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2020.12.09
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テーマ: 読書(8283)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



聖なるズー [ 濱野 ちひろ ]

本の目次・あらすじ


私には愛が分からない。
パートナーからの暴力を受けていたノンフィクションライターの著者は、大学院へ進学し、文化人類学におけるセクシュアリティ研究に取り組む。
テーマは、動物性愛。動物をパートナーにする人間。
言葉の通じない異種族を愛するということは、どういうことなのだろう?
著者はドイツへ渡り、動物性愛擁護団体「ゼータ」で、ズー(動物性愛者である「ズーファイル」の略語)たちに出会う。

引用



そうティナが言うと、エドヴァルドは言った。
「身体のオーガズムと、頭のオーガズムがあると思う。セックスが前者で、愛が後者じゃないかな」


感想


2020年読書:208冊目
おすすめ度:★★★★

表紙とタイトルから、「動物の出てくる重めシリアスでセンチメンタル寄りの小説」を予想していたら、修士論文をもとにしたノンフィクションだった。2019年第17回開高健ノンフィクション賞受賞。
うーん…衝撃。

パーソナリティ(個性)を備えた存在としての動物。
ペットとして扱われる動物は、子供として遇され、「性欲を感じさせない」存在とされる。
けれど本来の彼らの性はどうなる?

拒否感がある人は本当に無理な内容だと思う。動物とのセックス。
私はアニメや漫画を大量摂取して、わりとゆるゆるな倫理観なのだけど、それでも自分の中に「タブーの線引き」を自覚した。

けも(獣耳や尻尾がついているが、基本的に人型)はOK。
獣人(二足歩行で言葉を喋っても、全身が獣型)はNG。動物はNG。

私にとって、獣耳や尻尾は「アクセサリー」みたいな感じ。マンガやアニメに獣型が多いのも、ビジュアル面が大きいんだろうな。小説ではあまり登場しない。
しかし、ここの差って、やっぱり大きい。
自分自身にあるこの「禁忌」のラインや「忌避感」って何なんだろう?
それは人間の本能である、というのであれば、古くからある異類婚姻譚ってどういう意味あいを持つのだろう?

西洋では「犬に付ける名前」が決まっていて、人間みたいな名前を付けるのはおかしい、というのがある。
でも日本ではそうでもない。(まあ、「わさび」とか「マカロン」とかあるけど。)
私はどうしてもそういう方面に意識がいってしまうので、言語的な面から動物と人間のかかわりを見てみたくなった。

ゼータのズーたちは、著者も書いているように古風でロマンティックな愛を貫いている。
なんというか、めちゃくちゃ純度の高い愛情。

そうではないのだと思う気持ちが8割で、2割くらいなのだけど。
だって、同じ空間にいてもその人と恋人になるとは限らない。
でも、一緒に暮らす動物とパートナーになるって、そうセットされているというか…。
種としての「大きさ」がパートナーになりうるかどうか(セックスできるかどうか)というのも、何だか納得いかなくて。
ううううん、ここらへんの言葉に出来なさ、割り切れなさ。

ズーにもゲイとレズビアンがいて、さらにそれがパッシブ・パート(下・受)とアクティブ・パート(上・攻)に分かれるというのも、人間の状態であればそのバリエーションがあることが理解できるのに、動物が相手でもそうか!そうだよな!と、そこにまったく意識が行っていなかった自分にびっくりした。
世の中ってきっぱりくっきり分けられるもののほうが少なくて、グラデーションとバリエーションの合間に存在しているよね。

ただ、寿命の違いという問題があって、愛しては別れる、というのは辛いだろうな。
寿命の長い龍と瞬きの間にこの世を去る人間、みたいな創作を読むと、「うああああああ!!!」と叫びたくなるのだけど、それを感じた。
それを人生まるごと愛することが出来ると取るか、どうか。

しかし、愛とセックスって何なんだろうね。
食欲や睡眠欲と性欲、そうじゃないところにあるもの。

2020.01.16  劇団雌猫『誰になんと言われようと、これが私の恋愛です』
2019.08.15 こだま『夫のちんぽが入らない』( 8月に読んだ本① ))
を思い出した。
愛と肉欲って、別なんだろう。
引用部分がそれを言い得ている。頭のセックスと、身体のセックス。


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最終更新日  2020.12.09 00:00:19
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