シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2008年06月12日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 人智学に関する連続講義の中でも、今回のテーマは確かに重要でないように見えるかもしれないが、精神的存在の高次領域へと導く考察においては、人生の細事や身近な毎日の現実を切り捨てることは、しばしば間違いとなる。

 永遠の生命や魂の最高の性質、或いは世界や人間の進化に関する大いなる疑問を講義で取り上げるとき、人々は満足し、喜んで、今日検証するような、明らかに陳腐な事柄を放っておく傾向に甘んじるが、精神的世界へと沈潜するには、ここに示される道に従う人なら誰でも、よく知られたものから、あまり知られていないものへと、一歩一歩前進することが、健全な道であることを確信するだろう。

 更に言えば、傑出した人たちが、「笑いと涙」を、決して陳腐なものと見なしてきたわけではないことを多くの例を挙げて示すことができる。いずれにしても、東洋文化にとって途方もなく重要になった偉大なるゾロアスターで有名な、「ゾロアスタースマイル(ゾロアスターの微笑)」を付与した意識、すなわち伝説と人類の偉大な伝統の中で達成される意識(個々の人間の意識よりも遥かに賢いが)にとって、この偉大なる精神が、微笑みながら、世界にやって来たということが、特に意義深い。

 世界史に関する深い理解を持つ伝説から付与されることは、この微笑みのために、世界の生物たちが狂喜する一方で、地上のあらゆる場所全ての邪悪な精神と敵対者たちは、この微笑から逃げ出したということである。

 もし、これらの伝説や伝統から、一人の偉大な天才の仕事に目を移すなら、ゲーテが、自身の多くの感情や考えを注ぎ込んだファウストという人物像を思い出すだろう。あらゆる存在に絶望したファウストが今にも自殺しようとするとき、イースターの鐘の音が響き、「涙がわき出て、再び地球が我を抱く。」という叫びが聞こえる。ここでの涙は、ゲーテによって、ファウストが最も苦しい絶望を経験した後、世界に戻る道を見い出すのを可能にする、魂の状態の象徴として用いられている。

 このように、ただ、その事を考えてみるだけで、「笑いと涙」が大いなる意義を持つ存在に関連することを理解するだろう。精神の本性について、様々に考えてみることの方が、周囲の身近な世界に現れる精神を追求するより容易だが、精神を(第一に人間の精神を)見い出すことができるのは、他でもなく我々人間が「笑いと涙」と呼ぶ、魂の仕草の中にある。

 それらの仕草を、ある人の内的な精神生活の表現であると見なさなければ、理解できない。しかし、その仕草を行うためには、人間を、精神的存在として受け入れるだけでなく、人間を精神的存在として理解する必要がある。

 以前の連続講義全ては、このような目的のために費やされた。なので、今はただ、人智学から見た人間の存在について、大まかに見るだけにするが、これは「笑いと涙」についての理解を築く上での基礎となる。

 人間を、その全体性において、観察することにより、その肉体を鉱物界と共有し、そのエーテル体もしくは生命体を植物と共有し、そして、そのアストラル体を動物界と共有することを見てきた。アストラル体は楽と苦、喜びと悲しみ、恐れと驚き、そして、人間が起きてから寝るまでの間、魂の中に流れ込み、流れ出る、あらゆる考えをも担っている。



 では、人間の魂の内における自我の活動の基礎とは何なのか? 

 それがどのように作用するか、幾つかの例を見てみる。

 自我、すなわち人間の最も奥深い精神生活の中心が、外界において、何らかの対象、もしくは存在に出会うと仮定する。自我は、その対象、もしくは存在に対し、無関心のままに留まることはない。自我はその出会いが、自分を喜ばすか、或いは不機嫌にするかによって何らかの反応を示し、何かを内(精神)的に体験する。

 何らかの出来事に狂喜し、また最も深い悲しみへと落ち込むかも知れない。恐怖で尻込みし、またその出来事の源泉を、愛情込めて見つめ、抱きしめるかもしれない。そして、自我は何であれ、出会いに関係するものを理解し、或いはまた理解しないという経験を有する。

 起きてから寝るまでの間の自我の活動に関する観察から、自我がいかに自らを外界との調和へともたらそうとしているかを見て取ることができる。もし、何らかの存在が我々を喜ばし、ここには何か我々を温めるものがあると感じさせるなら、我々は、その対象との絆を織りなし、我々の中から何かがそれに結びつく。

 我々人間が環境全体に関して行うのは、以上のような事なのである。起きている時間全体を通じて、内的な魂の生活に関して、我々は、自我とそれ以外の世界との間に調和を創り出すことに関わる。

 外界の対象や存在を通して、我々にやって来る経験、そして、それは魂の生活の中で反射されるが、自我の住居である魂の三つの構成体だけでなく、アストラル体、エーテル体、そして肉体にも働きかける。

 自我と何らかの対象、もしくは存在との間に、自我により確立される関係が、アストラル体の感情を掻き立て、エーテル体の流れと運動(動き)を正すだけでなく、いかに肉体にも影響を及ぼすかということについて、既にいくつかの例を挙げた。

 人は何か恐ろしいものが近づいて来るときには青くなるということを知らない人がいるだろうか?

 これは、形成された自我と、脅かす存在との間の絆が、肉体の中に作用し、当人が青くなるように血流に影響を与えたことを意味している。

 その逆の効果の、つまり恥ずかしさで顔を赤らめるということについても触れた。周囲の誰かと、自分との関係を、自分がしばらく身を隠していたいようなものに感じるとき、血は顔へと上って来る。






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Last updated  2008年06月12日 22時29分25秒
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