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2017.05.22
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カテゴリ: 歩く [再録]

この画像は三重塔を石段下から眺めたところです。 [歩く&探訪時期:2015年9月]

三重塔を近くで見るために、本堂から石段に向かったとき、石段下の近くで石仏に出会いました。

西国三十三観音霊場の 第一番「那智山青岸渡寺」 の石仏観音像でした。如意輪観世音菩薩です。
傍の立て札には、石段を上がると、そこに第二番の石仏観音が祀られ、三重塔の山側斜面の道を右回りに巡ると、三十三観音を巡ることができるようになっていると説明があります。 ここの石仏観音像は江戸時代の作だそうです。 坂道ですが、15分ほどで巡ることができると記されています。

三重塔もまた様々な角度から眺めることができ、近辺の風景も眺めることができるので、勿論三十三の石仏観音の拝見を試みました。
今回は、こちらをご紹介します。この各札所については、ネット検索で調べた後掲のサイトにアクセスいただき、参考にしていただければと思います。尚、 「西国三十三所巡礼の旅」というサイトで紹介されている各札所のページとここでご紹介する石仏観音を繋がせていただきたいと思います。ご関心があれば、各札所の名称をクリックしてみてください。 (資料1)

第二番 金剛宝寺   十一面観世音菩薩
金剛宝寺は 別称が「紀三井寺」 です。こちらの方が良く知られている気がします。
この石仏観音は、本堂を背景にしています。本堂の屋根が間近に見えます。

石段を上がると、正面に三重塔が聳えています。右の画像は一層部分の正面です。
中世の天台宗寺院では、本堂より少し高い場所に三重塔を配置する伽藍形式をとっていたそうです 。ここ常楽寺もその通りの伽藍配置だということになります。
初重は中央の間が板唐戸で、左右の間は上半分が連子窓の形式です。上部の組物は三手先の構造です。
三重塔の傍にある説明板によると、木造釈迦如来坐像が祀られ、「来迎壁に釈迦説法図が描かれている」のです。お寺の三重塔でも五重塔でも、インドで仏舎利を安置するために建てられたストゥーパが原型です。インドのサーンチー第1塔(1世紀初)が特に有名です。そのストゥーパが中国を経て日本に来た段階で、奈良・法隆寺の五重塔の形となり、その形が様々なバリエーションで各地に伝播して行ったのでしょう。
「天台宗では法舎利(釈迦の根本教典の法華経を仏舎利の替わり)を安置して法華経の功徳による国家安穏、護国豊穣を願った」と説明されています。

それでは石仏観音めぐりを致しましょう。
山道を登り始めます。

第三番 粉河寺   千手千眼観世音菩薩       第四番 施福寺   十一面千手千眼観世音菩薩


第五番 葛井寺   十一面千手千眼観世音菩薩

この石仏観音の右方向に、三重塔の全景を間近に眺めることができます。

この三重塔は、室町時代の応永5~7年(1398~1400)に再建されたものだそうです。応永5年に記された勧進状の文書が残っていて、調査によると屋根瓦に応永七年というへら書があったことから建立年代が特定できたのだとか。
屋根の緩やかな曲線が美しい塔です。
相輪の部分をズームアップしてみました。
この画像で見える部分は、下から宝輪(九輪)、水煙、竜車、宝珠です。水煙はシンプルな意匠です。


第六番 南法華寺   十一面千手千眼観世音菩薩   第七番 岡寺  如意輪観世音菩薩

 石仏観音の近くに、紫陽花が咲いていました。


第八番 長谷寺   十一面観世音菩薩
石仏観音の背景に三重塔を眺め、石仏の右方向には、樹間から西寺地区の集落が見えます。このあたりから紅葉を眺めるとかなりきれいだろうと思います。


第九番 南円堂   不空羂索観世音菩薩像      第十番 三室戸寺   千手観世音菩薩

山道は三重塔を眺めながらその周囲を回っていくことになりますので、さらに少し上ります。三重塔の角度が変化する景色を眺める楽しさが石仏観音参拝の副産物としてあります。


第十一番 上醍醐 准胝堂   准胝観世音菩薩     第十二番 正法寺   千手観世音菩薩


第十三番 石山寺   如意輪観世音菩薩
この辺りでは、三重塔と本堂の屋根を見おろす俯角になります。山腹からの全景が楽しめます。


第十四番 三井寺   如意輪観世音菩薩

三重塔の屋根の二面の美しいカーブ全体が見おろせるところです。また、相輪部分全体も間前に見えます。屋根の上に露盤がまず置かれ、その上に伏鉢が載っています。この伏鉢は、奈良の法隆寺と同じ形式のようです。九輪には、法隆寺にある風鐸の飾りがなくてシンプルです。
蒼空に紅葉だと、まさに絶景なのですが・・・・・。


