入間市の塾 愛夢舎からのメッセージ

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愛夢舎 塾長

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2008.07.28
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ホントは別のテーマの記事を書こうと思ったのだけれども、
先にコレを書いておかないと、今ひとつ、説得力にかけるとか思って。
つまり、後に書くであろう記事の、前フリです。

僕は国語を教えるとき、
中学3年生から大学受験生まで
同じことを話します。

それは、
「小説」と呼ばれる文章の読解についてのメソッド です。

まず、僕は
「小説は
『仕組まれた世界である』
ということを強く認識しろ」
と言います。

小説、物語、フィクション…。

呼び方は何でもいいのですが、
「作者」=「作り手」がいるわけですから、
そこに展開する世界は、あくまでも「架空」であって、
作り手の「意図」が反映される。

当たり前のことです。

そして
「問題を解くことを前提に読む場合には、
小説の世界に取り込まれるな、
むしろ、作者の上位から世界を見わたせ」

と続けます。

これが、僕自身、
「国語がキライである」
と言う最大の理由です

読書の楽しみは、
その世界に「取り込まれる」ことであると思うからです。

しかし、問題を解く上では
取り込まれることは、あまり得策ではない。

「作者の上位に立つ」というのは、
ドラマのディレクターになるのと同じです。
レベルの高いことです。
だから、この考え方を吸収できる子は、
そんなに多くないかも知れない。

しかし、一旦理解できてしまえば、
視野というか世界の認識力というかが、大変広がる。
だから、
大学受験生のみならず、
中学3年生にも同じ話をするのです。
僕の場合、中3生にセンター試験の文章読解をやらせることもある。
それは、そうしたレベルに耐えうる子は、
学年に関わらず必ずいるからです。

さて、
「小説・ドラマは『仕組まれた世界』である。」

この前提の基で、
僕の説明は、至極当たり前のことに触れます。

「全ての文章は
『ウチ』と『ソト』の2種類しかない。」

『ウチ』 というのは
「ウチ描写」のことで、 心情表現
喜怒哀楽(「~うれしかった」とか「~悲しい」とか)の文や
「~と思った」というような文。
早い話が、
「見えないことを書いてある文」。

『ソト描写』 は、
だから、
「目に見えることについての文」。
人物の行動や、景色、天候など。

当たり前のことです。

全ての文章表現は
「目に見えるもの」か「目に見えないもの」のどちらかでしかあり得ない。

が、ここで、
僕の説明は、核心にいたる。

「全ての文章は
『ウチ』と『ソト』の繰り返しである」

「『ウチ』と『ソト』の繰り返しは、
即、『理由』と『結果』の繰り返しでもある」

小説から離れて、現実でのできごとを考えてみましょう。

例えば
「彼は私になぐりかかってきた」(行動=ソト)
  ↓
「私はわけがわからず、仰天した」(心情=ウチ)
  ↓
「そこで彼に理由をたずねてみた」(行動=ソト)
  ↓
「彼は『言わなくてもわかるだろう!』」と激昂した」(行動=ソト)
  ↓
「それで、私はひとつのことに思いあたった」(心情=ウチ)
  ・
  ・
  ・

実に、当たり前のことです。

理由が先か、結果が先か、それは時と場合によりますが、
必ず、前後関係は理由と結果の形になる。
「ソト=行動」は「ウチ=心情」を引き起こす理由となり、
「ウチ」は「ソト」を引き起こす。

そして、
これに
「小説は『仕組まれた世界』である」
ということを重ね合わせると、
こんな言説にたどりつく。

「小説では『偶然』はあり得ない」

だって、作者が仕組んだ世界です。
仕組んでいるのだから、
そこには必ず、なんらかの因果関係が生まれてしまう。
ゆえに、
必ず「理由」は、直前直後に存在する。

そして、
よく出題される「理由を問う」問題。

「『ソト』の理由を聞かれたら『ウチ』が答え。
『ウチ』の理由は、『ソト』が答え。」

なーんだ、そんなことか、
と思っていただければしめたもので、
だって、
実際に問題を解いたときに、
これがごっちゃになってる子は大変多いんですもん。

Q 「『彼は立ち上がった』とあるが、それはなぜか」

とかいう問題に対して

A 「彼女が○○と言ったから」

と答える。

コレは、ソトに対してソトの答えをぶつけているのですから、
正解にはなりえません。
「彼女が言った」という『ソト』はきっかけではあるでしょうけれども、
その後、
「彼の心情」はなんらかの動きをしたはずで、
その『ウチ』を答えることで正解になる。

