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2020.10.24
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カテゴリ: 観照
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松原橋と四条大橋との間に「 団栗橋 」があります。
松原橋から河川敷を北に400mのところです。


                       ここも橋の少し手前の河川敷に「 位置案内 」が設置されています。



          この 松原橋の構造 とほぼ同じ感じを受けます。橋脚の形が少し異なります。

 河川敷から 団栗橋東詰の南側 に上がってみました。
橋は鋼製高欄でいたってシンプルです。五条大橋、松原橋の親柱にあたるものがここにはありません。
機能本位です。
 歩道と車道の区画は設けてあります。

団栗橋とはちょっと変わった名称です。
かつて、橋のたもとに大きな団栗の木があったことに橋名が由来すると言われています。 (資料1)

東詰南側から西に橋を渡り、時計回りに東詰めに歩いてみます。

南側歩道を進み、橋の中央部で 鴨川の上流側(北)を眺めた景色
北の四条大橋までの距離は、195mです。

鴨川の下流(南)を眺めた景色


西詰に来ると、親柱に相当するものがあります。 北側には「団栗橋」、南側には「鴨川」 とそれぞれ刻された 石板 が嵌め込まれています。
みそそぎ川

改めて 北側歩道から四条大橋の景色 を眺めます。
西詰南側の茶色のビルは「 東華菜館 」という中華料理の老舗、その南隣の黒い二階建和風建築は「 ちもと 」という京料理の老舗です。祇園祭の折にはこの二階で行事の一環として菊水鉾のお囃子が演奏される日があります。東詰南側に見える瓦屋根は「 南座 」です。東詰北側に「 菊水 」のビルがあります。ここも老舗のレストランです。
鴨川の河川敷、四条大橋寄りあたりから、河川敷に座り込み休憩・雑談する人が結果的にほぼ等間隔で並んでいきます。今年はコロナ禍でさすがに人数は減少気味ですが・・・・。

団栗橋の西方向を北側歩道の東詰寄りから眺めた景色
団栗橋を西に渡ると、高瀬川手前のT字路となり 木屋町通 に入ります。右折し北方向に少し行くと、木屋町通と 西石垣通 に分岐します。西石垣通を北上し、四条通を横断して北に進むと 先斗町通 となります。
 東詰北側はなぜか生垣の様になっています。

インターネットで古地図を検索してみますと、寛保元(1741)に出版された「 増補再版京大絵圖 坤 」をみつけました。この地図には該当する位置に橋は書き込まれていません。しかし、鴨川の東側、東西の道路に 「どんくりつし」(団栗辻子) という名称が記されています。 (資料2)
宝永6年(1709)の「京大絵図」には、団栗橋の所在が記されている という説がありますが、現時点では確認はできませんでした。 (資料1,3)

また、 天明8(1788)年正月30日に 、京都の歴史上最大の火災が発生しました。「 天明の大火 」と称される大火災です。鴨川の東、「団栗辻子 (どんぐりのづじ) 」の民家から早朝に出火し、東からの強風に吹かれて、鴨川を西に越えて、火災が万延して行ったのです。二昼夜燃え続ける大火災となったそうです。この「天明の大火」は「 団栗焼け 」、「 申年の大火 」とも呼ばれたと言います。 (資料3,4)

この団栗橋は過去に幾度か渡っていますが、河川敷に降りてこの橋を見上げたことはありません。今回、河川敷を歩いてみて、おもしろいことに気づきました。

橋の下、東詰の橋脚のコンクリート壁面に、「 賀茂川漁業組合 どんぐり橋詰所 という木札 が貼り付けてあります。これが目にとまりました。今まで意識したことがなかったのですが、鴨川にもちゃんと漁業組合があるということを知った次第です。 釣り禁止期間の掲示 も貼ってあります。

令和2年度の「賀茂川つり場案内」 の説明が掲示されています。
アユ解禁が5月31日(日)と大きく記され、「遊漁券販売所」「オトリ・遊漁券販売所」「オトリ販売所」のリストが出ています。

