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「知的障害者を閉ざされた施設から開かれた地域へ」
の潮流が盛んとなっておりますが、
地域の一員となる道のりは決して平坦ではありません。
グループホームなどの建設に反対する施設コンフリクトなどは
その代表例と言えるでしょう。
軽度知的障害や境界知能もまた
地域で割を食いやすい障害ではないかとされています。
障害として比較的にも相対的にも軽い分、
支援を受けるより先に犯罪に巻き込まれたり
冤罪を背負ったりする事例が幾つかありました。
中学の頃に軽度知的障害が判明したというA子さんは、
上京後にオレオレ詐欺の受け子をして逮捕され、
執行猶予の判決が出てからは
グループホームで社会復帰に向けて訓練を続けています。
A子さんはオレオレ詐欺について、
「『オレ』だから女性である自分には関係ない」
と考えていました。
知人男性のX郎を含む何人かが80代の男性宅へ電話し、
A子さんは金の受け渡しをする「受け子」を命じられます。
被害男性は電話の段階で不審に思って通報しており、
受け渡しの段階でA子さんは
詐欺未遂の現行犯として逮捕されました。
X郎はA子さんが上京する手引きをし、
東京でも同居していました。
両者の関係はX郎によるDVが目立っており、
A子さんは上京前から
腹を蹴られるなどの暴力を受けていたそうです。
犯行当日も「やらないとヤクザに指を切られるよ」と脅され、
現場まで同行してきました。
このような関係性でありながら、
X郎のたまに見せる優しさがA子さんを依存傾向に追いやっており、
今でもX郎への思慕を捨てきれないそうです。
A子さんは家庭事情も複雑でした。
母親と妹と弟も軽度知的障害の疑いがあり、
ほぼ唯一の健常者である父親は
家庭に関わりを持とうとしなかったのです。
母親は愛情こそあれども生活育児能力が追い付かず、
ネグレクト状態となっていました。
おまけに妹が彼氏と同棲したため
A子さんが部屋から追い出される有様でした。
そんな家に戻っても出所後の生活は保障されません。
家族とも共犯者とも離れた
グループホームでの生活が望ましいと提案されました。
初犯であり実質的な被害もないことや
出所後のグループホームの手配などから、
A子さんは執行猶予付きの判決に留まります。
グループホームの生活は不自由なことも多いですが、
A子さんはネイリストになりたいという目標に向けて
支援計画に従いゆっくりと前へ歩んでいます。
ネイリストという夢を通じて、
失いたくない仕事や人脈を築いていくこともまた
犯罪を思い留まらせるブレーキとなるはずです。
障害者と特殊詐欺について特化したデータはありませんが、
知的障害や発達障害の若い人が
加害者として巻き込まれるケースが多いと感じる弁護士もいます。
SNSなどでバイト募集に釣られるパターンが多く、
地元の先輩や知人に誘われて
詐欺の片棒を担がされることもあるそうです。
類似のトラブルに多く関わった弁護士はこう語ります。
「社会福祉の制度は
必要な人に支援が届くまでタイムラグがあります。
一方、大規模な特殊詐欺は会社のような組織体なので、
生活力の低い人へ住居や仕事はおろか、
人間関係や愛情さえもまとめて提供できてしまいます」
つまり、福祉制度と特殊詐欺グループの間に絶対的なスピード差が存在しているのです。
そもそも軽度の知的障害では逮捕後に判明するケースが多数派で、
A子さんのように逮捕前から診断が出ているのは珍しいそうです。
会話そのものは出来るぶん見過ごされやすく、
累犯者の弁護を引き受けているうちに
やっと知的障害が分かったこともあります。
では弁護側は障害を疑えばいいのかというと、
それもまた難しいです。
事件を起こすとしても不起訴か
執行猶予で終わる小規模なものがほとんどで、
比較的短期間で裁判が終わります。
そうなると弁護側も
「鑑定請求や知能検査などで何か月も延ばしていいのか」
と抵抗感を示すでしょう。
長い目で見れば、
出所後に必要な福祉サービスへ繋げ支援体制を整えるのが
理想の更生プランです。
しかし、易々とはいかないのが現実です。
