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2023.05.26
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テーマ: 読書(8559)

書名



年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活 (講談社現代新書) [ 小林 美希 ]

目次


第1部 平均年収でもつらいよ
●毎月10万円の赤字、何もできない「中流以下」を生きる
神奈川県・48歳・会社員・年収520万円
●「私は下のほうで生きている」コンビニは行かず、クーラーもつけない生活
東京都・35歳・自治体職員・年収348万円(世帯年収1000万円)
●不妊治療に対する経済的不安……「リーマン氷河期世代」の憂鬱
北陸地方・33歳・電車運転士・年収450万円(世帯収入900万円)

東京都・44歳・会社員・年収260万円(世帯年収1000万円)
●3人の子育てをしながら月13回夜勤をこなす看護師の激務
北陸地方・42歳・看護師・年収670万円(世帯年収1300万円)
●夫婦で手取り65万円、「ウーバーイーツ」の副業でちょっとした贅沢を実現
東京都・41歳・倉庫管理・年収660万円+副業(世帯年収約1500万円)

第2部 平均年収以下はもっとつらいよ
●月収9万円シングルマザー、永遠のような絶望を経験した先の「夢」
東海地方・41歳・秘書・年収120万円
●子どもに知的障がい、借金地獄……マクドナルドにも行けないヘルパーの苦境
茨城県・38歳・介護ヘルパー・年収48万円(世帯年収400万円)
●コロナ失業…1個80円のたまねぎは買わない、子どもの習い事が悩みの種

●共働きでも収支トントン、賃金と仕事量が見合わない保育士
東京都・40歳・保育士・年収300万円(世帯年収700万円)
●何もかも疲れた…認知症の母との地獄のような日常を生きる非常勤講師
埼玉県・56歳・大学の非常勤講師・年収200万円

第3部 この30年、日本社会に何が起きたのか?


感想


2023年112冊目
★★★

なんというか…お金があってもなくても不幸な人は不幸だし、絶望に塗れるのだな、という内容。
よくテレビの特集で、値上がりだの何だのがあるときに「その家庭どっから見つけて来ましたのん」という一家が登場するじゃないですか。
で、そういうお家が出てくるとめちゃくちゃ突っ込みながら見てしまう。
お金ないんやったら、そのウォーターサーバー辞めたらええやん…みたいな。
日本の水道水、美味しいやん。煮沸したら充分やん。

私はミニマリストとかFIREとかの人の話を聞くのが好きで、そういう工夫してお金がなくても日々楽しく、なんならお金がないことを楽しんで暮らしている人、をたくさん見てきたので、「いくらお金があっても不幸」あるいは「お金がないから不幸」という人の話が延々と続くこの本は、「うへえ」という感じでした。

いやほんま、大変な人は大変なん分かるねんけどな。
たぶんそれ、公的サービスの情報がこの人まで届いてないんじゃないか?という内容もあった。
保育園の現場が善意だけでもっている、というのとかは、本当に構造的にどうにかしないといけない問題だと思うんだけど。

「心の豊かさはお金でしか買えない」と言っている人がいて、そうだよなとも思った。
心のゆとり、精神的な裕福さというのは、金銭と密接に関係する。
労働力を切り売りするなら、時間の余裕とも。

ただ、そこでそれに負ける自分でもいたくないとも思うんだ。
いかにお金をかけずに楽しく暮らしていけるか、を追求したい。
それはこの資本主義の社会に対する宣戦布告でもある。

我が家で言うと、夫がまあ会社で色々あり、「仕事を辞めようかな」と言っている。
散々愚痴を聞かされてきたので、「辞めちまえ辞めちまえそんな会社!」と私は言った。
でもそれは私に、ひとりで家族を養えるだけの稼ぎがあるからだ。
夫が仕事を辞めて専業主夫になっても、うちは大丈夫。
余裕のある暮らしは出来ないけれど、家族4人、なんとか生活していくことは出来る。

でもその時、思ったんだよね。
私はどこかで、その反対に、「私はいつ辞めても(夫に養ってもらえるから)大丈夫」って思ってたんだよな。
だから、夫が「辞めようかな」と言った時、ちょっと怯んだ。
…私、そしたら今の会社、辞められないじゃん!
両肩にずしっと来る「一家の大黒柱」の重圧。
世の専業主婦の家庭は、夫がこのプレッシャーに耐えておるのか。
共働きがいいよ絶対。大黒柱は2本あったほうがいい。
何なら投資という柱をそれぞれ打ち立てて、4本あるのがいい。
鼎も3本。
夫よ、専業主夫はやめてくれ。なんでもいいから働いてくれな…。

FIREするには圧倒的に資金が足りていないし、子どももまだまだ小さい。
お金がかかるのはこれからだ。
はてさて、私はこのまま今の会社で働いていくのだろうか。
そして夫は今の会社で働いていくのだろうか。

それでもさ、私は絶望しないと思うんだよな。
絶望しないすべを知っている、ということって、大事だ。
それが知識であり、教育であるのだと思う。



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最終更新日  2023.05.26 00:00:16
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