太田典生の「毎朝1話」良い話のおすそ分け

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2006.09.23
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カテゴリ: アラカルト
老ゆるは嘆くに足らず。嘆くべきはこれ老いて虚しく生きるなり。 『呻吟語』

老いることは誰も避けることができないが、お迎えが来るのをただジッと待つだけの人生には私は絶えられません。私の最大の願いは、ボケて周りの人に迷惑をかけるようなこともなく、何らかの形で誰かのお役に立ちつつ、ある日コロリと逝くことです。

年金制度でギリギリのところではあるが経済的には保障され、医療保険や介護保険で病気や身体の面でもギリギリの線は保証されています。
では、今のサラリーマンが高齢者になったときに何が足りないのか?

それは、友達、人間の触れ合い、心の豊かさである、と堀田力さんは言います。
「今日の最大の不幸はハンセン病でも結核でもなく、皆から自分がいてもいなくてもいい見捨てられた存在だと感じることである」とマザー・テレサも言いました。

ある街の路地裏に、生きていることすら誰も知らないようにひっそりと生きている老人がいました。老人の部屋に入ると、窓は閉め切ったままで、部屋は一度も掃除をしたことがないようなひどい状態でした。教会のシスターたちが老人の家を訪れて掃除をしようとすると、老人は「ほっといてくれ」と大声で怒鳴ったが、老人にニッコリと微笑んで構わずに掃除を続けた。
「ほっといてくれと言うのがわからないのか」と老人はまた言ったが、さっきよりはいくらか穏やかな語調だ。翌日から窓を開け、掃除や洗濯をし、いろいろと話しかけるようにしたところ、やがて老人の目に輝きがよみがえったといいます。

今の日本では何不自由なく生きているように思えるけれども、心の飢えを持っている人はたくさんいます。誰からも必要とされず、誰からも愛されていないという心の貧しさ、それはひと切れのパンに飢えているよりもひどい貧しさではないでしょうか?


以前は子供や孫を含めた家族や地域社会がその面を支えてきたが、核家族化が進んで親と子が同居する習慣はなくなりつつあり、地域社会の絆も薄れてきています。
残るは夫婦関係だけだが、どんなに絆の深い夫婦でも必ずどちらかが先に死にます。
配偶者に死なれたら周りには誰もいなくなり、誰も訪ねてくる人もいないとなると、孤独に弱い日本人は耐えられなくなり、急に老けたり呆けたりする人が多いようです。

◆次回に続く





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Last updated  2006.09.23 05:42:46
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