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3月から新年度がスタートしている。
中学3年生の 国語 の授業は、僕が担当している。
とっかかりの「説明文読解」についで、
先日、 「小説の読解」
に入った。
小説の読解に入る際、
それが大学受験生であっても、中学3年生であっても、
僕はひとつの視点を彼らに教える。
さすがに小学生ではやらない。
つまり、「受験対策」としての小説読解に関する視点である。
「小説は、仕組まれた世界である」
という視点。
これを理解させるのに、
僕は 「ウチ描写」
と 「ソト描写」
という概念を使う。
「ソト描写」
とは、目に見えるもの、
例えば、人物の行動であるとか、景色であるとかの描写。
「ウチ描写」
は、目に見えないもの、
つまり、心情表現である。
当たり前のことだが、
文章は「ウチ」か「ソト」かのどちらかだ。
そして、これは現実でもそうだが、
「ウチ」と「ソト」は、繰り返しの関係になっていて、
また、それぞれが「原因」と「結果」の関係になっている。
例えば、
「AくんがBくんのモノをとった」(ソト:原因)
↓
「Bくんは、腹をたてた」(ウチ:結果)
↓
原因
↓ ↓
「Bくんは、Aくんになぐりかかった」(ソト:結果)
↓
原因
↓ ↓
「Aくんはひるんだ」(ウチ:結果)
・・・と、まあ、
こんな感じである。
この原因と結果の関係が理解できると、
おかしな誤答は格段に減る。
例えば、
「なぜBくんはAくんになぐりかかったのか」
という質問に対して
「AくんがBくんのモノをとったから」
は答えにならない。
なぜならば、
「ソト」に対して「ソト」で答えているからだ。
「ソト」の理由は「ウチ」である。
「ウチ」が起こる原因は「ソト」である。
例えば、「ソト」が「ソト」につながった例として、
カミュの 「異邦人」
がある。
「なぜ人を殺したのか」。
理由は
「太陽が黄色かったから」。
これは、 不条理小説 と呼ばれる結果になる。
さて、「ウチ」と「ソト」の関係が理解できたら、
いよいよ核心の部分である
「小説は仕組まれた世界」ということを理解する。
小説の世界は、現実とは違って、
作者がすべての要素を決めているわけだから、
そこに「偶然」はありえない。
すべてが「必然」である。
すると、「ウチ」が原因となる「ソト」には、
天候すら含まれる
ことになる。
そんなに難しいことを言っているのではない。
僕が例として出すのは、
「水戸黄門」
である。
「水戸黄門」のラストの旅立ちのシーンで、
雨が降っているという場面を
誰か見たことがありますか?
なぜ、100%晴れなのか。
そういうことである。
これが、「仕組まれた世界」。
実際、小説においては、
天候によって人物の心情を表現する手法がある。
むろん、あえて逆の天候を使うことで
より心情を強調するというハイテクニックもあるのだが、
おじいちゃん、おばあちゃんが視聴する「水戸黄門」で
旅立ちのシーンが雨模様なのは、難易度が高い。
読書の場合には、
そんなことに頓着せず、
むしろ「世界」に飲み込まれた方が
ハラハラドキドキして楽しい。
しかし、問題を解くことに主眼を置く場合、
この視点、
言ってみれば、
作者の思考をさらに上から眺める視点を持つことで、
一文一文のもつ意味が解読できるようになる。
もちろん、中学生がこの視点でもって文章を読むことは極めて稀。
高校生ですら、なかなかそういかない。
だから、僕が教えていることは極めて高度なことだと思うけど、
中に「そういうことか!」と思う生徒がいるかもしれないと思って、
小説読解の初回の授業では、一応話すことにしている。
(水戸黄門の例は、100%生徒に通じる)
さて、
そんなことを彼らに教える中で、
僕自身、思うことがある。
僕が今いきているこの世界。
この世界が「仕組まれた世界」でないと
どうして証明できようか。
誰か「作者」がいて、
僕らはその「小説」の登場人物であり、
全ての事象が「必然」である。
その可能性を誰が否定することができようか。
・・・というハナシを子どもたちにすると、
理解力の高い子は、
ひどくこわがる
まさしく、怖いハナシだ。
で、僕は
高校時代にそういうことばっか考えてて、
結果として
哲学科
という変人の集まるところに進学することになったのである
意志を持った人物が
「仕組まれた世界」のキャラクターであるという視点。
そこを突いたのが、
僕が敬愛する 筒井康隆氏
の
「家族八景」、「七瀬ふたたび」、「エディプスの恋人」と続く
いわゆる 「七瀬シリーズ」
、
そして、
鈴木光司氏のホラー小説、
「リング」、「らせん」、「ループ」
のシリーズなどである。
ぜひ、ご一読あれ。
Kama
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