ユーカリの木陰で里の行

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2014.09.22
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カテゴリ: 海外生活
その子

オーストラリアでは夏休み、最後の日曜日。
8歳の息子が、ホリデーが終わってしまうことを嘆いて
お別れパーティーを開こうと提案したのだった。
子どもたちは望み通りプールでひとしきり泳いだ後、
夕食は庭でバーベキューを楽しだ。

「 あっ! 」びっくりと叫んだのは息子だった。
ポッサム !?
小さなポッサムが、まだ日も暮れてないのに、
私たちのすぐ傍、プールサイドのフェンスにしがみついていた。

その子はつぶらな瞳でこちらをじーっと見つめていた。
すぐさまカメラを取りに走って写真を撮りたいところだったけど、
動くと逃げてしまいそうで、ただ見つめ(睨み?)合っていた。
ふいにポッサムがテラスの柱に飛び移り、屋根に上ってしまうまで。

「ポッサム、ポッサム、ポッサムだったよ~~~」大笑いとムゥが
呪縛が解けたかのように騒ぎ出した。
私も明るいところで、

「どっから来たんだろーねぇ?」と、お姉ちゃんのメェ。
「そこのフェンスに巣でもあるんじゃないかぁ。」と、ダディン。
その夜はポッサム話で盛り上がったのだった。


その半年後の6月―ダディンがぼそりと呟いた。
「まったく、ポッサムのせいで庭の木々が死にそうだよ。

ほら、あの木もあの木も、み~んな弱ってる。
うちの庭には今年も花なんか咲けないなっ」

一方的にポッサムを非難する姿勢に思わずムッとしてしまった。
しようがないではないか、
あの子たちだって食べていかなくちゃならないんだから。

どんどん大きな一軒家がアパートやタウンハウスに開発されていくので、
広い庭にあった大木もどんどんと切り倒されている。
それまで大きな木に巣をつくって生きてきたポッサムも住処と食料を失って
気の毒に、
ウチあたりのチビた木にまで縋り付かなきゃ生きていけなくなっているのだ。

そんな話をしていると、ダディンが
「やっぱり、ポッサムに食べ物をあげるとするか」とか言い出した。

え、それはちょっと…。しょんぼり
よく、野生の生き物に食べ物を与えてはいけないと言われるけれど、
私もその言葉の重みは、わかるの。
というのも昔、ハトとの間に苦い経験があったから。

メルボルンで一軒家に引っ越して間もないころ、
庭に鳩が一羽やってきた。
次の日もその次の日も、その子は午後になると庭にやって来て、
芝をついばんでいた。
かわいいのでと名づけて、食パンの残りを千切ってあげた。

その翌日、ピイちゃんは鳩のお友達を連れてやってきた。
どっちがピイちゃんなのか、 判別不能 ではあったけど、
とにかく前日より多めにパンをあげた。
次の日鳩のピイちゃんは5、6羽に増えていた。
翌々日には倍増どころか乗増で、
あっという間に30羽 を超してしまった。びっくり

毎朝、目を覚ますと、
鳩たちが我が家を取り囲むように隣近所の屋根に立ち、
ピーッピーッ待ち構えていた。
余りの数に圧倒されつつも、
その「エサちょーだい」のひたむきな熱意が不憫で、
ご近所にあまりご迷惑をおかけしないよう
毎朝すみやかに餌をまくようになっていった。
もはや「食パンの残り」などでは追いつかず、
鳥用エサの特大パック を買いこむようになっていった。
嬉しそうに餌をついばむ姿を見ると、とても止めてしまう気はなれなくて…。

けれど終わりは来る、なんであれ。
9年後、私たちは引っ越すことになったのだった。
次の家主に鳩のエサやりを 頼むわけにもいかず 、
結局引っ越しが決まったその日から徐々に餌を減らしていった。
引っ越し前にはせめても特大の餌の塊をいくつか木々につるした。
もしかして次の住人が鳩に餌を あげたい気になるかも しれない、と
家で一番大きなプラムの木に 念のため 鳥の巣箱をつくった。
結局、あの巣箱はどうなったんだろう…。

