シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年08月26日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 前回まで、もし、通常、知識と呼ばれる人間の思考が、世界の事実に入って行くなら、達成すべき魂の段階的な状態(気分)について考察した。そして、「献身」と呼ばれる魂の第4の状態へと至った。

 「驚き」にとらえられ、世界の事実に対する「敬虔(謙虚)さ」を学び、世界の現象との叡智に満ちた調和の中で自らを認識することを学んだ魂が、思考を通じて、更に上昇することにより、「献身」の状態として表現できる領域へと、入っていかなければ、叡智には到達できない。

 この「献身」の状態には、思考の不十分さに何度でも向き合うような決意を持って、努力することで到達できる。例えば、次のように表現できる気分を、魂の中で喚起し、強化するように努める必要がある。

 それはまるで、絶えず次のように自分に言い聞かせるようなものである。

「私の思考が、真実に対する知識をもたらすことを期待すべきではない。私の思考に期待できる唯一のことは、私を教育することである。」

 (知識により、自己を教育しなければいけない。)

 最重要なのは、この考え、つまり、「自らの思考が、自身を教育する」という考えを、自身の中で発達させることである。もし、この観点を、人生の指導原則として取り入れるなら、一見して、思考から得られる結論とは全く異なった結論へと導かれる場合が非常に多い、という事実に気がつく。

 人智学徒のなかで、哲学者のカントについて徹底的に研究した人はそんなにいないだろう。徹底的に研究する必要もないが、ただここで、カントの最重要で画期的な仕事である著書「純粋理性批判」の中に見つけられる多くの証明が、問題にされている命題を肯定するためや、逆に、その命題を否定するためにも用いられる、ということに言及したい。

 例えば、次のような命題を取り上げてみる。



 このような命題に対して、カントは、同じページの裏側に「世界は永遠の昔から存在している。」という命題を載せる。それから、彼は、これらの命題が正反対であることを知りながら、両方の命題を証明するのに有効な証拠を集める。そして、カントは世界には始まりがあることも、ないことも同じ方法で証明する。

 彼は、このような論理展開を「二律背反」と呼び、この方法により、命題が相矛盾した結論に到達するのを見て、人間の認識能力の限界を証明した。そして、もし、彼が思考によって、外界にある事実との何らかの客観的な調和に到達できれば、当然のことながら、彼は正しい魂の状態へと至る。

 思考、あるいは概念に磨きをかけることで、もしくは世界の中での経験を、思考を用いて洗練すると言ってもいいが、これらによって真実に到達できる、という信仰にとらわれている限り、カントのような人物がやって来て、ある特定の命題と、その正反対の命題が両方とも問題なく証明できることを示してくれても、人間の犯す思考の間違いに気づかない。

 というのも、もし、人間の思考が常に間違うというのが本当なら、人間が思考により、真実に到達することなどできるわけがないからである。

 一方、もし、人間が何か決定的な判断を下すべき状況下で、思考は、事実に関して何らの結論にも導かないということを学んでいれば、つまり、もし、思考を、自身がより賢明になるための方法、言い換えれば、叡智に対する自身の自己教育の方法と見なすように忍耐強く自己教育していれば、ある命題と、その正反対の命題が証明される、ということが、真実への到達の障害になることは全くない。

 何故なら、直ちに次のような事実、つまり、いくら概念を洗練させても、人間の思考は、事実の断片でさえも全く導かないという事実を用いることで、自身を自己教育する際に、その事実が、完全なる自由をもって人間が活動できる理由となる、という真実を見つけることができるからである。

 (つまり、人間の思考が間違いを含むことで、人間が、その間違った思考から自由になれる、ということも意味している。だから、人間は思考を常に捨てて、事実に向き合える可能性が得られる。

 勝海舟は、今日は、かく思うが、明日は、どうかわからない、と言っているが、これは横井小楠も同じことを言っていたので、海舟は、横井を誉めている。「君子豹変する」の本来の意味。)

 もし、人間の思考が絶えず、事実により自然に改善されたら、概念を練り上げ、思考することが、完全な自由のなかで、自己教育する方法を提供することはなかっただろう。

 もう一度繰り返すと、概念を洗練させることが、効果的で独立した自己教育の方法を提供できるのは、人間の思考が、事実の干渉によって一切妨害されないからに他ならない。

 (勝海舟は、「理屈は死んでいる。世間は生きている。」という格言も残している。思考に現実を当てはめようとしても無理である。思考を現実に当てはめなければいけない。人間が犯しやすい間違いは、意見を尊重し、事実を無視することである。



 思考に頼る輩は何度も同じ間違いを犯す。なぜなら、間違いを正そうとせずに、自己教育を怠るからである。すると、魂はどんどん退化してしまう。霊能者が霊視すると、そのような魂は角が生えるようである。だから鬼となる。)





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Last updated  2011年08月26日 23時18分29秒
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こんにちわ☆  
∞万華鏡∞  さん
『人間が何か決定的な判断を下すべき状況下で、思考は、事実に関して何らの結論にも導かないということを学んでいれば、つまり、もし、思考を、自身がより賢明になるための方法、言い換えれば、叡智に対する自身の自己教育の方法と見なすように忍耐強く自己教育していれば、ある命題と、その正反対の命題が証明される、ということが、真実への到達の障害になることは全くない』

とにかく上記のことが理解されていれば、淀み、停滞
悩み、不安、恐怖心もクリアーですね。 (2011年08月27日 10時41分55秒)

Re:こんにちわ☆(08/26)  
5dolphin  さん
どうもお久しぶりです、∞万華鏡∞さま
 「案ずるより生むが安し、」ってありますよね。自らの価値観が、自らを束縛している、というわけです。周囲にあわせて、考えを改めるということが、なかなかできませんよね。自分が正しいと思ってしまうわけです。競馬予想なんかで、訓練しています。予想があたることは、1割もないです。1割もないことを、人間は正しいと想いこむわけですから、苦悩するわけですね。 (2011年08月29日 09時52分01秒)

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