鏡の国のアリス

April 10, 2009
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カテゴリ: 小説
「おねぇちゃん、お話してー」
その言葉で、はっと我に返った。
見れば子供達が自分をじっと見つめている。
「そう、ね。何の話しをしようか……人魚姫にしようかな」
意識して早く喋ろうとしながらそう言えば、子供達がぱぁっと笑顔になる。
その時、部屋の扉が物凄い音をたてて開いた。
見れば機関の者。黒服に片手には長銃。
「おい、出ろ!」
一言、低い声音でそう言って部屋から出てゆく。

優しくそう言って、すっかり脅えている子供達の頭を撫でる。
そうすれば少しだけ安心したような表情で、子供達も立ち上がった。

――さて、どこに連れて行かれるのかな

すうと目を細めて、一人思案する。
「軍の実験だ。ナイフを一本皆に配る。これから荒野に連れて行くからそこで暮らせ」
先ほど部屋に入ってきた男は、義務的な態度でそう言うとナイフを配ってゆく。
子供達はただ脅えるばかり。
しかし、どうしてこんな突然に……
そう考えた時、謀反を決意していたエイトの姿が目に浮かんだ。
「……もうちょっと綺麗にやってよ」
ため息混じりにそう呟いて、ナイフを太股のベルトに入れる。

鎖で縛られる手をぼうっと見つめる。
逃げ出さないように、という事だろう。
そうして、車の中に押し込まれる。
既に子供達は半泣き状態だった。

「―――♪」

子供達の泣き声が、止んだ。
一人、また一人と眠りに付く。
「音……まだ、ちゃんと………使えた、ね」
たどたどしい口調で、そう言ってほっと息をつく。


タイヤは回り
ただ罪の無い者を、
闇へと誘う。





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Last updated  April 10, 2009 05:36:49 AM
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