俳句で綴る 悠々の一年三百六十五句

俳句で綴る 悠々の一年三百六十五句

2007年11月12日
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朝がた目が覚めた。 青みを帯びた朝の光を障子越しに感ずる。 強い雨は夜のうちに上がったようで、窓のすぐそこから早起きのスズメの声が聞こえる。 少しだけ障子を開けて空を見上げた。 雲の切れ間から充分明け切らない空が見える。 そして、人になれているのか、その反対に人の怖さを知らないのか、鳴き声の主のスズメが直ぐ目の前に遊んでいる。 カメラを構えてそのスズメを被写体としてシャッターを押した。

すずめ.JPG

秋晴れを予感の今朝の雀かな

少し寒かったが、ワタシは昨夜行きそびれた川べりの露天湯へ向かった。 こんなにも早いのにもう、脱衣箱には先客の浴衣がある。 乾き切っていない昨日のタオルが素肌に冷たい。 川の流れが昨夜の雨で濁って、水量を増していた。 「おはようございます」と挨拶を交わす。 湯を汲んで、タオルを浸し、きつく絞って顔を拭き、それを畳んで頭の上に乗せてワタシも湯に浸かった。 湯の温もりが伝わってくる瞬間がたまらない。 体が温まった頃を見計らって、流れに架かる危なげな橋を裸のままで渡って、対岸にあるもう一つの湯にたどり着いた。 誰もいない、ワタシひとりの天下である。 湯は思ったよりぬる目で湯舟の底のあちこちから少し熱い湯が湧き出している。  ゆっくり湯を楽しんだ。 朝は完全に開け切って、最初入った湯に何人か人が増えたようすだ。 ワタシは再び先ほどの危なげな橋を素っ裸で戻った。  湯がぬるかったせいもあって、橋を渡る間に体が冷える。 再び、最初の湯に入って、チョッと驚いた。 ワタシが対岸を訪ねている間にご婦人の湯浴み客が…。  シマッタ! ここは混浴! 無防備なワタシ自身をご婦人の目に晒してしまう結果となり湯船に入った途端、視線が合ってニタ~ッと笑われてしまった。 (もう、クソババ~、見るな!)

バイキングの朝食を終え、支払いを済ませ、福島県の幕川温泉を目指して出発!

国道107号を横手方面へ進むことにした。

今から三十数年ほど前だか仕事で花巻に行った帰り、横手まで当時の国鉄の北上線に乗ったことがある。 錦秋湖の縁を行く列車から見た湖にうつる紅葉が今でも印象深く脳裏に残っている。 今回も、できることならあの時の景色に出会いたくて、遠回りは解っているがこのコースを走って見たかった。

しかしその予想は少し外れた。 紅葉はそのピークを過ぎたこともあってか、残念ながらあの時ほどの光景には出会えなかった。 やはり、青春のころの良い思いではそっと心の中に埋めて置けと言うことなんだろう。

山間の道が開けて横手に入った、そして13号線へ…。 十文字町の道の駅でお土産を買って、雄勝から108号線に入った。 鬼首温泉の間歇線を見て、鳴子温泉に入った。 芭蕉の「奥の細道」の俳句の中でもこの辺りの封人の家で詠んだ句はワタシにとって一番印象が深い。 「蚤虱馬の尿する枕もと」 芭蕉らしからぬ作風の句で、ユーモアに富んで興味深い。 ワタシの場合、作風なんてものは無いし、増して格調を重んずることもしない。 解り易くて、スナップ写真を撮るような感覚で、その一瞬を留められたらそれで言いと考えている。

ななかまど実も赤々とみちのく路

鳴子温泉で白濁の湯を楽しんで、古川から再び東北自動車道に乗って福島西まで、高速道路は早くで便利だが、寄り道や観光が出来ないし通行料が高いのも面白くない。 言って見れば観光向けだとは考えにくい。

土湯温泉への分かれ道を過ぎた。 葉を落したななかまどの実が赤く色付いて美しい。 午後4時を廻った。 もう、幕川温泉は目と鼻の先である。

…つづく。






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最終更新日  2007年11月12日 11時58分13秒
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Re:みちのくの旅 5(11/12)  
北の俳人  さん
こんにちは

こちらの事情とてもお詳しいので驚いております
また横手を通過したとのこと、わが町なのです
もしかしてすれ違ったかも・・・ (2007年11月12日 12時23分15秒)

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