場合は組み合わさってできた言葉で、一単語とします。「眠る+続ける」 → 「眠り続ける」で一単語 以下、同じ。「飛ぶ+出す」→ 「飛び出す」「入学+試験」→ 「入学試験」「研究+する」→ 「研究する」 (「複合サ変」ともいう)以上、合体した言葉は一単語になるという点に注意して区切ってみると、正解は次のようになります。【正解】ずっと」本」を」読み続ける」。よい」習慣」が」健康」を」生み出す」。オンライン国語塾」は」おもしろい」。しぶしぶ」国語」を」勉強する」。普段」は」全く」勉強し」ない」。最後の「勉強しない」は大丈夫だったでしょうか。「勉強する+ない」で「勉強しない」となっているのです。◎ 単語区切りのポイント『複合語』(合体した言葉)は一単語として扱う! ここまで話しておかないと、中1の問題でもうまく区切れないことがあります。中学受験と中1でここまで教えるのが必要かどうかは志望校の入試問題・定期テストの内容によって左右されます。さて、ようやく中3高校受験用解説に入ります。【中3高校受験用解説 文節と単語】 中3用には品詞の種類を一通り習っていることを前提にお話をします。 既に品詞の種類を習っている人は、「自立語」と「付属語」というのを聞いたことがあると思います。自立語は 単独で意味が分かる言葉で必ず文節の最初に来る。付属語は 単独では意味が分からない言葉で文節の最初には来ない。「付属語」は助詞と助動詞の2つの品詞のみでそれ以外は「自立語」といいます。助詞と助動詞については少し復習しましょう。1助動詞 おもに文末について文の意味を助ける働きをします。犬がほえる。犬がほえた。 「た」が助動詞です。過去を表します。犬がほえる。犬がほえます。 「ます」が助動詞です。丁寧な言い方になります。犬がほえました。「ます」と「た」の両方が一度につきました。上記のように意味を、主に文末で付け加えていくのが助動詞です。他には「そうだ、ようだ、だ、た、です、ます、らしい」などがあります。2 助詞 おもに、文中での言葉の働きを決めます。 「は、が、の、を、に、も、て、で、へ、」などをイメージしてください。次の例文の( )の中が助詞です。僕(は)お山(の)大将だ。あいつ(が)犯人だ。食べ(て)みた。公園(を)散歩する。 ここまで付属語である助動詞と助詞を確認しました。助動詞も助詞もそれぞれ一単語として数えます。付属語以外は単独でも意味が分かる自立語です。ここで、今までの例文に当てはめてみます。犬がほえる。「犬」自立語「が」付属語「ほえる」自立語 の三つの単語でできた文です。文節の区切れ目はどうなっているでしょうか。 犬 が (ネ) ほえる。自立語+付属語 / 自立語になっていることが確認できますか。文節というのは自立語の前で必ず区切れるのです。もういっちょ、いきましょう。犬がほえました。単語に分けると犬 が ほえ まし た。「犬」自立語 「が」付属語 「ほえる」自立語「ます」付属語 「た」付属語 の五単語でできた文です。自立語と付属語の頭文字をとって、それぞれ「自」「付」とあらわすと犬 が(ネ)ほえ まし た(ヨ)。自 付 / 自 付 付自立語の前で文節の区切れ目があるのが確認できますか。極端な話、実際の文でなくても文節の区切れ目を見つけることができます。例)自 付 自 付 付 自 付 自 自 付。自立語が出てきたら、その前で区切ればよいのですから、次のようになります。例)自 付 / 自 付 付 /自 付 /自/ 自 付。 文節の区切れ目が分かる、助詞・助動詞がだいたい見当がつくというのは大事なことで知らないとパソコンのワープロの入力にも困ります。「公園の中」と打ってみましょう。文節の区切れ目がわからず、まず「公園」と区切ってしまうと、「公園野中」になってしまいます。「公園の/中」ですよね。パソコンで文字を入力するにも実は国文法の知識が生きているというお話でした。◎ 文節区切りのポイント 文節の区切れ目は必ず自立語の前。オチがついたので。きょうはここまで。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/03

