さて、どう生きていこうかな

さて、どう生きていこうかな

2008年11月16日
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カテゴリ: 家族
先日、長女が二十歳の誕生日を迎えました。

ゆったりとその20年の思い出を取り出して懐かしむ余裕もない
のですが、ちょうど家族と離れて旅行する機会と重なり、個の自分
を持つことができたので、20年前のことをゆっくり思い出していました。

身籠もったのは高3の冬。
卒業式の前日に病院へ検査に行き、超音波で5ミリほどになった姿を
確認しました。
娘が大学に進学するものとばかり思っていた両親は反対し、処置する

計画し迎えに来た彼氏を返し、家に残って父親を説得しました。
最後には父の足にすがりついて、私をまともな人間でいさせてください、
と泣きながら懇願しました。
父から許しを得られたのは入院予定日の前日でした。
産むことは認めたものの、先妻が妊娠中に亡くなるという悲しい過去を
体験していた父は、年端のいかない娘を離れた土地に出す(当時は新潟在住。
彼は東京)覚悟ができませんでした。
親元で産むことを条件に、私は長女を産むことを許されたのでした。

親元にいるといってもそれまで母親とは折り合いが悪く、けんかして
家出をしたこともあるくらいでした。挙げ句の果てに妊娠などした娘に、
母の態度は冷ややかでした。

ひ孫なんてまだ欲しくない、という悪口雑言の手紙が届きました。
そんな中で、私の妊娠生活は始まったのでした。

でも、私にとっては最愛の人と結婚し、子どもを産めるという最高の幸せ。
この子を産むためだったら孤独だって何だって耐えてみせる、と思っていました。
東京では彼が、私達を迎え入れるために頑張っていてくれ、毎日電話で励まし

親の態度や祖母の怒りも、衝撃の大きさからしたら無理のないこと、
生まれた子どもの顔を見たり、私がうんと幸せに子育てしているのを見れば
必ず理解してくれる日が来る、なんて、今思えば結構冷静に判っていた私。
親が哀しむことを引き起こした自業自得だと思い、その境遇を受け入れて
耐えること、乗り越えることが、私の母となる道の第一歩だと。

妊娠6か月に入ったころ、母のガンが見つかりました。
自分が母親となったことで、それまで抱いていた母への反抗心はすべて
消え去り、産み育ててきてくれた母へ感謝の気持ちを日々感じるように
なっていました。
それをなかなか態度に出せなかった私でしたが、母の病を聞いた日には
布団の中で、ただただ「お母さん、お母さん死なないで」と
何度も母を呼びながら泣いたものでした。
リンパ腫ということで、危険度は高く、当時の医療技術は放射線治療が
主流で、母は辛い手術と闘病生活に入りました。
看護の手はあったのですが、私は毎日病院に通いました。
なるべく入院生活に不自由がないように、身内の自分がついていてあげたい、
母の役に立ちたい、そばにいたい、という気持ちからでした。
徐々に私たちの母娘関係は優しいものに変わっていきました。
それも、お腹に宿った命のおかげでした。

妊娠8か月頃、私と彼はやっと一緒に暮らせることになりました。
出産、産後までは実家で、という父の希望でしたが、夫婦が離れて暮らす
ことへの不自然さ、求めあう私たちの願いをきいた母方の祖父母が、
父に助言してくれたようです。
上京する日、病院に寄ると母は歩くのもやっとの身体でしたが、玄関先まで
送ってくれました。髪の抜け落ちた頭を隠すナイトキャップ姿で、顔を
くしゃくしゃにしながら手を振り見送ってくれる母の姿に、私も送ってくれた
友人も涙が止まらなかったのを覚えています。

そんな家族模様がある中で、私は母となる自覚を日々高め、お腹の娘も
育っていったのでした。

新婚生活は、東京の郊外。畑や林が広がるのんびりした土地に、
築30年という古いアパートを借りて、21歳と18歳の若い夫婦の
生活が始まりました。

テレビとコンポと冷蔵庫、テーブルを彼が実家から運び、私は実家から
譲り受けた古い食器棚と布団を持ちこんで、たったこれだけでのスタートでした。
ガスコンロと洗濯機だけ買ったかな。
他には、湯沸かし器も掃除機もヒーターもなし。
夏の間はそれで過ごし、真冬になるとさすがに不憫に思ったのか、両家の親たちが
買ってくれました。

今のようにディスカウントなどない時代のことでしたから、道具一つ揃えるの
にも結構かかったんですよ。家具だって、今なら1万円出したらちゃんとした
ものが買えちゃいますが、そんな製品はまず見かけなかったし、あっても劣悪品でした。
洋服も然り、です。今のように1枚数百円でTシャツが買える時代だったら、
もっとずっと生きやすかったのになあ・・

