天翔ける鳥船

天翔ける鳥船

2004.07.01
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キャラ文庫の「王朝ロマンセ」シリーズ外伝です。


時は平安初期、藤原氏の権勢が高まり、臣下で初めて摂政となる藤原良房が右大臣の頃の話。

大寺の前に捨てられ、稚児として育った千寿丸は悪い僧侶に狙われ、逃げ出して、藤原諸兄と在原業平に助けられる。
そして、大納言の息子で堅物で有名な蔵人、諸兄に仕えることになる・・・・・というのが本編。

外伝では、主人公は藤原国経。相手役は在原業平。
本編では国経は、最初千寿丸に「顔がそっくりなのは無礼だ」といちゃもんをつける、いやなやつで登場。そのうちに、千寿に興味を持ったらしく、権勢絶大な叔父の名をかたって千寿を呼び出し、モノにしようとして、諸兄と業平に取り返される・・といった役回りだったのに、「冬」では、いつの間にか業平といい仲になっていた・・・

で、外伝では国経の視点で業平やら千寿やらがかかれています。千寿と国経がそっくりさんだった訳も判明。そうか、そうきたかっという感じですけどね。

本編では千寿は、そういう経験はなかったにもかかわらず、稚児としてそだった経験上、話としてはいろいろ知っていたようですけど、国経くんは今をときめく藤原北家の御曹司。顔よし、家柄よし、権勢絶大な叔父を持つ・・・ということもあり、そう簡単に業平のくどきに落ちない。しかし、一緒に舞を踊ることになり、真剣に稽古をおこなう業平にだんだん心ひかれていく・・・・



今回の外伝の主人公の藤原国経。あまり教科書には出てきませんけどれっきとした実在の人物です。藤原良房の甥で、後に臣下で初めて関白になる藤原基経の兄になります。
歴史よりも、「伊勢物語」の有名な段に登場しています。

「伊勢物語」は平安初期の歌人でもある在原業平を主人公とした歌物語で、東下りが有名ですけれども、そのきっかけとなった事件に国経が、ちらっと登場してきます。
この外伝でも、なるほどとおもうようなお話ですね。

のちに「二条の后」として皇后になる藤原高子が入内する前の話ということで、「男」が彼女を攫って行ったが、途中で鬼に食われてしまった・・・と思ったら、実は彼女の兄たちが妹が攫われたのに気がつき、取り返しに来たのだった・・・というお話です。ここで高子を取り返しにくる二人の兄が国経と基経です。

それにしても、この時代の天皇の父であった嵯峨天皇。嵯峨源氏はここから出ているのですけれども、何しろ皇子や皇女が多すぎて、とても皇族として養っていけず、家柄の低い母の子女を臣籍にして、「源」という姓を与えました。たしか子どもが50人ぐらいいたんじゃなかったっけ?

右大臣藤原良房は子どもは娘1人しかいないため、結局兄の子である基経を養子にするのですが、良房の妻は嵯峨天皇の娘。天皇の娘が、皇族ではなく臣下に降嫁したのは初めてということで、他に妻をもてなかったのではないかと思います。まあ、そんなわけで、隠し子の1人や2人いてもぜんぜんおかしくない(?)気がします。

とまあ、当時の背景とか考えながら読むのは、ボーイズラブ小説の読み方としては異端かもしれませんけど、結構おもしろい。

王朝春宵ロマンセ(4) 王朝冬陽ロマンセ 9784199002298






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Last updated  2004.07.01 23:51:28
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