今日はいよいよ文法のお話の本編に入ることにします。文法の基礎になるのが『文節と単語』です。中学受験と中学1年生用の解説と中3高校受験用の解説を分けてお話します。今日は中学受験・中1用解説から。【中学受験・中1用解説】 まず「言葉の単位」ということから説明します。一番大きな言葉のまとまりは「文章」です。次に「段落」。そして、句点「。」で区切られる「文」という順番です。「文章」→「段落」→「文」 とここまではいいですね。さらに、細かく区切っていくと「文章」→「段落」→「文」→「文節」→「単語」 となります。一番最後の「単語」が『言葉の最小単位』と言ってこれ以上細かく分けることはできません。文を細かく区切った言葉の単位「文節と単語」というのが新出ですね。中学受験または中学校1年生で初めて習うのです。その「文節と単語」とは何か、それぞれ見て行きましょう。1 文節 文はさらに細かく「文節」に分けることができます。意味が壊れないように文の途中に「ネ・サ・ヨ」を入れながら読んでみます。そうしてできたまとまりを「文節」といいます。次のような文で考えて見ましょう。例)きのう、俺は弟と公園に行った。これを文節で区切るときのう(ネ)俺は(ネ)弟と(ネ)公園に(ネ)行った(ヨ)。となります。「ネ」を使わずに少し不良っぽく読んでみると、きのう(ヨォ) 俺は(ヨォ) 弟と(ヨォ) 公園に(ヨォ) 行った(サ)。なんて区切ってもよろしい。いくつの文節に区切ったか数えてみると、全部で五文節の文だということが分かります。【練習】次のような例はどうでしょう。文節に区切って文節の数を数えてみてください。きのう、俺は弟と公園に行ってみた。朝起きたときは、辺りはまだ暗かった。正解はきのう(ネ)俺は(ネ)弟と(ネ)公園に(ネ)行って(ネ)見た(ヨ)。 【六文節】朝(ネ)起きた(ネ)ときは(ネ)、辺りは(ネ)まだ(ネ)暗かった(ヨ)。 【六文節】 自分が区切ったのと違うぞという人もいると思います。普通、文節で区切るときは、「~て・で」に出会ったら、必ずそこで区切るようにしてください。「ネ・サ・ヨ」で区切るとだけ教えてもらっていると、3割くらいの人が「~て・で」の後で区切らない人が出てきます。また、「とき・こと・もの」などひらがなで書かれている名詞の前では必ず区切ってください。うっかり区切らない人がいますので注意しましょう。どうしてそこで区切らなければいけないのかは一通り文法を学習してから戻って考えないと理解できませんから、とりあえずそうやって区切るのだと考えておいて下さい。◎ 文節区切りのポイント 文を「ネ・サ・ヨ」を入れながら文の意味が壊れないように区切る。ただし、「~て・~で」に出会ったら、後で区切る。 「とき・こと・もの」の前で区切る。ということを忘れないようにしましょう。2 単語 「単語」は文節に区切ったものをさらに細かく区切ったまとまりです。先ほどの例でもう一度見てみましょう。例)きのう、俺は弟と公園に行った。きのう(ネ)俺は(ネ)弟と(ネ)公園に(ネ)行った(ヨ)。上記のように文節で区切ったものを、単語に区切ってみます。区切れ目に 」 をつけてみます。きのう」 俺」 は」 弟」 と」 公園」 に」 行っ」 た」。 文節に区切ったときよりもさらに細かくなっているのは分かりますか?単語に区切るときのコツは、辞書で意味調べをするつもりで言葉のまとまりを考えながら区切って行くことです。 最初の文節だった「きのう」は「き-の-う」とバラバラにしてしまっては辞書で言葉を調べることはできません。「きのう」で一単語といいます。 さらに「俺は」は、そのまま辞書に載っているわけではないので、「俺-は」と考えて「は」を取り外します。そうすると「俺」という言葉を辞書で調べることができます。