***andante***

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August 4, 2004
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「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは、真っ暗闇な空間を歩いたり、食事をしたり、視覚以外の感覚を使って日常生活を体験するというワークショップです。(現在、青山2丁目にある梅窓院で9月4日まで開催中。興味のある方はhttp://www.dialoginthedark.comをご覧下さい)

最大10人までのグループを組み、まずはそれぞれに持たされた白杖の使い方を教えてもらいます。そのあと、アテンド(ガイド)さんの待つ真っ暗な空間の入口に入り(ここからすでに真っ暗よん)みんなで自己紹介。仲間の名前と声質をなんとなく記憶(笑)。特にアテンドさんの名前と声質はしっかり覚えておかねば。ちなみにアテンドさんは全盲の方、暗やみの中では一番頼りになる人なのです。

アテンドさんの指示に従って、いよいよ体験の始まりです。扉の開く音と共に、虫の音、深い緑の薫り、川のせせらぎの音などなどがフワ~っと迎えてくれました。
どんなに目をこらしても、ただただ真っ暗です。必死にカシャカシャと左右に白杖を動かす仲間たち(ワタシも含めて・・・笑)。アテンドさんの指示の声がする方向に一生懸命ついて行きます。
自分で思っていたよりもずーーーっと、「耳」が「位置を知る手立て」として大変重要な働きをしているんだと改めて感じて、びっくり。アテンドさんが「はい、じゃあこちらに集まってくださーい、こちらですよー」と言うと、ちゃんとみんな、ワラワラと集まることが出来ます(笑)。

地面が土から藁に変わった感覚に驚いたり、ゆれる木の橋を渡ったり。アテンドさんの誘導と白杖を頼りにどんどん進みます。徐々に暗闇にも慣れて、仲間同士で声を掛けあい、「湧き水はここだよ」と互いに手を誘導して教えあったり。もう最初っから目なんかなかったみたいに、感じるものすべてを楽しみました。

森を楽しんだあとは、街に出ます(ここも暗闇)。
まずはスタジアム。階段を上がるときもみんなで「ここから階段だよ」「ここで階段が終わるよ」と声を掛けあいます。昔から知っている同士のような、気持ちのいい連帯感。誰もココロに垣根を持った人はいません。
スタジアムでは、自分のまわりで沢山の人々が応援している声や太鼓の音がします。そしてその音の振動が足に伝わってきます。


ワタシは普段でも、目を閉じたまま点字ブロックの上を歩いてみたりするのですが、あれは足の感覚だけでは無理ですね~(笑)。白杖があると、ないときよりもずいぶん楽に歩くことができます。
とはいえ、一応ここは作られた「仮想空間」。それに、アテンドさんがいるから上手に出来るのでしょう。たった一人で、本当の街中で、白杖だけを頼りに点字ブロックの上を歩くのは怖いかも・・・。特に、ホームの上は。
それでも、点字ブロックがどれだけ助けになる物であるかがよく分かったので、これからは点字ブロックの上に自転車や物が置いてあったりしたら、勝手に移動してしまおうと思いました(笑)。

そのあとは、バーに入ってみることに。アテンドさんのおごりです(ヒューヒュー、パチパチ・・・と子供のようにはしゃぐ我ら)。
バーのドアを開けると、カランカラン、と気持ちのいいドアベルの音。他の人が開けたドアでも、この音でどのくらいドアが開いたのかが分かります。
「いらっしゃいませ」丁寧に迎え入れられ、店員さんが一人ひとりの手をとって席まで誘導してくれます。席につき、テーブルの位置を確認。ちょっと暖かみのある木で出来たテーブルでした。
メニューを読み上げてもらい、ワタシが注文したものは「爽健美茶」。ひんやりとした小ぶりのワイングラスがテーブルに置かれました。グラスの淵から指をゆっくり中にいれると、そこにお茶が入っていました(自分で注ぐことになってたらどうしよう~と思っていたので確認したのだ・・・笑)。
みんなで乾杯~! 意外とちゃんとグラスをカチン、と当てることが出来るもんデス。アテンドさんもびっくりされてました。
お茶の香ばしい薫りがグラスを近付けた瞬間に強く感じられました。鼻が久しぶりに充分なお仕事が出来て喜んでいるカンジ(笑)! 舌も同じくデス。
このバーでは素敵なショウがありました。女性のオペラ歌手が「オー・ソレ・ミオ」を歌いながら、ワタシたちのテーブルのまわりを一周してくれたのです。歌も素晴らしかったですし、彼女が今どこを歩いているのかを「耳」が自然に捉えています。

ひと息ついたところで、このワークショップが終わります。

ここまでで40~45分くらいだそうです。でも、あっという間でした。「もう終わっちゃうの? もうちょっと居たいのに・・・」という気持ちでした。見えなくても怖くなかったから(もちろん、このワークショップだからですが)というのと、仲間やアテンドさんとの連帯感が気持ち良かったからです。

明るい場所に用意された椅子にみんなで座り、真っ暗闇から出たばかりの「目」を「見える世界」に慣らしていきます。ここで初めて、みんなの顔をちゃんと見ることが出来ました。「あなたが○○さん?」「そうです」「湧き水の場所に手を誘導してくれた○○さんは?」「あ、それ僕です」みたいな(笑)。
アテンドさんは声から想像した通りのカンジの方でした。オレンジ色の髪をした、スポーツマンらしく筋肉のしっかりついた青年です。とてもお茶目で楽しい方で、よく「ジャングルクルーズのツアーガイドみたい」と言われるんだそうです(笑)。わかるわかる(笑)。
彼は全盲だそうですが、このワークショップでの誘導中に白杖はまったく使っていませんでした。それよりも、階段をいっきに上がって(声から想像すると飛び上がったみたいに移動して聞こえたのよ)暗闇でもすべてが見えているようでしたよ。さすがプロです。(プロですって言い方も変? でもホントにそうなんだもん・・・)
彼のオレンジの髪にはアンテナがついているそうです(笑)。いや、絶対ついてるよね(笑)!


それから、視覚に障害があっても、人の心遣いと街の環境がきちんと整っていれば、もっと安心して楽しく暮らせるということ。
今すぐ始められるのは、少しでも街の環境に気を遣うということですね。せめて点字ブロックの上には物を置かない。物につける点字の位置の規格を統一させる。音声読み上げ機をもっと各所に普及させる。などなど。
ココロの垣根もなくしましょう。このワークショップに参加すると、簡単に垣根をなくすことが出来ます。「目が見える・見えない」は関係なくなって、スルリと人間対人間の関係をみんなと作ることが出来ます。

みんなが気持ち良く暮らすために出来ることはいっぱいありすぎて、いっぺんに全部は無理だけれど、ひとつずつ晴眼者側と障害者側(この言い方あんまり好きじゃないんだけど)の両方から幅を攻めていきましょう。一人でも多くの方が協力すれば、その人のぶんだけ前に進むことが出来る。もちろんワタシもやりますよ~。
気持ち良く暮らせるようになった街を想像するだけで、今からとてもワクワクします。
ぜひみなさんも、この機会に「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみてください。想像するよりももっと、思ってもいなかったような意外な発見が必ずありますよ。





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Last updated  August 5, 2004 04:28:46 AM


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