きままな日記

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April 16, 2009
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カテゴリ: ドラマ
玉山 鉄二(上杉 景虎)



御館の乱は、養子とはいえ兄弟が争う切なさが根底にありました。
原因を作った人間あいたけれど、基本的に悪い人は出てこない。
みんながピュアであったがゆえに、こうなってしまった。
そこが一層悲しい戦だったという気がします。
薄着謙信を心から崇拝し、常に謙信ありきで生きてきた景虎にとっても、まさか謙信の死後、こんな争いが起きるなんて思ってもいなかったはずです。
北条の人質としてあちらこちらの武将のもとをたらい回しにされ、親の愛情を知らずに育った彼に、初めて"愛”を与えてくれたのが謙信でした。
そのときから景虎にとって謙信は絶対的な神のような存在で、死なないものだと思っていたんでしょうね。
それが謙信の死によって彼の中の様々なものが混乱してしまう。
プライドが高く完璧主義で自信に満ちあふれていたような景虎ですが、ひとつボタンを掛け違えたことで一気に崩壊してしまったんです。
景虎は謙信に憧れ、ある意味、謙信になりたかったんですよ。
謙信が戦の時に天候や馬のさえずり、太陽等、”天”をすごく意識していた事を知っていた景虎は、自分も同じ事をしてみたりする。
家臣たちに「月が出たら始めよう」ち言って月を待つのですが、雲がかかり雨が降ってきてしまう。
そんな時、天は自分の見方ではないのかと嘆いたり、亡き謙信は自分より景勝のほうに思いがあるのかと悲しくなったり。
そんな景虎を演じるのは苦しかったですね。
自分の家臣に裏切られたり、悲観的になったり、そういう部分で徐々に徐々に人格が壊れていく。
”悲劇の武将”という終着点に向かっていく流れや、景虎の心のバランスといったものを大事にしながら演じたいと思っていました。



景虎の怒りは悲しい怒りなんですね。
謙信が亡くなるまでは、景勝と対比しても優雅でおっとりしていた景虎が、突然、怒りもあらわに兼続に斬りかかった事がありました。
あれは、景勝に裏切られたという思いからですが、その前から自分でも意識できないほどかすかな違和感は覚えていたのかも知れない。
決して、無理に抑え込んでいたわけではないけれど、そんな心の底のとげのようなものが少しずつ積み上げられ、一つのきっかけで噴出してしまった。
そんなことだと思います。
そこから景勝に対する怒りに拍車がかかり、どうにも止められない状態になってしまったということでしょう。
ただ、それ以前はお互いの家臣たちほど相手を意識していたわけではなかったと思います。
自分こそ謙信の後継者だと念じていたわけでもない。
そこは武将同士として踏み越えてはいけないものだという思いが確実にあった。
景虎も景勝の事を信じていたし、景勝も景虎のことを信じてくれていた。
謙信が死んだことで、若干意識はしただろうけれど、それでも周りが騒いでいるだけで、謙信の跡を継ぐのは自分だと景虎が確信していたわけではなかったかと思います。
嘘の遺言のシーンがありましたよね。
あの遺言を聞きながら、景虎が「まかせた」というふうに景勝にゆっくりとうなずくという芝居があったんです。
あの時は、お互いに上杉のことだけを考えて、純粋によき越後を作れるように考えていたんだと思います。
途中で景勝に向かって「信頼している」というセリフがあったのですが、そこが多分景虎にとって最後の砦(とりで)のようなものだったんです。
それにも関わらず、裏切られたと感じてしまってからは、人格が崩れ始めていく。
何事も悪い風にという考えが雪だるま式にふくれあがってしまったんですね。




景虎は人を信じて、信じすぎて見返りを求めてしまった男だと思うんです。
実際に家臣のこともすごく信頼していましたから。
それだけに裏切られた時の反動が大きくて、それに耐える強さがなかったんでしょうね。
酒におぼれ、卑屈になり、次第に乱れていく・・・。
そんな景虎の変わりゆく様を見守り続けているのが華姫だった。
逆に言えば景虎も、華姫だけが唯一、景虎の心の救いだったのかなと思います。
それにしてもドラマの前半は本当に恥ずかしくなるくらい(笑)、二人のラブラブなシーンがたくさんありました。
そんな幸せな時間を過ごした二人に悲劇が訪れたということで、より一層感情は入りやすかったですね。
一度は心がすれ違ってしまったこともあったけれど、またお互いを信じ合う。
二転三転を経て、さらに愛情が深まっていったのだと思います。
「悲しい戦であったのう」というのが景虎の最期の言葉でした。
景虎と華姫の胸に去来していたものは、彼らにしかわからない。
景虎は自分の技量のなさがこの事態を招いたと思っていたかも知れない。
とにかく色んな感情がギュッと凝縮されたシーンでしたが、最期は二人ともある種の悟りの境地だったのかなって。
すべてを超越してしまった。
その時、かつて謙信公が生きていた頃のような美しく凛とした景虎に戻ることができたような気がします。






