シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年06月23日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 さて、そもそもクリシュナとは一体何者なのか?

 この問いは非常に興味深い。既に、折に触れて、色々な所で述べたが、古代おいては、命名法や名づけ方が現代とは異なっていた、という事実に熟知していなければ、クリシュナが何者なのか、という問いも理解できない。

 現在の命名法は根本的に、究めて恣意的(自分勝手)である。というのも、例えば、市民的な名前の、ミュラー、もしくはシュルツという名前を知っても、結局はその人の性格までも、多くを知ることはない。また、ある人が、宮廷顧問官か、枢密顧問官等の職種名であっても、誰しも認めることだが、結局、その人について多くを知るわけではない。

 つまり、以上のような社会的な序列等の名称を知ったところで、この人物について多くを知るわけではない。更にまた、ある人を、「閣下」、もしくは「猊下」と敬称を付けて呼ぶべきか、あるいは単に「様」と呼ぶべきかを知ったとしても、やはり、その人物について多くを知るわけではない。

 要するに、以上の呼称全ては、当の人物について多くを語るわけではない。そして、今日呼んでいる他の名称についても、とりたてて多くを意味しているわけではないことは、容易に納得できる。古代では違っていた。

 サーンキヤ哲学の名称や、人智学的な独自の名称の両者を出発点として、次のような考察を試みる。

 サーンキヤ哲学の意味では、人間は、「粗雑な物質体」や、「精微な身体(微細身)」、もしくは人智学的な名称の「エーテル体」や、「規則正しい感覚器官」、もしくは人智学での「マナスと呼ばれる霊的器官」や、「アハムカーラ」等々から成立している、という事実を既に述べた。

 (サーンキヤ哲学では、1.多元的源流、2.ブッディ、3.アハムカーラ、4.マナス、5.感覚器官、6.精微な身体(微細身)、7.粗雑な物質体である。)

 いまは、その他の高次の霊的器官を考察する必要はない。なぜなら一般的には、それらがまだ形成されていないからである。しかし、将来いずれかの受肉において現れ、姿を見せる人間を考察するなら、次のような結論に到達する。



 人智学の用語で言うなら、ある人間は、「感受魂」の作用が優勢に働き、別の人間は、「悟性魂、もしくは心情魂」の作用が優勢に働き、第3の人間は、「意識魂」の作用が前面に出ていて、第4の人間は、「マナス」等によるインスピレーション(霊聴力)が与えられ、それが働きかけている、となる。

 これらは、一人の人間が霊的器官形成を示す全体の発展段階により与えられる差異である。この差異から、人間の本質が示唆される。

 現代では、容易に区別できるという理由から、上記に示した意味で表せる本質に従って、人間に対する命名を、選択することはない。

 というのも、今日、人類に広く行き渡った心情では、例えば、現在の人類の進化段階において、人間が到達し得る最高の進化段階は、「アハムカーラ」の兆候を微かに示す段階であると説くなら、誰もが、自分が、究めてはっきりと「アハムカーラ」を本質として表している、と信じて疑わず、その段階に達していない人間の場合は、低次の器官が優勢である、と説くなら、その段階の人間の気持ちを傷つけるだろう。

 古代では違った。当時、人間は、本質において名づけられた。特に、ある人物を、他の人類から引き上げ、指導者の役割も与える場合、その特徴を与えた本質を考慮する形で、名づけられた。

 古代では、自らのなかで「アハムカーラ」を体験し、「アハムカーラ」を、個人的な要素として後退させ、真に包括的な意味で「マナス」を発現させ、外力のために、「マナス」をよく働かせた人間が存在した。

 古代の人類の進化の法則に従って、上記のような人間は、滅多にいなかったが、偉大な律法者であり、大民族の指導者でなければならなかった。

 古代の人々は、上記のような人物を、他の人間と同じ名で呼ばずに、その突出した本性に従って、「マナスの担い手[Manas-Traeger]」と呼び、他の人間を、「感覚の担い手[Sinnes-Traeger]」と呼んだ。

 古代の人々は、「この人は、マナスの担い手だから、マヌ[Manu]だ!」と言った。

 従って、古代の命名法に向き合うなら、人間を成立させている霊的(生理的)器官のうち究めて突出した器官、すなわち、当人のしかるべき受肉のなかに現れている霊的器官に従って、その人物を特徴づける本質を、命名のなかに見つける必要がある。





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Last updated  2011年06月23日 16時53分01秒
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