第十五番 今熊野観音寺   十一面観世音菩薩
相輪の水煙から上部をズームアップしてみました。水煙の図柄がちょっと見づらい・・・角度でした。


第十六番 清水寺 十一面千手千眼観世音菩薩     第十七番 六波羅蜜寺 十一面観世音菩薩


第十八番 六角堂 頂法 寺  如意輪観世音菩薩
右の景色は、巡り始めて最初に眺めた方向の反対側に来て、三重塔を眺めるあたりになります


第十九番 革堂 行願寺  千手観世音菩薩      第二十番 善峯寺   千手観世音菩薩


第二十一番 穴太寺   聖観世音菩薩         第二十二番 総持寺    千手観世音菩薩


三重塔の正面側が眺められるようになります。
このあたりも、常緑樹の緑と紅葉のコラボレーションの中に佇む三重塔の景色がいいでしょうね。


第二十三番 勝尾寺   十一面千手観世音菩薩   このあたりは遠景を望むのにいいところです。


第二十四番 中山寺 十一面観世音菩薩       第二十五番 播州清水寺 十一面千手観世音菩薩


第二十六番 一乗寺   聖観世音菩薩         第二十七番 圓教寺  六臂如意輪観世音菩薩


第二十八番 成相寺   聖観世音菩薩
本堂の屋根が手前になり、三重塔の左側に三十三観音めぐりの最初の山道部分が見えています。


第二十九番 松尾寺 馬頭観世音菩薩       第三十番 宝厳寺 千手千眼観世音菩薩(観音堂)

第三十一番 長命寺 千手十一面聖観世音菩薩三尊一体
反対側の本堂の屋根が間近に見え、本堂の背面も眺められるところです。


第三十二番 観音正寺 千手千眼観世音菩薩     第三十三番 華厳寺   十一面観世音菩薩


番外として、一体の石仏観音が祀られています。


前回ご紹介した収蔵庫の奥側にあるのが 「薬師堂」 です。
この画像の左下角にほんの一部写っているのが、第三十三番の石仏観音像です。


薬師堂の左側、山の斜面には、数多くの地蔵菩薩石仏や宝塔などが集められて祀られています。
常楽寺のある西寺地区で、1980年から1990年にかけて、大規模な整備事業が行われたそうです。そのおりに整備地に祀られていたものをここに安置されたといいます。室町時代から江戸時代にかけての地蔵菩薩石仏などだそうです。

本堂正面の右端の前に、この立て札があります。「 照千一隅 (しょうういちぐう)
その背後に「一隅を照らす木」という木札が架けてあります。

素直に見ると「千」という漢字に見えます。ルビ「う」で漢字変換すると「于」という漢字があります。墨書をよく見るとハネがありますので、やはり「千 (せん) 」ではなくて「于 (う) 」なのでしょう。一画目が少し左下がりなので・・・・・しかし超微妙です。

(さんげがくしょうしき) 」に書いた文に記された一節なのです。 (資料2)
なお、この「于」という一字については議論があるようです。ここではふれないでおきましょう。ご関心のある方は、補遺をご参照ください。

常楽寺を出る前に、本堂前境内の違う位置から本堂を眺めてみました。
本堂の全景は木々の後になります。ここが紅葉していて、青空だったら・・・・そして、人が居ない静寂そのもののだったら・・・・そんなシーンをついイメージしています。

ふと思い出したことです。石山寺は西国三十三所観音霊場の第十三番札所です。
石山寺の境内でも三十三所巡りができるのです 石山寺を一人探訪した折に知って巡ってみました。拙ブログで既にご紹介しています。こちらからご覧いただけるとうれしいです。

この後、再びウォーキングに戻り、まずは近くの長寿寺に。

つづく

参照資料
1) 三十三所MAP   :「西国三十三所巡礼の旅」
2) 一隅を照らす人になろう   :「天台宗 一隅を照らす運動」

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
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マイカーで行く三十三ヶ所巡り 三十三ヶ所の地図  ホームページ
西国三十三所古道地図   特定非営利活動法人「西国古道ウォーキングサポート」
西国三十三所巡礼の旅 :「旅と散策 思い出のアルバム」
洛陽三十三所観音巡礼   ホームページ
近江西国霊場33ヶ所 一覧表  :「湖国寺探訪」
近江三十三観音霊場巡礼の旅へようこそ!  グーグルマップ
お寺ネット 巡礼研究室 目次
奈良の塔 法隆寺  :「日本の塔」

一隅を照らす人、千里を照らす人   井上宏氏  :「心学明誠舍」
  ~最澄「山家学生式」における「照于一隅」説と「照千一隅」説について~
 「一隅を守り、千里を照らす。これ則ち国宝なり(照千一隅此則国宝)」
     :「Bontakaのブログ/from Duesseldolf」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!


その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


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Last updated  2017.05.24 07:47:34
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