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2019.08.06
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カテゴリ: 観照
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現在の八坂神社御旅所は、四条通南側で寺町通より数十m東寄りのところにあります 。四条通北側の新京極通の入口に立てば、南東方向に見える位置です。
7月17日の前祭・山鉾巡行が終わった後に、夕刻から「神幸祭」 が行われて、御神霊(祭神)が神輿に遷座されます。中御座・東御座・西御座の3基の神輿が氏子区域を巡った後、この御旅所に到着します。そして、神輿は上掲の通り3基が御旅所に安置されます。
7月24日の後祭・山鉾巡行が終わると、この日の夕刻から「還幸祭」 が行われます。御旅所に逗留された御神霊が再び神輿にて、八坂神社に戻られるのです。夕刻に3基の神輿が順次出発し、それぞれの氏子区域を巡り、八坂神社(本社)に夜更けに戻られるという次第です。

東御殿
   西御殿

3基の神輿が安置されている空間の両側に、東御殿・西御殿と呼ばれる社殿があります。

       西御殿の西隣には、「 冠者殿社 」という小祠が並んでいます。

少し、脇道にそれます。
江戸時代、安永9年(1780)に出版された『都名所図会』を読みますと、「祇園御旅所は四条京極の辻にあり。毎歳六月七日祇園会の神輿三基この所に神幸し給ひ、同十四日に祭礼ありて本殿へ還幸し給ふ」と冒頭に説明しています。祇園御旅所と称されていたのが八坂神社御旅所と称するようになっていること。旧暦での6月7,14日の祭礼が、現在は7月17,24日となっていることがわかります。
もとの御旅所は現在地とは違うところにあったそうです。『都名所図会』は、続きにその点を説明しています。 祭神の素戔嗚尊 (すさのおのみこと) と八王子は大政所と号して、御旅所は烏丸通五条坊門の南側に あったそうです。現在の地名では下京区烏丸通高辻上ル南側、 大政所町 です。一方、 素戔嗚尊の妻・櫛稲田姫は、祭神少将井天皇(=王)と称され、その御旅所は烏丸二条の北にあり と説明されています。現在の地名では中京区車屋町通夷川上ル東側、 少将井御旅町 です。町名が御旅所が移されたという歴史を今にとどめています。 (資料1)

元に戻ります。
後祭の山鉾巡行をこの御旅所傍で観覧する前に、西から東に順に正面から神輿を撮ると
東御座
中御座
西御座
こんな感じです。神輿本体の全体は手前の祭壇があるために見えません。

中御座、東御座、西御座は八坂神社本殿の祭神の配置に関係した名称です。
そのため、北向きのこの御旅所では、中央に中御座、東側に西御座、西側に東御座という形で神輿が安置されています。(資料2)


今年は後祭の山鉾巡行を先にご紹介した通り、御旅所の近くで観覧しましたので、山鉾がすべて御旅所前を通過して行った後、このような景色を眺めることができました。
祭壇をかたづける作業が始まったのです。

「還幸祭」の準備が始まったのです。
それにより、今まで見づらかった箇所が見え始めます。

中御座 の神輿に設えられた金色の鳥居が見え始めました。鳥居の笠木・貫・柱等全面に細かな草花文様の装飾が施されています。
正面に菊華の紋章が見え、中央に緩やかな凸面円盤状の金属板が上下に一部分重ねて取り付けてあるのも見えます。

こちらは 東御座 です。金色の鳥居を装飾する文様はガラリと変わり、笠木・貫には青海波文様が装飾され、柱には龍が巻き付く姿の装飾が見えます。
中御座と同様の円盤状の金属板が取り付けてあるのは同じですが、向かって左側に寄っています。

西端にある上掲の 東御座 は神輿の側面まで見やすくなって来ました。
神輿には鳥居が四面の各面に取り付けてあり、扁額は側面には掲げていないことまで見えてきました。
鳥居は高欄に連接し、四隅に擬宝珠が付いた柱が見えます。この高欄が神輿の結界の役割を果たしている感じです。

そして祭壇が全て取り除かれて、3基の神輿が並ぶ形になります。その状態までは見物しませんでした。

「還幸祭」が始まった状態の1枚 をご紹介に加えておきましょう。
2017年7月24日17:13頃の状態です。中央に鎮座していた 中御座の神輿が出発し、東御座と西御座が順番待ちをしているところです
3基の神輿だけが並ぶ状態をイメージしてみてください。


東御座の西側に張り巡らされた幕で仕切られて、この展示区画があります。
ここには、「神幸祭」において神輿に供奉する人々が携えて運ぶ品々がまとめて展示されています。
「還幸祭」では、八坂神社への神輿の帰還の様子と、これらの品々を再び携えて、神輿に供奉する人々の行列を観覧することになります。

還幸祭は、2017年に夕刻から夜更けまで観覧しました。それは既にご紹介しています。
今回は、還幸祭の準備のための前段階の一部をたまたま見物しましたので、記録を兼ねてご紹介しておきたいと思います。

ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
1) 『都名所図会 上巻』 竹村俊則校注  角川文庫p103
2)  ​ 御祭神 御本殿(十三座) ​ :「八坂神社」

補遺
還幸祭 ​ :「八坂神社」

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Last updated  2019.08.06 00:30:06
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