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2018.01.31
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老後の楽しみに、京極夏彦先生の小説を読み、のんびり世界観に浸りながら晴耕雨読。


去年手に入れた村上春樹先生の本。一度も読破できてない彼の本を理解できるまで老熟したのではないかと思い、知り合いのハルキストが「これなら」と勧めてくれた『海辺のカフカ』をやっとこさ一昨日に読み始めた。
零れ落ちる…。
言葉が、私に入ってすぐ零れ落ちてしまう。何も残ってはくれない。
そんなはず無かろうに、と、目から入ってくる言葉を掻き集めて掻き集めて咀嚼しようとはするが、私の中に留まってくれず、零れ落ちる…。
村上春樹の本を目の前にして、私はザルのよう。彼の言葉は清らかな水で私は目の粗いザル。
惨めだ。熱弁してくれたハルキストに詫びなくてはならない。また失恋してしまったと。私がおかしいのだと。
心がしぼんだ。
この虚無感を埋めたい。
ミステリーもダメなら村上本もダメ、それならラノベ的人気のある海猫沢めろん『零式』を読み始めたが、ルビがチカチカ気になり断念。機体(マシン)、電飾(イルミネーション)、闇市(ブラックマーケット)など、このルビを楽しむ余裕が私には無い。
めろん氏にも失恋してしまった。
他のラノベを調べては見たが、魔法系か妹萌え系か非リア充のモテラブコメが王道らしい。40代の主婦には眩しすぎる。
嗚呼、もう絵本でも読もうか。ガッシュベルをもう一度読もうか。それともデスゲームのマンガでも取り寄せようか。いや、今はマンガではなく活字だけの世界を欲している。
なにげなく視線を向けた未読本の塊の中に、『一の悲劇』を見つけた。動揺した。
私は今まで10回近くの引越しをしているのだが、その度に愛読本はことごとく紛失している。コレクションしてた京極先生のブ厚い本でさえ知らず知らずに行方不明ときたものだ。
なのに、『一の悲劇』は、それこそカバーは無くなっているものの何年も私の人生に着いてきてくれていた。
どこで買ったのかさえも覚えていない。ついこの間行われていた我が家の断捨離祭りを終えても尚、こうして残ってくれてるのには意味があるとしか思えなかった。
「今読むべきなんだろ?わかったよ読むよ」と思わず口から放たれた言葉に、私はその場にいた家族以上に驚愕した。
ついに、私は、心の声が独り言として出ちゃうお年頃になったようだ気をつけねば。

法月先生の本はきっと何冊か読んでいる。『雪密室』は学生時代、友達の間で貸し借りされ大盛り上がりしたのも鮮明に覚えている。
だからいつぞやかに購入したんだ。何か読みたいなぁと思った時に法月先生の本を迷わず手に取ったんだ。
だから捨てなかったのだ。潜在意識に「絶対面白いはずの法月本を読まずして捨てられるか」との想いがこびりついていたんだ。
「いつ読むの?今でしょ♪」
しまった。また声に出てしまった。
苦笑いの空間から逃げるように「ママこれからお風呂いっきま~す」と宣言して、『一の悲劇』は半身浴のお供になった。それは日曜のことだった。
2日後の半身浴中、物語は終わった。これを書いてる数時間前だ。
お風呂で良かった。まさかの号泣したからだ。
読んだのがこの歳で良かった。

以下、ネタバレ感想です。














ミステリ小説のリハビリにもってこいだった。
主人公の”私”がクズすぎて、私は怒りのパワーの勢いで読み進められたからである。

”私”は妻子ある大手企業のアッパー層サラリーマン。
簡単にいうと、不倫相手の女に人生をかけたストーキングをされて人生メチャメチャになる話。
って聞くと安っぽくなってしまうねw
ざまあーーーーみろーーーーwwwっていう展開には一応はなる。私はそれを望んでたから最後まで読めたんだ。
ホント、クズ!!!主人公と不倫女がクズ過ぎて!子供を何だと思ってんだ!勝手に取り上げたり脅迫のアイテムに使ったり!!

既婚者の女性とゲス不倫し、不倫女が本気になっちゃって主人公が知らない間に子供を出産していて、数年後に何食わぬ顔で”私”の前に現れる。何も知らない自分の子と不倫の子は仲の良い友達になり、親はママ友になる。不倫の子は間違って誘拐され殺される。
あらすじ書くのヘタかwwwめっさチープになっちゃうからこれ以上やめとこww

でも違うんだ。色んな愛が交錯していて、次々とどんでん返しが来るんだけど、なんていうか、

​不倫している人、されてる人に読んで欲しい

本当に大切にしたい人は誰ですか?
その不倫は、何もかも失ってもいい価値のある不倫なのですか?