こんな河川流路の案内図も掲示されています。

同様に「あまご解禁」の案内も掲示されています。「遊漁券販売所」と「あまご遊漁料」「禁漁期間」も記載されています。

これは漁業組合に発行された 許可書の写し の掲示です。
四条大橋から松原橋の区域に、川鵜対策として防鳥ロープを5月に設置する許可を得ているという証としての掲示です。「一級河川水系鴨川における土地の占用及び工作物の新築」については、河川法に規定条項があり、そのための手続きのようです。河川敷を歩くことにより、これもまた初めて知ったことです。

賀茂川漁業協同組合という名称から、改めて「 かもがわ 」に関連して地図を確認してみました。
「鴨川」を上流に遡ります。すると、今出川通に架かる ​「賀茂大橋」を境にして下流側が「 鴨川 」​ です。賀茂大橋の ​上流側で「 賀茂川 」と「高野川」が合流​ します。西側が賀茂川、東側が高野川です。
西の賀茂川の西岸堤防上の道路は、「 加茂街道 」と明記されています。
また、紫竹地区に「 加茂川中学校 」があります。 上賀茂・賀茂・下鴨という地区 があり、また「 上賀茂神社 」「 下鴨神社 」と神社名称が表記されています。
つまり、 「かも」の表記に 「加茂・賀茂・鴨」という三種の表記が出てくる のです。
平安京が造営される以前から、この川の北のほとり一体には「賀茂氏」が住んでいたそうです。そこから「かもがわ(賀茂川)」と呼ばれるようになったというのが一般的考え方のようです。しかし、古来からほぼ3通りの表記が使われ親しまれてきたのが、そのまま地名に反映しているようです。 (資料5)

かなり横道に逸れました。団栗橋東詰に戻りましょう。
東詰から東に向かう通りはかつては「団栗辻子 (どんぐりのつじ) 」と呼ばれていました。現在は「 団栗通 」です。この道を東に進めば、大和大路通と交差し、その先に進むと「 健仁寺 」の北側を通り過ぎて、花見小路通と交差します。その先は、「 祇園甲部歌舞練場 」です。春四月の「都をどり」の公演でよく知られる場所です。


これは購入した資料からの引用です。 (資料6)  かつてはこんな 木橋 が架かっていたようです。
団栗橋を西岸、南西側にある建物から撮った写真でしょう。右上に東山の山並みが見え、堤防上を電車が走っています。いつの頃の写真かは不詳です。

団栗橋は、近代以降では1899年、1923年に橋の一部が流出したそうです。さらに、1935年「昭和10年京都大洪水」により団栗橋は流出したと言います。 (資料3,7,8)
1963年に現在の橋が架けられ、今日に至ります。


団栗橋の北側を見上げて、ここから四条大橋に向かって河川敷を歩きました。

ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
1) ​ 団栗橋(どんぐりはし) ​  :「京都通百科事典」
2) ​ 増補再版京大絵圖 坤  寛保元(1741)
3) ​ 団栗橋(京都市下京区-東山区) ​ :「京都風光」
4) ​ 天明の大火 都市史 ​  :「フィールド・ミュージアム京都」
5) ​ 「かもがわ」は「鴨川」?「賀茂川」?「加茂川」?(第126号) ​ :「京都府」
6) 『明治の橋 近代橋梁の黎明』 文化財ブックス第32集 京都市 p59
7)​ 昭和10年 京都大水害 ​  :「京都市消防局」
8) ​ 鴨川あれこれ2 昭和の鴨川大洪水(鴨川水害)と平安京 ​ :「ポジタリアン イエロー」

補遺
天明の大火 1788年1月30日 ​  :「NPO 災害から文化財を守る会」
「炎は瞬く間に東本願寺、東寺に」天明の大火、オランダ人が詳細な記録 ​ :「京都新聞」
018年3月の周年災害/日本の災害・防災年表(「周年災害」リンク集) ​:「防災情報新聞無料版」
昭和10年の鴨川大洪水とその後の治水対策について ​ :「京都府」
京都の大水害 ​  :「NPOおおさか 緑と樹木の診断協会」
京都私娼考 その十二 団栗橋 ​   :「花街ぞめき」
鴨川べりの祇園囃子 その3 ​  :YouTube

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Last updated  2020.10.24 13:20:42
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