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テーマ: 医療崩壊(9)
カテゴリ: 医療・介護
前項から続きます。

しかし「病院が患者を受け入れないのは、病院の怠慢・儲け主義のせいじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そのような疑念をお持ちの方には是非以下の FAQ を読んでいただきたいと思います。


「都筑てんが」さん の 「ぷにっと囲碁!なブログ」 より、  「救急受け入れ問題FAQ」再掲
から、以下転載させていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


■ 患者の受け入れが不能である理由、および今の医療の現状。

削除されたエントリの中で取り上げられた「救急受け入れ問題FAQ」を読みたい…という要望がありましたので、現在製作されている分までをここに掲載します。


●なんで急患の受け入れを断るの?

・(人員・設備が足りない…などの)物理的問題で、(受け入れると犯罪になってしまうケースがある…などの)法的問題で、断らざるを得ない状態にあり、これは「受け入れ拒否」ではなく「受け入れ不能」なんです。

●なんで「専門外だから」が断る理由になるの?

・「専門外の患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例(奈良心タンポナーデ事件)があるからなんです。

●ベッドが無いなら、廊下で治療すればいいんじゃないの?

・「設備不十分な状態で患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例(加古川心筋梗塞事件)があるんです。

・そもそも、「ベッド」「ベッド」って言われてますけど、病院でいうところの「ベッド」は、心電図とか、酸素マスクとか、呼び出し用ボタンとか、それを管理する人員とか、それら全て「込み」ですからね。もはや「ベッド」というより「設備」と言ったほうが適当かも。


●応急処置してから、他の病院に移すのは駄目なの?

・「応急処置の後、他病院に転送するのは犯罪」という司法の判例(上に同じく、加古川心筋梗塞事件)があるんです。

●なんで、一度断った病院が、後になって受け入れるなんて事があるの?

・救命中であった患者が「落ち着く」か「亡くなる」かのどちらかで、病院側に「空き」が出来たからです。

●有名人や金持ちだったら嬉々として受け入れるんじゃないの?

・西村真悟議員の息子の飛び降り自殺…アレも、重度のうつ状態で入院の必要があるとされながらも、「ベッドが無い」という理由で入院できませんでしたよね。もはや、コネやカネではどうにも出来ない程に、患者の受け入れが困難な状況なんです。

●ぶっちゃけ、人の命より金儲けのほうが大事なんでしょ?

・金儲けのほうが大事だったら、そもそも、不採算部門である救急なんて、最初からやりません。

●医師が足りないなら、海外から医師を呼んだらいいんじゃない?

・本国より遥かに待遇の悪い日本に来る理由が見当たりません。…というのも、実は、日本の医師の待遇は、諸外国のソレよりも遥かに悪いんです。

●ドクターヘリを導入したら?空からなら直通でしょ ?

・ヘリを導入するにも、周囲の建物が邪魔で安全に飛べなかったり(ビルに激突、民家に墜落…の危険性あり)、ヘリポートのある(作れる)病院が少なかったり、騒音問題で導入を反対する住民がいたり…など、色々と問題が山積みなんです…。

・あと、ドクターヘリを必要とするほどの重症患者を扱う「3次救急」自体の数が減っていることも問題の一つとなっています。


●リアルタイムでベッドの空き情報の分かるネットワーク、システムを作ったらいいんじゃない?

・いくら良いシステム、良いネットワークを作っても、医師の手術スピードが上がる訳でもなく、患者を診るための設備が増える訳ではないため、根本的な解決とはなり得ません。

・また、それに近いシステムが既にあるのですが、現在、病院側にそのシステムを操作するマンパワーが足りないために、空き情報をリアルタイムに更新出来ない…という問題が発生しています。


●救急病院が急患を受け入れられないなら、救急病院を辞めちゃえば?

・現実に次々と辞め…ていうか、潰れていってるんです…。過去5年で430件以上…。

・特に、重症患者を扱う「2次救急」、救急最後の砦である「3次救急」が減っていることが深刻な問題となっています。

・また、一つの病院が救急を撤退してしまうと、その病院が受け入れていた患者が他の病院に流れ込み、その病院のキャパシティをオーバーして受け入れ不能…という、「受け入れ不能のドミノ状態」に陥ってしまう…という危険性があります。


●1次・2次・3次って何?どれも救急病院じゃないの?

・救急病院は、患者の緊急度の度合いによって、「1次救急」「2次救急」「3次救急」…と種別されています。

・「1次救急」は、入院や手術の必要が無い患者が対象で、「2次救急」は、入院や手術が必要な患者が対象、「3次救急」は、1次・2次では対応できないレベルの重症患者が対象となっています。

・ここ数年、救急医療が不要なレベルの「軽症患者」が、夜間救急…特に「2次救急」「3次救急」に駆け込み、夜間救急がパンク状態になっている事が、深刻な問題となっています


●2~30件も断わられる事なんてあるの?

・大多数の救急が、マンパワー不足・キャパシティ不足のために、常にパンク寸前(or 本当にパンク)の状態に陥っており、2~30件、いや、それ以上断られる可能性は、大いにありえます。

・また、過重労働で医師が倒れる、燃え尽きて退職…などで、救急を辞める病院も出ており、今後は「受け入れ不能」状態が加速、最悪、「たらい回せる病院」すら無くなり立ち往生…という事態もあり得ます。


●救急病院が多い東京でも患者の受け入れが出来ないのはなぜ?

・救急病院は多いですが、それでも追いつかない程に人口が多すぎるんです。

・また、東京の周囲の他県の受け入れ状況も非常に厳しく、他県からの救急患者が東京に流れ込んでしまっている…という問題を抱えていたりします。(大阪府も同じような問題を抱えている)



なお、上記のFAQは、『「救急受け入れ問題FAQ」を作りませんか?』というエントリにて、自分で調べた範囲での知識に加え、医療事情に詳しい方の意見を聞きながら製作しています(現在進行形)。

救急受け入れ問題に関する新しい質問、およびその回答などがありましたら、上のエントリのコメント欄にてコメントお願いします。


■ 補足:「救急崩壊」の現実を記した動画。

出来れば、下の動画もご覧下さい。
救急医療の現場での過酷な実態が記されています。

News ZERO 救急崩壊1日目

News ZERO 救急崩壊2日目

News ZERO 救急崩壊3日目(1/2)

News ZERO 救急崩壊3日目(2/2)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

転載以上

※なお「奈良心タンポナーデ事件」「加古川心筋梗塞事件」は民事裁判であるので「犯罪」という用語は不適切であり「病院側のミス」あるいは「病院側の落ち度」とするべきではないか、というコメント欄の法曹のご意見を付記いたします。


長文にお付き合いありがとうございました。





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Last updated  2008.11.12 16:49:58
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