シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2010年08月17日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 目や耳のように人間の身体の周囲に配置された器官は、元素(精霊)界と絶えず連絡を取り、死後、数年経た死者を知覚している。この元素界に関する知覚が失われるのは、知性が介入するからである。

 人間の周囲に配置された感覚器官は、精神界(世界)や、死者の世界を仲介するが、その土、水、火、空気の元素(精霊)界は、知性的な(覚醒)意識により消し去られる。

 結局、人間は明瞭に規定された輪郭を持つ物質界、すなわち誕生から死までの間に滞在する世界だけを見る。

 物質界とは非常に異なって秩序づけられた第2の世界が本当に存在する、ということは確かだが、この世界は、人間の知性により消し去られ、人間が眺めるのは、ただ日常意識にとって見慣れた世界だけなのである。

 そのため、現代人は第4講で述べたような瞑想を行う必要がある。過去、そのような瞑想の後、金属を摂取した。金属摂取については第4講で述べた。

 高次の意識レベルに到達するには、第一に、知性を消し去り、感覚器官により仲介される知覚を精神化しないといけない。動物の場合、大脳が発達していないため、このような知覚に与れるが、自我意識をもたないため、その知覚は精神ではなく、原始的な魂の力にのみ浸透されている。

 動物は人間のように、精神(自我意識)が感覚を照らしたときに知覚される対象を、周囲の世界に知覚しない。動物の知覚は人間の知覚と同種だが、劣ったもので、個別のものになっていない。

 (人間のように「私」という自我がないために、動物には、「私」という対象がない。例えば、公私混同していて、所有欲のない人間は、動物に近いといえるかもしれない。)

 金属について、つまり鉱物界の実質に関して、これから述べることは、必要な注意と共に受け取って欲しい。第4講で、金属の性質を通じて、魂を内的に活性化させる方法について、言い換えれば、金属との内的な交流を、道徳的な意味で発達させることが、現代人の精神的な発達における枢要部をなしていると述べたとき、同時に注意を促した。



 特に水銀の秘儀は精神面から世界にアプローチする人たちにとって、すなわち物質的な実質の中に精神の働きを知覚できる人たちにとって特別な重要性をもっている。ただし、金属の水銀は、人智学において、一般的に「水銀」という言語を用いる対象の一部に過ぎない。

 人智学では、「水銀」とは液体金属の性格をもつ全存在の総称である。現代人に御馴染みの今日の自然界に、常温で、このような性格に与る金属、つまり「水銀」と見なされる金属はたった1つ、つまり水銀しかない。

 けれども、今日の水銀は、「水銀」という種を構成するものの1つに過ぎない。人智学では、「水銀」とは水銀のような性質をもつ全存在を包含している。今日の水銀は、人智学の「水銀」の典型例に過ぎない。

 (人智学では、太古の、金属が熱で相転移し、流動化していた状態も、水銀と呼ぶ。例えば、いまでも、金属を高温で熱して、流動化させた状態も、水銀と呼ぶわけである。

 つまり、人智学から、古代の命名法が理解できるので、それに倣い、液状の金属を、水銀と呼んでいるようである。古代の命名法は、現代の金属の物質的性質よりも、どちらかというと形態に重きを置いているように感じられる。)

 この「水銀」には奥深い秘密がある。人間に対する水銀の影響とは、物質界の全ての印象や、また元素(精霊)界からも、人間(の感覚)が引き離される、というものである。

 人智学徒は物質界から脳のような器官が生まれたのを知っている。同時にまた、この感覚界から他の多くの器官が生じたが、特に、物質的な生活には不可欠の一連の腺組織全体が生じた。

 更に言えば(感覚器官に関しては既に述べた)、第2の意識レベルに関係する世界として記述した世界からも、多くの器官が生まれた。銅と鉄は人間を、この第2の意識レベルに引き上げる。

 しかし水銀の影響はそれとは異なる。水銀は宇宙の中に必然的に存在しなければならない。水銀は実際、微細な拡散状態で普遍的に存在している。人間はいわば水銀の大気に取り囲まれている。

 水銀を通常量以上吸収した瞬間、人間は物質界と元素(精霊)界から生じた全器官を中和しはじめる。人間のアストラル体がいわば刺激され、アストラル界から生じた器官のみに頼るようになる。



 銅との関係を通じ、内的な緊張をつくりだすと同時に、肉体を捨て去れば、死後間もない死者たちを数年にわたって追跡できるような第2の人間に浸透されるようになる、ということは既に述べた。

 水銀は、銅より遥かに魂のなかの綿密に織られた組織に貢献する全てを引き寄せる。水銀の影響を通じて、まるで新陳代謝器官全体が把握されるか、のようである。水銀の力強い金属の流動的な影響を経験するとき、様々な管組織を通じて流れる液体の循環の様相に、突然、注意が向くようになる。

 その影響は気持ちのよいものではない。というのも、参入者は、まるで心と感覚を失ったかのように、いわば内的な発酵状態になり、乱流のなかに脈打つ生命の運動の中にいるように感じるからである。終いには、この内的な活動が、外の活動と1つになるのを感じる。

 既に記述したように、この状態は内(精神)的生活の意識的訓練により生じる。水銀の活動的な影響を通して、人間は、脳の存在を感じなくなる。脳は空虚な空間になるが、その方が精神世界の知覚にとってはよい。何故なら、脳は、精神世界の知覚という目的には全く役に立たないからである。

 参入者が実際に感じるのは、身体全体に浸透する水銀の運動と活動である。とはいえ、この発酵は最初、内(精神)的な消耗に苦しみ、苦痛に満ちたものである。

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 参入者の内(精神)的な活動が、あらゆる処で外的な活動と結びつけられる。地球を離れ、元素(精霊)界が下方にあるのを感じ、全ての存在が流れる蒸気を吐き出すが、この流れる蒸気からなる空気の中に、精神的な存在が住んでいる。

 そのとき、ブルネット・ラティーニが、生きた存在として記述した女神「ナチュラ」が、「振り向く」のを感じる。





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Last updated  2010年08月26日 14時08分59秒
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