と、かような過去があったせいで、この家に引っ越してからも
庭に遊びに来てくれるかわいらしい小鳥や、遠くにポッサムを見かけても
絶対に餌とかはあげないようにしていたのだった。

「だけど、ポッサムって何年生きる?
たぶん数年じゃないかな?
自分たちが引っ越すよりも、
ポッサムが亡くなる方が早いんじゃないかなぁ」と、ダディン。

そういえば…、
ハムスターの寿命は2年間とか何かで読んだことがあったっけ。
ギニーピッグやウサギの寿命も短い、とか。
だとしたら…

「大丈夫だよ。餌の少ない冬場だけあげて、
春になったら徐々に減らしていけばいいんだから。
それからはまた自分で見つけられるから」と、楽天的なダディン。


翌日からダディンはポッサムに餌を上げ始めた。
いつの間にか 裏庭にポッサムのエサ台ができていた。
そのうち 、「今日は人参が特売だった!」とか
「リンゴが1パック2ドルで売っていた! 
リンゴはポッサムの好物なんだ」大笑いとか言いつつ、ダディンが
嬉々として野菜や果物を買いこんでくるようになっていた。

息子もダディンと一緒に毎晩ポッサムに餌をあげるようになっていた。
「ポッサム、これ好きかなぁ? 早く来ないかな~」とか言って待っている。
「ムゥがそこにいたら、恐がってポッサム食べに来れないよ」と言うと、
しぶしぶ 家の中に引っこむものの、窓から外を覗きつづける。
そうして「 あ~、ポッサムだ~~~ 」大笑いと騒いでは
外に飛び出してしまい、逃げられていた。しょんぼり(^^;


そんなある日、アメリカに住んでいる従兄が仕事で娘さんを連れて遊び来た。
夕食の後、二人を見送ろうとして息子が叫んだ。
「あ、 ポッサム だっ!」

ポッサムが前庭の白樺にしがみついて、じーっとこちらを見つめていた。
アメリカ育ちの娘さんなどポッサムを見たのは初めてだそうで、大喜び。
うちの子たちも大はしゃぎで、かなり間近にいたのに、
その子も裏庭の子同様、逃げることもなく私たちをじ~っと見つめていた。
ふかふかした身体、黒くつぶらな瞳―
やはりとってもかわいらしい。
思わず手を伸ばして抱っこしたくなってしまう。

と、そのとき思い出した。
以前、遊びに来た友人が
「前庭の木にポッサムかなにかの巣があるよ」と言っていたことを。

翌日、中央の木の上方に巣らしきものを発見した。
で、思ってしまった。
同じ「うちの子」なのに、
前庭の子だけにあげて、裏庭の子にあげないというのは
不公平では なかろーか…

と同時に、隣の家のポッサムの存在が気になってきた。
ポッサムには、小さくて臆病な リングテイル と、
それより大きく攻撃的な ブラッシュテイル (尻尾がブラシのようなので)
という2種類(詳しくはもっといるのだろうけど)がいる。
そうしてうちの子たちはリングテイルで、左隣の家の子はブラッシュテイルである。

ブラッシュテイルはテリトリー意識が激しいようで、
夜、うちの犬のみならず私たち人間にまで、
庭に出ようものなら、向こうへ行けと 威嚇して唸り声 をあげてくる。
あんな気性の激しい子に餌の存在なんかを嗅ぎ付けられた日には、
うちのチビたポッサムなどあっという間に隅っこに追いやられてしまうだろう。
サイアク、巣まで奪われてしまったら…。

「大丈夫。間にガレージがあるんだから。
まさかガレージを伝ってまでうちの方には来ないだろう」と、
ダディンは あくまでも楽天的 なのだった。


続きは、一気にアップできなかったので21日の日記の方に。

写真は裏庭のポッサムたちです。
撮る前は、暗くて1匹だと思っていたのですが、
写真には3匹、どころか4匹写っているような…。
ちなみに大きな餌台にはブラッシュテイルがのっていました。
じゃあ、この夜は5匹いたのね、裏庭に…。







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Last updated  2014.10.16 16:27:16 コメント(2) | コメントを書く
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