この「ウチ」と「ソト」の因果関係に「ひずみ」をつくると、
理解の難しい小説になっていきます。
例えば
カミュの 「異邦人」 なんかですと、
「なぜ人を殺したのか」という理由が
「太陽が黄色かったから」ということで説明され、
ゆえに理解の難しい
「不条理小説」 としての評価になる。

そして、
「小説は『仕組まれた世界』」ですから、
全てが仕組まれる。

天候 までも。

お分かりですね。
ある場面において雨が降っている。

現実ではそのことに理由はないでしょうが、
「仕組まれた世界」では
雨が降ることには理由がある。

もちろん、
登場人物の「ウチ」が理由です。

分かりやすく言えば、
「水戸黄門」において
一行が旅立つシーンは、
必ず、晴天です。

事件が解決し、人物たちの「ウチ」が
一様に「晴れ晴れ」しているからです。

主要人物がケンカをしているシーンは雨が多い。
ケンカに決着がつくと、急に天気は回復するのです。

故・伊丹十三監督なんかは、
意識してのことでしょう、こうした手法をよく使った。

問題として出題される小説は
よほどレベルが高くない限り「不条理モノ」ではないので、
「ウチの理由はソト、ソトの理由はウチ」
はかなり使えます。
問題を解くというだけでなく、
内容の理解がスムーズになる。
だって、天候や景色すら、人物の気持ちを理解する助けにできるようになるのですから。

が、この因果関係がはっきりすればするほど、
いわゆる「ベタ」な作品になります。

テレビドラマなんかでもそうですね。
「水戸黄門」は「ベタ」の極でしょう。
印籠を出すのは必ず助さん。
昔は、八兵衛が印籠を出したことすらあったというが、
それだと、読解にアタマを使う必要が出てきてしまう。

水戸黄門のファン層は
割とお歳を召した方か、あるいは低年齢層が多く、
「アタマを使わずにみることができる」というのは
大きな理由でしょう。

これに対して、
最近のゴールデンタイムのドラマなんかだと、
演技する俳優さんも、心情表現豊かになって、
「ドラマの読解力」が要求される場合がありますね。
木村拓哉さんなんかは、すごく演技がうまいと思うのだけれども、
ただ、それは
「テレビドラマにおいて、リアリティを出すという意味での演技力」
だと思っています。
舞台であの演技だと、わかりづらすぎるかと思う。

午後1:30あたりのドラマは、
僕もまず観ませんけれども、
やはり「ベタ」ですね。

たぶん、午前中に家事でお疲れになったお母さんたちが
アタマを使わずに観ることができるということを狙ってるのでしょう。

ベタである最大の理由は
演技が、現実離れして、はっきりしていること。

「この、メスブタめっ!!」
って言ってるのをみれば、誰だって
「この人は怒ってる」とわかる。

心情表現が、あまりにはっきりしている。

そこで、
「昼ドラには、
演技のあまりお上手でない役者がキャスティングされる」
なんて都市伝説すら生まれる。

映像作品では、
背景、天候以外にも、人物の心情の理解の助けとして
音楽 もが使われますね。

「ベタ」な手法として、
悲しいシーンでは短調の曲、
明るいシーンでは長調の曲、
やすらぐシーンではテンポの遅い曲…。

もちろん、そこに「ひずみ」を手法もあって、
たとえば
ドニゼッティの
「ランメルモールのルチア」 というオペラでは
主人公が死ぬラストシーンで、
これでもかという明るい曲がかかる。

そうすることで、
短調を流すより、はるかに大きな、
背筋の寒くなる悲しみが伝わるのですが、
これは、やはり「読解力」が必要になる。

…さて、ようやく前フリが完了しました。
書こうと思っていた記事は、
ドラマの音楽と内容の因果関係についてです。

では、次回。

Kama






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Last updated  2008.07.28 17:17:18
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