「俺」と「は」はそれぞれ別の単語というわけです。 あとは同じ要領なのですが、最後の「行った」はどうでしょう。「行った」というのが「行く+た」と見抜いて「た」を取り外せたら正解です。「食べた」「遊んだ」「寝た」などもそれぞれ「食べる+た」「遊ぶ+だ(た)」「寝る+た」と考えるのです。【練習】次の文を単語に区切ってみて下さい。先ほどと同じ例文です。きのう、俺は弟と公園に行ってみた。朝起きたときは、辺りはまだ暗かった。正解はきのう」、俺」 は」 弟」 と」 公園」 に」 行っ」 て」 み」 た」。朝」 起き」 た」 とき」 は」、辺り」 は」 まだ」 暗かっ」 た」。【補足解説】「行ってみた」は「行く+て」「みる+た」 → 行っ」 て」 み」 た」「起きた」は「起きる+た」→ 起き」 た」「暗かった」は「暗い+た」→ 暗かっ」 た」になることはちゃんと見抜けたでしょうか。◎ 単語区切りのポイント 文を文節に区切ったあと、文節ごとに辞書で意味調べをするつもりで言葉を区切っていくのです。 中3高校受験用の解説は今日の分が長くなりそうなので明日に回すことにします。……つづく。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/02

本格的な中学受験と高校受験の国文法についてお話しする前に「ゼロ講」と称して中学受験と高校受験の国文法の概観しておく必要があると思いました。今回のお話はご父兄・指導者向き。もちろん小学生・中学生の方が読んでも構いません。 中学受験と高校受験の国文法の違いというと中学受験では主に、以下に掲げた内容がよく出題されます。旺文社「出る順ことばの問題」とかも参考になりますね。中学受験国文法の重点項目1 主語・述語・修飾語などの文の成分に関する問題2 言葉の種類を見分ける品詞の区別の問題3 助詞・助動詞の意味用法の区別の問題4 「もし~なら、決して~ない」などと使う副詞の用法の問題5 敬語の用法(解説済み) 実際、教える方としては小学生に対しても中学生とほぼ同じ内容をコンパクトにして伝えなければならないと考えています。ただ、中学受験のほうが言葉の感覚で解いてくれといっている印象はあります。また、志望校の過去問を研究すると細かい文法ほとんど出ないに等しい学校もあって、あまり余分な勉強にならないようにした方がよいかと思います。上記の範囲では中学受験と高校受験の区別をする大きな必要性は感じられないので、該当箇所を拾って読んでいただくのがよいかと思います。 中学の国文法の学習項目については、教科書「教育出版・中学国語」で整理してみると次のようになっています。 1学期 2学期 3学期 中1 文節と単語 文の成分 単語の種類中2 用言の活用 助詞 助動詞中3 連用修飾語 - - 敬語の種類 以上のような配列は他の出版社の教科書でも大体同じです。ただ、この教育出版の教科書では、入試によく出る「連体詞」の項目が弱く補充が必要です。学校の先生が配慮して一通りやってくれていれば大丈夫です。6月は中学校の定期試験もあるでしょうから各学年の1学期相当範囲について、まず記事を書いておき、あとでつながるように埋めていくという順で筆を進めることにします。 さて、文法は何のために勉強するのという疑問を持つ人も多いかと思います。覚えることが多くていやになってしまうと。英語の場合と同じで、突っ込んだ文法は文法問題のための文法になってしまうということが確かにありますが、文法を知ることで読解の助けになることはそれ以上に多くあります。例えば、主語や述語、係り受け(修飾関係)の知識は直接、読解に役立ちます。中学校で習う五段活用とか未然形というのも、高校で古典文法を学ぶための準備だとも言えます。それでも、生徒は、「国文法を勉強するのは国語の先生になる人だけでいいじゃん。」と感じるかもしれません。それに対して強くは反論できない事情があります。 