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「ルツの決断」
ルツ記、1章
ルツ記は、士師記とサムエル記第一の間にはさまれており、その
書の位置にふさわしく士師記の付録であり、またサムエル記第一の
序言になっています。
ルツ記の目的は、次のような四つにまとめることができます(A
・イーダーシャイム)。
1.士師記と全く反対の付録を加えること。
2.イスラエルの真の精神を示すこと。
3.イスラエルと異邦人との不思議な関係、すなわちイスラエルの
歴史の中で最も大切 な 時期において、意外に異邦人が重要な 地
位を占めていることを再び表すこと。
4.ダビデの系図を示すこと。
ある注解者は、「ルツ記は、その記事についてはダビデの歴史の門
戸にあるけれども、その精神については詩篇と同じように福音の門戸
にある」と述べています。
一、ベツレヘムからモアブへ行き、二人の息子と夫に先立たれ
たナオミ(1~5節)
士師が治めていたころ--ヨセフォスの説によればエリの時代--
イスラエルにききんがありました。それで、エリメレクと彼の家族は、
ベツレヘムからモアブの野へ行きました。ところが彼らが約十年、そ
こに住んでいる間に、エリメレクと二人の息子が死にました。あとに
残されたのは、ナオミとモアブの女であるルツとオルパという三人の
未亡人です。
ある人は、「エリメレクは本国に住むことのできないことを恐れま
したが、外国へ行くや否やただちに死にました。そしてその息子たち
は、モアブにおいて家を建てようとしましたが、その家はかえって墓
となったのです」と述べています。
これが、「自分のおるべき所を捨てた御使いたち」が神のさばきを
受けたように(ユダ6節)、神が与えてくださった約束の地を離れた
エリメレクの家族の悲惨な末路です。
二、ベツレヘムへ帰る途中、ナオミに勧められてモアブへ戻っ
たオルパと、彼女とともに行くことを堅く決心したルツ(6~18
節)
このような時、ナオミは風の便りにベツレヘムに豊作が訪れたこと
を聞きました。彼女は、その良い知らせに矢も盾もたまらなくなって、
二人の嫁とともに帰途につきました。
そのうちにナオミは、二人の嫁に自分の母の家に帰るように言いま
した。なぜなら彼女は、二人の嫁が自分について来ても将来に何の夢
も希望もないことを知っていたからです。これは二人への愛のことば
であるとともに人生を左右する決断を迫ることばでもありました。
弟嫁のオルパは、別れを惜しみながらも自分の民とその神のところ
へ帰って行きました。しかしルツは、いかなる試練も甘受してナオミ
とともに行こうと堅く決心したのです。
「実にルツの選択は、自分がヘブルの家に属すること、すなわち、
たとえその人々に拒まれることがあっても、自分の心においても行い
においてもイスラエル人であることを確信していたのでなければ、全
く説明することはできません」(A・イーダーシャイム)。
しゅうとめのナオミは、自分では意識していなかったかも知れませ
んが、嫁のルツとともに暮らした十年足らずの間に、彼女に信仰の良
い影響と感化を与えていたのです。
三、ルツとともにベツレヘムに着き、町の女たちに苦しみを訴えた
ナオミ(19~22節)
ナオミとルツがベツレヘムに着くと、町中が二人のことで騒ぎ出し
ました。「これはエリメレクの家がベツレへムで有名だったことを示
してい」ます(A・マクドナルド)。
しかしそれだけにナオミの苦悩は深く、彼女は、「主は私を卑しく
し、全能者が私をつらいめに会わせられました」(21節)と苦汁をな
めたことを告白せざるを得ませんでした。
町の人々は二人のことで騒ぎましたが、落ちぶれた彼女たちを助け
る人はだれもなく、予想していたこととはいえ、二人の、貧しく、そ
して苦悩に満ちた日々が始まったのです。
拙著「士師とサムエルの生涯」29「ルツの決断」より転載