相武 紗季(華姫)



華姫と景虎が悲しい最期を迎えてしまいましたが、滅びゆく中にも相手を思いやるしっかりとした愛と絆を感じる事ができたので、とてもよかったと思います。
もともと華姫が景虎に恋をしたのも、ただ美しさにひかれただけではなく、きっと景虎なら自分の寂しさを埋めてくれる相手だと思ったからなんでしょうね。
一見、何不自由の無いお姫様だけど、実は華姫もまた常に孤独な面を持ち合わせていたような気がします。
それは演じているうちに気付かされた感情なのですが、この時代は血縁という絆は深くても、兄妹は離れ離れで育ち、母上にも思うように甘える事ができなかった。
その寂しさが、景虎の孤独を敏感に感じ取り、この人とならお互いの心の隙間を埋めあう事がgできると思えたんじゃないかしら。
そんな華姫の思いはすごk理解できます。
人は誰でも、甘えたい時に甘えられる事が大事だったり、どこかで自分の気持ちを曝け出せる相手が必要だと思うんです。
景虎の優しさ、穏やかさに包まれた事で、華姫は自分の寂しさが癒された。
それは景虎も同じことで、華姫にだけは心の弱みを打ち明ける事ができた。
そんな風にしてお互いの結びつきは深まっていき、血縁以上の絆が生まれていったんだと思います。



謙信が亡くなり、景虎が次第に辛い状況に追い込まれていった時、ちょっとした行き違いから景虎に背を向けられてしまいました。
あの時は、支えてあげられない自分を責める気持ちと、状況を考える事のできない葛藤で、本当に悩んだと思います。
心配だし不安だし、怒りも感じるし、悲しい気持ちにもなる。
それでも景虎に対する愛情はほんのわずかでも薄れる事はなかった。
きっともう一度、振り向いてくれると信じて、希望を持ちながら景虎に全身でぶつかっていくんです。
裏読みしたり、ひがんだりせず、一生懸命ぶつかって「わかろう、わかろう」とする。
本当に一途だし、芯の強い女性なんだなと、演じていても強かったですね。
その、まっすぐさが景虎の心を溶かすきっかげになったのですが、ただ、どうしても思いが伝わらないなら「ここで死にます」と短刀を手にしたシーンがありました。
あれは、決してカっとしたわけでも、投げやりになったのでもない。
華姫の決意を表す行為で、それが嘘っぽく見えたら絶対に景虎に伝わらない。
まさに紙一重のところだったと思います。
時代劇は初めてなので、所作やセリフにとらわれて感情移入が難しかったり、色々と悩むところもありました。
でも、完璧を求めつつも、逆に初めてなのだから出来ない事が当たり前だと思って、ためらわない。
難しくても当たり前で、できたら嬉しいし、よかったと思う。
そんな風に考えて取り組んできました。
また時代劇のセットや扮装もすごく助けになりましたね。
スタイオに入ると今まで感じたことのない感情が湧き出してくるんです。
一瞬、私はこの時代に生きているんだって勘違いするような・・・。
その場の空気が私をさらってくれたような気がします。



最期のシーンは、本当に何回もリハーサルを重ねました。
ドラマを観てくださっている方達に、どうしたら二人の感情を伝えられるのだろうかって。
ただ、死んでいくというだけでは何かが伝わらないような気がして、すごくこだわって撮っていたような気がします。
私自身は、お芝居の流れだけを読んで現場に入り、あとはその場の空気間に任せるしかないなと思っていました。
実際、スタジオに入ったらすごく悲しくなってきて。
それなのに責めるべき相手が見つからないんです。
なぜ、こんなことになったのか。
なぜ、子供を殺さなければいけなかったのか。
兼続を責めればいいのか。
がむしゃらに、色んな人を責め続けただろうと思うのですが。
道満丸の前に行きたいというセリフを言うだけで、母としての感情があふれ出し、何回本番を撮り直しても涙が止まりませんでした。
複雑な感情が絡み合って勝手に涙が出てきてしまう。
それでいて気持ちは妙に落ち着いているという不思議な感覚を味わいました。
でも、いよいよ最期を迎えた時は、切ないし悲しいけれども、どこかで幸せを感じていました。
景虎と一緒になれたことが華姫にとって一番の喜びで、その人と人生を遂げられる。
たった一人で去っていくのではない、隣に愛しい人がいて、最期の瞬間も一緒に過ごす事ができが。
悲劇の中に、その喜びを表現できたらと思っていたので、すごく切なかったけれど、笑顔で景虎を見送り、笑顔で死んでいく事にしたんです。
そのせいか、すべてのシーンを撮り終わった瞬間、とても穏やかな気持ちになりました。
そして、心の底から華姫という役を演じさせていただいてよかったと思いました。















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Last updated  April 16, 2009 11:26:49 PM
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