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2023.06.10
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テーマ: 読書(8290)

書名



夢をかなえるゾウ0(ゼロ) [ 水野敬也 ]

目次


上司からパワハラにあっている「僕」。
仕事をやめたいけれど、やめる勇気もない。
そんなある日、僕は関西弁の神様に出会いーーー。

ガネーシャの課題に向き合い、夢のない僕が、夢を見つけるまで。

感想


2023年124冊目
★★★★

昔読んだ『夢をかなえるゾウ』の新刊が出ているのを見つけて手に取った。
初刊はなんと…2007年だった…うおう。
俺、ずいぶん長く生きているな…。


わかりやすく取り組みやすく、やる気になる(自分にもできそうな・変われそうな気になる)本だった。
今回は、「0」とあるがシリーズ5冊目だった。間読んでない。間に何があったんだ。
そしてシリーズがこれだけ出ていて買われているということは、本を読んでも実行できない人が多いということの証左ではないのか(私も含め)。

「まあ、毎度の『おもろくてためになる系』の本やろ〜」と斜に構えて読み始めたら、がっつりストーリーラインにも取り込まれ、主人公を応援しながら(この子、BLなら受けでスパダリに出会ってデロデロに甘やかされつつも自分の芯を貫いて生きていってほしい感じ)、読み終わったときにはスッキリ前向きな気分になっていた。
自己啓発本って、人生の清涼剤よな…。

関西弁の神様・ガネーシャ(教師役)のキャラクターも良いのだけれど、私はなんといっても夢を食べるバクちゃんの痛烈な比喩がツボにはまりました。
だいすき、バクちゃん。
西尾維新に通じるものがある。

人間ちゅうのはな、経験してへんことにはどこまでも不安を広げまうもんやねん。そんで、不安が大きゅうなればなるほど、ますます行動できへんようになる。その結果、世の中のほとんどの人が、『不安で作られた鉄格子』に囲まれたまま一生を過ごしていくことになるんやで。


このガネーシャの言葉は、本当にそうだなと思った。
自分が経験したことは、どんなものかわかっている。
そこには自分が操縦桿を握っているという「コントロール感」がある。

だから人は「既知」の安全地帯の中に留まろうとする。
その中にいれば安心だから。
それが自分の望みならば、本当にそれで良いのであれば、そこにいればいい。
けれど本当はそこから出たいのに、不安だから「ここにいなくちゃ」と思っているのだとしたら。

『失敗したくない』『嫌な思いをしたくない』という思いに人生の手綱を握られてしまっているからだ!(略)
そして、それこそが、人生で最も確実に失敗し、嫌な思いをする方法なのだよ!(略)
最高の『楽しい』は、必ず『分からない』を含む


私、この思いがすごく強い。

恥をかきたくない。嗤われたくない。傷つきたくない。
だから、知っているところだけを踏んで歩く。
過去の経験に照らし合わせて、あるいは得た知識を総動員して。

でもね、無理なんだよね。
どんなに人真似をしようと目を凝らしても、耳を澄ませても。
私がやるときには、私だから。
失敗して、嫌な思いをして、恥をかいて、嗤われて、傷ついて、生きていくしかないんだよね。
最近ようやく、本当にようやく、そのことが分かってきた。
トライ&エラー。エラー、エラー、エラー。
転んで、起き上がる。次はもっとうまくやる。
トライ、トライ、トライ。

この本の中でも、『実物を見る』ことの大切さを説く。

「考える」と「経験する」を両方大事にするってのはしんどい作業だ。どっちかに偏っちまえば自分を疑わずに済む。そっちの方が、断然楽なんだよ。


本をね、読んでいたいんですよ。私は。
そこなら私は傷つかずにいられる。
箱庭の世界を眺めていられる。
安全で安心な場所。

浴びるほど読んで、失敗する回数を減らしたいの。
ビビリだから。チキンだから。そのくせプライドは高いから。
他の人の一挙手一投足を観察して、失敗しないようにしたいの。
自分の失敗を許せないから。
自分が嫌いだから。

でもそうすると、「考える」だけに偏ってしまう。
私には本当に、圧倒的に「経験する」が不足している。
だから私は「体の動かし方」が分からない。
人との関係が苦手だ、場の振る舞い方か分からない。
それは身体的なものでもある、と最近感じている。

