シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2015年01月19日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 内と外とをつなげる一元性のタオが人類の進化の第一段階で、その内と外とが断絶する二元性が人類の進化の第二段階であることを紹介した。次が第三段階である。

 その第三段階についてシュタイナーの話を紹介する。

 ★          ★          ★

諸宗教に共通する叡智の核心 ―下―

 人類進化の第三段階は、「死者の書」として伝えられてきた古代エジプトの先史、歴史の物語の中に示されている。そこでは、先の二元性に加えて、第三の存在が現れてくる。

 当時の人類は、太陽光が地上を照らし、光線が地中にまで浸透し、大地の中に眠る種子や生物たちを覚醒させ、また人間の内の根源が、それらを体験することで、必然的に実り豊かなものになっていく様を霊視した。

 母なる大地と受精と新しい生命の誕生の三つが統一として象徴化され、オシリス(太陽や光の神)、イシス(地上の物質界の神)、ホルス(進化していく生命の神)として表現された。これが古代エジプトの三大神である。

 この三元性が、後の全ての宗教の叡智の核心となる。

 父と言葉(ロゴス)と聖霊、イシスとオシリスとホルス、アートマとブッディとマナス、というような三位一体として、様々な宗教の中に神性が現れてくる。様々な宗教の中に、三元性が現れる。人智学は、その根源を認識した。



 中世では、その根源に対して、原音という表現も用いられた。原音は、人間を生じさせた根源でもある。人間は現在の姿にまで進化を遂げ、そして今、根源が求めるまま、未来へ向かって努力している。

 古代の霊界探究者たちは、この努力の中に人間の三元性を見た。未来において、より完成した状態に到達したら、今日の人生を可能にならしめた力、人間の内に隠れた根源の力が表面に現れ出るはずである。

 かつての人類は自らの内にある、その力を表現し難き神タオと感じていた。それは、いま三つに分かれた至高の存在の一番目となった。更にまた、現在、人間の中のその至高の存在に向かう努力、換言すれば、今人間の中に働いている神ロゴスから生まれた言葉、父に由来する子も感じとれるようになった。

 「父なる神から子なる人間が生じた。」

 この父なる神が未来には、子なる人間のなかにあって、より完成された人間を形成する。そして過去には、この父は二番目の根源となるブッディ(生命霊)を創造した。ブッディはまだ完全ではないが、人間が完成へ向けて努力できるのは、このブッディの御蔭なのである。

 このブッディは人間の第二番目の本性である。

 しかし過去にも、この父なる宇宙原理は働いていた。かつての霊眼に見える人間の第一番目の本性(タオ)が父なる宇宙原理から創造されたように、今日の眼に見える人間の内で光輝く第二の本性(ブッディ)もまた、同様に過去に根源から現出し、そして今、完成された存在を目指している。

 色、音、匂い、触感の中で知覚する万象に眼を向けると、それらはみな言い表し難い根源(タオ)から湧き出たものである。このような点で人間という被造物のために現象を起こしている、この根源をキリスト教の意味では「聖霊」と呼べる。

 しかし宇宙の創造はまだ究極にまで至っていない。宇宙はまだ萌芽の段階であり、人間の内の未来への意志を担っている本性もまだ萌芽であり、子である。だから、この子が父になる努力は、「言葉」という意味のヴェーダ、エッダと呼ばれる。

 この第二の本性は、今日の人間の内なる力であり、将来、人間の中に知覚されるものである。それは、総ての人間の魂の奥深くに存在している万有の「父」なる根源なのである。

 この根源を実感し、内なる思考の内容にすることは、三位一体を実感することである。ペルソナとは仮面であり、外観であり、隠蔽である。それ故、今述べた真理の核心を、宗教は、聖霊、言葉、父という三つの異なる仮面を用いて示している。



 最も秘教的な福音書のヨハネ福音書の中の、人間の姿をまとって現れた崇高なキリスト意識との結びつき(religare)が理解でき、受肉した「ロゴス(聖霊)」、人間となった「子なる神(父)」、「現在の神(キリスト)」についての教えの本質を理解できる。

 人間となった神キリストは、過去から現在まで働いている神霊(聖霊)と、現在の中で未来へ向けて創造活動を行っている「父なる神」という、他の二神と共同で働いている。

 このように子なる神は、父なる神から発し、同時に神霊(聖霊)と結びつき、今、人類を父なる神へと導こうとする大いなる予告なのである。このことを「何人も、私によらずに父へと至ることはない」という言葉で示唆している。

