シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2009年09月10日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 これまでの講義では、医者にとって、基盤として役立つ種類の知識概略を与えようとしてきた。それでも非常に短時間の自由しかないために、単なる素描にすぎないので、細部を語るなら相当の時間が必要であることに気づくだろう。

 医学の基礎として、これまで与えてきた種類の知識の獲得には、最低1年はかかり、それでも初歩講座というべき知職概要を出来る限り与えることもできるが、いまは、その一般的描写を与えることしかできない。だから、これまでの講義で述べた事項を、あくまで医者が基礎としてもつべき知識の素描と見なして欲しい。

 この知職素描を、いま医学的知識の顕教的知識と呼びたい。その次に、実際、秘教的側面がくる。だから今度は、秘教的知職について述べる。この秘教的側面は顕教的基盤に基づいて構築される。医学研究においては、顕教的側面を習得するのに驕りや躊躇があってはならない。誠心誠意、習得すべきである。現在ではまだ困難だが、やがて、ここ、ドルナッハでの医学部門設立により、この方向で多くのことが成就されるだろう。

 つまるところ、現在、私(シュタイナー)の連続講座と著作に含まれる、多くの詳細な記述によって、ここで与えられた短い素描を膨らませることも可能である。今まで、この方向では、ほとんど何もなされていない。ヴェークマン女医の援助により、準備中のこの仕事が公にされたとき初めて、人智学的医術の実際的な意味での仕事の発展が開始されるだろう。

 人智学は医学と医学研究に大きな刺激を与え得ることが、そのとき明らかになる。しかし同時に、医学は非常に特殊な種類の研究を含み、明確な予備的条件を伴っているということも、はっきりと実感するだろう。

 人智学の知見は、医学が無視できない研究である。人智学から生まれる知識がなければ真実の医学はあり得ない。今日、支配的な混沌とした状況は、現在の研究と知識の趨勢が医学に全く不適合であるという事実が原因である。現代人は、神学にも、紛れ込んだ自然(唯物)科学をもっている。専門的な目的にのみ適し、人間という存在の真の知識には全く不適当な科学である。

 この(唯物論的)科学は人間の性質の真の知識を伝えることができない。真の意味における医科学は極めて特殊なものを要求している。人間が実際どのように存在するようになるか?について話すようになれば、気づくだろう。以前、このことを顕教的側面から述べたが、今度は秘教的側面に移行して述べる。

 外界の様々な実体は、実際、過程(プロセス)である。塩は様々な過程(プロセス)の析出物にすぎない。マグネシウム過程(プロセス)、鉄過程(プロセス)は、人間の外側の大自然に存在する、人間内の諸過程(プロセス)である。

 鉛や水銀過程(プロセス)は、外の大自然にある諸過程で、人間が、その物質(肉)体内部にもつことができない。にも関わらず、これらの諸過程が人間内部にないというのは、外見的なみかけでしかない。



 人間の真の核は、霊や魂の性質である。その性質は、まず、かつての諸々の受肉(前世)から来る。次に、受精が生じる、遥か前からある存在が、死と誕生の間の期間から来る。この霊と魂の核は、受精の結果である物質的な胎芽細胞と関係ができる前に存在している。

 その霊と魂の核は、まず、エーテル体と結合し、そのエーテル体が今度は、物質的胎芽と結合する。自我、アストラル体、エーテル体―この三位一体が物質的な受精を通して生まれるもの(肉体)と結合する。だから、エーテル体を宇宙から組み入れられる存在と見なす必要がある。

 さてエーテル体がまず物質組織と結合するとき、エーテル内部に、物質組織に適さない力を含んでいる。すなわち、鉛力や錫力などである。ある実質(鉛など)が物質的に人間内部にないから、人間は完全なミクロコスモスでないというのは、見かけ上にすぎない。人体に含まれない実質は、エーテル体の組成に最重要なのである。だから、エーテル体には、物質(肉)体と結合する前に、鉛過程(プロセス)、錫過程(プロセス)、水銀過程(プロセス)などがある。

 さてエーテル体が(他の構成要素も)、物質体と結合する。物質体内部に含まれない実質から、エーテル体が得た全ての力は、今度はアストラル体に移る。この移行は胎児期に僅かに生じるが、誕生時に実際の呼吸が始めると高度に生じる。エーテル体はそのとき、物質体自らの内部で仕上げた様々な力を取り上げる。

