工房 北極星

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2015.02.05
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(199条  殺人の罪 殺人の罪は,故意に他人の生命を侵害する犯罪です。)

尊属殺人罪(200条)は,下記事件のため、最大判昭48・4・4により憲法14条1項に違反して無効であるとされ(くわしくは憲法で勉強してください。),その後は規定は残ったままで適用はされないという状態でしたが,平成7年改正で削除されました。

                下   記

1968年10月5日、被告人の女A(当時29歳)は実父B(当時53歳)を絞殺した。殺害の日まで被告人Aは被害者Bによって10日間にわたり自宅に監禁状態にあり、最終的に口論の末に殺害したものである。

検察が被告人Aの家庭環境を捜査したところ、被告人Aが14歳の時から実父Bによって性的虐待を継続的に受けており、近親姦を強いられた結果、親娘の間で5人の子(うち2人が幼いうちに死亡、他にも6人を妊娠中絶)を産む夫婦同様の生活を強いられていたことが判明した。さらに、被告人は医師からこれ以上妊娠すると身体が危ないと諭され、不妊手術を受けていた。

被告人Aがその境遇から逃げ出さなかったのは、自分が逃げると同居していた妹が同じ目に遭う恐れがあったからであった。そうした中、Aにも職場で7歳年下の相思相愛の相手が現れ、正常な結婚をする機会が巡ってきた。その男性と結婚したい旨をBに打ち明けたところ、Bは激怒しAを監禁した。その間BはAに性交を強要した上、罵倒するなどしたため、Aは思い余って腰ひもでBを絞殺するに至った。なお、報道機関はこのような事情を把握していたが、内容が常軌を逸していたためか、事件当時にはほとんど報道されなかった。



本件を論ずる前提として、法定刑から処断刑に至る経緯を説明する。裁判所は、刑法典に規定された法定刑の範囲の刑を元にして、二回加重減軽を加えることにより処断刑を言い渡す。これを本件について述べれば、尊属殺人罪の法定刑のうち軽い無期懲役を基礎として、まず被告人の心神耗弱による減刑(法律上の必要的減軽、刑法第39条第2項)を加えると、刑法第68条第2号[3]により無期懲役は懲役七年となり、次いで二度目の減軽(酌量減軽、刑法第66条)を加えても、懲役3年6月となり、これが処断刑の下限である。執行猶予を付すには処断刑が懲役三年以下でなければならない(刑法第25条第1項)から、このままでは、本件被告人に執行猶予を付すことはできないことになる[2]。


















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最終更新日  2015.02.05 19:06:10
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