あめぷり!ジュニアテニスUSA

あめぷり!ジュニアテニスUSA

June 26, 2004
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「へー、こんなの、あるんだ」@小倉競馬場駅

  車椅子バスケの全国大会のポスター。
  躍動感のある絵。

  梅雨本番の中、昨日の夕方から、万博のプロジェクト
  の打ち合わせのために、北九州市立大学に来てる。

  「漫画の影響もあるのかなあ?」

  なんて思いながら、モノレール駅の階段を降りて
  行く。長くて狭い階段だ。

  「どうやって降りるのか?」



  小さい頃、学校から帰ると、隣りの文房具屋のキク坊
  のところへ飛んでいってた。

  文房具屋の看板娘。とても可愛い。私より一回り上。
  キク坊は歩けない。

  筋無力症という病気で、中学生の頃から歩けなくなっ
  たらしい。

  「まともなのは、首から上だけなんよ。」
  とキク坊は、幼い私に説明しながら笑った。

  中学生になって、彼女をおんぶできるようになってか
  ら、時々、車椅子で外に連れ出していた。


  まっている自分とキク坊を思い出す。

  「ここだったら、人が少ないから、駅員さんに声をか
   けられるなあ」

  階段のことを恨めしく思ったって仕方がない。
  解決方法を考えるだけだ。



  いつもミーティングを行うゼミ室では、プロジェクト
  を一緒に進めている大介先生が授業中。

  「学生に混じって待っててください。」

  と電話で言われたのを思い出して、中に入る。

  窓辺にあるカウチに座るまで気づかなかったのだけど、
  座った時、目の位置に、病院で移動に使われるベッド
  があった。

  「ああ、この人だ」

  障害を持っている人が、大介先生のやってるサークル
  にいることは、彼のサークルの掲示板の書込みで知っ
  ていた。

  どの程度の障害なのか、その書込みからは想像できな
  かったけど、目の前にいる彼女は、見るところ、寝た
  きりで、ほとんどの動作に介助がいるような状態だ。

  ベッドの上にある体の容積の少なさに、そこに人が
  いることを、ほとんど認識できない。

  その現実を私が認識している間に、もうひとつ、私の
  五感が感じていたことがあって、それは私をとても心地
  よくした。

  彼女の存在は、この空間で、自然に受け入れられていた。

  今、こうして、改めて日記に書き留めているけれど、
  あえて、私が意識したり、好奇心をかき立てられたり
  しなくていいくらい、普通にそこにいる。

  そのこと自体が、実は普通ではなかなか経験できない
  ことだったのかもしれないけど、その空気を私はゼミ
  の間、一緒に吸いながら、再びキク坊のことを思い出
  していた。

  キク坊と一緒に町を歩くと、いつも視線を感じた。

  じっと見つめる子ども、目をそらしながらも意識が
  こっちを向いている大人たち。

  「子どもに見られるのはええんよ。興味を持ったり、
   怖がったりするのは、自然なことだから。」

  キク坊は、人の目を一瞬で捉え、その後ろにある
  感情も読み取った。

  「この人の前では、何もごまかせない」

  中学生の私は、そこで腹をくくった。
  キク坊にはうそをつかない。 

  そうか。リアルっていうのは、こういうことかもな。

  何にもごまかさない。ごまかせない。

  この人のことをここに書こうと思ったのは、テニスを
  している子ども達は、果たして、周りの大人たちに
  受け入れられていると思っているのだろうか?と疑問
  に思ったからだ。

  結果を問われるスポーツという世界で、子ども達を
  育てていくという作業は、実は、とてもセンシティブ
  な仕事だと思う。

  最初に、日本の子ども達のテニスを見た時、彼らが
  とても周りを気にしているのを感じた。

  「勝たなければ受け入れられない」

  そういう空気。

  自分のゲームではなく、周りとの取引を試合中にして
  いる。

  もしくは、逆に、どんな状況でもおかまいなく、自分
  の子どもを受け入れてしまうであろう、親達。

  これって、優等生&障害者へ対して起こる反応と心理
  によく似ている。

  優等生は、みんなに何を期待されているのか、よく知
  ってる。彼らは、自分のイメージをそこで勝手に作っ
  ていく。

  そのイメージは、彼らの内面から作られていくわけで
  はない。

  だから、そのイメージを維持できなくなった時、彼ら
  は周囲の中に自分の存在を見出せず、ましてや、そこ
  に本来のリアルな自分さえも発見できずに戸惑う羽目
  になる。(リアルの高橋くん)

  障害者の中にも、世間一般の障害者のイメージでしか
  自分を捉えてない人もいる。

  彼らは、障害を武器にする。
  子供が子供であることを武器にするように。

  自分達が異形であるが故、世間が自然に受け入れられ
  いというリアルな事実と、受け入れるべきだという正
  論の間でしか、自分の存在を見出せない。
  (車椅子バスケのメンバーのひとり)

  ジュニアプレイヤーが陥りやすいのは、優等生の方。

  「トップジュニアにありがちなシンドロームですよ」

  練習の後のBBQパーティで、あるプレイヤーの話になっ
  た時、韓国人のお父さんが言った。

  「小さい時に、トップに立つと、その後のスランプで
   上がれなくなることはよくあるんですよ。彼女も
   それで今、行き詰まってるんでしょう。」

  自分のテニスを見つけることの大切さが、ここにある。

  たとえば、小さい頃はそうでもなかったけれど、最近
  ぐっと伸びてきているプレイヤーの試合を見ていると
  確かにその傾向は見える。

  「そうだなあ、ジルなんかがいい例かも。」

  お母さんコーチは、彼女の成長をじっくり見守ってきた。
  最近のプレイには、とても粘りがあって、たくましい。

  勝っても負けても、変わらず支えてくれるコーチや家族
  がいるという安心感は、子ども達の成長には欠かせない。

  グループレッスンの中で、成績が残せなければ、次の遠征
  に連れて行ってもらえないとか、ホームコートでも、競争
  を強いられている子ども達には、もしかしたら、自分が
  受け入れられているという感覚はないのかもしれない。

  もしくは、せっかくテニスでの居場所を見つけても、
  日本の学校教育の現場で、自己表現の制限の壁にぶちあた
  り続ければ、その影響から逃げろ!という方が酷。

  それでも、挑戦し続ける者にしか、勝利の女神は微笑ま
  ない。

  さて、ゼミ室の授業が終わる。

  私がどんなに心地よい時間を過ごしていても、障害を持
  っている彼女のリアリティは、心地よさを求めるために
  は、そのための解決策を探すチャレンジの連続。

  「ねえ、誰か小倉の駅まで連れて行ってくれない?」
  「いつ?」
  「何しに行くの?」

  知り合いが路上で歌っているのを聞きに行きたいと
  いう彼女のリクエストに、ゼミ仲間が質問を浴びせる。

  交渉成立。

  車椅子ならぬ、ベッドの上からの彼女のチャレンジに
  静かに感動している自分がいる。

  レッテル好きの世の中では、しばし、リアルはレッテル
  の後ろで身を潜める。

  ましてや、すでに世の中のそのレッテルに振り回されて
  生きてきた身には、自分のレッテル依存症さえわからな
  くなってる可能性もある。

  だからこそ、そこから、子供は守ってあげたいよね。

  過剰な期待も自己否定もしない、そのまんまって、
  案外難しいもんだけどね。



















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Last updated  June 26, 2004 07:49:28 AM
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