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2021.12.07
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カテゴリ: 雑文
アンデルセンが翻訳した有名な童話で『裸の王様』というものがあります。最近『裸の王様』についてディスカッションしたので、考察というか、思ったことを書こうと思います。
「自分がもし、裸の王様を見た子どもだったら、王様が裸だということを他人に言うだろうか?」
ディスカッションをした相手は「自分なら絶対に言う」「王様本人には言わなくても、いない所で言う」という立場でしたが、僕は「自分なら絶対に誰にも言わない」という立場でした。理由は単純で、自分が正しいということを自分自身で証明できないからです。
この話を知らない人はいないと思いますが、一応概略を書きますと……「馬鹿には見えない服」を詐欺師に買わされた王様が裸で外に出たら、純粋な子どもだけが「王様は裸だ」と指摘したという物語です。
僕には、この子どもが自分の見たままをただ何も考えず口にしただけにしか思えないのです。僕たちは何も知らない子どもではないので、目に見えるものだけが存在するわけではないということを知っているからです。
「馬鹿には見えない服なんて現実にあるわけがない」等という野暮な主張は童話なので通用しません。同じアンデルセン作品で『人魚姫』や『親指姫』等のファンタジー要素のある作品があるので、「馬鹿には見えない服」が存在するかしないかは分からない世界観の物語なのです。その物語の中のレベルの現実です。
その世界で何故、「王様は裸だ」と言えるのか。馬鹿だと思われるくらいで済むなら、自分の思ったことを言うということでしょうか。この物語は「リスクがあっても自分の信じることを口にするか?」という命題に置き換えられると思うのです。「馬鹿には見えない服」だから、緊張感のない話ですが、例えば「殺人願望がある人には見えない服」だったらどうでしょう。あるいは「国家反逆を企んでいる人には見えない服」や「国王暗殺を企んでいる人には見えない服」だったら。正直に言うことに対するリスクがもっともっと高ければ、誰しもが見たままを口にしないように思えます。事実、原作では「姦通によって生まれた人には見えない服」になっていたそうです。自分の信じる真実を口にすることで社会的に抹殺される、不利になる、あるいは本当に死刑になるようなリスクを負う必要はないはずです。
大臣や国民たちは「王様は何も着ていないように見えるけれど、それを言うと自分が馬鹿だと思われる」と思ったから何も言わなかったはずです。それは王様自身もそうです。そして、そう思って口を噤む人が多ければ多いほど、その思いは大きくなっていくはずです。
事実、あれを売ったのが詐欺師だと明かされていない物語だったら……「不思議な雰囲気の行商人が、馬鹿には見えない服を王様に売った」という物語だったら、物語が終わった時点でもなお「行商人以外の全ての登場人物が馬鹿だった」可能性が否定できません。例えば「IQ150を超えていないと見えない服」が本当にあったとして、何のためにそんな意味のない服を作ったのかとかは置いておいて、それを王様に売って、国民全員がIQ150未満であれば全員見えない可能性もあります。だから、そんな服がある可能性は捨てきれないのです。
口にすることで馬鹿だと思われるリスク。原作だと、姦通から生まれた人だと思われるリスク。そのリスクを負ってまで、真実なのか真実ではないのかも分からないようなことを口にする必要は全くないと思うのです。
そんなことを考えたのですが、皆さんはどっちでしょう。
「王様は裸だ」と言う派でしょうか、言わない派でしょうか。





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最終更新日  2021.12.07 00:31:44 コメントを書く
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