 この言葉のなかの「私」は、「現在の神(キリスト)」の本質で核心でもある。更に、子なる神(父)は、今日既に人間の内にあるブッディ(生命霊)の本質で核心でもあり、「聖霊を送る」と示唆している。

 キリストの「私は世界の終末にいたるまで常にあなた方のそばにいる」という言葉が真実であるように、再びキリストが万人に現れるのも真実である。



 現段階では、物質的認識や科学を超えた形で霊が存在している。そして宗教は過去に教えられてきたままに教えられている。宗教の様々な文献が手もとに残され、神学者たちはそれらを研究し、解釈し、教義を立てている。

 現段階では、霊学ではなく神学が中心となっている。霊学とは「叡智と真理そのもの」であり、神学とは「叡智と真理についての教え」という形になっているが、かつて神学は霊学から生じた。今、神学はまた霊学に戻らなければならない。

 これまでは全ての教育施設で、プラトンやアリストテレスなど古代賢人の著作が頼りにされてきた。そして、そこには研究者ではなく、解釈者がいるだけだった。

 人間が、自然から直接学ぶようになった後世から、神学が中心だった時代のことを考えると、神学の時代はもはや理解不能だろう。当時は文献への信頼が絶対だった。

 例えば、当時の自然研究者が「神経は心臓からではなく、脳から発している」と主張するなら、神学者は「アリストテレスは別のことを言っているから、アリストテレスの方が正しいにきまっている」と言うだろう。

 たとえ当時の自然科学者の主張の方が事実に即していたようにみえても、神学者は解釈を優先した。

 今日の多くの人々が、天文台や実験室で、感覚(物質)界の様々な事象を確認するのと同じ方法で、霊界の様々な事象を確認する研究所や研究方法が存在する、とは思わないだろう。

 しかし、近年、霊研究所のような施設が存在することが主張された。人智学者たちは、ヘッケルの科学についての発言と同程度の確かさで発言している。

 ヘッケルの主張を研究を通して実証できたものに考えるのと同様に、宗教原典の記述は事実を通して明らかになった真実であると人智学者は考える。

 また、人智学徒の中には、宗教原典の典拠にまで遡れる人物もいる。人智学では、霊学センターが存在し、霊学研究者たちが働いていることに注意を促してきた。人智学では超感覚界での事柄について霊経験を通して語られてきた。

 かつての霊界探究者たちが内の霊経験を通して宗教原典を創ったのと同じである。四百年前に自然科学が再び復活できたように、今日の人智学は霊研究の直接の復活を意味する。

 現在、人智学は、タオから偉大な人類救済主にいたる共通の真理の核心にたち返るべき段階に立っている。以上のように人智学から、様々な宗教がもつ共通の真理についての核心との関係を取り上げた。

 (中略)

 人智学が行おうとしているのは、様々な宗教や宗派に現存する文献の根源にまで遡って、共通の真理の核心を見つけ出すことなのである。根源から考察すれば、現存する文献をよりよく理解できるはずである。

 そうすれば新しい生命が人類の中に流れ込む。キリスト教は人類の未来のために用意された宗教で、「子」の宗教といってよいが、「父」を同じ途上で見つけ出せる宗教なのである。キリスト教を理解することは、人智学の最重要な課題の1つである。

 だからこそ、全ての宗教の中に真理の核心を求め、キリスト教の中にも同じ真理の核心を見つけ出そうとするわけである。宗教は現代からみて空想や幼稚な考えから生じたのではなく、最高の叡智から霊の探究を通じて生じた。

 現代人は、高度な科学の見地に立ちながら、同時に宗教的人間でもありえる存在である。このことが認識できれば、百年以上前の秘教学者の1人、ゲーテがかつて呼びかけた以下の言葉を実感できるはずである。

 その言葉は人類にとっての素晴らしい命題を表現している。それは、ホンモノの科学による認識こそが、宗教上の真理を正しく受容できるようにするので、全ての宗教が人類の最高の目標の核心を担っている、と教えている。

 科学と芸術を学ぶ人は、宗教を学んでいる。

 科学と芸術を学ばぬ人は、宗教を学べばよい。

 『諸宗教に共通する叡智の核心』(一九〇五年一一月一六日:ベルリン)より

 (人智学通信 1994年5・6月 第48号より)

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 科学と芸術と宗教が子から父になるための人類の三位一体の言語なんである。





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Last updated  2015年01月19日 13時59分24秒
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