シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2013年11月11日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 神秘学の象徴のなかで、古今の神秘学者たちからも認められている最も意味深い象徴は、「人間」そのものである。人間は、古来、ミクロコスモスの小宇宙と呼ばれてきた。この呼び方は、全く正しい。

 というのも、人間を詳細に知るようになれば、外の自然の中に広がっている、あらゆるものが、人間のなかに含まれていることが次第に明らかになってくるからである。この事実を理解するには、はじめは困難だが、思考を深めれば、人間のなかには全自然からとった一種のエキスというべき精髄、すなわち自然の実質や力が発見でき、その意味が理解できるようになる。

 ある植物を、その本質に関して研究し、充分探求すれば、人体の中に、消化された形ではあっても、同じような本質が含まれていることがわかる。更に、同様に、外の自然のなかにいる動物を考えれば、人体の中にも、その本質に従って、取り込まれている(動物と同じ)器官を指摘できる。

 (植物や動物から抽出した薬が病気に効く理由がここにある。)

 この事実を正しく理解するためには、宇宙の進化を神秘学(オカルト)的な観点から考察することが必要である。例えば、神秘学者(オカルティスト)は、もし外の自然にライオンが存在しなかったら、人間は決して今日のような心臓を持つことがなかった、という事実を知っている。

 では、まだライオンが存在しなかった時代へと遡ってみる。人間は最古の存在なので、ライオンがいない当時にも存在したが、当時の人間は現在とは全く別様に形成された心臓を持っていた。自然には、明白ではないにしても必ず関連性が存在している。人間がかつて遥か太古の時代に自らの心臓を今日の形態へと発達させた時に、ライオンが生じた。

 両者は同じ力から形成された。それは、まるで神技で、人間から、ライオンの本質を抽出した後、現在のような心臓を形成した。現代人は人間の心臓には何らライオンのような本質はないと考えるだろうが、神秘学者(オカルティスト)にとっては、このことは真実である。

 上述のように、人体の外にあるものと内にあるものが関連をもつことや、外にあるものが、人体の中に配置される時は、外の独立状態にある時とは全く別の働きをすることを忘れてはいけない。逆に、次のように言うこともできる。人体内の諸力に規定されないように、現在の心臓のエッセンスを取り出して、外の自然に、その相応物を作り出そうとするなら、人間の心臓はライオンになる。

 勇敢さ、大胆さといった特性、あるいは神秘学者(オカルティスト)が言うような「王者らしい」特性全般は心臓とライオンとの関係に由来する。そして、秘儀参入者であったプラトンは、魂のなかの王者のような風格を、心臓の中にみつけた。〔注/プラトンの「国家」では勇気[thymos]はホメロスに従って心臓に割り当てた〕



 外には大いなる宇宙-マクロコスモス、人間のなかには小なる宇宙-ミクロコスモスがある。外ではいかなる存在もそれ自体で独立して存在し、人間にあっては、それは他の器官と共に織り込まれ、ハーモニーによって規定されている。だからこそ、人間は、自らのなかで、自分の一部となっている宇宙の進化全てを観照できる。

 人間のなかの一部となっている宇宙との関係から、人間の進化像(すがた)を、ミュンヘンでの会議期間中に祝賀ホールに掲げられていた7つの封印図(象徴図)のなかに見つけることができる。そこに示されているものを見てみよう!

1の封印.jpg

 第1の図は、白い衣を着た人物を示している。その両足は金属で青銅のようである。口からは炎の剣が突き出ている。彼の右側には7つの惑星-土星、太陽、月、火星、水星、木星、金星の記号が円をつくり取り巻いている。ヨハネの黙示録を知る人は、黙示録の中に、この像に一致する記述があることを思い出すだろう。

 ヨハネは秘儀参入者であったので、つまり、この封印図は、言うならば、人類全体の理念を提示している。古参の神秘学者にはお馴染みの図を思い出せば、このことが理解できるだろう。

 人間の進化を遡っていくと、人間がまだ不完全な段階にある時代に到達する。例えば、そのときはまだ、今日両肩の上に乗せている頭部をまだもっていなかった。当時の人間を描写すると本当にグロテスクにみえるだろう。つまり、頭部はだんだんと発達してきたわけで、更にこれからも進化していく。

 対照的に、今日、いわば終結に達した器官もあり、また頭部のように、これから自らを作り変えていく器官もある。例えば、喉頭は将来、多大の可能性をもっている。無論、心臓とも関連する。今日の人間の喉頭はようやく進化の始まりにあり、将来、霊的な器官へと作り変えられ、生殖器官となっていく。

 今日の人間が喉頭を使って行っていることを明らかにすれば、この神秘的なイメージが得られる。例えば、いま私(シュタイナー)が話す言葉が聞こえるだろう。この講義室が空気に満たされ、この空気中に一種の振動が引き起こされることで、私の言葉が、聴講者の耳に伝達されるからである。

 例えば、「宇宙(ヴェルト)」という1つの単語を発音すると、空気が波として振動する。つまり、これは私(シュタイナー)の言葉の受肉(物質化)である。今日、人間が作り出すものは、鉱物界での創造と呼ばれている。空気の運動は、鉱物的な運動である。

 人間は、いわば喉頭(声帯)を通じて、環境を鉱物化するように働きかけている。そして人間は、自らを高め、いつか植物的にも働きかけるようになるだろう。鉱物的な振動だけでなく、植物的な(生命的な)振動をも引き起こすようになるだろう。人間は、植物を出現させるだろう。そして、その次の段階では、(動物のような)感受性をもつ存在を象って出現させるだろう。

 そして、進化の最高段階では、人間は自らの喉頭によって自らに似た存在を生み出すだろう(AI〔人工知能〕を既に創出している。)。今日、人間は魂の内容だけを言葉によって語ることができるが、その時には自身そのままを言い表すようになる。人間が将来、自らの存在を象って出現させるように、人類の先駆者である神々は、今日の存在全てを語って創り出す霊的器官を備えていた。



「初めに言葉があった。言葉は神のもとにあった。言葉は神であった。」

 これは、なにも思想的な意味での、現代の宗教(哲学)用語ではない。その字義通りに行なわれた太古の創造の事実を、ヨハネは提示したのである。

 そして、終わりにも言葉があるだろう。言葉の具現が創造であり、人間が将来生み出すものは、現在の言葉が具現化したのと同じである。けれども、その時には、もはや今日のような物質的な形態はとらないだろう。

 (物質的な形態をとることで、いまは自由に嘘をつけるが…。)

 人間は過去、土星上でとっていたような形態、つまり火(エネルギー)の形にまで進歩しているだろう。このように宇宙進化の始まりの創造力は、宇宙進化の終わりの人間自身の創造力と結びついている。





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Last updated  2013年11月11日 12時33分42秒
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