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以前、一つの言葉や文法の消滅は

単に話し言葉としての価値を喪失するだけでなく

その時代の文化や伝統や価値を喪失することに繋がると言う話しを聞いたことがある。

特に、先住アメリカ大陸の民族である言葉は文字に残していないため、その言葉を喪失することは

単にマイノリティの消滅を意味するだけでなく、学ぶべき可能性がある文化的な価値感も喪失するのだ。

正直、この話しを聞いた時

現代社会に生きる一人の日本人として、やや具体性に欠き

論理的な理解はあっても、感情的な理解は乏しかった。

ただ、最近になり上述のような言葉の喪失の意味を理解できるようになった。



私の家は、全自動でお湯入れや追い焚き機能でお風呂を入れられる。

とても、楽だ。

時間のない社会人や現代社会に生きる人間にとって

時間を創出するという意味では

大変重宝すべき機能である。

私は、全自動でお湯を沸かしながら

数10年前をふと回想していた。

私が子供のころは

お風呂のお湯を入れてきてと言われると

水の蛇口とお湯の蛇口をひねり

お風呂の温度を調節していた。





「いい湯加減」今は、機械でやってくれるし楽だなと息子と風呂に入りながら感じていた。

その時にふと思った。

私はこの子に「いい湯加減」を教えれるのかと。

ここでのいい湯加減とは単に物理的な作業を指すわけではない。

ましてや、いい湯加減とは個人の湯加減でもない。



子供ながらに考えたものだ。

自分の入りやすいお湯加減ではなく、母や姉や父などの入りやすいお湯加減を。

これは、単に物理的な作業ではなく

ある種、精神的な作業だったのだ。

お湯加減一つで、他者の気持ちを推し量る機会を私は子供の頃に得ていたのだ。

つまり、私が息子に伝えたい「いい湯加減」とは、他人の気持ちを推し量る機会を得る精神的な作業だ。

近所付き合いが少なくなり、核家族化も進行する
現代社会

まさに、時代は個人主義に傾倒しているように感じる。

ただ、個人主義への傾倒は前述のお湯沸かし作業のエピソードが示唆するように

時代や環境の変化に応じたダイナミズムの流れであり

教育どうこうと言うレベルではないかもしれない。

私は、息子を風呂に入れながら

そう感じていた。

この時、同時に「いい湯加減」のような、文化的な価値のある文脈の喪失。

すなわち、先住アメリカ大陸民族のエピソードも繋がり

何故か、風呂場で言葉の喪失について深い理解を得れた。

そして、その後はすぐに思考が未来に向かった。

この子に、いい湯加減をどう教えよう。

いい湯加減の文化的価値を伝えたいなと。

ちなみにいい湯加減を教えたいと感じた背景になるブログはこちらをみてください。


「縁」
https://plaza.rakuten.co.jp/akitoakito/diary/201408170000/


幸いにも、まだ息子には伝える術がたくさん残っていることに気づいた。

例えば、料理を取り分ける。

一つのお皿の料理を家族でシェアするのだ。

お湯沸かしとは物理的な作業内容は違うが

他人の気持ちを推し量るという意味では、内包している精神的な意味合いでは通じる。

それこそ、全自動料理取り分け機とかできたら終わりだが笑

それでも、他の作業で代行することはできる。

ただ、そういった精神的な作業に触れる機会は、時代の進歩と共に減っていくだろう。

ただ、ここで重要なのは

そのような精神的な作業が減ることを嘆くことでも、抵抗することでもない。

私が大切だと感じるのは、時代の変化に伴い

変化や喪失していく言葉から、文化的な価値を抽出し伝承していくことだと感じる。

文化的な価値さえ途絶えなければ、「いい湯加減」が喪失されようとも

他の作業にそれを補完する作用を見出すことができる。

激しく変化する時代の波の中で、今後喪失する作業や家事は増えるだろう。



しかし、その時に便利さのみを受け入れるのではなく同時に失った文化的価値を再考し、伝承し、補完すれば文化的価値は引き継がれていくだろう。


「あとがき」
先住アメリカ民族は大切なことを伝える時に文字に残さない。

彼らは大事なことを伝承するときに使う手段は

物語や歌にして残す。

人の感情に直接語りかける物語は伝承力が強いのだろう。

こういった論理的な考察のブログにおいては、エピソードを織り交ぜることはもしかしたら非効率かもしれない。

しかし、人の記憶に強く残るのは、論旨よりもエピソードそのものだ。

効率が価値を増す現代社会は、経過ではなく結果を求められがちだが

逆に非効率や先住アメリカ民族のような物語文化から学ぶべきことは

意外に多いのかもしれない。





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Last updated  2019年05月27日 13時24分58秒
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