現在の国文法(口語文法)、特に学校口語文法は、戦前、東大の橋本進吉博士が考えられた体系で、『橋本文法』といいます。もう60年近くもずっと手を加えられることなく続いています。そのほかにも時枝(ときえだ)文法とか有力な文法体系がいくつか存在します。そこには私など素人では計り知れぬ、日本語のとらえ方に関する問題が横たわっています。例えば、学校文法で「形容動詞」を習っても、国民の信頼度がもっとも高いとされている辞典、『広辞苑』を引いても「形容動詞」はどこにも載っていません。『広辞苑』では「形容動詞」(「平和だ」など)という概念を取らずに、「名詞+だ(助動詞)」と考えて語句が収録されています。ですから、学校で習う文法が絶対だとかいえないわけです。「形容動詞」を知らない新人の先生が入ってきたとき、同僚は笑ったのですが、これは無理からぬことで「形容動詞」を教えない先生がいたとしてもおかしくはないのです。(でも、不親切だとは思います。) さらに、外国人に日本語を日本語教師として教える場合は「形容詞」(美しい・楽しいなど)と「形容動詞」(静かだ・きれいだなど)とはせず、「イ形容詞」「ナ形容詞」(語尾を「な」として使えるもの)と区別して今でも教えていると思います。そうした異論の多い学校口語文法を習っているのだということは承知しておいた方がよいだろうと思います。将来、子どもたちの中から強い疑問を持ち続け、新たな国文法の体系を築いてくれる人が出てきてくれるのかもしれません。変な話、「何で文節っていうの?」と聞かれたら「橋本先生がそう名づけたの。」(答えになっていない)とそういうことを冗談で言ってしまったりします。(本当に文節の「節」と言えるのかはまた後述。) こうした異論の多い学校口語文法を、よく問われることを中心にどうせなら要領よく楽しくやっつけてしまおうということです。ただ筆者の性格上、突っ込んで解説してしまうこともあるかと思いますのでその節はご了承下さい。次回、中1の「文節と単語」からお話を始めます。 今日はここまで。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/06/01

前回までで漢字の頻出事項の解説はほぼ終わりました。今回はリクエストがありましたので、いよいよことばのきまり(文法)をお話しようと思います。とはいっても敬語法は教科書ではメインで扱われることはないのですが。敬語は小学校でも、中学校でも必ず扱うことになっています。面接試験でも必須の知識です。◎ 敬語の種類 敬語は相手を尊重する気持ち(敬意)を表すために使われる言葉遣いです。 まず、大まかに3種類を押さえて、高校受験用にはさらにもう一種類を理解してください。まず、最初の三つ。1 尊敬語(そんけい語) 「相手を敬って(うやまって)いう言い方」なんてよく参考書などに書いてありますが、「目上(相手)の動作」を言うときに用いられると押さえた方が実践的です。主語を見るとちゃんと目上の人に使っています。 例)おっしゃる(言う) いらっしゃる(行く・来る) お客様のおっしゃる通りです。 先生はどちらにいらっしゃるのですか。2 謙譲語(けんじょう語) これも「相手を高めるためにへりくだっていう言い方」なんて解説がつきますが、「自分自身や自分の身内の人の動作」を言うときに用いると押さえます。 例)申す・申し上げる(言う) 参る・伺う「うかがう」(行く・来る) お客様に申し上げます。 こちらから先生のお宅に伺います。3 丁寧語(ていねい語) 「ていねいにいう言い方」と説明されることが多いのですが、実際は次の三つを覚えておけば足りてしまいます。 例)です・ます・ございます → この三つは覚えてしまって下さい。 失礼致します。 この服がお似合いでございます。高校受験ではもう1つ。4 美化語 美しくいう言い方。「お・ご+名詞」 お茶 お水 ご飯 お味噌汁 お金【注1】「お話になる」の「お話」や、「ご研究になる」の「ご研究」などは「尊敬語」です。