大雨になると雨漏りするほど古く、かび臭い部屋。きれい好きな彼のために
毎日一所懸命お掃除するのだけど、古い染みやにおいはちっとも落ちないの。
妊娠後期の身体は自分の思う通りにならないし、それまで学生で何も経験の
ない私にとって、家事はもちろん近所づきあいから銀行の扱いやら社会生活も
すべて初めてふりかかる事態。いっぺんにたくさんの事柄をこなさなくては
ならなくなって、戸惑ってばかりいました。

でも、やっと念願叶って彼と一緒になれた喜びの方がはるかに大きく、なんだか
全然苦労を感じなかったような。。。小学校の時から好きだった初恋の彼との結婚
だけで、夢のような幸せを感じていたのでした。

そんな中での出産は、見知らぬ土地で、家族の付添いもなく一人きりで迎える
こととなりました。初めて味わう陣痛の痛みと不安を、よく一人で耐えたものだ
と今は思えますが、その時はそれが当然、この命を産めるのは私しかいないんだ、
という母としての覚悟だけで臨んでいたのでしょう。
当時は女房の出産や子供の行事のために夫が休暇を取るなんて、ナンセンスな時代でした。
夫が立ち会うケースは珍しく、付き添っても病室の外で待つ形でした。

夕方4時過ぎに娘は誕生しました。その頃はまだ超音波でも男女の区別は
つけられなかったので、生まれた時点で初めて女の子だと判りました。
病院が電話してくれて、夫の勤務先には連絡がついたようです。
それから2時間、母体は一人で休ませてもらい、赤ちゃんが連れてこられる
ときに夫も到着しました。
初抱っこは、パパになったばかりの彼が先。積極的にかかわろうとする夫に、
病院の方たちが感心していました。

赤ちゃんと二人きりでゆっくりと過ごしたのは、翌日の昼間。
ベビーベッドごと運ばれてきた赤ちゃんと、ベッドに横になったまま柵越しに
対面。つむっていた目が開いて、私と目が合いました。
濡れたような黒い瞳が、じっとこちらを見つめていて、私が母親だとわかっている
ようでした。吸い込まれてしまいそうなほど深い色で、時が止まったように
見つめ合ったあの、不思議なシーンのことは今も鮮やかに蘇ってきます。

小さな個人病院でしたが、子供のような若いカップルを温かく見守ってくれました。
産むときに大声をあげる私を叱りつけて「くそばばあ!」と思った助産婦さんは、
産後おっぱいを上手に呑ませる私を今度は猫かわいがりしてくれたし、私と同い年
だった看護婦さんは用が済むと私の部屋に顔を出し、友達のように世話を焼いてくれました。
院長の奥さんは面会時間を気にせず夫を入れてくれ、家族水入らずの時間を作ってくれたり、
長い夜は私の肩を抱いて話を聞いてくれたり、頭を撫でてくれたり、母のように
特別可愛がってくださいました。

私の、母親としての人生はこんな環境でスタートしたのでした。

あとの子育ての苦労は、世のママたちと変わりません。年代が変わっても、
母親の苦労と喜びは、それほど変わりないでしょう。
医療費はじめ子育てに様々な助成がついたり、育児用品が多彩多様化、
便利になったり、紙おむつの値段が半分になっていたり・・と環境は
ずいぶん良くなっていますけどね。

20年経ってもまだ出産・育児の世界を体験できるなんて、貴重なことです。
母業20年。あと20年は続くわけですね~ 
でも、原点は決して忘れられないし、忘れてはいけないと思っています。
当時と比べたら、今なんて周囲に恵まれすぎるほどです。
あの若さでよく夫婦二人、やってきたよ、、、すごいなあ。今の自分にできるかと
言ったら自信ないわ。人に頼ること、夫を使うことを覚え過ぎてしまった~。
しかし、あの頃の頑張りがあったからこそ、その後どんなことがあっても
自分を失うことなく乗り越えてこれたのでしょう。
ぶれない自分、確固たる自分があるのもそのおかげ。
私の人生の基盤を作ってくれたあの時代に感謝。人生を大きく決定した、
20年前の命と運命に、ずっと感謝し続けたいと思います。
若い頃の自分を慈しみ、これからの人生も大事に生きていこうと改めて思うのでした。

おめでとう、私。母業一応「成人」です。

そしてがんばれ、あと、20年・・・(汗)





























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Last updated  2008年11月16日 23時36分06秒
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