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May 15, 2010
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カテゴリ: 観る・読む・聴く



最愛の妻を亡くした江波良介は会社を辞め、かつての愛人小森日出子と再会し、イタリアを旅する。
良介には妻そっくりの大学生の娘と登校拒否の高校生の息子がいる。
人生の岐路に立った主人公が迷いながらこれからの生き方を見つけていく。


最初、特に上巻では自分勝手な主人公には共感できず、作者である宮本輝はやっぱり男だからこうであってほしいという女性を作り上げているんだという嫌悪感を抱いて読んでいた。
そして不登校の息子のほうがよほど人生を真剣に考えているように感じた。

でも下巻で、主人公のまわりの人たちの話を読んでいくと人って何歳になっても迷い、悩み、不完全なのだということに気づかされ、それに同感している自分がいた。

特に大垣老人の話においてはかなり長く書かれえており、これだけでも十分一つの作品になりそうな話だったが、それをあえて複線として書くという手法はすごいなと思った。
とにかく何人もの人たちの物語がこの本では決して軽んじられてはおらず、また主人公がその物語と関わっていくことにより、なんらかの影響を受けているんだと思った。

少なくとも間違った方向を向いていたとしても、そこにはきちんと自分の人生と向かい合おうとする真摯な姿勢がある。




私も不完全な人間。
答えはまだ朝の霧に隠れて見えない。すがすがしい朝を迎えたいものだ。





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最終更新日  May 15, 2010 10:33:04 PM
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