小村和也の建築家日記

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カテゴリ: カテゴリ未分類
「文化」とは

私は学者ではないので学術的な検証はできないが、建築家として設計に真正面
から向き合うときに、そこには必ず「文化」というものが立ちはだかる。
意識しまいと思っても、それを解析しなければ仕事が進まない。実に難しく
やっかいなものだが、いくつかの物件の設計を行う中で、私の中での「文化」
が明確となってきた。

NHKで紹介いただいた松江の「築百年の商家」のリニューアルで、それはいよ
いよ明確に意識できた。さらに、小樽市指定歴史建造物のリニューアルの依頼
をいただいたとき、対峙し合っていた小樽市役所とクライアントの間に立ち、

受け入れられリニューアルが行われることとなった。


  文化とは・・・建築からの検証
             「その建物は建築「文化」か?」

松江市には松平藩の居城「松江城」がある。平成の時代の中でこの城は「建築」か?
「建築」となるためにはその建物が存在するための土台となる「文化」が必要だ。
答えから言うと松江城は「建築」ではない。なぜなら、この建物の土台となる
武士の「文化」はすでにそこにはないからだ。このような場合、この建物は史跡と
呼ばれたり文化財と呼ばれる。

一方、安土桃山時代から現存するお茶室「利休の待庵」は「建築」か?
この建物は「建築」だ。なぜなら、この建物が載る文化としての「お茶の世界」が
現代にもありこれからも続いていくであろうことが想像できるからだ。


小樽市指定歴史建造物は建築か?
これを小樽市役所とクライアントにぶつけた。旧 遠藤又兵衛邸が私に託された
建物であった。この遠藤邸は明治35年に建てられた建築だ。和洋折衷のたぐ
い稀な建築で、日本建築学会の評定書も公布されている価値あるものだ。
答えからいうと、この建物は「建築」ではない。いや、なかった。

文化の上に乗っていないからだ。
私は小樽市役所に問うた。「この建物は文化財ですか史跡ですか?」市役所からの
答えは「史跡でも文化財でもない」というものであった。
「ならば、この建物を「建築」にしなければいけないのではないでしょうか。つま
り、明治の庶民文化ではなく、平成の庶民文化の上に乗せてあげましょう。」

実にチン問答のような問いかけだが、そこに小樽市役所とクライアントの中に
大義名分ができた。クライアントにしてみれば、敷地の中に明治の遺構が横た
わっていて実に迷惑な話だったろうし、小樽市役所としてみれば、当時(30
年前)に指定された意義が揺らぐ(オリジナルを維持していくことの難しさ)
中で、どう対処してよいか分からなかったのだろう。

「文化」を絶対的なものとして捉えたときに、「建築」の検証解析が可能となる。
平成の庶民文化のための「建築」にしていく「作業」が始まった。
これが、私の建築家としての仕事だ。

「文化」とは、過去の時代を目指しているものではない。常にこの瞬間をスタート
ラインにして、未来に向けて走りつづけるであろうものを「文化」という。
「お茶の世界」は、たまたま安土桃山時代から興ったことであって、今日のこの
スタートラインに立たせてみて、なおかつこれからも続いていくであろうことが
想像できるので「茶の湯の文化」と呼ばれるのだ。

ウインドーズもことによれば文化かもしれない。50年後も100年後も存在
しうる可能性を感じるならば、ウインドーズは文化だ。






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Last updated  2006/01/28 05:38:34 PM
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