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「時の自覚」
甲斐慎一郎
ローマ人への手紙、13章11~14節
「あなたがたは、今がどのような時か知っているのですから、こ
のように行いなさい。あなたがたが眠りからさめるべき時刻がもう
来ています。というのは、私たちが信じたころよりも、今は救いが
私たちにもっと近づいているからです。夜はふけて、昼が近づきま
した」(11、12節)。
この短い箇所に「時」に関する言葉が七回も記されています。私
たちは、時の流れの中で生きており、そこから逃れることはできま
せん。時の記念日に因んで、「時を自覚する」とは、どのようなこ
とかということを考えてみましょう。
一、時の自覚--考え方(思い)の変革
人間というものは、期間が限られている仕事や緊急の出来事以外
のものは、いつしてもよいという考えを持ちやすいのではないでし
ょうか。しかしそのように考えている人は、決して成功しないでし
ょう。どのようなことにも時期を逃さずに、「機会を十分に生かし
て用い」(エペソ5章16節)た人のみ、真に有意義な人生を送るこ
とができるのです。
機会には次のような三つの特徴があります。
1.自分でつくることができないものであることです。すなわち
受動的なものであるということです。
2.いつ来るか分からないものですから、常に備えていなければ
なりません。
3.いつまでも続くものではなく、失われるものです。ですから
決して逃してはならないのです。
伝道者の書の著者は、「天の下では、何事にも定まった時期があ
り、すべての営みには時がある」と記し(3章1節)、ダビデは、
「それゆえ、聖徒は、みな、あなたに祈ります。あなたにお会いで
きる間に」と述べています(詩篇32篇6節)。「確かに、今は恵
みの時、今は救いの日です」(第二コリント6章2節)。
このようなことから「時を自覚する」というのは、物事をするの
は、いつでもよいのではなく、何事にも時があり、機会を逃しては
ならないことを知って、その思いや考え方を改めることです。
二、時の自覚--生き方(行動)の変革
パウロは、「今は救いが私たちにもっと近づいているからです」
と述べています(11節)。この救いとは、世の終わりにあるキリス
トの再臨とその栄光にあずかることを指しています。「ですから、
私たちは、やみのわざを打ち捨てて......正しい生き方をしようでは
ありませんか」と勧告しているのです(12、13節)。ペテロも「こ
れらのもの(天の万象)はみな、くずれ落ちるものだとすれば、あ
なたがたは、どれほど聖い生き方をする敬虔な人でなければならな
いことでしょう」と述べています(第二ペテロ3章11節)。
このようなことから「時を自覚するというのは、人間は何をして
もよいのではなく、すべての行いが神によって正しくさばかれる世
の終わりが近づいていることを知って、その行動や生き方を改める
ことです。
三、時の自覚--在り方(心)の変革
しかし私たちは、その行動や生き方を改めるためには、その心が
変わらなければなりません。それでパウロは、「主イエス・キリス
トを着なさい」と勧めています(14節)。
キリストを着るとは、どのようなことでしょうか。パゼット・ウ
ィルクスは、聖書の中には、三つの衣があると述べています。
1.新生の衣、すなわち義の衣です(ガラテヤ3章27節)
2.聖化の衣、すなわち聖い衣です(エペソ4章23、24節)
3.栄化の衣、すなわち不死の衣です(第一コリント15章53節)
キリストを着るとは、救い主キリストを信じて、新しく生まれ変
わり、さらに聖霊によって心に住む罪がきよめられることです。
このようなことから「時を自覚する」というのは、人間は、どの
ような心であってもよいのではなく、罪を悔い改め、救い主キリス
トを信じて、新しく生まれ、その心や在り方を改めることです。
私たちは、このように時を自覚しているでしょうか。
甲斐慎一郎の著書 → 説教集