「俺が責任を取るから、思いきりやってくれ」
猪瀬氏が震災対応において、平常時の規則と現実との矛盾で動けなくなっている現場に対し、送った言葉。
一種のノスタルジーを感じるセリフだ。かって明治の日本は、維新とその後のアジアに迫りくる欧米列強との対峙において、トップに立つ者が若手の力を引き出すためにとった、リーダーシップのスタイルを象徴するセリフだからだ。このセリフに感銘を受ける人が多いとすれば、なにより、日本がいかに”太平ボケ”しているか、ということであろう。特に外交を「対米従属」で済ませてきた戦後日本は、ボケ切ってしまっているかもしれない。
そんな国民にとって、”平時ではない“時の対応の仕方、というものが近々頻繁に話題となるようになってきた。いや、”平時でない状況が普通になりつつある”昨今の日本の状況なのだ。
こんなときに、必要な決断力とは何かを、改めて整理して提示してくれる、本書である。
方法論を明示してくれることで安心感が生まれ気分は休まるが、実践するリーダーが思い至らないことに気付き暗澹となるのは、私だけではないと思う。 逃げ出すように辞めた首相経験者が何食わぬ顔で政党党首に返り咲こうとする国なのだから。