once 55 Body language



「有芯がして・・・疲れちゃった」

有芯は半ば反射的に、汗ばんだ朝子の体を抱き締めると、自分が上になり動き出した。分からないけど・・・お前を愛したい・・・。

有芯は動きながら、汗で額に張り付いた朝子の前髪を上げ、キスをし囁いた。

「どうされたい・・・?」

「・・・あなたの・・・愛を感じたい」

「それじゃ、分からない」

「いいよ・・・それで。今感じてるから」

「感じる? 俺の愛・・・?」

朝子は有芯の頬に手を伸ばし、苦しむようないとおしむような表情で彼を見つめた。

「だって・・・一生懸、命、だから・・・」

有芯は愛おしさをこめて朝子を抱き締め、動きを早めながら彼女の乳房を口に含んだ。

朝子、愛してる・・・

朝子は声を上げながら有芯の背中に爪を立てた。

私も・・・有芯・・・

二人は汗のしずくを散らしながら、見詰め合うと激しいキスを何度も交わした。

お前を全部愛してる・・・

知ってるわ・・・

お前を満たしたい・・・悲しみも焦りも、俺が忘れさせる・・・

満たされていく・・・あなたへの愛しさで苦しいくらい・・・

無言のうちに、身体で会話を続けていた二人だったが、有芯が不意に口を開いた。

「ごめん・・・どうしよう」

「な・・・に?」

「もう・・・いきそう」

「・・・も」

「ん・・・? 何?」

「あ・・・たし、も・・・」

有芯は聞くなり、動きを最速にし朝子を腕に強く抱いた。

「・・・あ」

「・・・何?」

有芯の声が優しくて、朝子はまた涙が出そうだった。

「愛してる」

弾む息に乗せて朝子が囁くと、有芯は額から汗を滴らせながら少し笑った。

「知ってる」

瞬間、頭が真っ白になり、朝子が大声を上げた時、有芯がキスで声を相殺した。

どのくらいの時間そうしていたのか、二人とも分からなかった。やがて気が付くと、二人は乱れたベッドの上で共にぐったりと横たわっていた。





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