PR
Calendar
Keyword Search
Comments
コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 閉じこもって迎える年越しの味
節目の時期に、本人はどんな気持ちを味わうのか、ということを考え
てみたいと思います。
世の中は暮れも押し迫り、あわただしくなっています。そんななか、
不登校やひきこもりの青少年にとっては、自分が世の中の動きに取り残
されているという実感が、いつにもまして強まる時期でしょう。
青少年たちは、どんな思いで年を越し、正月を迎えるのでしょうか。
私の不登校時代をお話しします(創刊当時のコラム参照)。
高校時代、不登校状態で年越しを迎えたのは4回ありました。その4
回のなかでも、年により気分の違いがありました。
最初の年越しは、2学期の最後に2週間続けて欠席し、終業式の日は
登校して迎えた、本格的な不登校の始まりの頃でした。
終業式の日、担任の先生に留年の心配はないことを確認したので、冬
休みは落ち着いて過ごしていたものの、すでに心が不安定になっていた
ためか、年が明けて3学期は、1日も登校できなかったのでした。
初めて留年生として過ごして、2回目の年越しのときは「来年こそが
んばりたい」と決心し、クラスメート全員に年賀状を出して、その気持
ちを伝えました。
迎えた新年も、冬休み中に担任の先生にそれまでのいきさつを説明す
るなど「心機一転、3学期こそ」との決意を表現しました。
ところが、思いどおりに登校することはできず、3学期が終わってみ
れば、1年間で3分の1くらいの出席日数に終わり、再留年。
同じような欠席日数を繰り返して迎えた次の年越しには「3学期は退
学させられるまでの猶予期間だ」「自分の人生は3月までしかイメージ
できない」などといった悲観的な考えで頭がいっぱいになっており「来
年1年がんばりたい」という熱意はわき上がってきませんでした。
そのため、クラスメートには年賀状を1通も出さず、迎えた正月も、
どよ~んとした暗い気分で過ごしたのでした。
「今年をいい年にしよう!」という気持ちの張りが生まれなかったの
です。
退学を免れて3回目の留年となった学年では、楽しく充実した学校生
活を送り、2学期終了時には進級可能な出席日数に達していました。
それだけに、明るく希望に満ちた気分で年を越し、迎えた正月は「今
年をいい年にしよう!」という気持ちの張りがあったのでした。
いのしし年だったので「猪突猛進で3学期を駆け抜けるぞ!」なあ~
んて思っていたわけです(来年もいのしし年ですね)。
ところが、体験をお話ししたところで示したように、3学期は完全な
息切れ状態となり、またも留年。そして、最後の1年生として迎えたそ
の年の暮れ、次の年やその次の年が、あんなに充実した年になろうとは、
まったく想像もつきませんでした。
このように、不登校の場合は学校との関係がありますので、本人の気
分は年ごとに違うと思われます。特に辛いのは、進路を考えなければな
らない中学3年生のときに迎える年越しでしょう(これについては、ち
ょうど2年前に4回にわたって書いたところをご参照ください)。
一方、ひきこもりの場合はどうでしょう。閉じこもっているけれど一
見安定している、という時期には、それほど違いはないかもしれません。
むしろ、次の機会にお話しする「誕生日」のほうが、さまざまな感情
を起こさせるのではないかと思います。
ただ、私がそうだったように、就職に向けて動き出すなど、何か変化
が起きると「今年はうまくいくだろうか?」という不安がわき起こった
りすると思います。
いずれにしても、不登校児もひきこもり青年も、年越しにあたって、
1年間の締めくくりとして大掃除をしようとか、正月の準備をしようと
かいう気には、なかなかなれないと思います。
また、年が明けても、新年を祝う気になれない、正月気分に浸れない、
そんな人もたくさんいることでしょう。
しかし前述のように「来年もこのままなのか」と不安いっぱいで新年
を迎えても、その年が終わってみれば「転機の年だった」と感無量で振
り返る--いずれはそんな年がやってくることでしょう。
ところで「正月」はもともと、家族で1年間の目標や計画を決めるた
めの日だった、と聞いたことがあります。
昔は「数え年」と言って、誕生日ではなく正月に年齢をひとつ加える
ことになっていましたから、正月の持つ意味が重かったのでしょう。
しかし、正月に「今年のこと」について家族で話し合うことは、きわ
めて自然なことだと考えられます。逆に言えば、1年間のことを家族で
話し合う機会が、正月をおいてほかにあるだろうか、と思います。
そこで、ふだん人生について、生活について、じっくり話し合う機会
のない家族の方々には、毎年の正月をそのための日と決めて、それを家
族が続くかぎり毎年行うようにしてはいかがでしょうか。
これは、不登校やひきこもりに効果があるかどうかという話ではあり
ません。すべての家族に言えることです。お子さんが不登校やひきこも
りになったから、その対応として正月に話し合うことにするのではなく、
あくまで1年に1回の家族の絆を深めるイベントとして位置づけるので
す。
さて、今年1年ご愛読くださいまして、ありがとうございました。
来年は「角をためて牛を殺すな」というテーマの連載からスタートし
ます。2007年も、皆様のお役に立てるようがんばります。
皆様がよいお年を迎えられますよう、お祈りしております。
:筆者:丸山 康彦(まるさん)
スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。
“新 し い 自 分 ” 出 産 記 〔上〕 2006.12.28
教育対策研究所の主張〔下〕 2006.12.26 コメント(1)
教育対策研究所の主張〔中〕 2006.12.25
Category
Freepage List