相手への敬意が含まれるからです。一方、「お勧めする」の「お勧め」や「ご報告する」の「ご報告」など自分の行為を言うときは「謙譲語」です。相手への敬意は直接含まず、上品に美しくいう言葉を「美化語」といいます。そうした改まって言うときに用いる「美化語」は、動作そのものを表すよりも「お・ご+名詞」の形になることが多いので覚えておきましょう。例えば、「お紅茶・お机・おかばん・おビール」とまで言われると私とは縁のない上流階級の方のお話。【注2】中学受験では尊敬語・謙譲語・丁寧語を漢字で答案を書けなくても減点とはされないでしょうが、高校受験では漢字で書けるように努力して下さい。◎ 敬語の種類のポイント1 尊敬語 (そんけい語)「目上(相手)の動作」を言うとき。 2 謙譲語(けんじょう語)「自分や身内の人の動作」を言うとき。3 丁寧語(ていねい語) 「です・ます・ございます」 高校受験ではもう1つ。4 美化語 美しく言う「お・ご+名詞」さらに、ぜひ覚えておいてほしいことは実際の敬語の使い方です。◎ 尊敬語と謙譲語の区別 もっとも間違いが多いのは、尊敬語と謙譲語の区別で、次の表からまず確実に覚えておきましょう。この表は超重要です!!! 尊敬語(お客様が) 謙譲語(私(の母)が)言う おっしゃる 申す(申し上げる)見る ご覧になる 拝見する食べる 召し上がる 頂く・戴く(いただく)行く・来る いらっしゃる 参る・伺う(うかがう)する なさる 致す(いたす)【注3】「戴く(いただく)」は「もらう」の謙譲語としても使います。【注4】 よく出る質問が、「来る」は「来られる」「おいでになる」を尊敬語としてはダメなんですかとか、「行く」は「お出かけになる」を尊敬語としてはいけないんですかという質問です。もちろん敬語として正解です。出題者のほうも書き換えや敬語の正誤問題のとき、このあたりのことに注意して、助動詞の「れる・られる」を使うなとか、「お・ご~(接頭語)」を使うなと条件をつけたりしますが、何か不自然な気もします。採点が煩雑(はんざつ)になるからといって無理に答えの範囲を絞ろうとするのは問題の方が悪い。むしろ、この場合の「いらっしゃる」を普通の言い方に直すとどうなりますかと問う方がすっきりすると思います。そうでなければ、適切な表現の解答であれば全て正解とするとしてよいのではないでしょうか。【注5】高校受験(中3のみ) 次のような尊敬語・謙譲語の表現も押さえておきましょう。お宅「相手の家」 ⇔ 拙宅(せったく)「自分の家」貴社・御社(おんしゃ)⇔ 小社(しょうしゃ)「相手の会社」 「自分の会社」ご子息 ⇔ 愚息(ぐそく)弊店(へいてん)「自分の店をへりくだって言うとき」 粗茶・粗品「自分の家で出したお茶や品物をいうとき」【注6】中学受験・高校受験ともに必要です!!! 自分の身内であれば、相手に対して尊敬語は使いません。電話などで、相手に「お父さんはいらっしゃいますか。」と聞かれて「お父さんは……。」と答えてはいけません。「父は外出中です。」「母は買い物に出かけております。」と「父は…」「母は…」と答えます。学校の面接のときも同じですよ。 また、会社でも「村上部長はおられますか。」と聞かれて「村上部長は……。」とは言いません。「村上はただいま席をはずしております。」と、たとえ上司であっても相手に対しては、身内である場合、役職とか敬語を使わないのです。 以上、敬語の種類のお話でしたが、教室に向かうとき、「先生がいらした。」と言われるよりは、子どもたちに「先生が来た!」といわれた方が気持ち悪くないのは私だけでしょうか。……今日はここまで。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/31
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