 このようにしてエーテル体は非常に意義深い変容を通過する。物質体の内実と組成を取り上げ、アストラル体に、自らの組成を、人間の環境との関係において与える。アストラル体は、そのとき、人間が知ることが可能な全ての知職と内的に結ばれる。

 理論ではなく、内的に消化された真の医学的知識を獲得する瞬間に、自らのなかに既に存在する知識をアストラル体内部に生かすことになる。知識は既に自らのなかにあるが、あくまで無意識に止まる。知職は、実際、人間が、その環境との関係から生まれる知識となる。

 特別な例を挙げる。例えば片麻岩や雲母として知られている鉱物を土壌が含むために、鬱々としている地方を考えてみる。雲母はそのような地方に生まれた人間の物質組成に非常に強い影響をもっている。物質体は雲母が沢山ある地方では、それほどない地方とは異なるものになる。雲母力が、土壌から、物質体に作用するからである。

 さて、沢山のシャクナゲが、多量の雲母を含む土壌の地方に生えることがわかっている。この植物はアルプス、シベリアなどに豊かに繁茂する。シャクナゲの実質は、そのような地方の物質体に降りてくる前のエーテル体と親密な関係がある。シャクナゲとの関係を、エーテル体は、アストラル体に譲る。

 さて、地下水を通じて雲母が支配的に働くのが原因となった病気が生じたとする。エーテル体はシャクナゲから来た関係を、アストラル体に譲っているので、この要素(関係)は、外的には、シャクナゲという植物に存在している。つまり、この事実は、シャクナゲが、このような病気に治療効果を発揮する樹液を含むことを示している。あらゆる場合とはいわないが、多くの場合、固有の治療薬は、特定の病気が生じる地域で見つけられる。

 さて、次のことを考えてみる。自分が医者であるとして、毎晩眠りにつくと、かつてエーテル体と関係していた知識が、今度は、アストラル体と関係している環境の中に移る。例えばもし、医学的知識をもっていたなら、或いは、もし環境にどんな治療力が存在するのか、を知っていたなら、その知識は睡眠中に経験となる。



 眠る毎に、アストラル体の拡がりの内部で、必要な確証が生じなければ、知職は断片的で混沌としたものになる。アストラル体が、環境との相互作用において、その医学生が学んだ医学的知識に「イエス」と言えるように、獲得されなければ、理解不可能な知職に対して、ただ躊躇するだけで耳を傾けている振りをしているようなものである。だから、医学的知識は睡眠と親密に関連する。

 そのような事柄は、医学的知識が、生きて感じる存在としての人間によって、獲得されなければならないということを確信させる。というのも、治癒の諸実質との、この「夜の」交流と共に、また別のもの、弁証法によっては決して獲得できないものが育つからである。

 つまり、「助けたい」という真の欲求である。「治療したい」という誠実な欲求なしでは、治療すべき人に対する医者側からの共感の感情がなければ、個人的援助を与えたいという、この強い欲求がなければ、真の意味のどんな治療も不可能である。

 ここで、とても不思議で逆説的に思われる事実を述べるが、それは状況がどんな点でおかしく、何をすべきかを知ることが必要なので、あえてこの奇妙な事実を述べる。というのも、ドルナッハで、人智学徒は秘教的な衝動から仕事を行っているからである。

 人智学の薬剤研究所で調合される治療薬を保護するために手段を講じなければならないと、周囲からよく言われる。そうすれば、他者がコピーできないという理由である。私(シュタイナー)は、人智学徒が、真の秘教的な衝動を、医療活動に持ち込むのに成功する限りにおいて、そのことをあまり心配していないと答えたことがある。



 この事はとても不思議にみえるが、それでも、やはり真実である。事業の工夫によって、モノを保護するより遥かに重要なのは、その治療薬の効力を、霊性から発揮させるのを目的とする態度の増進にある。この事実は迷信ではない。人智学において実体化できるものである。だから、そのような理解を保持する人々が、ここで生産される治療薬を用いることで、正しい方向での始まりが行われた、ということに気づき始めるだろう。

 このような異論は、どれほど真剣に秘教的、霊的な生命を、とりわけ、医学において採用すべきであるということに全く気づいていないという事実に因る。一端、この事実を把握したなら、医学の中心が、ここに実体として、単なる形式ではなく、組織すべきである、ということも分かるだろう。





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Last updated  2009年09月10日 17時01分21秒
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