私の父は愛人がいました。
母は世間体が第一でオーガニック信者で自己愛が強く、父がのんびりくつろげる家庭を作れなかった残念な女性なので、父が不倫するのは仕方ないと子供ながらに思ってました。私も窮屈でしたから。父以上に、母は家族を愛していなかった。母自身だけを愛していた。
今この歳になって考えても、世間体を気にして離婚しなかったのは同じ母親として腹が立ちます。「”不倫されて可愛そうな女”と見られるのってイヤだもの」と母は言ったのです。
子供達を育てあげるまでは離婚しない、ホントはパパを愛してるから離婚したくない、ではなく、全ては自分の世間体の為に離婚しない母。
父の葬儀の時に愛人さんが来てました。もうすっかりオバサンでした。特徴的なホクロがあるので、何十年ぶりの再会ですぐには思い出さなくてもホクロでハッとなりました。
父のほとんどの財産は彼女に持ってかれました。父の愛は本物だったようです。余命を分かっていて準備してたのでしょう。
そんな不倫劇もあるのです。
ですが、フィクションの『一の悲劇』のように、子供が巻き込まれるケースもあるんです。
かつての私のように。

ホクロの愛人さんとは、高校生になるまでよく顔を合わせてました。嫌悪感が無かったのは彼女に母性を求めていたのかもしれません。母に仕返しでもしてるつもりだったのかもしれません。
いつものように彼女の車に乗って買い物へ行く途中、「このまま消えちゃったらどうなるかな。あなたのパパは探してくれるのかな」と彼女が悲しく笑って言って、私はなぜか「あ、殺される」と強く思って全身から汗が吹き出た瞬間に震えだした経験があります。
その後、買い物するわけでもなくただ街中をぐるぐる走って、ついにはカードレールに追突して私はむち打ちになりました。「このことは誰にも言わないでね」と念を押され、家の前で降ろされました。
幸い、私は首を少し痛めただけでした。ガードレールは父が保険やら対応したようです。
おそらく、あの頃は父とは別れていたのかもしれません。そしてあの事故は、もしかしたら…。
愛人というのは、子供を人質にとるタイプもいるんです。


武豊さんが不倫しても誰も驚きません。
あれだけのスペックであれだけ稼いで、モテないわけありません。夫人も不倫覚悟で結婚しているはずです。もし離婚したとしても、財産分与と慰謝料と養育費で大金が転がり込むわけですから子育て(実際、武さんにお子さんはいませんが)に不安はないはずです。だからデーンと構えてられるんだと思います。
​ですが、一般人はそうはいかない。
カツカツの状態で不倫されたら、ふざけるな!ですよ!子供を大学まで行かせるお金がカツカツ状態で不倫?はぁ?そんな時間とお金あるなら子供に使えよ!こちとら10円単位で節約してんのに、はぁ?
離婚したらしたで、母子家庭の貧困率は高い。大学まで行かせられるかわからない。
だから不倫は許しちゃいけないんです。要は稼ぎの問題です。
武さんと結婚できてたなら誰だってデーンと構えてますよwww
庶民は不倫はしてはいけません!愛人を作っていいのは選ばれし殿方だけです!セックスレスなら風俗に行けばいい!離婚したいなら法に基づき手続きをすべきです!面倒くさいことを避け、玄人ではなくお金のかからない素人の愛人を作るのは庶民はしてはいけない!

お金持ちの不倫離婚が少ないのは、愛人稼業をしているプロを囲うからです。月30~50くらい?だから愛人も、切られてもわりきれる。商売だから。本妻はそれを分かって結婚している。
それが、父のような一般庶民がいっちょ前に不倫をする。無料で!!!愛だ恋だの安い擬似恋愛を経て、時々安いプレゼントと安い旅行で機嫌をとり、お金の換わりに「離婚するから」という餌を撒き、ズルズル何年も無料で愛人を囲う。だからトラブルになるんだよクズ!
慰謝料と養育費を気前良く払える財力も無いくせに、弁護士立てる度胸も無いくせに、いっちょ前に不倫しやがって!!
そんな父への怒りが今更込み上げてきた。
きちんと順を追って離婚手続きしてくれれば良かったのだ。逃げずに、ズルズルせずに。
そしたら…ーーーーーーーーーーーー
私は、どっちに着いていったのだろう…wwww



『一の悲劇』の主人公は、アッパー層のはず。なのに、心の支えが欲しかったという生ぬるい理由で不倫をした。そして簡単に捨てた。
あーークズーーーー
だからこそ、最後が泣けた。大号泣するとは思わなかった。何の涙かわかんない。きっと悲しくて泣いた。登場人物のそれぞれに同情して。


ミステリファンでなくても読んで欲しい。
私は、三浦にも同情するよ。
愛した人との子を取り上げられたんだから。




一の悲劇 長編本格推理 (祥伝社文庫*NON POCHETTE) [ 法月綸太郎 ]


一の悲劇【電子書籍】[ 法月綸太郎 ]




最後にもう一度叫ばせてほしい。


遊ぶ相手を間違うと人生めちゃめちゃになるよ!

バーーーーーーーカ!!!












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最終更新日  2018.01.31 03:46:17
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