滋賀県の元看護助手だった西山美香さんは、
患者の死亡をめぐって業務上過失致死の冤罪で
懲役12年の実刑判決を受けました。
刑期満了による出所後に再審請求をし、
事件から17年後にようやく無罪判決を勝ち取ったのですが、
なぜこのような冤罪が起こったのでしょうか。
2003年、患者の人工呼吸器から
チューブが外れる死亡事件が発生しました。
滋賀県警は
「チューブが外れた際のアラームを当直看護師が無視した」
と推定し、
その時当直だった西山さんを容疑者としてマークします。
西山さんは「アラームは鳴っていなかった」と供述するものの、
繰り返される長い取り調べに屈して嘘の自供をしてしまい、
業務上過失致死で逮捕・起訴されました。
担当の井戸謙一弁護士は再審に向けた証拠集めの過程で、
西山さんに軽度の知的障害と発達障害があることを知りました。
他人に流されやすい性質も分かり、
西山さんが
「意に沿う供述をすれば優しくしてくれる刑事に好意さえ芽生えた」
と述べたことから、
井戸弁護士は障害に付け込まれ
思い通りの供述を引き出されたと確信します。
更に井戸弁護士は、検死した医師の報告書に
「死因は痰詰まりだった可能性もある」
と書かれていたことを突き止めます。
これは事故死を主張する大きな証拠でしたが、
県警は地検に出さず揉み消していました。
事件性を否定する証拠が
県警の思い描くシナリオと合わなかったためです。
再審の無罪判決と共に裁判長は、
「非難されるべきは捜査手続きのあり方」
「全ての関係者はこれを他人事にせず、
司法の改善に結びつけねばならない」
と捜査や司法に対して自らの意見を述べました。
裁判長が法廷で司法に物申すのは極めて異例のことです。
障害などに付け込まれる「供述弱者」の取り調べには、
最初から弁護士を付けるなど
何らかの補助が必要となるかもしれません。
再審を経て井戸弁護士はそう振り返りました。
軽度知的障害者や境界知能が
犯罪加害者として巻き込まれるだけでなく、
自分から犯罪を起こす場合もあります。
勉強についていけず
鼻つまみ者にされるなどのイライラが爆発し、
何かしらの非行に走ることがあるというのです。
児童精神科医で
「ケーキの切れない非行少年たち」
の著者でもある宮口幸治さんは、
医療少年院で働く中で非行少年たちに
「知的ハンデゆえに物事への認知機能が弱い」
という共通点を見出していました。
認知機能自体が弱ければ、
自らの犯罪を省みることは出来ません。
宮口さんは、矯正教育よりも先に
認知機能を鍛え
適切な自己評価を出来るようにするべきとしています。
特にIQ70~85の境界知能は宮口さんが
「忘れられた人々」
と呼んでいます。
普段は知的ハンデを意識すらせず生活への影響も薄いですが、
想定外のハプニングやストレスなどに晒されると
強いパニック状態を起こし、
「生きづらさ」が露わになります。
それでも普段の生活が平穏なために“忘れられて”しまい、
支援に係るという発想すら生まれません。
宮口さんは、
非行を煽り反省を妨げる「認知機能の弱さ」について、
小学2年生ごろから段々と特徴が出てくるとしています。
はじめは些細な違和感ですが、
学年が進むにつれ問題児扱いされていき、
本人の知的能力が
俎上に載ることもないまま深刻化していきます。
仮に知的ハンデを疑ったとしても、
境界知能では受けられる支援などたかが知れています。
宮口さんは社会性を身に付ける訓練を学校でも
体系づけて実施する必要があるとしており、
著書の中でも5年かけて開発した
支援プログラムについて解説しています。
軽度知的障害者や境界知能が、
犯罪加害者として巻き込まれたり
自ら犯罪を起こしたりする背景には、
福祉や教育などの抜け穴があります。
それを「社会の荒波」「自然淘汰」
などといって放置するのは単なる現実逃避です。
[障害者.com]
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日頃から善悪をしっかり見極める冷静さが必要ですね。 ☄
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