シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年03月04日
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カテゴリ: 神秘体験空間


 悪の本性(下)


 悪の本性の話をしたのは、厭世的になるのではなく、覚醒のため、力強い行為を伴う衝動を目覚めさせるためである。このことを理解するために、ここで具体的な問題を取り上げてみる。

 意識魂時代の人間の本質的な衝動の1つは、他者への関心を深めることにある、と述べた。この関心は、地球紀の進化の残りの時代にとっては、必須だが、特に4つの点において重要である。

 第一に、未来へ向かう人間は常に隣人を別の眼で見るようにならなければならない。今日の人間は、既に意識魂の時代も5分の1が過ぎたのに、紀元四千年紀の意識魂が既に習得していなければならないような隣人への接し方をまだもとうとしていない。

 (端的にいって、落第に近い)

 今日の人間は、お互いに相手の最も大切な部分を見落としている。相手のことを全然見ていない。この点では、これまでの転生を繰り返す間に芸術によって身につけてきた事柄を、まだ充分に生かし切っていない。

 芸術からは実に多くを学ぶことができる。これまでも「芸術の発展から学べること」について、色々と示唆してきたが、今回取り上げている「歴史象徴学」を学ぶほど、ほとんどあらゆる分野において、芸術的創作や芸術鑑賞とが今日頽廃してしまっていることを、否定できなくなる。

 ここ10数年の芸術行為全ては、はっきりと頽廃期の中にあることを示している。これからの芸術活動にとって最重要な事柄は、教育を通して、本来の芸術的な観点を獲得することにある。

 どんな芸術も、人間をより深く、より具体的に認識するように促している。勿論、各々の文化の中で、その方法は様々である。

 例えば、絵画や彫刻の芸術的形式に沈潜したり、音楽や詩の中に息づいている内的な運動の本質に沈潜したりして、芸術を本当に内的に体験してみるなら(今日では、芸術家自身がしばしば内的な体験を行っていないが)、人間の本性が見えるようになる。



 人間の霊的な原像を、人間の形姿の中に見ることを学ぶ必要がある。未来になるほど、人間は透明な存在になっていく。そして、人間の頭の形や歩き方も、現代人とは違った眼や、違った関心をもって、見られるようになる。

 肉限で見る人間は、真なる霊的な、超感覚的な真実に対して、あたかも画用紙に描かれた絵が、元のモデルに相当する関係と同じである。上記のような基本的な感情をもつときだけ、人間の自我を理解できる。この基本的な感情を大切に育てる必要がある。

 (外見は、内面の鏡にすぎない)

 人間の容姿は、いわば人間の永遠なる霊的、超感覚的存在を映し出す像である。人間の姿や動作が永遠なる存在を映し出している事実がわかれば、その姿や動作が、内的に人間を熱くしたり、或いは冷たくしたりする。

 (フィードバックされる。鏡をみることで、容姿が整えられる。人の振り見て我が身を直せ、ということだろう。)

 一番いけないのは、熱さも冷たさも感じられず、熱エーテルが、内的に体験できなくなることである。人と人との間の高められた関係を、熱エーテルの体験が表すようにならなければならない。

 第2に、人間と第3ヒエラルキアの天使、大天使、人格霊との関係を、人間の中に感じとるようになる必要がある。そのためには、言語に対して、これまでとは異なる態度をとる必要がある。言語は、既に発展の最盛期を過ぎ、抽象的な存在になってしまった。

 言語を通じて、この上なく不誠実な態度の波が地球全体に打ち寄せている。言語の表現が、もはや文字通りの意味で正しいかどうかの問題ではなく、人間の魂のどの領域から発せられた言葉なのか、が問題なのである。

 言葉の表現を、言葉通りに受け取るだけで、霊の根源から発せられているかどうか、を感じとれなくなっている人は、言葉を駆使し、どんな外的な叡智をも語れるようになっている現実を理解できずにいる。

 (詐欺師が横行する現代の特徴は、言葉の表現を、そのまま受け取ることにある。言葉の表現上では、どんなことも可能だが、現実には不可能なことが多い。)

 大切なのは、言語を通して、発している人間の本性を見ることである。言語の中に、身振りや行為を捉える必要がある。



 上記の真相を、言語の表現の中に見つけることができなければ、この時代は完結できず、紀元二千年紀は最後まで発展を遂げることができない。

 言語を通して、人間の魂の声が聴けるようになると、これまでとは全く異なる社会的な共同生活が可能になる。まさに悪の力、いわゆる多くの悪の力が変化させられる。

 話の中に、人間の魂を聴きとることができるようになると、或る独特の色彩的な感情が湧き起こってくる。人々の交流が、色彩的な感情の中で、国際的に理解し合えるものになる。人を見て熱を感じたら、その人の話す言葉を聴くことで、感じた熱が色に変わる。

 第3に、感情表現を身近に体験するために、言葉に耳を傾けるだけでなく、自らの呼吸の中に相手の感情の様子を体験できる。前に述べた地球進化の未来では、人間の呼吸は、相手の感情生活により左右されるようになる。

 相手次第で呼吸が速くなったり、遅くなったりする。そのような呼吸を通して、相手がどんな人間なのかを感じとる。未来の社会共同体の中では、非常に深く、互いに関係し合うようになる。



 (人智学では、現在は、ポストアトランティス文化期の第5文化期に相当する。)

 第7期には、これから述べる第4点が達成される。すなわち、人類共同体に属する人は、互いに(表現が汚いが)相手を咀嚼するようになる。食事を味わうときに似た内的体験を相手から受けとる。意志領域での人間は、互いに咀嚼し合う必要がある。

 未来では、感情の交流の際に、互いに呼吸を交わす必要が生じる。言語の理解には、互いに色彩として感じ合う必要が生じる。以上のように相手を本当に見ることを学んだとき、相手の自我を本当に知るようになる。

 以上のような力全ては、内的=魂的であり、これらの力が完全に育成されるのは、次の木星紀、金星紀、ヴルカン(ウルカヌス)星紀になってからである。しかし、上記の全てに対して魂的=霊的に向き合うことは、既に地球紀の人間にも求められている。

 今日の時代の恐るべき破局への転換は、上記に述べた事柄に対する人類の反抗の結果でもある。「人類は、国民ごとにまとまるべきである」、という安易な原則を全世界に押しつけるような事実は、社会的な特定の利益全てが、未来においては、くまなく全体に帰依し、還元されるように克服されなければならないというような事実に対して、人類が反抗している現れである。

 (世界統一政府をつくろうとする秘密結社がいる。自分の思い通りになる世界をつくろうとする悪魔の企てに他ならない。この野望は、個人レベルで生きる上では大切だが、公的には認められない。公的には、人類を超えた神々のものだからである。)

 今日生じている問題は、神が望んだ人類進化の方向に対する反抗である。いわゆる「悪の秘儀」のための土台を作るなら、人類の反抗に眼を向けなければならない。実際、悪は人類の進化を促進させる際の様々な副作用である。

 かなり遠くまで行かなければならない機関車が、傷んだ線路の上を通り、その線路を更に破壊した結果、先へ進めなくなる。

 意識魂時代の課題は、目標へ向かって進化すべきである、と意識することなのだが、現在のところ、目標への道は傷んだ線路の上にしかない。

 「良い」線路を敷くまでには、まだまだ長い時間が必要である。現在は、傷んだ線路を良い線路と交換しないように、人類が反抗し、色々と工作している最中なのである。





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Last updated  2011年03月04日 16時57分29秒
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