ものがわかるということ [ 養老孟司 ]

で養老先生も言っていた。
学習とは反復運動にほかならない。
型を覚え、繰り返す。
それは失敗の連続だ。
失敗、失敗、失敗の連続。心が挫けそう!
(「ピタゴラスイッチ 装置153番のマーチ」)

それらのすべてに向かって言いなさい。『君たちは、伏線だ』と。これらは自分が夢を見つけるというーー自分が幸せになるというーー人生のドラマを最高に盛り上げるための必要不可欠な伏線なのだと!(略)
もし、そう思えなかったとしても!思うために、できる限りのことをしなさい!


この考え方は、新しいなと思った。
その意味は、自分を信じることだと言う。
確かに、伏線だと思うことは、何があっても自分がそれを乗り越えられると信じることだろう。

そうか、伏線か。
落ち込んでばかり居るけれど、これも全部伏線だな!
ストレスで左目が痙攣するけど、これも全部伏線だな!
伏線いただきましたぁ!!!
艱難辛苦汝を玉にす!笑

「苦手な人の信念を読み取ることは、共感の幅を広げる」というところも良かった。
ほんまに嫌いな人がおっても、ふと「あれ、でもこれ自分もやな」と思う時がある。
人の振り見て我が振り直せ。
あるいは自分が新しい経験をしたときに、「あ、もしかしてあの時あの人もそうだったのかな」と分かることもある。
だから、その時の感情ですべてを固定して決めつけてしまってはいけないな。
今は無理でも、将来この「いやなきもち」に意味を見いだせるかもしれない。
伏線いただきましたぁ!笑

本の中で紹介されていた詩
サム・レヴェンソン「時を超えた美しさの秘密」
小曽根俊子「花」
も良かったです。
何度も登場したヴィクトール・フランクル『夜と霧』と、カズオ・イシグロの『日の名残り』も読んでみたいな。

巻末の語彙解説も面白かった。
山本五十六の「やってみせ〜」の言葉に続きがあったのは知らなかった。
るるぶは「見る・着る・遊ぶ」の語尾をとったものだったのね!(今は「見る・食べる・遊ぶ」)
スティーブ・ジョブズがイッセイ・ミヤケのタートル着てたのは、ソニーの国内工場を訪れた時の制服(三宅一生デザイン)を参考にしてた(アップルの制服導入は反対されたからひとりで着てた)のか…。
小僧寿しの名前の由来が志賀直哉の「小僧の神様」だったとは。

読んでいる途中は、本の主人公である「僕」と一緒に、変わっていっているような気がする。
そうして読み終えたあとには、すこし世界が明るく見えるようになっている。
そんな本。

でも、読むだけじゃだめで、考えるだけじゃだめで。
この本に書いてあること、ひとつでもやってみて始めて、それが「経験」になる。
新しいことを試してみよう。
そうして不安で作られた鉄格子を出よう。

主人公の「僕」には夢がない。
それで、私の夢ってなんだろうと考えた。

その時思い出したのが、ある人に先日「早期退職したい」という話をしたときのこと。
「そんな早く辞めてどうするの?絶対暇だよ。やることないよ」と言われて、答えたのが、

「今この自分で、この職業で、こうやって働いているのは、これまでの選択の結果の『私』でしょ?私は、『そうでなかった私』を見に行きたいんです。『選ばなかった私』を回収にいきたいというか」

だから、いいなと思っていたいろんな仕事とか、いろんな仕事でないことを、やってみたいんだ。
向いてないと思っていることが本当に出来ないのか試してみたい。
向いていると思っていることが本当に楽しいのか試してみたい。

と、自分で答えて自分の答えにびっくりして。笑
そうか、私はそうしたいんだ、と思った。

「辞めたらもう、今みたいな収入はもう得られないよ」
「子どももまだ小さいのに、辞められないよ」
と言われて、「そうですよね〜」と笑ったんだけど。

待ってろよ、私でなかったたくさんの「私」たち。
「わからない」の先に待つ過去の「未来」。
いつか、迎えに行くからね。


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最終更新日  2023.06.10 00:00:15
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